大相撲の『令和6年春巡業 大相撲水戸場所』が、4月26日(金)に茨城県水戸市のアダストリアみとアリーナで開催されました。同市では約5年ぶりの開催となったこの日の巡業は、横綱・照ノ富士や茨城県出身の高安、武将山、天空海、さらに茨城県に部屋を構える二所ノ関部屋の力士などが参加。活気あふれる稽古や取組、そして巡業ならではの初切(しょっきり)や相撲甚句(すもうじんく)などで、約4200人の観客を楽しませました。
「キッチンカーにお相撲さんが並んでいる!」
この巡業は、地方創生事業に取り組む吉本興業とグループ企業のLIVE FORWARDが、地域の活性化と相撲文化の発展のために主催したものです。
当日は朝の9時から公開稽古や取組が行われたほか、本場所では見られない初切や相撲甚句などの催し物もあって、大盛り上がり。また、会場となったアダストリアみとアリーナには茨城県内のキッチンカーが数多く出店し、集まった人々は県内グルメにも舌鼓を打ちました。
今回の開催地である茨城県内の学校では、今年の4月から「ラーケーション(体験活動推進日)」の取り組みを始めています。この「ラーケーション」とは、学習を意味する「ラーニング」と休暇を意味する「バケーション」をかけあわせた造語。子どもの学外での学びを促進するため、年間5日に限り、学校外での体験活動を出席扱いとして認める制度です。
今回の巡業の主催者である吉本興業は「子どもたちに相撲文化、日本文化の魅力を伝えたい」という意図から、小中高生を無料で招待しました。そのため「ラーケーション」を利用して、平日にもかかわらず多くの生徒たちが来場。力士同士がぶつかり合う迫力や、相撲という伝統文化に生で触れ、目を輝かせる子どもたちで館内はあふれていました。
巡業に参加した茨城県住みます芸人のオスペンギン(でれすけ・山中崇敬)は、この「ラーケーション」と無料招待の効果について、「子どもが多くていい!」と絶賛。また山中は地元での巡業開催について「住みます芸人として嬉しい」と喜び、でれすけも「キッチンカーではお相撲さんが、ふつうに一緒に並んでいるし、本場所では味わえないよさがあります!」と興奮気味に巡業の魅力を語っていました。
地元の声援に高安「5月には恩返しできるように頑張る」
巡業のハイライトは、幕内力士(一部十両力士が特別参加)の取組です。
ここでは、茨城県のご当地力士たちが大活躍。土浦市出身の高安、水戸市出身の武将山、大洗町出身の天空海が、激しい相撲で場内を沸かせます。また、茨城県阿見町に部屋を構える二所ノ関部屋の力士たちも奮闘。大の里や白熊、友風といった力士が勝利すると、館内はそのたびに割れんばかりの拍手と歓声が起きました。
取り組みを終えた白熊は、初めて関取として茨城県で迎えた巡業について、こう喜びを口にします。
「(二所ノ関部屋のある)阿見町から来た人もいれば、遠くから足を運んでくださった方もいて、すごく嬉しかったです。声援をいつも以上に感じて『頑張ろう』という気持ちになりました。来場所は少しでも早く勝ち越して、茨城の方々によいご報告をしたいです」
またこの日、もっとも大きい声援が寄せられていた高安は、取組後に「盛り上がりましたね、水戸は最高ですね」と笑顔。「パワーをもらいましたんで、5月は恩返しできるように頑張ります」と、来場所の活躍を誓っていました。
茨城の相撲熱の高さを改めて実感
巡業では茨城県の大井川和彦知事、水戸の高橋靖市長、吉本興業ホールディングスの岡本昭彦社長から来場者へ向けた挨拶もありました。
大井川知事は、集まった人たちの熱気を見て、「皆さまのこんなに嬉しそうな笑顔を見るのは久しぶりです。本当に大相撲が春巡業で水戸に来てくれてありがたい」と感謝。高橋市長も「水戸や茨城県の相撲熱は高いのだと改めて実感しました。日本の歴史、伝統文化を支えていく原動力に皆さんがなっていただければと思います」と来場者に語りかけました。
吉本興業ホールディングスの岡本社長は、「力士の方々の一生懸命な姿をご覧いただいて、大人から子どもまで、少しでも楽しんで、明日の力にしていただければと思います」と挨拶。さらに「最後まで安心安全に滞りなく終わりますよう(主催者として)頑張りますので、ぜひお楽しみいただければと思います」と話すと、会場からは大きな拍手が起こりました。