吉田ヒロ「アート展」がついに髙島屋大阪店で開幕! 「ここで開催させてもらうのが夢でした」

吉本新喜劇の中でも絵が得意な吉田ヒロの個展『吉本新喜劇吉田ヒロギャグアート展vol.6と吉本新喜劇美術倶楽部』が、髙島屋大阪店(大阪市中央区)で6月12日(水)~18日(火)まで開催されています。6回目となる今回は吉田の作品だけではなく、アートの才能に秀でた座員が集結する「吉本新喜劇美術倶楽部」のメンバーの作品も展示・販売されています。
新喜劇を代表する“ギャガ―”吉田の頭の中をのぞき見できるこちらの個展に、同じく新喜劇の後輩座員で芸人ライターとして活動する吉岡友見がお邪魔してきました!

出典: FANY マガジン
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ボードのサインに私も…

髙島屋1階の正面玄関入ってすぐ、黒で統一された空間。そこに吉田のカラフルな作品が展示されていて、天下の髙島屋でいちばん目立つといっても過言ではありません。すごい!

子どものときから絵を描くことが好きで「よく金賞に選ばれて張り出されていた」という吉田。この個展のために30点ほど新作を制作し、100点ほどの作品を準備したそうです。

会場の入り口に飾られたインドの神様(ガネーシャ)が描かれた『夢叶』について、吉田は「自身の代表作」と言います。コロナ自粛期間中に1日9時間、2カ月かけて描き上げた力作だけに、「自分の子どもみたいな作品やから、売れてほしいけど売れてほしくない」と複雑な胸の内を教えてくれました。

そして個展のタイトルが書かれたボードには、吉田に縁のある芸人のサインが多数。よく見ると、芸人だけでなくマネージャーのサインもありました。そして僭越ながら、わたくし𠮷岡もサインさせていただきました。てへへ。

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「吉本新喜劇美術倶楽部」も作品展示

たくさんのメダカが描かれた『池乃めだか達』、自身のギャグにちなんだ『きつねにちは』といった動物をメインとした作品や、下から見上げると雨が降っているように見える『きゃんで~』といった抽象的な作品、そして吉田、内場勝則、辻本茂雄、石田靖の似顔絵『昭和4座長』など、テーマやタッチ、雰囲気などがまったく違うさまざまな作品が並びます。縛りのない、なにが飛び出すかわからない作品は、まるで吉田のギャグのようです。

そして自身の絵画だけでなく、ステンドグラスや、スチール、ガラスなど、さまざまなアート仲間と結成した「チーム麦水」で創り上げた作品も展示されて会場を華やかにします。

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今回の展覧会では、ボンざわーるどをリーダーとする「吉本新喜劇美術俱楽部」の作品も目を引きます。

ギターでお馴染み松浦真也が石塑粘土で作り上げた『ニャンバース2・3』。座長である酒井藍は新喜劇でお馴染みのうどん屋法被にギャグを取り入れたイラスト『GYAGU HAPPY』。『溢れ出す欲望』というタイトルの植木鉢を作り上げた、モノマネ芸人としても活躍する金原早苗。

新喜劇の元気印・小林ゆうは粘土で作った不思議な宇宙人『今日も元気です!星人 髙島屋へ降臨』。そして美術倶楽部のリーダーであるボンは3Dプリンターで作った人形にスワロフスキーをあしらった『星に水をやる星人』と個性豊かな作品の数々。

全員、新喜劇だけじゃないアートの才能を爆発させていました。同じ座員として鼻高々。どこを見ても、吉田と美術俱楽部の才能と魅力あふれる空間になっていました。

出典: FANY マガジン
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「飽き性」で「バラバラ」

ドキドキワクワクの初日のオープン前に主役の吉田、そして美術倶楽部のメンバーであるボンと酒井にお話を聞きました。

――まずは個展開催おめでとうございます。いまのお気持ちは?

吉田 ずっと、なんばの髙島屋大阪店さんで開催させてもらうのが夢でした。以前、堺の髙島屋さんで個展をやらしてもらったとき、終わってからすぐに今回の話をいただき、トントン拍子に話が進んで。「俺ってやるじゃん」と思いました(笑)。

酒井 なんばの髙島屋さんでやるって聞いて、「ヒロ兄さんマジですごいな」と。しかも、そこに私たちも参加させてもらえるなんて。緊張してます。

吉田 ボンが昨年、「新喜劇美術俱楽部」を立ち上げて、個展をやったときに俺もメンバーに入れてくれて。そのお礼で今回、美術倶楽部のメンバーにも参加してもらいました。

ボン 美術倶楽部は「絵が好きなメンバー」を集めて好きに作って個展しよう、と「草野球」ならぬ「草美術俱楽部」みたいな感じで始めたのに、第2回目の展示が髙島屋になるなんて……すごい(笑)。「好き」の気持ちだけで自由にやってた俱楽部なのに。

出典: FANY マガジン
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吉田 俺も「好き」なだけです。独学やし。ジミー大西さんやたいぞうは「この人の作品」ってすぐわかるけど、俺はそれがないから。全部バラバラ。それが俺のあかんとこやと思う。飽き性やし。

酒井 いや、それがヒロ兄さんのすごいところです。自由な発想やから新喜劇でもあんなギャグができる!「1個、10個、100個、1000個、うんこ~」っていうギャグ聞いたとき、衝撃でしたもん。あのギャグほしい!

吉田 マジか!(笑)

インバウンド需要を狙う!?

――髙島屋大阪店での開催という夢が叶ったとおっしゃいましたが、次の夢はなんですか?

吉田 あと2、3回ここでやらしてもらって、心の余裕ができたら海外でもやりたい!

ボン・酒井 すげ~! カッコイイ!

――子どものころから絵を描いてきたそうですが、絵の道に進もうと思ったことはありますか?

吉田 じつは芸人になって、絵の仕事が多すぎた時期がありました。締め切りに追われて「芸人ちゃうやん」となってしまって。やっぱり俺は芸人やから、1回、絵の仕事はすべて断ったんです。
そこから長い間、描いていなくて……。また絵を再開しようと思ったのは、コロナからなんです。締め切りに追われていたむかしと違って、いまは心の余裕があるから描ける。あ、でも今回の個展は奥さんに「時間ないで」と何度か尻たたかれましたが(笑)。

出典: FANY マガジン
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――ヒロさんから見て、ボンさん、藍さんの作品はどのように感じますか?

吉田 それぞれボンにしかできない、藍にしかできない作品だと思う。俺にはできない。「アート」って言葉はすごく便利で、何してもアートって言える。けど、いい言葉でもあって、その人にしか作れないものやセンスもアート。
絵がヘタっていう人も何かを描いて作品にすれば、立派なアート。その人にしか作れないもの。自由なんやから、自信持っていい。みんなやってみたらいい。誰がやってもいいんやから。

酒井 (拍手)ヒロ兄さん、もうどこかの更生施設の先生になってほしい。

吉田 どこにあんねん、そんな施設!(笑)

――最後に観に来てくださる方にメッセージをお願いします!

吉田 吉本興業が絡んでるので、作品(の価格)は高いです(笑)。だからおカネ持ちの人が来て、来たら買え! インバウンドの影響で海外の人に購入してもらったらバズるかも!

酒井 確かに。私、海外の方に狙いを定めて呼び込みします! 英語喋れないので、まずは微笑んでみます。

出典: FANY マガジン
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こんな感じで初日は終始、笑いの絶えない1日となりました。そして、オープン後はたくさんのお客さんが足を止めて作品に見入っていました。狙い通り海外の方々も興味津々。ヒロ兄さんや美術俱楽部メンバーの作品が海外にはばたくのは、そう遠くない未来かもしれません。めざせ世界!

……そして、すっかり感化された吉岡。私も何か創ってみようかな、と思ったりしています。


『吉本新喜劇吉田ヒロギャグアート展vol.6と吉本新喜劇美術倶楽部』の詳細はこちらから。