天才ピアニスト&うただが語るマンゲキ“ガチバトル”が壮絶すぎる件「ほんまにオモロイときしか上位になれへん」【「グランドバトル」×「Kakeru翔GP」王者対談】

大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)の所属芸人がしのぎを削る2カ月に1回のガチネタバトル、「グランドバトル」と「Kakeru翔GP」。「1位を獲るのは、どの賞レース優勝よりも難しい」ともいわれるこのバトルを制した2組、「グランドバトル」の天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)と「Kakeru翔GP」のうただ(一石達也、宮本)に今回、バトルの内幕から見どころまで、ざっくばらんに語ってもらいました。いったい何が飛び出すのか……!?

出典: FANY マガジン
左からうただ(一石達也、宮本)、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ) 出典: FANY マガジン

芸歴9年目以上の「極メンバー」全組が集結し、磨き上げたネタで競う「グランドバトル」。一方の「Kakeru翔GP」は、芸歴8年目以下の若手が集まる「翔メンバー」が出場し、それぞれが自信のネタで超ガチンコバトルを繰り広げます。6月8日(土)に開催された「グランドバトル」でチャンピオンに輝いたのは、天才ピアニスト。それから1週間後の6月15日(土)に行われた「Kakeru翔GP」では、うただが4月の大会に続いて2連覇の快挙を成し遂げました!

「天ピに勝つには、どんだけウケなあかんねん」

天才ピアニスト・竹内 うただとは、芸歴もかなり近いね。
※天才ピアニストはNSC(吉本総合芸能学院)大阪38期、うただは39期

天才ピアニスト・ますみ (翔・極の芸歴基準が)変わってからそろそろ1年くらいかな? それまでは私らも、「Kakeru翔GP」で戦ってた“敵”ですからぁ!

うただ・宮本 僕らが2位で、天ピさんが1位のときもありましたよね?(2022年4月の「Kakeru翔GP」) 僕らがいちばん調子のいいときで、まわりからも「これ、優勝あるんちゃうか!?」なんて言われてたんですけど、結果、天ピさんが1位を獲っちゃった。

ますみ 私ら「Kakeru翔GP」では、そのときしか優勝できてないよな? 唯一の優勝。

宮本 えっ! もっと優勝してるイメージでした。

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うただ・一石 当時はまだ「Kakeru翔GP」に(NSCの)36期さんまで所属してたんですけど、僕、正直「今回は1位かな?」って手応えを感じてたんです。でも、フタを開けたら天ピさんで、「じゃあ、どんだけウケなあかんねん!」と思った記憶があって。

3 ワハハハ!(笑)

一石 2カ月に1回、いちばんいいネタを持っていくわけじゃないですか。現状のMAXをやっても、さらにその上をいかれた。

宮本 これだけ何回も「Kakeru翔GP」に出てると、笑いの量の塩梅で、「このウケなら1位やな」とか、だいたいわかるじゃないですか。あのとき、(NSC38期・フミの)もういっちょ!とん平さんが「1位です」って僕らに言いに来てくれたんです。それで「うわぁ~!」ってなって。

竹内 とん平は正確な伝書鳩やからね(笑)。

宮本 ただ、“とん平鳩”は非常に優秀な伝書鳩なので、僕らのあとに出た天ピさんの出番を見て、再び僕らのところに来て「ごめんなさい、2位です。1位は天ピさんです」って言いにきたんです。

ますみ そういえば、今回の「グランドバトル」でも“とん平鳩”いた! 発表のときに私らに「名前呼ばれるから、舞台袖に行きなさい」って。

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竹内 「君ら、1位やから」って。ほんで、「自分らは5位やと思う」って言ってたら、ほんまにフミは5位やってん。

宮本 すごい……! そこまで的確に予想できる人、なかなか珍しいですよね(笑)。

上位になれば寄席出番が増える!

ますみ うただは「Kakeru翔GP」にむちゃくちゃ強いから、最近はずっと上位やよね?

一石 いやいや、やっとこさです、総合優勝は。前回(4月開催)のが初優勝ですし。

ますみ えっ! もっと優勝してると思ってた!

竹内 今回、うただは4月と6月で2連覇でしたからね。ほんまにオモロイときしか上位になれへんよな。

ますみ ほんまにダントツなときだけ。「今日はウケたな」ぐらいやと、順位が真ん中より下とか余裕であるよな。

竹内 だから、「グランドバトル」も「Kakeru翔GP」も、1位を獲れたネタは「外でも通用するネタなんだな」っていう指標になる。それに、どちらのバトルも所属芸人全員の1位から最下位まで明確に順位が付くから、その力比べは唯一無二ですね。

一石 タイマン感がありますよ。

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竹内 順位は大事やからね~。

ますみ その後2カ月間の、寄席の出番数にかかわってくるから。下位になっちゃうと、土日の寄席(『超よしもと漫才ライブ』)の出番は入らない。

竹内 寄席出番は、たとえば「Kakeru翔LIVE」みたいにマンゲキメンバーだったら出られる通常のライブじゃなくて、自分らの力でつかみ取った出番、という感じがあるんです。

宮本 当たり前に出られるものではないです。

竹内 ちょっと一人前の芸人になれた、という感じがするよね。それに寄席って、ふだんとは客層がガラッと変わるから、そういう場所でどれくらいウケるのか、これもいつものライブとはぜんぜん違う。寄席でネタをやってみて、賞レースに向けてさらにネタを叩いていく……という作業のためにも、まずは寄席出番を確保するっていうのは第一歩やと思うねん。

ますみ それにマンゲキの土日の寄席の香盤に名前があるっていうことは“マンゲキの顔”の証しやから、光栄なことよね。

宮本 僕らも、4月に「Kakeru翔GP」でチャンピオンになったとき、初めてよしもと祇園花月の寄席出番をもらえました。

竹内ますみ それはうれしい!(拍手)

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一石 あとこないだ、「新世界 ZAZA」のこけら落とし公演に出演できたんです。これ、よう考えたら感慨深いことやな。

宮本 確かに!

一石 「森ノ宮よしもと漫才劇場」ができたとき、こけら落とし公演に出演してた人たちって、僕らにとってすごく上の人たちやったんですよ。それと比べるのは違うかもしれないけど、こけら落とし公演に「出てるやん……!」っていう。「Kakeru翔GP」でチャンピオンになったことも関係してると思うし、すごくうれしことでした。

竹内 箔が付くというか、光栄なことよね。

「Kakeru翔GP」勝者は“期待値が上がっている段階”

竹内 私は、2カ月に1回っていうのがすごくいいと思ってるねん。「この2カ月で何をつくって、どう磨いたか」を発表する場。スパンで考えると2カ月って、けっこう短いと思うけど、そのおかげで鍛えられたと思う。2カ月に1本、なんとか形にして、勝負できるものを出さないとあかん、という。

一石 2カ月っていうのが、絶妙な期間なんですよね。

竹内 「グランドバトル」って、賞レースのファイナリスト集団やし、強い先輩がたくさんいる中での戦いなので、そこで1位を獲れたネタは賞レースに出して大丈夫だな、と思えるし。

一石 「Kakeru翔GP」って曖昧な部分があって、その日にウケたネタが、ほかでもウケるとは限らへん、みたいな側面もあるんですよ。そこを見極められてないと、上位は続かないですね。「Kakeru翔GP」でチャンピオンになっても100%の安心はできない。

宮本 まだ「期待値が上がっている段階」みたいな感じです。

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ますみ 芸歴1年目とか2年目の子もいるもんね。「Kakeru翔GP」は、“発掘”っていう部分もあるから。

宮本 「Kakeru翔GP」は若手が集まるバトルなんで、「このあと、すごい結果を出すかも知れない」みたいなイメージですかね。
「グランドバトル」での優勝は文句なしにすごいこと。なかには優勝はしていないけど、外でめっちゃ結果を出す強い人もいて、両方のルートがありますね。

一石 カベポスターさんがそうですよね。実は「グランドバトル」ではまだ優勝してないっていう。劇場のバトルでは、ダブルヒガシさんがめちゃくちゃ強かったり。

竹内 でも結局、劇場から外に出ていって、テレビに行ったら行ったで、また強い人がいるわけですよ。この世界にいる限り、ずっと続いていく。だからこそ、こじ開けていかなあかんねんな。

賞レース前は勝負ネタが出そろう!?

竹内 観に来てくれるお客さんからすれば、全員が“勝負ネタ”をやってるから、めっちゃいいライブやと思うんですよ。とにかくいちばんいいネタをやってるから。

宮本 『M-1グランプリ』前とか、賞レースが近い時期はすごいですもんね。みんな、勝負の勝負みたいなネタを持ってきます。

ますみ お客さんもファイティングポーズをしてるんちゃうかっていうぐらい。「もっとふつうに笑いに来てよ!」と思う部分もあるねんけど、こっち(劇場)もなんか緊張感がある曲を鳴らしてるから。

宮本 ダラダンダン、ダラダンダン♪ みたいな(笑)。

竹内 あんなもん、観る側もグ~ッ! てなるって!(笑)。

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一石 『キングオブコント(KOC)』前も、コントの人たちが勝負ネタしますね。コントが好きな人は、KOC近辺に観に来ると楽しめるかも知れません。

竹内 次は8月か~。

宮本 賞レースの予選も始まって、力が入る時期ですね(笑)。1位を獲った人たちって、その後も調子がいい気がするんです。1回獲り出したらずっと入賞してるな~っていう印象はあります。

竹内 確かに。それはお客さんが認めてくれている証拠なのかも。

ますみ マンゲキ内で「おめでとう」って言ってもらえるのが、シンプルにうれしいよね。

竹内 あの、ロビーに写真を飾ってもらえるのがね!

一石 あれはデカいです!

宮本 天才ピアニストさんと、うただの写真が並んで飾ってもらえる時代がくるとは……!

竹内 ほんまにうれしいなぁ! 

ますみ 2カ月間、飾ってもらえるからね。あなたたちは4カ月間やん!

竹内 お客さんからの生の反響ももちろんやけど、芸人も劇場も「おめでとう!」って。

2カ月の積み重ねを確認する場

一石 僕らの次の目標は“外”です。いったん、「Kakeru翔GP」で2連覇できたんで、外の賞レースに気持ちを向けられる余裕が出てきました。「Kakeru翔GP」は、僕の中で強いて言うなら……「ヤマアラシのジレンマ」といいますか。向き合いすぎるとフォームを崩しますし、でも、「どうでもええわ」となると、それはそれで、ただの負け惜しみになる。絶対に獲ったほうがいいから、いい距離感を常に測っていかないといけない。だから、「ヤマアラシのジレンマ」ですね。

竹内 私は、バトルライブに対しては「順位なんてどうでもいいわ」と思っていた側の人間なんですよ。でも、「Kakeru翔GP」で初めて1位を獲ったとき、「私、死ぬほど1位になりたかったんや」って思うくらい、ほんまにうれしすぎて。

ますみ マジで、勝ててないときは「どうでもいいわ」って言いまくってたもんな。でも勝ったときは、地面エグれるぐらいガッツポーズした。

竹内 うん。うれしかったね~。「愛してたんだ、こんなに!」って。

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一石 「獲るぞ!」じゃなくて、「獲れた!」が理想ですよね。日々ちゃんとやってきたなかで、「あ、獲れた! やった!」っていう。

ますみ 私にとって、「グランドバトル」は、飲みにくい水こと「硬水」ですね。

竹内 といいますと!?

ますみ 生活には、なければならないものになってしまっているんです。バトルがないと強くなれないし、勝てば勝つほど強くなれる。お水も日常の中ですごく大事だし、なかでも硬水は体にとってよいもので。

竹内 体にはいいけど、入りにくいっていうね(笑)。私にとっての「グランドバトル」は、「定期考査」ですよ。2カ月に1回の試験。われわれは自分の100点を目指してネタをつくるけど、その結果、クラスで1位になれたらうれしいなっていう。

ますみ サボっちゃったら。ちゃんと獲れへんもんな~。

竹内 順位を獲りにいくというよりは、この2カ月、しっかり積み重ねて取り組めたか。それが「グランドバトル」「Kakeru翔GP」ですね。

3人 決まりました!(拍手)

出典: FANY マガジン
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公演概要

『グランドバトル』第一部~第三部
日時:8月3日(土)
<第一部>開場 12:15/開演 12:30/終演 15:05
<第二部>開場 15:35/開演 15:50/終演 18:25
<第三部>開場 18:55/開演 19:10/終演 21:45
会場:よしもと漫才劇場
チケット:前売1600円/当日1900円
配信1500円/配信通し券(第一部・第二部・第三部)4000円

FANYチケットはこちらから。

■『Kakeru翔GP』第一部・第二部
日時:8月4日(日)
<第一部>開場15:30/開演15:45/終演18:30
<第二部>開場19:00/開演19:15/終演22:00
会場:よしもと漫才劇場
チケット:前売1500円/当日1800円
配信1500円/配信通し券(第一部・第二部)2800円

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