同期のフースーヤ、天才ピアニスト、エルフも大喜び! 芸歴8年、結成1年でマンゲキ“極メンバー”昇格の「愛凛冴」に大注目

2024年9月から大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)の「極メンバー」入りが決まった愛凛冴(ありさ=横山、玲二)。芸人の間でも「誰やねん……!?」と囁かれたこのコンビ、実は2人ともフースーヤや天才ピアニスト、エルフと同期のNSC(吉本総合芸能学院)大阪38期の出身です。芸歴8年目、まわりがどんどん人気者になるなか、いよいよ“スタート地点”に到着した2人に、現在の心境や同期との絆を聞きました。

出典: FANY マガジン
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「グランドバトル」は、マンゲキで2カ月に1回開催されるネタバトル。芸歴8年以上の「極メンバー」全組に加えて、マンゲキ昇格を狙う若手芸人のオーディションライブ「UP TO YOU!サバイバルステージ」で勝ち上がった選抜メンバーが、1日がかりでネタバトルを繰り広げて順位を競います。

愛凛冴は、8月3日(土)に開催された約60組が出場する「グランドバトル」に「UP TO YOU!」から初参戦。3部構成の第2部に登場して4位に食い込み、総合順位でも10位にランクインしました。“上位10位以内”という厳しい条件をクリアして、極メンバーの座を勝ち取りました。

先輩たちからは「お前、誰やねん!?」の空気が…

――「UP TO YOU!」からマンゲキ所属メンバーを目指すのは、険しい道のりだと聞きます。当日を振り返ってみて、どうでしたか。

横山 自信はあったんですが、極メンバーの皆さんを見たときに「おぉ……」と緊張しました。「M-1グランプリ」の予選でしか当たらないような人たちとこれから一戦交えるのか、と。「大丈夫かな?」と思う瞬間は何回もありました。

玲二 横山くんは、前のコンビで「チャレンジバトル」に出てたんで少しは漫才劇場に慣れてると思うんですけど、僕は、NSC時代を含めて漫才劇場の舞台に立つのが3~4回目やったんです。だから「楽屋ってこんなんやったっけ?」みたいな感じで、知らなさすぎて逆に緊張せずにいけました。
それに、僕は先輩方とまったく交流がなかったから、最初の挨拶の段階で「お前、誰やねん!」って感じで。かたや横山くんを知ってる先輩も、横山くんが前と比べて髪型が変わって雰囲気も違うから、名前を言うまで気づかれへんかったよな?

横山 「おぉ! 横山か!?」みたいな感じやった(笑)。

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玲二 久しぶりに来た横山くんが、ヤバい奴を連れてきた、みたいな空気になってました(笑)。衣装に着替えて舞台袖にいたとき、僕の見た目が怖いから、先輩方が「お前、そんな見た目でええわけないやろ!」とイジってくれたことで張り詰めた空気がほぐれたのもよかったです。

横山 先輩方には助けていただいたな。2部は、3部まであるなかで、いちばんたくさんお客さんが入ったとかで、盛り上がりもすごかったんです。

玲二 満席で立ち見の方もいて、あんなお客さんがいっぱいの舞台に立ったことなかったからすごかった。

横山 その2部のBブロック、しかもちょうど真ん中っていう出順もよかったです。

玲二 「UP TO YOU!」メンバーがマンゲキ所属になるのって、一撃か10発か、みたいに言われてるんですよ。これが一撃でいけて、マジで救われました。

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横山 このタイミングで昇格できてなかったら、目の前が真っ暗になってるところでした。「もしまた戻ってこられるとしたら、半年後かな」みたいな。

玲二 マンゲキに昇格できたいまが、パラレルワールドじゃないことを祈るばかりやな。

ずっと信じてくれていた田中ショータイム

――愛凛冴がマンゲキメンバーに昇格したことで、フースーヤや天才ピアニストなど同期たちがとても喜んでいました。

横山 僕は、田中ショータイムと5年間、一緒の家に住んでたんですけど、そのころ僕がコンビ解散したりで。かたやフースーヤのほうはずっと調子がよくて、右肩上がり。でも僕に対してとくに干渉してくるわけでもなく、「調子、どうなん?」と聞いてくるわけでもなく。でも、いいときは「よかったな!」って一緒に喜んでくれる。そんなショータイムにすごく助けられてきました。
なんかええ話になっちゃうんですけど、ずっと信じてくれてたんやと思います。

――「グランドバトル」では、フースーヤも同じ2部で出演していましたね。

横山 僕らが2部の4位で名前が呼ばれたとき、ショータイムがたまらず肩を組んで一緒に舞台に出てきてくれたんです。後先考えずに出ちゃうところがショータイムっぽいな~と思いました。出てきただけで、あとはその場にぼーっと立ち尽くしてたんですけど(笑)。

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玲二 僕は、劇場入りしている同期とがっつり顔を合わせるのが7~8年ぶりでした。NSCを卒業したあとは鳴かず飛ばずで、期が違う子とコンビを組んでたから同期と会う機会も少なくて。横山くんと組んで今回、久しぶりにマンゲキに来たら「何しとってん! よう上がってきたな」と、なんのブランクも感じさせず迎え入れてくれました。

横山 僕ら38期はほんま、とくに仲がよかったんで。

玲二 4位に入ったとき、みんなが「これ、いったんちゃう?」って声かけてくれたのに、(フースーヤ・谷口)理くんだけ腕組んで「びみょいな~(微妙やな)」ってあえて不安をあおってくる、みたいなこともありました。

横山 それも理っぽいな~と思いました(笑)。でも、あとからLINEで「よかったな」って届いて、「そういうことはするんや」ってうれしかったです。エルフは、2部の結果発表が出たときに速攻ではると荒川からLINEで、「Xで結果見て、マジで声出たわ!」と届いて、これもうれしかったな。

玲二 みんな、ほんまに気にかけてくれててな。

横山 天才ピアニストのますみと、ゴエモンの濱ちゃん(濱田浩平)と、玲二と僕とで楽屋でしゃべっていたら、バッテリィズのエースさんが「お前ら、なんかええなぁ! 泣きそうやわ! 写真撮らしてくれや!」って写真を撮ってくれたんです。でも、別にSNSにアップするわけでもなく、僕らにくれるわけでもなく。

玲二 たぶん、いまもエースさんの画像フォルダに入ってるだけやな(笑)。

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「M-1、出ぇへんの?」の連絡でユニット結成

――愛凛冴はコンビ結成が2023年8月。劇場入りできたのがちょうど結成1年だったんですね。

横山 そうなんです。厳密に言うと、ユニットの形で2022年に「M-1グランプリ」の予選に出ました。

玲二 そのあと、正式に「組みます」ってなったのが去年の8月です。

――まずコンビを組んだきっかけは?

玲二 僕は同期の子とコンビを組んで2年目くらいで解散し、そのあと中学時代の同級生がNSC41期で入ってきたので、その子と「KENZI」というコンビを組んだんですけど、2022年に解散しました。その期間はヨコとも会ってなかったな。

横山 何してるか知らんかったです。「サバステ(サバイバルステージ)」でたまに顔を合わせるくらい。

玲二 そのとき、ヨコはオールバックやったな。

横山 暗黒時代です(笑)。

玲二 そのころ、ヨコも前のコンビ(ネイヴィベイビー)を解散してて、僕は僕でネタを書いてたからこのまま終わるのはもったいないし、「M-1」には出たいと思ってたから、僕からヨコに「M-1、出ぇへんの?」って連絡してんな。

横山 うんうん、たしかにそうや。

玲二 それがきっかけで会うようになって、その場所が喫茶店「アリサ」っていう。

――それがコンビ名の由来なんですね。

横山 でも、それではあまりにも普通すぎるので、「お互いの体に入っているタトゥー“愛”“凛”“冴”を一文字ずつ取った」ということにしています。なので、そういうことにしておいてください。

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2分間スベり続けて折れた心

――2022年の「M-1」1回戦にユニットという形で出場してから正式にコンビ結成するということは、手応えを感じたからですか?

横山 いや~それがもう、地獄だったです。僕らはそのことを“地獄の英國屋事件”と呼んでるんですけども……。

玲二 お互いが「こいつに『おもんない』と思われたくない」っていう気持ちが強くて、ぜんぜん攻めることなく置きに行きまくって、結果、ひと笑いも起きなかったです。

横山 2分間、スベり続けたのは初めてです。目の前が真っ暗になって、直後に2人で(喫茶店の)英國屋に行って……。

玲二 英國屋の看板が白黒に見えました。ツラかったよなぁ、あのとき……。

横山 ツラかった。

――英國屋でどんな話をしたんですか?

横山 「どうしようか?」ってなったんですけど、コンビを組む話にはならなかったです。

玲二 僕がもう、心がやられちゃってて。ヨコと出る前に、「KENZI」でも「M-1」1回戦に出てたんですけどダメで解散して、ヨコと組んで再エントリーして出てもダメで。「ちょっとしんどいわ……」となってしまいました。それでヨコに「ごめんやけど、俺、年内は何もできひんかも」ってなって、2022年は何しませんでした。でも、ヨコとはずっと会ってたんですよ。

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――横山さんはそのとき、どんな心境だったんですか。

横山 「M-1」の結果はよくなかったけど僕はいけると思ったんで、1カ月後に玲二と会ったとき、僕が3~4本くらいネタを持って行ったんです。「テーマをこんなふうにしたら、おもしろなりそうやな。玲二、どんな顔するかな?」って楽しみにしてたんですけど、玲二の反応が薄くて、「う~ん……」みたいな。「あ、そうか」ってすぐに気づきました。改めて気持ちを聞いてみたら、「いろいろあったから、いまはしんどい」と打ち明けられました。

――玲二さんは、心が癒えてなかったんですね。

横山 そうですね。僕自身も、同期の頑張ってる様子を横目で見ながら、自分には何もないから焦ってたんです。でも、玲二の気持ちを聞いて「焦ってもしゃあないな」と。僕は玲二と組みたいと思ってたし、「ほんなら、いったん休憩しよっか」って休むことにしました。

玲二の復活を待ってコンビ結成!

――玲二さんと組みたい、と思った理由は?

横山 なんか「この人となら、がんばれそうやな」って思ったんです。

玲二 ヨコは芸人の友だちが多いし、いろんな人から「コンビ組もう」って声がかかってるのも知ってたんで、「僕は休むし、もし一緒にやりたい人がいたら切ってくれていい」って言ったんですけど、「いや、待っとくわ。休もうや」って言ってくれたんです。

横山 それからは週1くらいのペースで遊んでました(笑)。

――何をして遊んでたんですか。

玲二 キャッチボールしたなぁ。バッティングセンターも行ったし。ひたすら心を癒やすだけの時間でした。

横山 お笑いの話も一切せずに、「いかに球にスピンをかけるか」ばっかりしてました。

玲二 球筋をずっと見てたな(笑)。

横山 そんな期間があって、よかったかも知れないです。お互い、いい感じにアクが抜けたというか。

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――一緒に過ごす時間を増やすことで、お互いにいい効果があって、玲二さんも立ち直ることもできて。

玲二 はい。それでやっとお笑いがやりたくなって、2023年の6月、「M-1」の1回戦が近づいてきたころに「そろそろネタ考える?」って僕から言いました。

横山 でも、ちょっと怖さはありました。始まってしまうと、もしかしたら、また「あかん」ってなるかもしれないから。

玲二 で、実際に“地獄の英國屋事件 パート2”が起きたんです。

——ええっ!

横山 舞台は英國屋からコメダ珈琲に変わるんですけど、その2023年の「M-1」1回戦でまた落ちてしまうんです。

玲二 装い新たに挑んだんですけど、なんか気持ち悪いネタをしてしまって。休養中に、アクを抜きすぎて旨みがなくなってしまった、みたいな感じでした。

横山 でもスベりはしなかったので、「ウケたけどなぁ?」みたいな話をしましたね。

玲二 前年にユニットで出たときより、明らかに笑いの取り方も変わったし、「いや、これで間違ってない。もう1回出よう」って。僕のほうが強気でしたね。

横山 僕は正直、しんどかったです。でも、再エントリーで1回戦は通過することができたから、ほんまによかったなと。それで、その年の8月に正式に組むことになりました。

横山「人の心を動かす芸人になりたい」

――正式結成から1年でマンゲキメンバーに昇格とは、結成後は順調のようですが、そうなる予感はありましたか?

玲二 「M-1」の2回戦で手応えがあって、そのときに完全にいまの愛凛冴の形が決まったと思います。その後、ウケない時期があっても「このままでいい」って思えました。

横山 僕は「ほんまにこれでええんか?」って囚われちゃうことがあるんですけど、玲二が「いや、シンプルでええんちゃう?」と軌道修正してくれるのが僕にとってはすごい大事なんです。
結成は1年ですけど、芸歴は8年、これまで紆余曲折あって、泥まみれでやってきた結果、「いろいろ試してきたけど、結局シンプルがいいんや」って立ち戻らせてくれるから、めちゃ助けられてます。「玲二がそう言うなら大丈夫やな」って。舵を取ってくれてます。

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――これから、劇場で舞台を重ねていくわけですが、こんな芸人でありたい、という理想を教えてください。

横山 楽しいときもしんどいときも、お笑いを見て救われてきました。僕はナインティナインさんの「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ系)を兄ちゃんと見てて、「こんなに笑って、感動もできるんや」って心から思ったんで、僕も人の心を動かすことができる芸人になれたらいいなと思っています。

玲二 よしもと漫才劇場といえば、若手芸人のなかでいちばん華々しい劇場やと思うんです。ずっと「どうやったら上がれるんやろう?」と思ったままやってきて、なんとか上がれたんで、そこでネタができるのもうれしいですし、いっぱい出番がいただけるようにがんばりたいです。
今後はもちろんテレビのバラエティ番組も出たいですけど、僕は『ジャングルの王者ターちゃん』という漫画が大好きで、ゆくゆくは腰みの一丁でジャングルに放り出されて、自給自足で生き抜いて帰ってこい、みたいなロケをして、動物いっぱい引き連れて帰って来たいです。

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