2021年東京五輪と今夏のパリ五輪にバレーボール日本代表として出場した大塚達宣(たつのり)選手(24)が、吉本興業とマネジメント契約を締結しました。大学時代から3シーズンにわたって所属したパナソニック パンサーズ(現・大阪ブルテオン)を8月末で退団し、バレーの世界最高峰リーグであるイタリア・セリエAのパワーバレー・ミラノに移籍した大塚選手。9月29日(日)のシーズンスタートを前に、すでに現地に渡っている大塚選手に新天地にかける思いや、海外に行っても変わらない日本のファンとの絆について聞きました。

「チームを鼓舞できる選手でありたい」
──まずは、今回イタリア・セリエA移籍に至った経緯を聞かせてください。
パリ五輪が終わったときに、年齢的にも4年後の2028年のロサンゼルス五輪が自分の選手として最高の時期になるだろうと思いました。ロスまでの4年間で、いろいろなことに挑戦したい。日本ではできないことが経験できるリーグでプレーしてみたい強い気持ちがあって、セリエAのパワーバレー・ミラノに移籍することを決めました。
──大塚選手といえば、レシーブなど守備面を軸に、攻撃面でもマルチに能力を発揮できるのが持ち味です。チーム練習などで実際にイタリアのバレーボールを体感した感想は?
やはりプレースタイルが日本とは違うので、そこに合うように自分で工夫することが必要ですし、もっと力をつけていかないといけないと感じています。でも、自分の強みであるレシーブなどのディフェンス面やテクニック、スキルの面では負けていないと思っています。そういう長所を磨いていきながら、それ以外の部分も吸収して成長していきたいです。

──イタリアに渡ってから数か月ですが、この期間で自分の成長を感じている面もあるのではないですか。
そうですね。バレー以外に、生活面や言葉などで不便なこともあります。でも、それが改善できたときの喜びは、すごく大きいんです。プレーでも同じで、アドバイスをもらってできるようになったときの喜びは、本当に大きい。そういう「できた」の積み重ねが大事だと思います。
──現地ミラノのファンや、日本から声援を送ってくれるファンにどういう姿を見せたいですか。
僕はチームの中では元気なキャラクターだと思うので、コート上でもそれ以外の部分でも、チームを鼓舞できる選手でありたいです。プレーをもっと磨いていくことはもちろん、そこにプラスして僕の良さである元気を前面に出して、コート上で自分の存在感や価値を作っていく。そういう姿勢でいたいと思っています。

お笑いの舞台にも興味津々
──バレーにおいても生活においても、海外暮しで不安なことはありますか。
いまのところは、あまりないですね。ひとり暮らしで、食事は基本的に自炊しています。料理が得意かと聞かれれば……ですが(苦笑)。だけど、栄養面も含め、ふだんからどんな生活をするかが、試合でのパフォーマンスにも影響してくると思うんです。無理をする必要はないのかもしれませんが、自分のなかにバレーボールを第一に置いているから、自炊することも苦ではありませんね。
──料理の腕前が上がったり、得意料理ができたりしましたか?
料理をするとなっても、あれこれ考えるのが面倒くさいんですよね(笑)。僕は同じものが続いても気にならないので、お肉を焼いたり、手短にパパッと作れるものばかりです。基本的にはお米があればなんとかなるので、お米はいつも炊飯器で炊いています。とはいっても、全体的には栄養のバランスを考えて作って、食べていますよ。
──吉本興業は以前からアスリートのマネジメントも行ってきましたが、大塚選手にとってもイメージは“お笑いのよしもと”だと思います。バレーボール選手である大塚選手をよしもとがマネジメントすることについては、どう思いましたか?
率直に、ありがたいなと思いました。日本では取材依頼など、プレー以外の面はチームのマネージャーが対応してくれていましたが、海外のチームに移籍するとなると同じようにはいきませんから。そういったところを助けていただけると、プレーに集中できますからね。

──お笑いをやらされるんじゃないかとは、思わなかったですか(笑)。
お笑い、いいですね! 僕は大阪府枚方市出身でお笑いが日常にありましたし、やってみたいですよ(笑)。日本で在籍していた大阪ブルテオンが吉本新喜劇とコラボしていますし、僕もやってみたいです。
──今後、よしもとのお笑いの舞台に立つ姿を拝見することを楽しみにしています。
はい、僕も楽しみにしています(笑)。
SNSでミラノやイタリア各地の魅力を紹介
──海外に移籍すると、日本のファンとのコミュニケーションが難しくなることもあると思います。そこを吉本興業がサポートしてつなげるのも、この取り組みのひとつですね。
ありがたいことですね。イタリアのチームに移籍しましたが僕は日本人ですし、日本から応援していただけるのはすごくうれしい。そういうファンの方は、大切にしていきたいです。
──日本のファンとのコミュニケーションの取り方などについて、イメージはありますか。
吉本興業所属だからって、お笑いに走らないといけないとは思っていません(笑)。いまのところはSNSなどを通じて、ホームのミラノや遠征で訪れたイタリアの各地を紹介したり、そこで僕が感じたものなどを発信したりしていければと考えています。

──大塚選手のほうからも、積極的に発信していきたい考えなんですね。
そうですね。僕はSNSをそれほど頻繁に更新してこなかったのですが、せっかくこういう機会をいただいたので、これからは積極的に発信していきたいと思っています。
──今回の吉本興業とのマネジメント契約が、イタリアにいる大塚選手と日本のファンとの距離を縮めるものになればいいですね。
はい、物理的な距離はかなりありますが、いまの時代はSNSなど、それを縮める方法はいくらでもありますよね。そういったものと、吉本興業さんのお力をお借りしながら、日本で僕のことを応援してくださる皆さんとつながっていきたいです。