照屋年之(ガレッジセール・ゴリ)監督 最新作映画『かなさんどー』松田るか&監督登壇トークショー付き試写会で拍手喝采!

ガレッジセールのゴリこと照屋年之監督の最新作『かなさんどー』が、2025年1月31日(金)より沖縄先行上映、そして2025年2月21日(金)より全国公開されます。2月7日(金)には、全国公開に先駆け、松田るか&照屋年之監督登壇トークショー付き試写会が開催されました。

愛おしくて切ない心揺さぶるヒューマンドラマ

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

本作はモスクワ国際映画祭などの国際的な映画祭に出品され、日本映画監督協会新人賞を受賞した『洗骨』(2019)の照屋年之監督の6年ぶりの最新作。

「かなさんどー」とは沖縄の方言で “愛おしい”を意味する言葉で、本作は沖縄県の伊江島を舞台に、実力派キャストで情緒豊かに紡がれる“家族の愛と許しの物語”となっています。

1月31日(金)には沖縄で先行公開され、初日からの3日間で累計動員4,403人、興行収入5,927,880円を記録し、前作を超える好調なスタートを切り、2月21日(金)からはいよいよ全国公開となります。2月7日(金)は、全国公開に先駆け、松田るかと照屋監督のトークイベント付きの試写会が開催され、会場には約650人の来場者が集まり、感動と笑いに包まれるイベントとなりました。

「やっとみなさまにお届けできることができてホッとしています」

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

映画上映後、約650人の観客が集まった会場内にやってきた照屋年之監督。登場すると大きな拍手で迎えられ、「短編や長編を15年前からコツコツと作り続け、今回の作品を含めて14本目になります。前作の『洗骨』から約6年ぶりの長編で、(本作は)約2年前には完成していたのですが、やっとみなさまにお届けできることができてホッとしていますし、映画が終わった後に拍手が起きていたので、満足していただけたのかなと思い、嬉しく思います」と感慨深げに語りました。

また美花役を演じた主演の松田るかについて、「彼女は沖縄出身で、いじめっ子役から3歩下がったお淑やかな演技をするいろんな顔を持った女優さんということを知っていたので、松田さんにオファーをしたら快く受け入れてくださって。美香は喜怒哀楽も激しくて、とても難しい役だったと思います。美花を演じた上での町子も(父親の前で)演じるっていう、結構複雑な役だったと思うんですけれども、それも見事に演じてくださいました。最後のシーンではものすごく美花が愛おしくて、見終わったら美花のこと好きになっていると思うんですよね。みなさん美香のこと好きですか?」と観客に問いかけると、答えるかのように大きな拍手が起こりました。

浅野忠信の“方言指導”に悪戦苦闘!?

ここで照屋監督が呼びかけとともに、サプライズゲストとして松田るかが登壇し、会場は大盛り上がり!

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

松田は「いかがでしたか?なんて聞こうと思ったんですけど、皆さんの表情を見ていると、楽しんでいただけたのかなと思っております」と挨拶。

主人公の美花について松田は「(監督が)おっしゃっていたように喜怒哀楽がすごい激しい役だったんですけど、それだけ親から深い愛情を受けてたんだなって。あんなに怒ったり泣いたりって、あまり家族の前ではそんな感情を出せない人は出せないし、それをストレートに表現できるって、美花がどれだけ愛されていたかが表れていたんだなと思いました」と振り返りました。

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

また浅野忠信や堀内敬子への方言指導について、「堀内さんはよく台本を開いて『るかちゃん、これってどう読むの?』と発音について聞いてくれました。浅野さんの指導は照屋監督が録音した音声を使って行いました」と明かし、照屋監督は「浅野さんは気を抜くとなぜか東北訛りになるので、『もう少し南に下がってください』とよく言っていました(笑)」とユーモアたっぷりに撮影時のエピソードを披露。

初めて照屋監督の作品に参加した松田は、撮影現場の印象について、「照屋組はすでに何本か作品を撮っていて、チームワークができている現場でした。ちゃんと最後のシーンや、ここ力入れたいよねっていう重要なシーンはしっかりと時間をかけてくださって、メリハリがすごくある現場だなと思いました」と述懐。

「最も美しい赦しや見送り方とは何なのかを描きたかった」

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

照屋監督も「そのスタッフとは10本以上一緒に沖縄を舞台にして撮影しているので、お互いに冗談を言い合いながら、カメラセッティング、照明を合わせたりしたりして。でも喧嘩をするシーンや泣くシーンなどの真剣な場面では、みんな静かで一切喋らずにセッティングするっていう、もうお互いにそのシーンをわかった上での環境作りができています。だから東京から来た役者さんはこの現場を結構気に入ってくれます」と照屋組のスタッフについて紹介。

そして本作の原案、脚本、監督を務めた照屋監督は、ストーリーの着想について「元々満島ひかりさん主演で『演じる女』という短編を撮ったのですが、それを長編にしたものです。人間関係において、みんな色々うまくいかないこともあるじゃないですか。父と娘の確執の中で、人はどのように許しを与え、また受け入れるのか。『死』を前にした時に、最も美しい赦しや見送り方とは何なのかを描きたくて、この作品を作りました」と今作のなり立ちと想いを語りました。

監督が松田の演技を絶賛!

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

そして松田が「『演じる女』は観ていたので、それが長編になるということで、一体どんな風になってるんだろうってワクワクしながら台本を読んだんですけど、1番最初に感じたことは、人間が生きてるなって思いました。なので役作りで大変だったことはありますか?とよく取材で聞かれたんですけど、読んでいけばおのずと美花になれるようになってると言いますか、台本に身を任せていれば私は美花になれるというすごい安心感がありました」と振り返ると、これに対し、照屋監督は、「嬉しいです。結構難しいシーンとか多かったと思うんですよ。お母さんと台所で口喧嘩になるシーンもあれば、浅野忠信さんに向かってものすごい勢いで怒ったりとか。そういう感情の激しい中で、よくぞあの演技を使い分けてくださったなって思ってます」と松田の演技を絶賛。

浅野忠信の想像をはるかに超える“腰の低さ”に驚き

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

浅野忠信との共演について、松田は「すごくチャーミングで、すごく可愛らしい方でした」とコメント。照屋監督も「あんなに低姿勢な人だとは思わなかったです。皆さんの想像をはるかに超える腰の低さで、最初は小銭落としたのかなと(笑)。ただただ腰が低かったんです。ただ演技には真摯に向き合う方で、涙を流すシーンでは10回ほどテイクを重ねても、最後まで真剣に取り組んでくださいました」と浅野の人柄を明かしました。

また照屋監督は「台所のシーンで町子が言う”あるセリフ”が思い出に残っています。撮影の時にそのセリフを言い終わった後、全スタッフが拍手しました。」とエピソードを語り、松田も「すごく映画の現場が大好きになりました」と話しました。

今回のタイトルである主題歌の「かなさんどー」を歌ってみてどうだったかと言う問いに対し、松田は「伝統的な歌い方というものをそもそもしたことがなかったので、できるのかなとすごい不安だったんですけど、実際に指導を受けてみると、先生に『あなた耳いいね。やっぱうちなんちゅ(沖縄の人)だから自分の中にあるんだね』って言ってもらって。沖縄に住んでる時に、自分から聞こうとしなくても、どこからか民謡がずっと流れていて。そんな環境の中で育ったので、自分が気づかなかった県民性みたいなのに改めて気づかされました」と振り返りました。

「誰か大切な人に『かなさんどー(愛してるよ)』と伝えてほしい」

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

監督は「町子と悟という夫婦の愛を歌った沖縄民謡の歌詞をたくさん調べる中で、『かなさんどー』の歌詞がいちばん2人を表現していました。でも原曲は非常にポップなので、バラードに変えていいですか?と前川守賢さんに言ったところ、快く了承いただきました。そして今回『演じる女』じゃなくて、もうそのまま『かなさんどー』というタイトルも使わせてもらいました」とタイトルの由来を語りました。

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

本作の作品にかけて“理想の夫婦像”について問われると、松田は「背中を預けられる人」、照屋監督は「人生というジェットコースターの中で、疲れない関係が長続きの秘訣」とそれぞれの考えを述べました。

イベントの最後には、松田が「この映画を観て、誰か大切な人の顔が思い浮かんだら、その人にぜひ『かなさんどー(愛してるよ)』と伝えてほしいです」とメッセージを送り、照屋監督は「日常には楽しいことばかりでなく、辛いこともあります。僕はエンタメに救われてきたので、皆さんの背中をそっと押せるような作品を作りたいと常に思っています。今日の拍手を聞いて、それが少しでも実現できたのかなと感じました。本日はありがとうございました」と感謝を伝え、大盛況の中、イベントは幕を閉じました。

出典: FANY マガジン
©︎「かなさんどー」製作委員会

ストーリー

妻・町子(堀内敬子)を失った父・悟 (浅野忠信)は、年齢を重ねるとともに認知症を患っていた。娘の美花(松田るか)は、母が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった父親を許せずにいる。そんな父・悟の命が危ないと知らせを受け、苦渋のなか故郷・沖縄県伊江島へ帰ることに。父との関係を一向に修復しようとしない美花だが、島の自然に囲まれ両親と過ごしたかけがえのない時間を思い返すなか、生前に母が記していた大切な日記を見つける。そこで知ったのは母の真の想い、そして父と母だけが知る< 愛おしい秘密 >……。

※かなさんどー: 沖縄の方言で“愛おしい”という言葉

開催概要

松田るか&照屋年之監督登壇トークショー付き試写会
日時:2月7日(金)20:00~20:30(30 分)上映後
会場 : 一ツ橋ホール
(東京都千代田区一ツ橋2丁目6-23階)
登壇者 : 松田るか、照屋年之監督 
MC:新谷里映

作品概要

『かなさんどー』
キャスト:松田るか、堀内敬子、浅野忠信、Kジャージ、上田真弓、松田しょう、新本奨、比嘉憲吾、真栄平仁、喜舎場泉、うどんちゃん、ナツコ、岩田勇人、さきはまっくす、しおやんダイバー、仲本新、A16、宮城恵子、城間盛亜、内間美紀、金城博之、前川守賢、島袋千恵美
監督・脚本:照屋年之(ガレッジセール・ゴリ) 
製作総指揮:福田 淳 
製作:福永真里、藤原寛 
プロデューサー:石田玲奈、鳥越一枝 
協力プロデューサー:金森 保 
撮影:大城 学 
照明:鳥越博文 
録音:横澤匡広 
美術:吉嶺直樹 
装飾:梅原文 
ヘアメイク:荒井ゆう子 
衣装:むらたゆみ 
助監督:石田玲奈 
フードスタイリスト:中村真琴 
編集:初鹿紗梨 
音響効果:佐藤祐美 
DIT&データ管理:小野寛明 
題字:おやまゆき 
音楽:新垣 雄 
歌唱指導:古謝美佐子 
主題歌:『かなさんどー』作詞・作曲:前川守賢 
協賛:くらしの友、沖縄セルラー電話、沖縄タイムス
配給:PARCO
宣伝:FINOR
制作協力:キリシマ一九四五 
制作プロダクション:鳥越事務所 
制作:スピーディ 
製作:「かなさんどー」製作委員会 
2024年/日本/日本語/86分/G 
©︎「かなさんどー」製作委員会

[公式サイト]