「これこそがはじめの0歩だ!!」これは何の帯? 芸人が勝手にマンガの帯を考える「マンガ帯喜利」|川島・山内のマンガ沼web

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は「マンガ帯喜利」を前回放送分と次回放送分をまとめて紹介していきます(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。

『あしたのジョー』の1巻の帯、どう書く?

川島 今回はゲストに和牛・水田くんが来てくれました。以前、山内くんが病気のときに水田くんが来てくれたんですけど、そのときの水田くんの持ち込み企画がありまして。ぜひ今回それをやってみようと。テーマは……。

水田 水田考案企画「マンガ帯喜利」!

川島 これはどういった企画なんでしょう?

水田 「マンガの帯を芸人が考えて、それを大喜利風にやったら面白いんじゃないか」というのを前回言わせてもらったんです。で、これは僕がいないときにやらないでくださいよということで、今回お邪魔させていただきました。ちなみにお二人は、マンガの帯を書いたことありますか?

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 けっこうやらせてもらってます。

山内 増えました。この番組始まってからめちゃくちゃオファー来ます。

川島 笑いを狙うパターンもあるし、「芸人さんなのにここはふざけへんのや」というパターンもあるし、帯って難しいんですよね。文字数多くても読んでもらえへんし。

水田 でも普通のこと書きすぎるのも嫌なんですよね。

川島 そやねん。

水田 僕は料理本の帯を書いたことはあるんですけど、マンガの帯はまだないんですよ。ちなみにスタッフさんが調べたところによると、帯は日本独自の文化で、海外の本には基本的に帯はつかないそうです。帯には全国の書店員さんや著名人の推薦文が書かれていることが多く、帯の宣伝文がきっかけでベストセラーになることもある、ということです。

川島 ではさっそく企画に入っていきましょう。

水田 最初のマンガ帯喜利企画はこちら、「誰もが知ってるレジェンドマンガの1巻の帯を考えよう」。説明不要な誰もが知ってるレジェンドマンガ、その1巻が初めて発売されたという体で、マンガの帯を考えようという企画です。今回この企画をやるにあたって各出版社に許可を取ったところ、断られたのもあったんですけど、ものすごいレジェンドマンガの許可が取れました。では最初のお題となるレジェンドマンガはこちらです!

原作:高森朝雄/作画:ちばてつや『あしたのジョー』

川島 人生のバイブルやん。

水田 認められてますよ、この番組。みんな知ってる作品ですけど、実は僕、1巻から最終刊までちゃんと読んだことがなかったんですよ。たまたま最近、全巻買って読んで、改めてすごいマンガやなと思いました。ジョーって、けっこう犯罪もやってるんですよね。

川島 そう。そのどうしようもない男に、 丹下段平がボクシングを、そして人生を教えていくんですよ。マジで死んだら棺桶に入れてほしいのは『あしたのジョー』です。

水田 この1巻の帯を考えます。まだ1巻が出たばかりで、これから売れるかどうかもわからないという状況です。

川島 1巻はジョーがマンモス西と鑑別所で出会ったくらいですね。

水田 それではマンガ帯喜利スタート!

(考え中)

川島 文字数多いとあかんよな。書店でパッと目につくやつにしないと。

山内 できました。

川島 山内さん、『あしたのジョー』の帯、お願いします。

山内 「きのうのジョー? きょうのジョー? いやいや あしたのジョー」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 読んでないやつの帯やん。仕事減りますよ(笑)。僕も考えました。

山内 では『あしたのジョー』の帯、お願いします。

川島 「眼帯中年男性にそそのかされて私……」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 官能小説みたいな。

川島 少年は黙ってても読むから、そっちの層も取り込みたいなと。では水田さんもいきましょう。『あしたのジョー』の帯、お願いします。

水田 「これを読んでヘアスプレー2本買いました。」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 とにかくジョーになりたくて。これは引きがありますよね。本当の1巻出たときって、どんな空気やったんやろな。たしか、高森朝男先生の原作では最初からボクシングジムの話なんですよ。でもちばてつや先生がそれは許さんと。どういう関係性でやっているのか、なんでボクシングをやるのかをちゃんと描かないと、ということでちば先生がこつこつキャラクターを作ったという。

山内 いいのができました。

川島 山内さん、『あしたのジョー』の帯、お願いします。

山内 「こんなボクシングマンガ見たことない 読んだ瞬間KOされちゃいました」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島・水田 …………。

山内 おじいちゃん帯です。わかりやすさが大事。

川島 それ、新聞にのってる投書(笑)?

山内 実際の帯はどうだったんですかね?

川島 この時代はまだ帯の文化がないですよね。わかりやすいの、僕も考えました。

「机にむかって 読むべし! 読むべし!」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

水田 「もし今この時代に1巻が出たら」という前提で書きます。

「これこそがはじめの0歩だ!!」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 いいね。これを森川ジョージ先生が書いてたらカッコいいね。おもしろい。

水田 続いてのお題となるレジェンドマンガはこちら、『北斗の拳』です。

原作:武論尊/作画:原哲夫『北斗の拳』

川島 今回は究極版の1巻ということですね。もうシンは出てきてます。

水田 それではマンガ帯喜利スタート!

(考え中)

水田 では僕から。

「お前はもう読んでいる」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 100点じゃないですか? 「もう読んでいる? 意味わかんない、どういうこと?」って思うけど、マンガでも「お前はもう死んでいる」と言われて「え、どういうこと?」ってなるわけですから。

山内 それで「え?」と思って読んでみたら、その言葉の意味がわかるわけですから。

水田 もう一つ。

「読〜〜〜〜〜〜むべしぃ!!」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 「むべし」だけでもええんちゃう? 表を「むべし」にして、「読」を裏に書いておくとよさそう。

名コピー出ました「夢をあきらめる労力と、夢をかなえる労力って実は同じ」

水田 続いてのマンガ帯喜利は、「自分のおすすめマンガにぜひつけたいマンガ帯-1グランプリ」! それぞれおすすめのマンガを紹介してもらって、さらにそのマンガにつける帯を考えてみようということですね。

川島 最高の企画じゃないですか。まず水田くんお願いします。

水田 僕のおすすめマンガはこちらです、『アオアシ』。

小林有吾『アオアシ』
・2015年よりビッグコミックスピリッツにて連載開始
・単行本は現在26巻まで発売中
・2017年にはマンガ大賞第4位、2020年には第65回小学館漫画賞一般部門を受賞
・累計発行部数は900万部

水田 主人公は愛媛に暮らす高校生、青井葦人(あおい・あしと)。強烈なサッカーの才能を秘めている葦人が、まっすぐな性格が災いして大きな挫折を経験します。そんな葦人の無限の可能性を見抜いた東京シティ・エスペリオンのユースチームの監督・福田達也が、東京で開催される自分のチームのセレクションを受けるようにすすめる……ところから話が始まっていきます。お二人は読んでますか?

川島 俺は読んでない。

山内 僕も。

水田 えーーーっ! マンガの番組やってて『アオアシ』読んでないってなんなんですか!

川島 だからこれが川島と山内では埋められない穴なんです。今日はそのために来ていただいたわけです。

水田 特徴的なのが、主人公のポジションが守備なんですよ。普通、フォワードか司令塔が主人公じゃないですか。主人公も最初はそうなんですけど、途中でサイドバックに変わるんです。でも守備のスペシャリストとして描くんじゃなくて、サイドバックやけど、司令塔にもなるという。

山内 サイドバックで?

水田 それも読んでいったらわかります。サッカーやってない人でも普通に面白いと思います。その1巻に実際についていた帯がこちら。

「エンドレス重版中! これがサッカー漫画の最前線。」

川島 言い切ってるやん。

水田 ちゃんと細かい技術論も言ってるんですよ。日本のプロの人でもおざなりにしてるようなこともちゃんと言ってます。

川島 この帯に勝てます?

水田 僕がこの『アオアシ』をアピールするため、新しく考えた帯がこちらです。ちょっとウソというか、「まあこれくらいは言ってもいいんじゃない?」っていう……

川島 ウソはだめでしょ(笑)。

水田 それは取り方次第という。こちらです。

「こないだカズが立ち読みしてました!」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 ウソやん(笑)!

水田 どのカズかは言ってないんで。

山内 カズ山本かもしれないし、カズレーザーかもしれないし。

水田 僕はこれ書いてあったら手に取ると思うんですよ。あのカズが、やったらあかんのに立ち読みしてたなんて。

川島 これウソやん。「立ち読み」というのもちょっとどうかと思うし。

水田 じゃあこれはどうでしょう。

「おもしろすぎて松木と都並が立ち上がって読んでました」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 これもウソやん!

水田 いや、どの松木と都並かはわかりませんから。小学館の担当者の方、どうか僕に帯を書かせてください!

川島 続いては僕のおすすめマンガです。

たらちねジョン『海が走るエンドロール』

川島 まだ1巻しか出てません。2020年から月刊ミステリーボニータで連載中です。以前紹介した『メタモルフォーゼの縁側』が好きな人は絶対ハマると思います。主人公は65歳の女性なんです。65歳で、旦那とも別れて、素朴な人生を送っている。彼女が、ひょんなことから映画館に行くんですよ。すごい若い人向けの映画。でも映画館で、なぜか横ばかり見てしまう。亡くなってしまった旦那さんを私は見てるのかな。もしかして私は映画が好きなんじゃなくて、映画を見てる人の顔が好きなのかもしれない、とちょっとずつ思っていくんですよ。それで帰ろうとしたら若い美大生の男に、「こんな映画一人で見に来るんですね」と呼び止められる。そしたら「ずっとキョロキョロしてましたけど、それって、映画が好きじゃなくて映画が撮りたいんじゃないですか」と言われるわけです。で、その女性は今までその思いを封印して生きてきた。そこで初めてそう言われて、足下に何かが押し寄せてくるような衝撃を覚えてしまう。で、決心をしてこのおばあさんが美大に行くんです。映画を撮りたくて。

水田 おもしろそう!

川島 『メタモルフォーゼの縁側』もそうなんですけど、おばあさんが主役の漫画ってめっちゃ増えたんですよ。たぶん社会の流れだと思うんですけど。ちなみに実際の1巻の帯はこうなってます。

「65歳、映画はじめます。」

山内 いい! これでしょ正解は。これ以上何を書くんですか? 

川島 僕が読んで思ったのは、大人になって言い訳うまくなってるだけちゃうか、自分がやらないのを正当化してるだけちゃうか。そういうことを言いたくて、マジでいいのを考えました。

「夢をあきらめる労力と、夢をかなえる労力って実は同じ」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

水田 ほおーーー。

山内 ボケてない(笑)。 

川島 いいでしょ? ノーボケ。夢って、挑戦しなかったら65歳になってもずーっと自分の中に残り続けるんですよ。それをあきらめる作業ってめっちゃしんどい。かなえる労力も結局は一緒なのに、なんであきらめるんですか?ということを私は問いたい。

山内 これは本気だ……本当にオファー来るかも。

水田 これ、帰りの車の中でポチりますわ。

山内 最後は僕です。僕のおすすめマンガはこちらです。

漆原侑来『桃源暗鬼』

山内 簡単に言うと、桃太郎と鬼の対決はまだ続いてて、現代でも桃太郎側はチームを組んで、鬼側もチームを組んで、ひそかに戦っているという設定なんです。いまグイグイ来てるマンガです。このマンガに付いていた1巻の帯がこちら。

「TikTokで話題沸騰!! 大量重版!! 鬼の血がブッ滾(たぎ)る!!」

川島 「TikTokで話題沸騰!!」って、完全に若い人向けの帯ですね。でももっとおじさんも取り込みたいよね。

山内 それで僕も考えてきました。やっぱり伝えたいストーリーは伝えた上でのアピール、そして芸人が書いているという部分も入れて作ってみました。

「桃太郎VS鬼はまだ続いていた!!! あの山内もびっくり!!!」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 「TikTokで話題」のTikTokを山内に変えました(笑)。

川島 山内ってそんなにブランドか?

山内 裏も考えてきました。

「山内は本当にびっくりしていた!!!」

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 誰が言うてんねん。濱家か(笑)。

山内 桃太郎と鬼の戦いがまだ続いているということで「日本昔ばなし最新話」というのも考えたんですけど……。

川島 そっちを書けよ(笑)。

山内 秋田書店の方、ぜひお願いします。3人の帯のうちどれか、使われてほしいですね。

川島 今回は水田くん考案の帯喜利でした。今後、おすすめマンガ紹介の最後に普通に帯書いてもいいかもね。

出典: FANY マガジン
©池ノ谷侑花(ゆかい)

「マンガ帯喜利」の模様は、次回放送の「川島・山内のマンガ沼」をご覧下さい。

(構成:前田隆弘

マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:12月25日(土)深 1:28~1:58、日本テレビ:1月6日(木)深2:29~2:59の放送(※一部地域を除く)です。

おたのしみに!

番組概要

川島・山内のマンガ沼
次回放送
読売テレビ:12月25日(土) 深1:28~1:58
日本テレビ:1月6日(木) 深2:29~2:59
「マンガ帯喜利」後編を放送。
(TVerでも配信中!)

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