今年で芸歴10周年を迎えたそいつどいつ(市川刺身、松本竹馬)による約4年ぶりの単独ライブ『Y曲』が、12月6日(土)、7日(日)に東京・シアターグリーン BOX in BOX THEATERで開催されます。2日間で3公演と初の複数開催で、演出にメトロンズの構成作家・中村元樹を迎えるなど、新しい試み尽くし。10月18日(土)のチケット一般発売開始を前に、チャレンジ精神に満ちた熱い思いをたくさん語ってくれました。

オープンチャットで準備の進捗も公開
──初めてのチャレンジが多い単独公演ですが、チケットにも新しい試みがあるそうで。
市川 今回、「特典付きS席」という席を作っています。購入してくれた人には特典がついてまして。
松本 あと、LINEオープンチャット(公開チャットルーム)をやることになってます。
市川 こっちは購入者全員が参加できるものなので、一般席でも購入した順に参加できますし、単独開催までずっと楽しんでもらえるものになってますね。
松本 単独の準備の進捗状況とかもリアルタイムで知ることができますし、ネタができないときはアイデアをもらうこともあるかもしれないですね。
市川 ウソがはびこる世の中ですけど、オープンチャットに参加してくれてる人には全部伝えるっていう。進んでるな、とか感じてもらえたらいいなと思ってます。早めにオープンチャットに参加してもらえたら、より楽しんでもらえると思うので、早めのチケット購入がオススメです。

やり方を変えなきゃなという思いもあった
──そもそも、約4年ぶりに単独ライブを開催することになったいきさつは?
市川 前回の単独ライブは2021年12月25日、クリスマスだったんです。
松本 場所は草月ホール(東京・赤坂)で。公演自体はすごくよかったんですけど、準備の面とかで大変なことが多すぎましたし、その年は『キングオブコント(KOC)』で決勝に行きながら優勝できなかったというのがあったので、勝つために新ネタライブをやったほうがいいかなと。で、優勝したら、テーマ性とか作品性のある単独ライブをやってもいいかなと思ってたんですけど……難しいですよね。賞レース1本に絞った途端、『KOC』から振り向いてもらえなくなって。
市川 本当にそうなんです(笑)。
松本 それなら、好きなことをやってもいいのかなと思ったんです。刺身くんは、ずっと単独をやりたいと言ってましたしね。

市川 僕、ネタを書いてないんですけど、言うだけはタダだと思って言い続けてたんです。
松本 けど、僕がなかなか首を縦に振らなくて。
市川 その気持ちもわかりますからね。単独をやりたかったのは、時間関係なく自分たちのやりたいことをやれるから。相方の書く長めのコントが面白いから、それができないのはもったいないなという気持ちもありました。
松本 いままで5分のコントばかりやってたので、刺身くんが長いコントをやりたいと。
市川 はい。なんていうか、発想が制限されちゃってるんじゃないかなと思ってたんですよね。1コンビに30分の時間が与えられて、その中で何本コントをやってもいいっていうライブがあったんですけど、そこでやった竹馬が作った30分の長編コントがよくて。どうせなら、自分らの看板でそういうコントも見せたいという思いがありました。ネタを書いてないので、勝手ながらですけど(笑)。

──で、松本さんがその思いに応えたと。
松本 そうですね。3、4年くらい5分ネタをずっと作り続けたのに1回も決勝に行けなかったので、やり方を変えなきゃなという思いもありました。いままで賞レースのために作ってないネタで、『KOC』にかけていいところまで行けていたりもしたので、単独をやってみてもいいのかなと思ったんです。
市川 嬉しかったですね。(芸人を始めた)当初のお笑いの楽しさを感じたっていうか、ワクワクしました。
松本 刺身くんが「ネタ以外のことを全部やるから」って、カッコいいことも言ってくれたのも大きかったですね。
市川 はい、僕はここからが勝負です! 自分たちでライブをやるとなると、ネタ以外にもやらなきゃいけないことがたくさんあるんですよ。
松本 たとえば、フライヤーもそうですね。これも刺身くんがアイデアを出してくれて。
市川 ネタは書いてないですけど、協力して一緒に作れたらいいなと思ってます。だから、今回の単独はきっと面白くなりますよ。

松本 前回の単独は正直、僕らだけでやってたんですけど、今回はチームを作れているのも心強いというか。前回のグループLINEは僕と刺身くんと作家の子だけだったんですけど、今回はマネージャーさん含めて10人くらいいて。
市川 2日間の単独ライブで3公演やるのも今回が初めてなんですけど、ミニマムにいいものを見せたいというのがあったので、劇場探しからこだわりました。新しい劇場に足を運ぶことで、ふだん吉本の劇場に足を運んでくださっている人にも、新鮮な気持ちを感じてもらえたらいいなと。来てくれる人にとっても、いい1日になるようにしたいので、会場に足を運ぶところから楽しんでもらえたらいいなと思ってますね。
今回は「バカセンス」でいこうかなと
──現時点で、新作コントはどんなものになりそうですか?
松本 長いコントはすでに1本できてます。『Y曲』っていうタイトルは“歪曲”という言葉から来てるもので、ものが歪むとか、事実とか情報が異なって伝わるとか、そういう意味があるんですけど、刺身くんが出してくれたものなんです。僕ら、『ABCお笑いグランプリ』決勝に行ったときのキャッチコピーが“歪んだ空間へようこそ”で。
市川 それ、めっちゃ覚えてます。
松本 あ、覚えてたんだ?
市川 うん、そこは大事にしたいと思ってたから。
松本 だから、今回の単独も歪んだ日常みたいなことを意識してコントを作ろうかなと思っています。

市川 いままでの単独ライブは、なんとなくテーマを統一してるくらいでしたけど、今回は切り替えて新たにやるということで、“バカセンス”でいこうかなと。まぁ、僕らのヨシモト∞ホール(現・渋谷よしもと漫才劇場)時代のキャッチフレーズは“ひょうきんコント師”でしたけどね。ナメられたもんですよ! けど、今回はセンス! バカセンスです!
松本 いいテーマだと思います。
市川 だから竹馬が“Y曲(歪曲)”というテーマでコントを作ったってところも意識して見てもらえたら、より楽しんでいただけるのかなと。それに、5分ネタがすべてじゃないですからね。お笑いとして面白いかたちはたくさんあるんで、いろいろなコントに挑戦していきたいですね。
松本 だから、今回は『KOC』のことは考えずにネタを作ってみようかなとも思ってます。
──すでに長編コントが1本できあがっているとのことですが、テーマを決めてすぐにアイデアは浮かんだんですか?
松本 そうですね。その1本は、わりとすぐこんな感じかっていうのは出てきましたね。
市川 何パターンか考えているくらいのときに聞かせてもらって、そこから数日で仕上げてましたけど、面白かったです。5分でネタしようと思っていたら、やらないだろうなというものだったので、すげぇなと思いましたね。
松本 だから、ネタ時間にはこだわらず。
市川 短くてもいいしね? 長いものばかりっていうわけでもないです。

メトロンズ・中村元樹が演出で参加
──また、新しい試みとして構成作家の中村元樹さんが参加されるそうですね。
松本 僕、メトロンズ(しずる、ライス、サルゴリラ、中村による演劇ユニット)がめっちゃ好きで、ほぼ毎公演、観に行っているんです。GAGさんとかも単独に演出家の方を入れていると聞いて、演出で入ってくれる方を探していて。メトロンズは60分のコントのような演劇を作っているので、お願いしたいなと思ったんです。
市川 めっちゃいいですよね。
松本 中村さんと具体的なことはまだ何も話せてないですけど、演出面をお願いしたいなと。台本も見てもらいたいんですけど、僕、見せ方がよくわからないというか。動きとか照明の使い方、音楽の入れ方に関しては、わからないことばかりなので、いろいろと学びたいですね。自分にももちろん演出をつけてほしい。刺身くんは言いづらいところもあると思うので。
市川 僕なんて、「右手のほうがいいんじゃない?」くらいしか言えないですからね(笑)。あと、音響や照明、舞台監督も今回は近しい人が多いですし、いつも一緒にやってくれてる作家さんもいれば、マネージャーも密にやってくれていて。
松本 新しいマネージャーさんがいろいろとやってくれる人で、この単独のためにSNSのアカウントも作ってくれてね?
市川 4年前よりも安心感をもってやれそうです。

──今年4月に結成10周年を迎えましたが、この10年を振り返って思うことは?
市川 2021年に『KOC』決勝に行って、いままでに『ABCお笑いグランプリ』の決勝も2回(2019年、2020年)行ってますからね。『おもしろ荘』(日本テレビ系)も出てるし、いいと思います。
松本 そうですね。『KOC』決勝に行った4年前と比べると勢いは落ちてる気はしますけど、そのときよりもネタを考える力は上がっていると思うんです。僕らは『ABCお笑いグランプリ』の決勝に初めて行ったり、『KOC』準々決勝に初めて行ったりした2019年がスタートな気がしていて。そこをピークにしちゃいけないんで、超えていきたいなと思っています。
市川 昔の自分たちの映像とか観ると、そこから進んでいるなと思いますから。あと、上の先輩……しずるさんとかも変化しながら成熟しているので、僕らももっと面白くなるだろうし、幅が出るんだろうなとワクワクしています。今後もこういったライブを続けてやっていきたいので、今回、頑張りたいんです。だから、たくさんの方に観に来てもらいたいですね。
──では、FANYマガジンの読者に意気込みをお願いします。
松本 (前のめりになって落ち着いた声色で)来てください。お願いします!
市川 (さらに小さな声で)本当に来てください!
公演概要
そいつどいつ単独ライブ『Y曲』
会場:シアターグリーンBOX in BOX THEATER(池袋)
日時:
12月6日(土)17:00 開場/17:30 開演
12月7日(日)12:30 開場/13:00 開演
12月7日(日)16:30 開場/17:00 開演
チケット:特典付きS席前売 7,000円/一般席 前売 4,000円・当日 4,500円
※特典付きS席について
・記念写真撮影権(終演後に実施します。当日はスタッフの誘導に従ってください)
・限定打ち上げ生配信の参加権(入場される際にQRコード記載の紙をお配りします)
・ネタ台本&ステッカーのプレゼント(特典は当日会場でお渡しします)
FANYチケット:https://ticket.fany.lol/event/detail/8280