コロナ禍でタイの象の命が危ない! 「象使い」の免許を持つ吉本芸人がクラファンを立ち上げた本当の理由

世界中で猛威を奮うコロナウイルス。実は人間だけでなく、動物にも大きな影を落としていることをご存知でしょうか。なかでも深刻な影響を受けているのが、タイの象です。コロナ禍による観光客激減で施設運営の資金が足りなくなり、多くの象が過酷な状況に陥っているといいます。そこで、現地で活動する”タイ住みます芸人”のあっぱれコイズミさんが、象のためのクラウドファンディングを立ち上げました。今回は、芸人ライターの田畑勇一が、ご本人からその強い思いを聞きました!

本人提供
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あっぱれコイズミさんは東京NSC4期生の出身で、同期はロバートさん、森三中さん、インパルスさん――「華の4期」と言われた世代です。1年先輩のトータルテンボスさんと仲がいいことでも知られています。

そんなあっぱれコイズミさんですが、2015年にアジア住みます芸人として活動をタイに移してから、タイ国内で10本以上のテレビやCMに出演し、タイ映画にも出演して大ヒットという、まさに“タイドリーム”を手に入れた男です。移住した当初の本当にツラかった日々を救ってくれた現地の人々を、今度は自分が救いたい――そんな強い思いを持ったあっぱれコイズミさんに、タイの象の現状についてお伺いしました。

1日のゴハンを3分の1に

――今日は、よろしくお願いします。コロナ禍においてタイの象が大変な状況になっていると伺いました。実際に、どんな現状なんでしょうか?

そうですね。象はタイを代表する動物で、象との触れ合い体験ができる観光ツアーは世界中からの観光客に大人気だったんです。ところが、ここ数年はコロナの影響で観光客の皆さんがタイに来られない状況が続いていて、象の施設の多くは観光客からの収入がゼロになってしまい、施設の経営が難しい状況になっています。

――具体的にどんな状況なんですか?

象って、1日でご飯をたくさん食べるんですよ。象の健康を維持するためには1日あたり体重の10パーセントの量を食べないといけなくて、大人の象で1日に200~300キロ食べます。なので、食費がとてもかかるんですが、コロナ禍で観光による収入が見込めなくなって、この食費が確保できず、とても大変な状況になっています。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

――いまは、どうしてるのでしょうか?

現在は、おカネを工面するのが本当に大変で、1日のゴハンを3分の1にしている状態です。大人の象は頑張ってくれているんですが、コロナ禍の中で生まれてきた赤ちゃん象は栄養失調で亡くなってしまうこともあります。象は基本的に赤ちゃんを1頭しか産めないので、絶滅危惧種に指定されている象にとって、これは大変な問題になります。

――それを解決すべく、クラウドファンディングを立ち上げたわけですね。

その通りです。僕自身、タイの人たちにとてもお世話になったんですね。移り住んだばかりのころは仕事もなくて、ツラくて仕方なかったんですが、そんな時に励ましてくれたのはタイの人々でした。本当にお世話になった人たちが大変な状況に陥っているなかで、何か支援できないかと考えて、今回のクラウドファンディングを立ち上げさせていただいたんです。

カレン族との信頼関係

――タイの象がこれほどまでに追い込まれているとは、まったく知りませんでした。あっぱれコイズミさんは、この現状をどう知らされたんですか?

去年、日タイ友好活動や動物保護活動を目的としたオンラインサロンを立ち上げたときに「エレファント・プライド・サンクチュアリ」というチェンマイにある象の保護施設の方と出会いました。「コロナ禍で象が大変なことになっている」と聞き、それで実際に現地に足を運んでみたら、予想を超えた状況が広がっていて驚きましたね。

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――それが冒頭でお話されていたような内容ですね。

そうですね。最初は自分の力で解決できることかもしれないと思っていたけれど、その現状をみてすぐにその考えは捨てました。そんなレベルではなかったんです。象だけの問題ではなくて、マフート(象使い)の皆さんが2年ほど無償で働いているという現実もあったんです。

――2年ほど無償!?

マフートは、多くがカレン族という山岳民族の方々なんです。カレン族の女性は、民族伝統文化の手織りの達人なので、観光客がその手織の服などを購入したりしていました。でも、その収入も今はない状態です。日本だとアルバイトかなんかで、なんとかやっていけるかもしれないですが、本当にそれも難しくて……。なので、今回のクラウドファンディングでは、象のゴハン代ということが第1の目的ではあるんですが、それに加えてカレン族の方々の服や鞄を紹介して、もし購入してくださる方がいれば、象の支援と一緒にカレン族の手織り品も購入できるリターンも作りました。

――それはいい仕組みですね!

だって、めちゃめちゃいい人たちなんです。無償でずっとやってるんですよ。この人たちは象がいるから旅行もいけないし、本当に生まれた時から象とともに生きる人たちなんです。象のお世話をしている様子を見て、カレン族の皆さんにとって象は家族なんだなと感じました。だから、僕にできることを何かしたいと思いました。

――実際に現地の人たちからクラウドファンディングの承諾をもらうのも、簡単なことではないと思います。

確かに、そこはちょっと頑張りました。外国人の余計なお節介になる可能性もあったから、何回も足を運んで畑仕事とかも手伝って、カレン族の強い酒があるんだけれど、飲めないなりに少し頑張って、一緒にゴハンを食べて、ちゃんと信頼関係を築いてから、自分はこういうことをしたいんですけど、お節介じゃなかったらやってもいいですか? って感じで言いましたね。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「象使い」の免許と「象セラピー」の資格

――スゴイです! タイの人たちへの感謝の気持ちに加えて、本当に象のことも大好きなんですね。実際にあっぱれコイズミさん自身、象使いの免許も持っているし、チェンマイ大学で象セラピーの資格も取得していますよね。

はい、子どものころから象は好きだったんで。象の強くて優しいところと、あのフォルムが大好きだった(笑)。

――ほかのどの動物ともカブらないですからね(笑)。

それに象は頭がいいんです。1回会ったら、ずっと覚えてくれている。人間の言葉もわかるし、笑ったりもするんですよ。あと、象はテレパシーを飛ばして会話してることもわかっています。

――本当に好きな人の詳しさです(笑)。

芸人兼象使いですからね(笑)。

――その肩書きを持ってる芸人は日本にいないですよ! 日本ではトータルテンボス(藤田憲右、大村朋宏)さんと一緒にいろんな活動をされていたイメージですが、タイでの活躍については?

意外と見てくれているみたいです。たまに電話かかってきたりするんです。

――え? どんな内容なんですか?

「ずいぶんと調子に乗ってるみたいじゃないか」

――大村さんですね(笑)。

絶対に見てねーだろっと思ってたら、たまに、見ていないとわからないようなこと言ってくるから、見てくれているんだろうなと。「お前、あれギャラいくらだったんだよ?」とか、そんなの言うわけねーよって話なんですけど(笑)。

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――お笑いの仕事から今回のクラウドファンディングなど、タイでの活動は多岐に渡っていますが、その行動力の源は何なんでしょうか?

すべてお笑い活動だと思っています。すべての象を助けることはできないけど、クラウドファンディングでタイの象の現状を少しでも多くの人に知ってもらい、皆さんの応援で象を助けることできたら、象たちが笑顔になる。カレン族の人たちも笑顔になる。これも形を変えたお笑い活動なんじゃないかな、と。知らない日本人がタイにやってきて、そこの現地の人が笑顔になってくれたら、わからないけど、それはお笑いなんじゃないかなって。なので、お笑い芸人の活動だと思ってすべて頑張っています。

――確かに笑顔になってもらう方法は、漫才やコントだけでなく、クラウドファンディングだっていいわけですよね! では、最後にこれからの活動も教えてください。やはり、タイで活動をしていくんでしょうか?

そうですね。日本でも、タイでも、なんてことは考えてないですね。今後は猫の支援や子どもたちの教育サポートもしていきたいと考えています。もちろん無料ライブなども、落ち着いたらやっていきたいですね。ロバートの馬場(裕之)ちゃんと料理を教えるワークショップとかもやってみたい。あと、日本語ももっと広めたいです。そしてタイ人の皆さんが、もっと日本に興味持ってもらえたら最高です。でも、いまはやはり大切な象の危機を救うこと。本当にこの危機を乗り越えたいんです。

――あっぱれコイズミさんの気持ちが本当によく伝わりました。この記事を読んだ読者の方々が少しでも問題意識を持ってクラウドファンディングに賛同していただけたら、僕も幸いです。今回は貴重な時間をありがとうございました!

はい、リツイートだけでもお願いします。ぜひ、このことを広めていただけたら嬉しいです!

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もし、あっぱれコイズミさんの話に賛同していただけたら、ぜひクラウドファンディングで支援してほしいと思います。最後に、タイでいちばん有名な日本人が誰かと聞くと、「ダンプ松本さん」と返ってきました……意外すぎ!

クラウドファンディング概要

【タイ象支援プロジェクト】象たちが安心して暮らせる場所を守りたい!
募集期間:2月18日(金)~3月31日(木)
リターン発送予定時期:2022年5月

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