「あの時こうしておけばよかった…！」「生放送中にあんなことを言ってしまったけど、撤回したい！」など、芸人だれしも、もう1回やり直したい局面があるはず！ ということで、「もし3回だけタイムリープできるとしたら、いつのどの場面をやり直す？」というテーマでトークしてもらう新企画が始まります。その名も「芸歴3（スリー）タイムリープ」！
記念すべき第1回目は、コンビ結成3年でキングオブコント優勝を遂げ、その後も、順風な活躍をしてきたように見えるコロコロチキチキペッパーズ（ナダル、西野創人）。意外や意外、キングオブコントの優勝直後に戻ってやりたいこととは！？
スカしてたのはナダルか西野か？
――おふたりの芸歴をおさらいすると、2012年4月に結成して2015年にはキングオブコントで優勝しました。1回目のタイムリープはどうしましょう？
ナダル 僕がパッと思いついたのは、西野のことを「スカすな！」と責めていた時期があるんですよ。僕がボケたことを、ツッコみたくないと言っていた時期があって。でも、いちばんスカしてんの僕かもしれないと思って（笑）。西野が振ってきたことに対して、僕がのっからずに「あのフリやったら俺、スベるやんけ」と怒ったこともあって。いま考えるとめっちゃスカしやなと。
西野 それは確かに2016年ぐらいからずっと言われていた気がします（笑）。ナダルはけっこうマジメな部分があって、「こういうフリをしてくれな困る」「こういうフリされたら困る」とか、イレギュラーなことを嫌うので。うまくいったパターンを1個覚えたら、それをちゃんとやってくれみたいな。僕はどちらかというと、その場その場で思いついたことをやってみたいタイプで。そのすれ違いはありましたね。
ナダル それで大喧嘩したこともありましたね。作家さんが仲介に入ったうえで、砕いて言うと「うん、ぜんぶナダルが悪い」と言われて（笑）。
西野 そう考えると、タイムリープしたいのは3回とも優勝してからになるかも。優勝までは日々、バイトとお笑いとをがむしゃらにやるしかなかった。
ナダル 優勝以前はあんまり記憶がないというか。西野に言われるがまま操られていたので。当時、顔とかもおかしいんですよ（笑）。見返すと面白いんですけどね。（当時は）そういうキャラで行ってくれと言われてた。可愛くて、声高くてと。
西野 確かにロケのVTRとか見ても、ほんまにナダルが棒読みで、なんか言われたことを言っているだけな感じ。僕は「愛嬌」を出してほしかったんですけど、いま見たら「めっちゃ縛ってたんやな」と思うくらいに、ナダルに感情がなかったです（笑）。本人、無理してたんやと思います。僕的には『ヒルナンデス！』（日本テレビ系）とか、そういうお昼のみんなの人気者みたいな感じでいきたいというビジョンがあったんですけど、なんか、気が付いたらぜんぜん違うところに来たなと（笑）。
ナダル ほんまに「このメシ、食いたいっすね」と言うと、「『ゴハン食べたい』って言わな」と怒られてましたからね（笑）。
逆の意味で伝説となってしまった『水ダウ』
――では、１つめのタイムリープは、ナダルさんを縛り付けてた時期になりますか？
ナダル んーでも、そういうのを経てっていうのもあるから。
西野 そう考えると、優勝した次の日にタイムリープしたいです。
ナダル え？ どういうことや？ えー、なんで？
西野 いや、この日から約2年間フワフワしてたので。とくに僕は24歳で優勝したので。芸人の中ではだいぶ若いほう。もう正直言うと、めちゃくちゃ遊んでしまった。そこで改めて単独ライブをめちゃくちゃやるとか、ネタを作るとか、レギュラー番組がボンボン決まってたらフワフワする時間すらもなかったと思うんですけど、そんなこともなかったんですよね。優勝してバラエティ番組を1周する準備もできてなかったし、正解がわからず、優勝だけが乗っかって、とりあえず何が何だかわからないままでの番組1周目だった……。
優勝から2年ぐらいたってからようやく「バラエティってこんな感じなんかな」と掴んできた感じでしたから。いまでもわからない時はありますけど、それでも今の知識を持ってタイムリープしてやったら、どうやったやろうなと。
ナダル まぁね、でも、いまの実力持ってあのとき戻ったらとかそんなん言い出したらね。
西野 いや、この企画、そういうのを言うやつやから（笑）。
ナダル でも、ピンポイントで失敗したとなったら、『水曜日のダウンタウン』（TBS系）やと思いますけどね。このころに1回だけ「説」を持って行くほうで出たことがあったんです。そこで、番組始まって以来の空気を作ってしまったことがあって……。
西野 優勝して半年ぐらいですかね。まだ、ぜんぜんフワフワ期。
ナダル 経験がないからわかってない。ただ説を説明するぐらいでよかったのが、スベったあとに取り返す術もないままにボケだして、浜田（雅功）さんから本気の「何してんの、お前ら？」と言われた。松本さんが、なんとか一言でオトしてくれたんですけど……。
それがね、つい１年ぐらい前にも、誰かがプレゼンターでミスったときに、番組のスタッフさんが「まぁ、コロチキよりはまだマシやから」と言うてたと。
西野 スタッフさんの中でも“ヤバイ回”として認識されているぐらい。プレゼンターとしての役割をすればいいのに、なんか爪痕残そうという意識で固まってしまって変な空気にさせたあの日。1回目にタイムリープしたいのは、まさにあの日です。
――イメージでは、コロチキの2人は優勝後、うまくバラエティになじんだ印象でしたが、実際はいろいろあるんですね。
ナダル 挫折はしまくってますね。やっていくうちに気づくことはいっぱいありました。
西尾 全然あかんなというのを何回も話し合ったり。実は仕事も減っていってたし。僕らの大きな間違いやったのは、「優勝したらゴールやと思っていたら、そこがスタートやった」ということで。
ナダル いいこと言うたな！ ホンマそうですわ。そのへんは、同期の霜降り（明星）とか、ちゃんとわかっていた感じがあって。僕らのことも見てきたやろうし、大阪でけっこう経験を積んで優勝してるから。あいつら、優勝してからさらに精力的にネタも作ったり、YouTubeとかも始めたり。
西野 タイミングもしっかり、ちゃんとやってるよな。
なぜか「かわいい」路線に走った西野
――『アメトーーク！』（テレビ朝日系）の「ナダル・アンビリーバボー」の初回が2016年9月だそうです。
西野 優勝してネタ番組とかも呼ばれたけど、バラエティ番組も含めてなかなかうまくできなくて。それで、劇場のイベントとかでは「ナダルやばいな」っていうのはあったので、それを『アメトーーク！』で出したら反響がすごくて。
ナダル めっちゃスゴかった。ただ、面白いとかではなかったですけど（笑）。
西野 芸人さんや業界の人は、軒並み「おもろすぎ」と言ってくれましたけど、SNSでは9対1ぐらいで批判ばかりでしたね。
ナダル えらいもんで、もう6回やりましたけどね。ホンマに身を削ってます。でも、西野がタイミング良く、うまいこと出して、その流れに持って行った。そこから僕らの人となりがわかって基盤になって、そっから少しずつ回復していった感じ。
西野 狙ってた“愛嬌”路線でもなかなかうまくいかないし、仕事も減ってきていたので、「ここらへんで出すしかないか」的なところもあったんですけど。でも、そこは別にタイムリープしたいとは思っていない。逆にその時期、僕がモテようとしていたところはあるかも。かわい子ぶっていた時期があった。でも、そのときに「西野かわいい」と言ってたファンの人は、いまやいなくなったので。それで言うと、やらんでよかった作業やなと。自撮りとか（笑）。たぶん2016～18年くらい？……（ホワイトボードに書きながら）長っ！
ナダル （西野のかわい子ぶったポーズを見て）こんな感じやなかった。もっとガチの、きっしょく悪い感じでした。西野が金の靴はいて、金の時計して、髪の毛真っ赤だった時期なんですけど。
西野 ここはエグかったですね。どういうコントをするかと決めるとき「土日やから人が多い。なら、僕が女の子のコント入れておこうか」とかそんなんでした。24歳で優勝して、異常なぐらい可愛いってまわりから言われてたんですよ。
ナダル 正直、確かに、可愛かったですからね。18歳くらいの時は可愛かった。人懐っこかったし。でも、それを全面に出した段階で「きっしょ！」と思って。
西野 で、結婚してちょっと落ち着いたんですけど。と言いつつ、結婚は2016年やわ。いま思ったらヤバイやわ（笑）。
ナダル ヤバイやん。結婚して落ち着くとかもなく、さらに加速している（笑）。
西野 でも、結婚してじわじわと可愛いと言ってくれてた人が2年くらいかけていなくなって。「いなくなるんやったら、もうええわ」と可愛いを捨てた。
ナダル よかったよ、ホンマに。
西野 この前、収録でダウンタウンの松本（人志）さんに僕の女装を「西野、可愛いもんな」と言われてたときに久しぶりのトキメキを感じ、胸にしまってた久々の扉が一瞬、カチャッと開いちゃった気がしました（笑）。でも、すぐにその扉は閉めましたけど。振り返ると、あの時期、あそこまでかわいいに走らなくてよかったなと思う。ここが2回目のタイムリープしたい時期です。
タイムリープができれば「かまいたち越え」！？
――では、最後のタイムリープはいつごろに？
西野 最近やと、なんやろう。そうだなぁ、「媚びときゃよかった」みたいなのない？ めるる（生見愛瑠）とか、爆裂に売れる前に地上波でもないような番組で、ふつうに共演とかしてた。芸能人の方と共演するときって、その当時はデビューしたばかりの人でも、後からすんごい活躍する人、いるじゃないですか。めるるもまさにそう。
ナダル 確かに、「めるるに媚びときゃよかった」という見出しはおもろいな。
西野 友だち関係が基盤にあることで一緒にお仕事できたりもするじゃないですか。もっとそういうのをやっておけばよかったなと。ロケとかも一緒にしたら楽しそうだし。いろんな人ともっと社交的に話しかけておけばよかったなと。
ナダル 社交性があったらいちばんいいんですけど、めっちゃ面倒くさいんですよね。確かに先輩とかにもっとグイグイいけたらいいのにと思う。
西野 俺もそこで先輩にもっと行けばよかったのに、身近なファンとか、かわいいと言われたいのほうにいっちゃったから。そんな奴、先輩から見て可愛いわけない。もっと芸人ぽいやつのほうが可愛いもん。
――では、最後に、タイムリープ3回で全部がやり直せていたとすれば、いまのコロチキチキは、どんなになっていると思いますか？
ナダル ……正直、かまいたちさん超えてますね。
西野 言ったのはナダルって書いといてください。ただ、僕はこんなこと言ったら企画つぶしかもしれないですけど、僕、いまのコロチキがいちばん好きなんで。
ナダル 最低最悪ですけどね。僕の「かまいたちさん超えてた」発言の後に、いまの西野の発言あったら、僕の好感度、突き落とされてる。
西野 これ、言ったのは西野ってちゃんと書いといてくださいね。
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