吉本興業のタレント養成スクールなどを運営するよしもとアカデミーが、この10月から小学生~高校生を対象に、放課後の時間を利用してお笑いやダンスなどを楽しく学べる「よしもと放課後クラブ」を開設します。その本格スタートに先立って、8月28日(日)にプレイベント「よしもと放課後クラブ エンタメサマーキャンプin大阪」が開催。参加者たちは、NON STYLE・石田明ら第一線のプロから本気の“手ほどき”を受けました。
「よしもと放課後クラブ」は、子どもたちが放課後に安心して身を置ける居場所づくりを担うとともに、将来、エンターテインメントの世界で活躍したいという子どもたちの“夢”の実現を応援する取り組み。今回のサマーキャンプでは「K-POPダンス」「漫才」「新喜劇」の3つのコースに、小学1年から高校3年まで計76人が参加しました。
本格的K-POPダンスのレッスンが受けられる!
「K-POPダンスコース」では、韓国の芸能プロダクション「YGエンターテインメント」に所属し、本場韓国で活躍してきた「gpSTUDIO」プロデューサーのmaiが講師を務めます。参加者のなかにはダンス初心者もいて、緊張の面持ちで開始を待ちました。
「韓国で学んできたことを日本のみんなに教えていきたいと思うので、今日はたくさん学んで帰って」
Maiの挨拶からレッスンはスタートします。この日の課題曲はSEVENTEENの『HIT』です。
まずはK-POPのリズムに乗ったストレッチ。そして、K-POPダンスの動きのベースとなる基本技の一部である腰の動きを教えてもらいます。さらにダンス中に音楽に乗せて自由に動きながら歩いて移動する“ウォーキング”にも挑戦。アシスタントの見本に続いてターンしたり、ステップを刻んだり、参加者も思い思いの動きでカッコよく“魅せる”ことを学んでいきます。
振り付けでは、難しい動きも「窓拭いて!」「ピエロになって!」などイメージしやすい表現を交えて指導。「ファイティン!」と声が飛ぶなか、参加者たちは真剣な表情で食らいついていきます。
音楽に乗せて通しで踊ったり、ゆっくり振り付けをおさらいしたり……と、参加者の習得度合いに合わせてmaiやアシスタントが細やかにフォロー。熱のこもったレッスンを、全員が汗だくになって駆け抜けました。
最後は3グループに分かれて、覚えたばかりのダンスを保護者に向かって披露。参加者は、緊張しながらも、堂々と踊りきって大きな拍手を浴びました。踊り終えた12歳の女の子は、「振り付けが激しかったけど、一応できたのでよかった」と笑顔。14歳の女の子も「先生方も温かくて、楽しくできました」とうれしそうに話しました。
Maiも参加者の情熱に心打たれた様子で、「私自身もパワーをもらった。大人に教えているような内容(の振り付け)を持ってきたけど、ついてきてくれた。その気持ちだけでうれしかった」と語り、「その気持ちを忘れずダンスを続けてほしい。これからも頑張ろうね!」と激励しました。
子どもたちが漫才や新喜劇に挑戦!
「新喜劇コース」と「漫才コース」は別々のスタジオで同時進行しました。「新喜劇コース」では、参加者が2つのグループに分かれて、事前に決められた配役に沿ってひとつの新喜劇を作っていきます。講師は長年にわたってNSC(吉本総合芸能学院)で若手芸人を育ててきた構成作家の大工富明。また大島和久、伊丹祐貴、重谷ほたるら新喜劇の現役座員も加わってレッスンが進められました。
最初は用意された台本を、講師となった座員らが実際に演じて見せるところからスタート。台本には島田珠代の「パンティーテックス」や、すっちー&吉田裕の「乳首ドリル」など、おなじみのギャグがふんだんに盛り込まれていて、参加者は大笑いしながらお手本に見入っています。
全体の流れや内容を把握したあとは、2グループに分かれて稽古。台本を片手に動きや立ち位置を確認していきます。「緊張するなあ」と言い合いながらも、少しずつ堂々とセリフを言えるようになっていく参加者たち。大きな声や動きでボケたり、コケたり、ギャグをしたり、のびのびと楽しそうに実践しています。
一方の「漫才コース」では、NSCでこれまで1万人以上の芸人志望者を指導してきた漫才作家の本多正識とNON STYLE・石田が講師として登場しました。隣り合わせの参加者同士で即席コンビを組み、事前に配られた穴埋め漫才台本をもとにネタを作っていきます。
石田は冒頭で「漫才は自由。ルールに縛られなくていいので、ボケにくかったら変えてもいい。いろんな人に相談してもいいので、どんどん聞いて、楽しく作っていってください」とアドバイス。初対面の恥ずかしさもあって、コンビ名を決める段階でつまずいているコンビには、石田やスタッフとして参加している構成作家、若手芸人らが「好きなスポーツは?」「好きな食べ物は?」などと聞きながらサポート。コンビ名が決まれば、すぐにネタづくりに突入です。
最初はおとなしかった各コンビも、徐々にお互いの意見が出せるようになり、熱を帯びたディスカッションを展開。石田らは聞き役に徹しながら、行き詰まったコンビがいれば、さりげなくヒントを示して完成へと導いていきます。後半は立ち上がってネタ合わせも行い、気づけば全員がプロの芸人さながらの顔つきになっていきました。
アキナ・秋山は参加者の熱演に「感動」!
最後は、保護者をスタジオに迎えて新喜劇と漫才を披露します。「新喜劇コース」では川畑泰史座長がスペシャルゲストとして登場し、各グループの評価を担当しました。
「ホンマにおもしろい人がいたら、この後の(なんばグランド花月本公演)4回目公演に出てもらおうかな」
川畑がこう語ると、参加者は大興奮。どちらのグループも、緊張のせいかミスもありましたが、息を合わせて盛大にコケるシーンやギャグなどを熱演しました。
見終わった川畑が、こう絶賛します。
「新喜劇をホンマによく見てくれてはるんやなとうれしい気持ち。ギャグはテレビを見てたらわかるやろうけど、ツッコミの間もすごくて……新喜劇の若手に教えてやってほしい」
途中から参加した、同じくスペシャルゲストのアキナ(山名文和、秋山賢太)も参加者の芸達者ぶりに驚きを隠せません。秋山は「ちょっと練習しただけで、このクオリティが出せるなんて……。僕も娘がいるので、泣きそうになりながら見せてもらいました」と語り、山名も「まるで本公演を見てるみたい。“パンティーテックス”をマンキン(全力)でできるなんてスゴい!」と称賛しました。
「漫才コース」の本番も大盛り上がり。1組ずつ『M-1グランプリ』の出囃子に乗って登場し、それぞれ工夫を凝らしたボケとツッコミを繰り出します。緊張もあって100%の力を発揮でなかったコンビもありましたが、ネタ中は何度も笑いが起こるなど手ごたえも感じたようです。
これには石田も「ちょっとしか稽古してないのにスゴい」と目を丸くします。漫才作家の本多は「稽古のときは全然しゃべれてなかったから大丈夫かと思ってたけど、よくしゃべれていた」「堂々としていた。最初の稽古から見ていたが、どんどんうまくなっていく」などと1組ずつ講評しました。
ノンスタ・石田「失敗してもいいから…」
レッスン終了後の囲み会見には、この日の講師を務めたmai、石田、本多、大工が出席。感想を聞かれたmaiは、「ふだんから子どもたちにたくさんパワーをもらってるんですけど、今日、さらに新しい子どもたちと出会い、本当にダンスを楽しみたいという気持ちを改めて感じさせられた」とニッコリ。
まったくのダンス初心者もいたレッスンを、こう振り返ります。
「踊れる子たちのほうがクセがついちゃってるところも多いので、私としてはどちらかというと初心者の子たちをこれからもっと育てていきたいという気持ちが大きい。本当に『ダンスが踊りたい』という気持ちだけで十分です」
そして、自身が韓国でずっと教えてきたBLACKPINKのようなアーティストが「よしもと放課後クラブ」から出てくれば、と期待を寄せました。
石田は、この日の参加者について「僕やったら、あの年ごろでぜったい漫才できてないなと思いながら見てました。すごい勇気と発想力」と感心しきり。石田自身が初めてネタを作って漫才をしたのは中学時代だったそうで、「人前に立つ恐怖感と、それを乗り越えたときの多幸感はいまだに覚えている」と振り返ります。
この日、勇気が出ずに本番で漫才ができなかった小学生コンビに「この悔しさが、またいつか実になるんじゃないかな」とエールを送りつつ、「打席に立たん限り成功も失敗もないので、失敗してもいいからこういうものに参加してみるのが、いちばんの成功のカギ」と熱く語りました。また、「僕も漫才なんて書けなかったけど、書こうと思ったからいま書けてるわけで、相方(井上裕介)は書こうと思わなかったからいまだに1本も書けてない」と笑わせました。
一方、漫才作家の本多は「よしもと放課後クラブ」の意義について、こう語ります。
「僕も大工さんもNSCで(講師を)やらせていただいてますけど、何が向いてるかはやってみないとわからない。それを探す意味でも『よしもと放課後クラブ』で楽しんでほしい。学校ってわりと枠にはめようとするじゃないですか。お笑いはその枠からはみ出したところにあるんで、そんな“枠のはみ出し”をここで考えることが、これから先、生きてるくんじゃないかなと思います」
構成作家の大工は、この日の参加者について振り返ります。
「稽古のときはうまくいってたのに本番ではダメな子もいてたし、本番で急にアドリブで変なことやり出す子もいて(笑)。ビックリすることの連続でしたが、みんな楽しんでくれてるんやなと、すごく頼もしく思いました」
そして大工は「お笑いが習える場所なんて大阪ならでは。逆に言えば、関西にいる子どもたちは非常にチャンスがあるんちゃうかな」と、「よしもと放課後クラブ」への参加を呼びかけました。
「よしもと放課後クラブ」公式サイトはこちらから。