ナースが“エロアホグロい”VR作品を堪能してお笑いの未来を感じました! 【京都国際映画祭】

「京都国際映画祭2022」(10月15、16日開催)の一環として京都市京セラ美術館で上映されたタニノクロウ秘密倶楽部『MARZO VR』は、庭劇団ペニノの主宰で、医師免許を持つタニノクロウさんが作・演出・監督を務めたVR(仮想現実)作品です。VRゴーグルとヘッドフォンを装着すると目の前に広がるのは……芸人ライターのヘッドライト・町田星児が、観劇(体験?)をしてきたので、ネタバレにならない程度にレポートしたいと思います。

出典: FANY マガジン
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部屋に入ると、ナースが迎えてくれます。ここからすでに作品は始まっていて、部屋にはいくつかのベッドがあり、病室のようです。パーティションで区切られたベッドに案内され、ナースにVRゴーグルとヘッドフォンを装着してもらうと外から遮断された1人の世界に……。

いざVRの世界へ…ナースがセクシー!

映像が始まると、VRなので頭を動かせば目線が変わります。下を向くと、自分の胸のあたりから足までが見えて、どうやら病室のベッドで寝ているようです。入院しているのでしょうか。そこへ、ナースが現れました。

ナースがカーテンを開けると、明るい日差しに窓から木々が見えて――環境のいい場所にある病院のようです。ナースは僕の血圧や体温を測ってくれます。別のナースは、僕の足を拭いてくれるようです。「こっちのヒザを曲げてください」と言われると、映像の左足のヒザが上がりました。せっかくなので、映像と同じように実際に左足を曲げてみると、よりリアルに足を拭かれている気持ちに……。

出典: FANY マガジン
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しかし、さっきから少しの違和感が。看護してくれる3人のナースの喋り方や動きが現実のナースとは少し違う。ひとことで言うと、エロい。口に薬を入れられると、なんとナースに口移しで水を飲まされました。そしてストレッチャーでどこかへ運ばれて行く!

手足が拘束されている!?

次の場面では、僕は手術台に乗せられていて、手足は拘束されて自由が奪われています。ヒザのシーンでは、僕のように映像に合わせて足を曲げたも多い人でしょう。そんな人は拘束されたこの場面で、実際に手足を動かさずに映像とシンクロさせたのではないでしょうか。

「MARZO」はマゾヒズムのマーゾ。僕の中に眠る未開発な感覚が呼び覚まされます。防護服に身をつつんだナースが3人がかりで身動きが取れない僕の体を……。

出典: FANY マガジン
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この先はネタバレになるので書きません。ひとことで言うと、グロい。ついでに言うと、バカバカしい。ゴーグルとヘッドフォンを外すと、目の前には作品の中で使われた小道具が。映像と現実を繋ぐ演出もニクいです。タニノクロウさん自身も「エロアホグロい」とコメントする、25分ほどの不思議な体験でした。

「VR演劇」と「VRお笑い」の需要

新型コロナの蔓延で、一時は劇場での演劇やライブハウスでの音楽活動、僕たち芸人のお笑い活動もかなり制約されました。最近は緩和されたとはいえ、この先、いつまた何があるかわかりません。しかし、このVR演劇ならコロナの影響はほぼありません。これからVR演劇の活躍の場は増えると思いました。

今回の作品は「エロ」の要素を入れて、VRの魅力を存分に示してくれました。仮に「エロ」がなくても、目の前で迫力のある演技が観られるという点で、演劇とVRの相性はいいと思います。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

では、お笑いとVRの相性はどうなのでしょうか。たとえば新喜劇。お客さんが、客席からではなく、舞台の上で観ることができます。うどん屋の客として観劇して、すぐ目の前でギャグが繰り広げられたら迫力があります。また、旅館のアルバイト役として観劇して、話のスジに参加するのも楽しそうです。

同様に、コントでもさまざまな可能性があるでしょう。漫才はどうでしょうか。映像の自分が喋るのに合わせて、相方に目線をやったり客席に目線をやったりという、観劇というよりも体験という使い方になるのでしょうか。それはそれで需要はありそうです。

芸人として、VRの将来性に大きな期待を感じられる作品を観劇?……いや、体験?をさせてもらいました。観劇か体験かはわからないですが、作品に「感激」はしました!