BSよしもとは、11月7日(月)~13日(日)、「『あなたの街から1.5℃の約束』BSよしもと SDGsウィーク」と題して、地球温暖化をはじめとする気候変動に歯止めを掛けるための具体的なアクションやSDGsに関する取り組みを、全国各地から考えていくきっかけとなるキャンペーンを展開しました。
12日(土)には、ココリコ・田中直樹がMCを務める特別番組『あなたの街から1.5℃の約束』が放送され、2人の専門家とともに「気候変動」や「地球温暖化」などについて対談しました。
2050年までにCO²ゼロは実現できる?
最初のゲストは、東京大学未来ビジョン研究センター教授で、国立環境研究所 上級主席研究員の江守正多氏。気候科学が専門の江守氏に、地球温暖化の現状について質問しました。
国連広報センターは、「SDGメディア・コンパクト(世界中の報道機関とエンタメ企業に対して、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的として設立)」に加盟する日本のメディア約150社とともに、気候変動対策のアクションを呼び掛けるキャンペーン「1.5℃ の約束―いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」を実施中。こちらは、「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて+ 1.5℃に抑えること」を目標に行われています。
「人類がヤバい」
現在はなんと1.1℃まで上昇。田中が率直に「このままだと地球ヤバくないですか?」と問うと、江守氏は「そうですね。地球がヤバいというか、人類、海の生き物などもヤバいです」と警鐘を鳴らします。
近年、気候変動に伴い自然災害が増えているものの、自分が住む地域に直撃しなければ実感はしない……。だからこそ、日本や世界全土が危機意識を持てていないと言います。江守氏は「我々の世代は逃げ切れるのかもしれないですけど、次の世代、その次の世代のことを考えると、(災害が)直撃する可能性もあるし、暑さも半端なくなります」と警告しました。
地球温暖化への意識について、「みんなの意識が変わっている気がする」と話す田中に対し、江守氏は「難しいのは、問題が大きすぎて、自分が心配してもどうにかなるもんじゃない。止めるには、我慢しないといけない、生活の質を落としたくないとなりがち」と指摘します。田中は、ごみの分別やフードロスをなくすなど、自分でできる範囲のことしかやれていない、としながらも「でも、この小さなことさえもやらなくなると大変なことになるぞ」という意識があると述べます。
江守氏は「生活の中で気を付けてもらうことはいいこと」としながら、残り+0.4℃で抑えるためには、世界のCO²の排出量を2050年ごろまでに実質ゼロにしなければならないと指摘。地球では、エネルギーの源として化石燃料に頼りがちということもあって、田中は難しいのではないか、と問いますが、江守氏は「理論的には無理ではないんです。目指そうと思えば目指せられる」と返答。まだ軌道には乗っていませんが、30年後には世界の常識が変わるんじゃないかと予想します。
田中が日本のディカプリオに!?
現在、分煙が進んでいるタバコだって30年前はどこでも吸う人がいて、今となっては驚きの光景。江守氏はそれと同じだとしつつ「(タバコも)多くの人にとっては常識が変わったと思うんです。CO²が出ないのが当たり前の世界……技術の進歩も必要ですが、『昔はよくあんなにCO²を出していたね』という時代がくると(信じている)」とコメント。江守氏の話に、田中も「『いけるかも! 』という気持ちになってきましたね」と希望を持ちました。
このほか、エネルギーの常識が変わりつつある話や、CO²ゼロに向けて世界で考える責任のこと、さらには、日本各地に居住する「住みます芸人」から「台風によるミカン農園への被害」(和歌山県/わんだーらんど・たにさか)、「温暖化によるサンゴ白化問題」(沖縄県/カシスオレンジ・仲本新)などのレポートが読まれ、江守氏に見解を聞きました。
そんな田中にはメディアを通じて、今回の取り組みのようなことを発信してほしいとのお願いが。アメリカでは、俳優のレオナルド・ディカプリオが気候変動問題に取り組んでいますが、江守さんは田中に「日本では関心を持って発信してくれる有名人の方が少ないので、ぜひ、日本のディカプリオになってほしい」と依頼、田中を笑わせました。
SDGsはSOS!
続いてのゲストは、国連広報センター所長の根本かおるさんです。2016年より日本政府が開催する「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」の構成員を務める根本さんには「SDGs」の実情や「1.5℃ の約束」キャンペーンについて話を聞きました。
15年間の新たな行動計画である「SDGs」が始まって6年が経過。根本さんに現在の状況について質問すると「進んでいる分野もありますけど、おしなべて言うと、SOSです! 」と本音を吐露。世界で格差、気候変動、紛争がある中、ゴールである2030年に目標が達成できない、という危機感を持っていたとのこと。
スピードを高めるべく、2020年からは「行動の10年」を掲げたものの、コロナが起こってしまい、世界中に大打撃が……。それにくわえてロシアがウクライナに軍事侵攻。両国ともに世界の穀倉地帯ということから、ロシアやウクライナの輸入作物に頼っていた途上国はダメージを受け、食料価格がものすごく上昇しました。今は落ち着きつつあるものの、「途上国は債務不履行の嵐です。このような状況は危機に直面しているとしか言えない」と根本さん。来年は「SDGs」の折り返し地点。反転攻勢するべく、来年はメンタルを高めていくしかないと意気込みました。
キーワードは「連帯」と「協調」
そんな根本さんに田中は「僕たちは何を掲げて日々の生活を送っていけばいいですか? 」と質問。根本さんは「綺麗事に聞こえるかもしれませんが」と前置きしつつ、「やっぱり連帯と協調なんですよね」と返しました。
先日、パキスタンで大きな洪水が起きましたが、こちらは、気候変動由来のもの。気候変動を巻き起こすCO²は、パキスタンからはほとんど排出されていません。日本をはじめとした先進国が排出し続けたツケが、同国の方に回ってしまったのです。根元さんは「損害を排出した国々がどう手当てできるのか。そうした連帯や協調が今、大きく試されています」とコメント。こうして日本のみならず、世界に目を向けた行動をすることで「人間として豊かになるし、学びにもなると思います」と結びました。
国連広報センターでは「SDGメディア・コンパクト」に加入しているBSよしもとをはじめとしたメディアとともに「1.5℃ の約束―いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーンを実施中。根本さんは、キャンペーンのタイトルやスローガンなど、「SDGメディア・コンパクト」に加入しているメディアとともに練り上げてきたと回顧。「当事者として関わってくださっているので、コミットメント(責任)が深くなります」と話しました。
「ゆるんだら国連の圧を」
こちらでも、住みます芸人から「深刻化する海岸侵食問題」(富山県/ノビ山本)、「母子家庭の貧困問題」(北海道/オジョー)などの課題報告があり、根本さんと一緒に考えていきました。
最後に根本さんは、SDGsはメディアの力もあって認知を広めることはできたが、同じように気候変動や気候アクションも巻き込みたいと心境を語ります。
また、私たちは、気温上昇に歯止めをかけ、将来の地球につなげていく当事者であり、担い手なんだということを、田中を含む影響力のある人に発信してほしいとお願い。「うねりをつくっていただきたいです」という根本さんの願いに、田中は「“ゆるんでいるな”と思ったら圧をかけてください。国連の圧を」と返して、笑いを誘っていました。
特別番組「あなたの街から1.5℃の約束」 SDGsウィーク特番は11月13日(日)夜10:30~11:30に再放送されるほか、BSよしもとのホームページでアーカイブ映像を視聴できます。
出演者:田中直樹(ココリコ)、根本かおる (国連広報センター所長)、江守正多 (東京大学 未来ビジョン研究センター 教授/国立環境研究所 上級主席研究員)
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