全国の科学好きの中学生が科学の思考力・技能を競う「第10回科学の甲子園ジュニア全国大会」が12月2日(金)から12月4日(日)の3日間、兵庫・姫路市文化コンベンションセンター アクリエひめじで開催されました。初日の開会式から2日目の筆記および実技競技を経て、優勝に輝いたのは富山県代表チーム! 参加した生徒たちは懸命に課題に取り組み、それぞれの実力をしっかりと発揮しました。
「科学の甲子園ジュニア」は、理科や数学などの競技に生徒たちが協働で取り組むことで、科学好きの裾野を広げ、探究心や創造性に優れた人材を育成することを目的として開かれています。今回のエントリー総数は2万4589人。大会では、全国各地の代表選考で選出された47都道府県の代表チームが6人1チームで筆記、実技の各競技に取り組み、総合点を競いました。
開会式では黒ラブ教授のメッセージも
大会初日の開会式では、全チームの紹介、主催者挨拶などが行われたほか、科学の甲子園ジュニア応援団の黒ラブ教授(国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターで大学の先生芸人)からのビデオメッセージが紹介されました。
黒ラブ教授は、会場の生徒たちに向かって「よくここまで勝ち上がりました!」と賛辞を送ると、お笑い実験クイズで盛り上げ、「リラックスして楽しんでほしい!」とエールを送りました。
実技競技は「万華鏡」と「水の運搬」
2日目は、いよいよ本番の筆記と実技競技です。筆記競技は6人が70分で6つの問題にチャレンジ。実技競技は実験・工作の2つに分かれて、それぞれを3人で担当します。
実技競技1(実験)のテーマは「覗いてごらん 鮮やかに広がる世界 〜万華鏡の物理〜」。万華鏡を題材に、美しい模様がどうやって見えているのか、その仕組みを4つの実験を通して考えました。
実験競技2(工作)のテーマは「海峡運搬チャレンジ」。指定された材質、枚数の紙と道具を使って橋を製作、その橋で制限時間内にどれだけ水を運搬できるかという問題です。採点は、運搬した水の総量に応じて与えられる「運搬得点」に加え、橋を作る際に使用しなかった材料の量に応じて与えられる「省材料得点」の合計で決定。思った通りに車が走らず、運搬に苦戦するチームもあったものの、各チーム全力で競技に取り組みました。
気になる順位の発表は!?
最終日の表彰式では、まず兵庫県教育委員会の村田かおり教育次長が、共催者として挨拶。生徒たちに「全力を出し切れましたか?」と問いかけると、「一生懸命協力している姿に感動しました。チームだからこそできたという喜びも感じてもらえたのではないかと思います」と語りました。
続いて、永岡桂子文部科学大臣がビデオメッセージで登場。「互いに切磋琢磨しながら競技に取り組んだことは、たいへん貴重な経験になったと思います。ぜひこの出会いを大切にしてください」と呼びかけ、「皆さんが将来、世界中で活躍されることを期待しています」とエールを送りました。
表彰式では、筆記・実技それぞれの競技別と総合成績の順位が発表されていきます。
【競技別表彰】
<筆記競技>
5位:岡山県
4位:長崎県
3位:奈良県
2位(内田洋行賞):広島県
1位(UBE賞):愛知県
<実技競技1>
5位:広島県
4位:香川県
3位:長野県
2位(学研賞):宮崎県
1位(東芝賞):富山県
<実技競技2>
5位:鹿児島県
4位:富山県
3位:長野県
2位(ケニス賞):千葉県
1位(SHIMADZU賞):神奈川県
【企業特別賞】
女子生徒応援賞(帝人賞):神奈川県
フレッシュマン応援賞(ナリカ賞):香川県
実験スキル賞(テクノプロ賞):宮城県
工作デザイン賞(スカパーJSAT賞):長野県
【総合成績】
9位:香川県
9位:大分県
8位:三重県
7位:千葉県
6位:広島県
5位:神奈川県
4位(姫路市長賞 エムス・テック賞):宮崎県
3位(兵庫県教育長賞 ひょうご科学技術協会賞):長野県
2位(科学技術振興機構理事長賞 日本理科教育振興協会賞):愛知県
そして、いよいよ第1位の発表へ――。
【総合成績】
1位(文部科学大臣賞 トヨタ賞):富山県
発表された瞬間、歓声が上がってチームメート同士がハイタッチ! 全身で喜びを表します。「1位を獲れると思っていなかった」と言うキャプテンの棚元樹さんは、「いまも緊張して震えている。それくらいうれしい」と喜びを爆発させます。そして、「3日間楽しかった。1位を獲ることができていい経験ができた」と感謝のメッセージを伝えました。
「チーム全員で埋め合ったことで勝てた」
富山県チームは、7年ぶり2回目の優勝となりました。昨年2位で悔しい思いをしたと振り返るキャプテンの棚元さんは、改めて「うれしいです!」と喜びの表情。そして勝因としてチームワークを挙げ、「講習会や研修会を重ねるたびに打ち解けた、抜けがあるところもチーム全員で埋め合ったことが勝利につながったのでは」と胸を張りました。
今回、富山県チームのメンバーは県内3つの中学校から集まりました。富山県教育委員会教育企画課の長岡朝彦主任は「少ない研修会を利用して、1回1回のコミュニケーションを大切にしていた。昨年の経験をほかのメンバーに伝えながら一生懸命取り組むことで賞をとることができた」と喜びをかみしめます。
富山大学教育学部附属中学校の小川浩太郎教諭も「最初に集まったときからコミュニケーションをとりあって、問題を解いていた」と振り返ると、「本番でも話し合いながらやっていたのがよかったと思う、お互いを支えてやってきた成果だと思う」とたたえました。