東京で活動するシシガシラ(浜中英昌、脇田浩幸)、ダイヤモンド(野澤輸出、小野竜輔)、大阪で活動する黒帯(大西進、てらうち)、チェリー大作戦(鎌田キテレツ、宗安)という東西4組の芸人が出演する東阪横断定期ライブ『漫才至上主義』。今年のM-1グランプリでこれまで以上の結果を目指して、切磋琢磨しながらネタを磨いていこうという公演で、4組のマネージャーによる持ち込み企画です。これまで、東京、大阪、福岡でのライブを成功させてきた彼らに、イベントの手応えとこれからの目標を聞きました。
シシガシラ脇田が初対面で羽交い締めに!?
――まずは、このイベントが立ち上がった経緯から教えてください。
小野 シシガシラのマネージャーさんが発起人ですね。
脇田 M-1準々決勝には行っているけど、その壁を越えられない4組を集めて、東京と大阪でライブをやりませんか、というところから始まりました。
――この4組でライブをやると聞いたときは、どんな気持ちでしたか?
浜中 切磋琢磨できるし、“バキバキに仕上げるだけだな”と思いました。
大西 ほんまにラッキーやなって感じでしたね。ダイヤモンドとシシガシラさんはM-1の予選動画で観て好きでしたし、チェリーも面白いと思っていたんで、一緒にやれて嬉しい。定期的に東京に行けるのもありがたかったです。
鎌田 “僕らで大丈夫なんかな?”という気持ちがありました。たとえば、ほかの3組のほうがウケて、僕らのときだけ笑いが少なかったらどうしよう……と思っていたんですけど、いまのところ負けじと頑張れているなって自負があるので(笑)、本当にいいお客さんの前でネタをやれる機会ができてよかったです。
小野 メンバーを見たときに、めっちゃ面白くて渋いメンツやなと思いました。飛び抜けて人気があるわけではないコンビばかりなので、お客さんが入るか心配だったんですけど、たくさん来てくださっていますし、回を重ねるごとにチームワークが高まれば、もっとお客さんは増えるのかなと思います。
――もともと、コンビ同士で交流はあったんですか?
小野 黒帯と僕ら(ダイヤモンド)は同期なので、東京と大阪でツーマンライブはやったんですけど、チェリーは本当に初めてですね。
宗安 黒帯さんは大阪で一緒でしたけど、シシガシラさんとダイヤモンドさんは初めてです。僕のなかで、(2組は)絶対に悪い人たちじゃないと思っていました。実際にしゃべってみて、皆さんフランクでしたし、仲良くさせてもらっています。
大西 脇田さんは、会って10秒くらいで羽交い締めにしても怒られませんでした。
脇田 (笑)。忘れていると思うけど、お腹もパンパンしてきたよ?
大西 何をしてもヘラヘラしてはったんで「合格」って思いました。
――(笑)。これまで3月の東京(ヨシモト∞ホール)、4月の大阪(よしもと漫才劇場)、5月の福岡(大和証券/CONNECT劇場)・東京と4回、公演をしてきました。チームワークはどうですか?
野澤 チェリーは後輩ですけど、トガっているんじゃないかと思って怖かったですし、黒帯も調子乗っているふうなので……。
大西 なんでそんなイヤな言い方するん(笑)。
野澤 最初は合わないかなって思ったんですけど、やっていくうちに仲も深まって、いい感じでできているなと思います(笑)。
宗安 僕ら、黒帯さんとは挨拶をする程度だったんですけど、『漫才至上主義』が始まってからは、会うとホッとする先輩になりましたし、東京に来てもシシガシラさん、ダイヤモンドさんがいると安心します。
脇田 期でいうと僕らがいちばん上で、僕がいちばんの先輩(相方の浜中は1期下)。チームワークを深めるために飲みに行ったんですけど、(先輩が払うという風習から)僕は持ちガネぜんぶ出しつつも、浜中にちょっと多めに出してもらって……。
小野 先輩が出すものですからね。
浜中 「(脇田がいちばん上の先輩なのに)なんでオレ、出してんだろう」って思いましたけどね。
――(笑)
てらうち たしかに、打ち上げに連れて行ってくれるんですけど、脇田さんがおカネないから「今日はやめとこうかな」「今日はおカネ払わなくていい?」みたいな時間が絶対にあるんですよ。そのおかげで“今日も脇田はカネ払わんぞ!”と、脇田さん以外の結束力が固まって仲良くなることはあります(笑)。
脇田 共通の敵を作ると仲良くなるでしょ?
宗安 ワザとやったんや(笑)。
大西 (脇田のおかげで)7人のチームワークは良くなりました。
観客も『M-1』を意識して見てくれている
――ライブの手応えはどうですか?
浜中 いい感じだとは思います。東京はいいので、大阪でさらにウケたら、もっと手応えを感じられそうです。
脇田 (課題としては)漫才に遊びがなさすぎるのかなとは思います。例年、2回戦と3回戦は(ネタ時間が)3分で、準々決勝から4分になるんですけど、それに向けて仕上げていると、みんなにイジられて恥ずかしい(笑)。
大西 仕上げるのが早いんですよ!(笑) (イベントに来るお客さんは)よく見てくれているというか、下駄を履かせてもらっている感じはします。東京は特に感度が良くてウケるので、大阪に帰ったら忘れようとは思っていますね。自信はつくんですけど、参考にしすぎない程度に、冷静におらなアカンなって。
てらうち ウケてるのでいいとは思うんですけど、逆に僕ら遊びが多くなって、尺が長くなってしまうことも多い。シシガシラさんとバランスが合っていいのかなとは思いますけどね(笑)。
鎌田 今年は毎月、単独ライブをして、新ネタもいっぱいして、その中でいいものを『漫才至上主義』に持ってきています。お客さんの反応を見ると、「自分たちがやっていることは間違ってないのかな」という答え合わせにもなるので、いい感じできていると思います。
宗安 まだ新ネタは作りますし、直前までもがこうかなとは思っています。僕らはそもそも仕事がないなか、いろんな環境でできる『漫才至上主義』は、ほしかったライブ。いい機会をいただいています。
小野 僕らはチェリーと違って、忙しいなか、参加しているライブなんですけど。
宗安 おいおいおいおい!(笑)
小野 まだ今年、どのネタで勝負するのかは決めていないですけど、ふだんやっているライブのなかでも、賞レース色の強いライブだとは思うので、いちばん(ネタ選びの)参考になるのかなと思います。
野澤 いいメンツが揃っていますし、お客さんも『M-1』を意識しているのか、そういう目で見てくれている印象があります。自分のなかで70点くらいのネタだったら、ちゃんと70点くらいのウケなので、温度はあっているのかなと。(『漫才至上主義』に)ちゃんといいネタは持っていこうとは思っています。
それぞれの『M-1』への想い
――出演者として『漫才至上主義』の魅力はどこにあると思いますか?
浜中 それぞれに漫才の色があるので、楽しんでいただけるのかなと思います。カブっているわけではないけど、空気感は一緒。そのあたりは魅力です。
てらうち “ここからどうするか”じゃないですか。いまは試す段階ですけど、このなかで、どの組かはいい成績を残すと思うので、どうネタが進化していくのか、その過程を見られるのは、お客さんとしても楽しいと思います。
宗安 このライブに来たら、どれか1組にはハマるやろなと思います。全員おもんないことはないくらい、全組が違うことをしているので、来たら間違いないです。
小野 福岡のときは、僕のお母さんも見に来ていたので(小野は山口県出身)、それぞれの親も見られるライブ。「この人から生まれたんだ」って知ることができるライブです。
浜中 違うよ(笑)
――最後に『M-1』に向けた思いを教えてください。
浜中 今年はマネージャーと話しながら、「◯月に◯◯をやる」という1年スケジュールを立てていて、そのなかに『漫才至上主義』も組み込んでいるような状況です。今年は優勝ですよね?
脇田 エグい仕上がりになっていますよ~。
――(笑)
てらうち 僕ら34、35歳の年齢なんですけど、いま頑張っとけば、40歳になったときの楽しさが全然ちゃうやろなって思います。おっさんになってからラクしたいんで、体力あるうちにネタを作って、M-1で人気を出して……というのはいいなと思います。
大西 M-1決勝に行っとけば、3年は食えるんかなと。お笑い芸人を続けられるように頑張っていきたいです。
宗安 いままでコントを多く作っていたんですけど、去年くらいから漫才も増やし始めて。今年はいちばん漫才を作っているので、やったぶんだけ、なにかが返ってくるやろと思っています。今年は、いままででいちばん楽しみですね。
鎌田 僕は、宗安さんに「こうやって」と言われたことを、より忠実にやろうと思っています(笑)。
小野 僕らも準々決勝で落ち続けていて、何が足りないのかなってずっと考えていたんですけど、昨年末に野澤が骨折したとき、松葉杖をついて骨折ショートコントをやったら、ダイヤモンド史上いちばんウケたんですよ。だから(野澤には)M-1の直前にもう1回、骨折してもらおうかなと。骨折しながらの優勝を目指したいです。
――(笑)
野澤 いままでは“奇をてらう”じゃないですけど……その比重が多かったのかなって思います。最近は考え方が変わって、(自分たちのカラーが)“そういう人たち”というのはわかってくれたと思うので、いまは形にこだわらないネタを考えるようになりました。自分が面白いと思うことをちょっとずつやれているので、これを続けていけば勝てそうな気がします。
公演概要
シシガシラ×ダイヤモンド×黒帯×チェリー大作戦ライブ『漫才至上主義』
【大阪公演】
6月25日(土) 開場20:45 開演21:00
場所:よしもと漫才劇場
チケット:前売2,000円 配信1,500円
【東京公演】
7月16日(土) 開場20:40 開演21:00
場所:ヨシモト∞ホール
チケット:前売2,000円 配信1,500円
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