月亭八方が長唄、浪曲、落語で“親子共演”! 娘婿・今藤政之祐の長唄に「ええ声してるな」

落語家・月亭八方と“娘婿”である長唄・今藤政之祐のプロデュースによる『和のこころ 糸にのせて 京の三趣』が、6月10日(土)に京都・よしもと祇園花月で開催されました。長唄、浪曲、落語、そして三味線という日本の伝統芸能を一度に楽しめるイベントとあって多くのファンが詰めかけ、それぞれの演し物(だしもの)を堪能しました。

出典: FANY マガジン
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長唄「五條橋」で観客を魅せる

祇園花月に笛と太鼓の音が響くと、舞台下手のせりから八方が登場しました。イベントのタイトル「和のこころ 糸にのせて」について、「長唄、浪曲、落語、3つの演芸三味を皆さんにお聞きいただく」と説明する八方。期待に胸が高鳴ります。

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最初に演じるのは八方の義理の息子、今藤政之祐による長唄です。帳が上がると、唄・今藤政之祐、今藤龍之右、三味線・今藤政十郎、杵屋寿哉による長唄「五條橋」が始まります。

「五條橋」は京都・五條橋での牛若丸と武蔵坊弁慶の出会いを描いた唄で、政之祐は、橋の情景と大長刀を使う弁慶、そして牛若丸の華麗な身のこなしを生き生きと唄いあげます。途中、三味線の独奏には会場から拍手も。唄と三味線の素晴らしさに、観客はすっかり魅了されていました。

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浪曲は「節のよさがたまらない」

幕間には八方が、続いて登場する浪曲師の京山幸枝若について、「幸枝若師匠の教室に通っています」と、自身が師事していることを明かします。その理由は「好きになってしまうと節のよさがたまらない。特に幸枝若節というのは」というほど、ぞっこんのようです。

舞台に上がった幸枝若は「浪曲は難しいんですよ」と言いながら、「ここは京都の今出川〜」と「米屋剣法」を朗じます。京都を舞台に道場へ弟子入りする米屋の清三郎と、師匠である吉岡又三郎のやりとり、絆……。幸枝若の語りは緩急自在で、聞いていると、ぐいぐいと物語へと引き込まれていきます。その名調子に三味線がリズムを加え、祇園花月の舞台上には、又三郎と清三郎、2人の息遣いが聞こえるようでした。

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八方の落語に三味線と舞が登場!

中入りのあとは、八方の落語「大丸屋騒動」。唄を今藤政之祐、三味線を今藤政十郎が務めます。京都・伏見の酒問屋、大丸屋の宗三郎が妖刀村正を手にしたことで起きる悲劇を、軽妙な語り口で笑いを含めつつ話す八方。

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途中、惣三郎が芸妓に会いたいと回想するシーンでは、八方の「会いたいなぁ」の声を合図に舞台が暗転、ハメモノが鳴るなか、芸妓(祇園東富津愈)が登場し、舞を披露しました。噺の途中、八方が「落語での男女の斬られ方の違い」で笑わせるなど、観客は30分を超えるネタを堪能しました。

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「こんなご時世、いつまで息子でおってもらえるか…」

終演後の囲み取材で、八方は「久しぶりに汗かきました。ふつうに高座だけ出るほうがいいな。疲れました」と言いつつも、「心地よろしいでございます」と笑顔で語ります。

政之祐は「これまで自主公演でやってきた会が、自主公演でなくできたのがうれしい」とこちらも笑顔です。そして、「どうやって長唄を聞いていただくか、今回は落語とコラボして一緒にできたのがとてもうれしいです」と続けました。

また幸枝若も、この日の舞台でお客さんの反応を聞いていて「いけるんちゃうかなと、うれしかった」と手応えを語りました。

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八方は、「落語は、いろんなこととうまくジョイントできる。どんどん新しい演出方法をやっていきたい」と意欲十分。この日の親子共演について聞かれると、改めて「ええ声してるな」と政之祐の声を称賛しつつ、「こんなご時世、いつまで息子でおってもらえるかわかりませんから」と笑わせます。

一方の政之祐は、八方について「『なんでもええやん、好きにしたらええやん』っておっしゃる。それでどういうふうにやっても、うまくまとめてくれる」と持ち上げます。それを聞いた八方は「この歳になると(自分のことを)怒るもんがいてない。それがラク。歳とっていいことはそれだけ」と笑わせました。