笑福亭仁鶴をしのぶ「三回忌追善落語会」8月開催! 桂文枝、月亭八方らが“素顔”を語る「思い出トーク」も

2021年に逝去した落語家・笑福亭仁鶴の「三回忌追善落語会」が、命日である8月17日(木)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されます。6月15日(木)には吉本興業大阪本社で記者会見が行われ、仁鶴の筆頭弟子で上方落語協会会長を務める笑福亭仁智ら直弟子6人が出席。豪華ゲスト陣も出演する落語会に向けた、それぞれの思いを語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

弟子たちが知らない仁鶴のエピソードも

「三回忌追善落語会」には、桂文枝、月亭八方、桂小文枝、米朝事務所から桂南光がゲスト出演し、仁鶴との思い出をクロストークします。さらに浪曲師の春野恵子が「笑福亭仁鶴一代記」を聴かせるなどスペシャル企画も満載です。

会見は、司会を務めた笑福亭扇平が仁智、仁福、仁扇、仁嬌、仁幹、仁昇を呼び込んでスタート。昨年の「一周忌追善落語会」は無料招待制で、来場者には手ぬぐいがプレゼントされました。

仁智は「今回は有料。決して手ぬぐい代を回収するつもりはございません」と笑わせたうえで、「しっかり落語と企画もんがある。ゆかりの噺家さんに登場していただき、思い出話で皆さんに楽しんでいただく」と説明します。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

昨年は、前半に仁智と仁福、仁嬌が落語を披露し、後半は弟子たちが仁鶴のエピソードを話すという構成で、最後には仁鶴の持ち歌である『おばちゃんのブルース』を観客と一緒に歌いました。

今回は仁扇が「青菜」、仁昇が「ちしゃ医者」を口演します。仁智は、春野が披露するスペシャル企画の「笑福亭仁鶴一代記」について、「講談にしようか浪曲でお願いしようかと考えたが、師匠は浪曲が好きだったので春野恵子さんにお願いした。本当に楽しみ」と話しました。

また、桂文枝らゲストによるトークコーナーについて、「師匠はまじめというか、弟子の前ではおもろいこと言うたり失敗談はないが、仲間内ではけっこう素顔を見せたりしてたんじゃないか」と狙いを明かしました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

仁鶴が得意としていたネタを披露

仁福は「去年は(落語を)したけど全然ウケへんかったわ」とぶっちゃけて笑いを誘い、「今回は(落語では)出ないので気が楽。縁の下の力持ちで頑張りたい」と笑顔で語ります。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

通常より長く、4年半にわたって仁鶴について修業したという仁扇は、「青菜」というネタを選んだ理由を「夏場に師匠がよくやっておられて、稽古はつけてもらっていないが、勝手に覚えてしまった」と明かします。仁鶴の前でやったことは一度もないそうで、「今回、上から見てはると思う。師匠の『青菜』はおもしろいで! できれば師匠ぐらいの笑いがとれるように頑張りたい」と意気込みました。

「今日、着ている衣装は、パンツ以外、ぜんぶ師匠の形見」と話したのは仁嬌。落語会当日も同じ衣装で臨むそうで、「師匠がおられると思ってやらせていただく」と気を引き締めます。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

仁幹は一門で唯一人、落語家を休業中で、現在はNGKの向かいで「吉本キャラクター人形焼カステラ」を経営しています。そのため、「この興行が大入りになると、うちの売り上げが上がる」と笑わせたあと、「64歳まで師匠の着物の着付けをやらせていただいた。弟子の中では、いちばん会話の時間が長かったんやないかと思う」と振り返りました。

仁昇は入門39年ですが、「一門で落語会というときは、ずっとトップで出ていた。今回もトップで落語をする」とボヤいてみせます。それでも、「師匠にはいっぺんも褒めてもらったことがなかったので、今回こそ、という意気込みで落語をさせていただく」と気合は十分です。そして当日披露する「ちしゃ医者」を選んだ理由をこう話しました。

「師匠のイメージからなかなか抜けきれない、超えられない。師匠のネタをご存じのお客さんも多いので、師匠の持ちネタと違うものでお客さんに楽しんでもらおうと選んだ。これでやっと褒めてもらえるかな」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

若い世代にも“仁鶴落語”の魅力を

仁鶴が亡くなって2年。仁智は、若い世代の人にも仁鶴の魅力を伝えていきたいと話します。

「師匠のおもしろさとかセンス、エキスは師匠の落語にたっぷりある。師匠はむかし、ドーナツ盤(レコード)で初代・桂春團治の落語を聴いて衝撃を受けて噺家の道を選んだ。若い方のなかにも、師匠のレコードなりテープを聞いて衝撃を受けて『落語っておもしろいな』『噺家になりたいな』と思う方がきっと現れると思う。われわれ弟子も、しっかり意識して受け継いでいく」

仁扇は「世界の中でこんな珍しい芸はない。日本人だけがわかる、お客さんがそれをわかららないと楽しめない芸」と落語を分析し、その魅力を語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「うちの師匠はその芸を伝えるうまさがあった。われわれも師匠のやり方に惚れて入ったし、できることなら若い方にも見ていただきたいと思う。いまは落とすまでが短いが、落語は仕込んで落とすまで時間がかかる。これを楽しめる日本人が増えてほしい」

仁鶴が妻の隆子さんを亡くして休養に入ってから、家に通って酒を酌み交わすようになったという仁福は、こう振り返りました。

「神みたいな人だったが、だんだんわれわれのところに降りてきてくださった。それが、いちばんうれしかった。師匠に『お前、酒飲み過ぎやで』と言われるたびにうれしいなと思った」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

仁嬌は、仁鶴に稽古をつけてもらった際、「きっちり覚えなさい」と言われたことをいまも守り、「きっちりやらせてもらっているつもり。サービス精神旺盛な師匠でもあったので、その点も見習っていきたい」と話します。

仁幹は入門する際、仁鶴に「飯食えん世界や」と言われたそうですが、いまではタレント・芸人が憧れられる時代になり、「師匠はそれをいちばん喜んでらっしゃるんじゃないか」と語りました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

仁昇は仁鶴の話芸についてこう話しました。

「言葉の使い方が巧みで、表現方法が豊富で、それが非常に勉強になった。言葉づかいがきれいで、鼻濁音の使い方がめちゃめちゃ上手。ぜひともマネしたいと思ったまま39年、ちょっともできてません。いまも憧れています」