芸能生活55周年を迎えた月亭八方が、芸人たちのウラ話をおもしろおかしく語る「楽屋ばなし」ツアーが6月24日(土)にスタートしました。近畿2府4県を巡るツアーの皮切りとなる大阪公演は朝日生命ホールで開催され、ゲストのザ・ぼんち(ぼんちおさむ、里見まさと)がここでしか聞けないレアなトークを展開。進行役の月亭八光、なるみに加え、漫才師のスマイル(瀬戸洋祐、ウーイェイよしたか)もお祝いに駆けつけるなど、最後まで大盛り上がりの公演になりました。
75歳の八方が生涯現役宣言
公演は八方、なるみ、ザ・ぼんちによる口上から幕開け。八光の進行で、早くも「楽屋ばなし」さながらのウラ話を交えて、お祝いの言葉を述べていきます。まさとは八方とのゴルフで起きた珍プレーについて、おさむは八方夫妻が経営するスナックでアルバイトをしていた若手時代を振り返りました。
そして、本来は口上では話さない主役の八方も「どうしても喋りたい」と口を開きます。
「昭和43年(1968年)に月亭可朝に弟子入りして今年で55年。このような会を開けたのは吉本興業、協賛企業、お客さまのおかげです」
そう深く感謝すると、「今年で75歳ですが、“引退”はスーパースターがすること。凡人は自然消滅するまでまだまだやりまっせ!」と意気揚々と開幕を宣言しました。
まずは八方が一席披露します。マクラで八方は、4人いる孫たちに言及。最近は「じいじ、小噺考えたから5000円で売ってあげる」とたくみにお小遣いをせびられるそうです。そこから「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」=自分より年少の未熟な者に教えられることもあるという成句になぞらえた創作落語へつなげ、お好み焼き店を舞台にした噺で笑いを巻き起こしました。
続いて大きな拍手で迎えられたのは、サプライズでお祝いに駆けつけたスマイル。今年で芸歴20年を迎えるスマイルの2人は、「八方師匠は、倍以上の芸歴。師匠みたいに愛されるようにこれからも頑張ります!」と気合いを入れ、客席からお題をもらって即興で川柳をつくるというライブ感あふれるネタで盛り上げました。
中入りでは幕前に八方と八光が登場。来場者5人に非売品の「月亭八方トートバック」や出演者全員のサイン色紙が当たる抽選会を実施しました。大盛り上がりとなり、さらにツアープレゼントを追加。そのうえで、「今日、グッズが売れたら追加で発注するから、ぜひ買って!」とアピールも忘れません。
師匠たちの仰天エピソードだらけ
そして八方は、ザ・ぼんちの2人とお待ちかねの楽屋ばなしをスタートさせます。「先輩方から聞く話は原油のようにドロドロ。それをちょっと精製して聞きやすくしています」と八方は話しますが、実際には到底、“オンライン配信不可能”なディープな内容のものばかり。なるみは客席に向かって、「今日は口の堅いみなさんが集まっていると信じています!」と“注意喚起”していました。
八方は借金に苦しんだ時代に、漫才ブームで売れる前のおさむから100万円を借りたそうです。その恩から、ザ・ぼんちを今回の第1回のゲストに選んだとか。
そして、鬼籍に入った芸人たちのエピソードも次々と飛び出します。八方が、ザ・ぼんちの師匠・タイヘイ夢路(タイヘイトリオ)が経営していたラブホテルに行った話では、息子である八光が「結婚前? 後?」と困惑する一幕も。
同じく夢路が経営するキャバレーで、ストリッパーの代わりに漫才をしたザ・ぼんちは、目の前で客同士のケンカが始まることもあったという下積み時代のエピソードを披露しました。
かつて、ネタを仕入れに松竹・角座の楽屋へよく訪れていたという八方は、舞台の合間に遊びに来ていた横山やすしにもよく会ったといいます。そこでさまざまな師匠から聞くやすしの話は、どれも借金に関するものばかり。「男・横山にカネ貸してくれ!」と無双状態だったやすしの破天荒エピソードは、昭和の芸人らしい人間味にあふれていて、当時の光景が目に浮かぶかのような生々しさです。
ほかにも藤山寛美や人生幸朗など大師匠に関する懐かしい話が止まらず、予定時間をオーバーしてこの日の公演は終幕しました。
「楽屋ばなし」は12月9日(土)の京都・よしもと祇園花月での最終公演まで、さまざまなゲストを迎えて開かれます。毎回、トーク内容もガラリと変わるため、全公演が必見です。
月亭八方「楽屋ばなし」ツアーの詳細はこちらから。