ルミネ20周年で歴代R-1王者が集結! 佐久間一行「オレはやっぱりピン芸が好き」

今年4月にオープン20周年を迎えた東京・ルミネtheよしもと。そのメモリアルイヤーを記念したスペシャル企画の第2弾として6月29日(火)に開催されるのが、歴代R-1王者が勢ぞろいする『ルミネtheよしもと20周年記念公演 ピン芸チャンピオン寄席』です。今回はその1人、佐久間一行を直撃! “自分の一部”とまでいうルミネでの思い出や、R-1優勝ネタ誕生の秘密、大注目されている“友人”の日谷ヒロノリについてなど、たっぷり語ってもらいました。

出典: FANY マガジン

今回の記念公演では、2011年のR-1王者・佐久間のほか、2007年から2連覇したなだぎ武を筆頭に、2009年の中山功太、2010年のあべこうじ、2013年の三浦マイルド、2020年のマヂカルラブリー・野田クリスタル、そして今年の覇者・ゆりやんレトリィバァまで、歴代チャンピオンが出演します。

とんでもない劇場ができると思った

――東京の新たな常設劇場としてルミネがオープンしたのは2001年。そのころ佐久間さんは20代前半の若手でしたが、当時のルミネの印象は?

いままでライブで一緒になることのなかった雨上がり(決死隊)さん、ロンブー(ロンドンブーツ1号2号)さん、ココリコさん、極楽とんぼさんたちも舞台に立つと聞いて、まず、とんでもない劇場ができるんだなと思いましたね。

出番までに劇場の雰囲気を見ておこうと見学に行ったんですけど、出演者が豪華で、めちゃくちゃ敷居が高いなと感じて。あと、音楽もいいものを使ってたんですよ。「ティロロティロロ~♪」とか「ピロロロ~ピロロロ~♪」とか。この話、誰も覚えてなくて、わかってくれるのはロバートの秋山(竜次)だけ(笑)。秋山とは「あのころの音楽よかったよね」って話すんですけど、ショー要素の強い音楽が流れてるのも、すごいなと思ってました。

――佐久間さんはオープン当初から、若手中心の公演ではなく本公演に出ていたんですよね?

ありがたいことに『爆笑オンエアバトル』(NHK)とかに出ていたこともあって、最初から本公演に出してもらえてたんです。

実際、舞台に立ってネタをやってみると、お笑いを好きなお客さんにはウケるけど、“この人出てるなら観てみようかな”くらいの気持ちで来てくれた人や、観光とかで来てくれた人には伝わらないんだなと感じるところがあった。

お笑いがちょっとだけ好きっていう人にもウケるにはどうしたらいいのかを考えるようになったのは、ルミネのおかげです。視野が格段に広がりました。

出典: FANY マガジン

――佐久間さんは毎年夏にルミネで単独ライブを開催していますが、2004年に初めて単独が実現したときはどんな気持ちでしたか?

当時、単独ライブは、渋谷にあったシアターDっていう100人規模の劇場や、新宿にあるシアターモリエールっていう200人規模の劇場でやってたんです。

シアターDでのライブのエンディングに、スライドで「今年の単独は〇月〇日、会場ルミネtheよしもと」って出したとき、お客さんが「うわぁ!」って喜んでくれて。ルミネで単独ができるのがすごいことだと認識してくれているのがうれしかったですね。

ただ、それまでの倍以上のお客さんに来てもらわないといけないっていうのがちょっと不安で。地元にチラシを持って帰って「観に来てください」って配ったりしたんですけど、ありがたいことにすぐ完売したんですよ。

――佐久間さんの単独ライブは、いつも即完しているイメージがあります。

初めての単独からずっと完売しているのは、恵まれていますね。単独ライブをやるとき、芸人はお客さん入るかなって心配しながら、ネタ作りを進めなきゃいけない。ネタを作り終わっても、チケットが完売していなかったら、どうやって売り切ろうか考えなきゃいけないっていう悩みがあるんです。

けど、オレの場合はお客さんが毎年チケットを買ってくれるので、ネタ作りに専念できていて本当にありがたいなという気持ちです。

急遽作ったR-1優勝ネタ

――『R-1ぐらんぷり2011』で優勝したときの井戸のネタも、ルミネでの単独ライブで初披露したんですよね。手応えは感じていたんですか?

実はまったくなくて、なんだこのネタ!?って思ってました(笑)。けれど、お客さんのアンケートでいちばん反応がよかったですし、単独を観に来ていたレイザーラモン・RGと歩子のふたりが「このネタはヤバい……」と言っていたと聞きました。そして、まわりからも「絶対に面白いからネタを詰めたほうがいいよ」って言われたんです。

実はあのネタは最初、違うことをやろうとしてました。B’zのコンサート中、稲葉さんが覗き込む、みたいなことをやりたかったんですけど、(実現するのが)難しくて。断念しようと思ってたら、ルミネの美術さんにお願いしてた井戸がすでにできあがってて。あのコントなくなりましたとは言えなくなってしまったんです。

で、井戸といえばオバケ、お笑いだから怖い雰囲気から明るい感じへ、明るい感じならピンクの全身タイツがいいかなとか決めながら、急遽、あのネタを作りました。だから、本番は音楽を流しながらアドリブでしゃべるような感じだったんですよ。

出典: FANY マガジン

――急遽作ったネタがお客さんに支持されてR-1でも勝ち抜いたと。

ねぇ? わからないものですよね。それまでR-1では2回戦落ちが続いてたんです。2回戦で落ちてもルミネではウケてるし、単独も、完売になるくらいお客さんが来てくれていた。特に単独は、何度2回戦落ちしても完売していたので、だったらルミネのお客さんを信じたほうがよくないかなって。

で、R-1のことは気にせずやってみようと思ったら、決勝にも行けて、優勝もできました。勝利を引き寄せたいと思いすぎて、自分の魅力を失ってたのかもしれないですね。ルミネではウケてるし、お客さんも単独に毎回来てくれる……。おかげで、何度も踏ん張れました。

――ルミネでウケていたからこそ、自信を持てたんですね。

R-1で優勝したときは、スタッフもみなさん喜んでくれましたし、お客さんが書いてくれたお祝いコメントをまとめたボードを、ロビーに飾ってくれて。いい思い出です。

『クセスゴ』でカメラマンが思わず…

――いま話題のミュージシャン“日谷ヒロノリ”さんも、ルミネとはかかわりが深いんですよね。

初めての登場は2018年だったかな? 単独ライブに出てもらったんですけど、井戸のネタのように何か引っかかるものがあったというか。

オレとしては、日谷さんを理解してもらうにはいろんな説明が必要だと思ってたんですけど、当時付いてくれていたマネージャーが「日谷さんには何かあります。先にMV(ミュージックビデオ)を作りましょう」って、『CHANGE』という曲のMVを作ったんです。

日谷さんには翌年の単独にも出てもらって。単独はいつもすべて新作なので、2年連続で出てもらうのはどうだろうと思ったりもしたんですけど、なにか可能性がありそうだなって思い始めていたこともあって、ギリギリまで迷って、出てもらうことにしたんです。

出典: FANY マガジン

――そこから『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)への出演に繋がります。

お話をいただいたとき、番組タイトルに“クセがスゴい”と入ってたので、思い切って日谷さんを紹介したら、初回でグランプリを獲ったんです。

これは日谷さんから聞いた話なんですけど、いまスタジオは無観客で、収録中はカメラマンさんとディレクターさんしかいない状態なんですって。で、歌い終わったあと、カメラマンさんがカメラから目を離しながら「面白い!」って言ってくれたらしいんです。けっこう距離があるカメラマンさんの言葉が聞こえてくるなんて、何度もあることじゃないでしょう? そこで、日谷さんは手応えを感じたと話してました。

――6月9日(水)にはデジタルシングル『ひとりで戦う者たち』と『Uu!Uu!Uu!~打たれ強くそして弾き返せ~』が2曲同時リリースされるなど、いまや大人気ですもんね。

マネージャーのアドバイスで作ったその『CHANGE』のMVも、1万回くらいだった再生回数が、番組のおかげで30万回再生くらいになりました。

さっきRGと話してたんですけど、芸は身を助けるというか。時代が来たときに(『CHANGE』のように)合うものをスッと出せるのは、ルミネでいろんなことをやり続けてきたからです。オレはお笑いっていう仕事のなかで、ネタを作ったり、作ったものを発表したりするのがいちばん好きなんですけど、そういう場がずっとあるというのもありがたいなと思います。

ピン芸人だけのライブはうれしい

――6月29日(火)に開催される『ピン芸チャンピオン寄席』には、歴代のR-1チャンピオンが大集合しますね!

こういうライブをやってもらえることが、まずうれしいですね。『M-1』や『キングオブコント』って、全国ツアーや企画ライブがたくさんありますけど、ピン芸人はあんまりないので。

オレはやっぱりピン芸が好きなんですよ。自分の世界観やレールがきちんとあるというか。やりたいことにまっすぐ進んでる、そのそれぞれの特徴を観られるのがピン芸のいいところなので、(自分も)客席に座って観たいくらいです。

――当日はどんなネタを披露する予定ですか?

まだ悩んでます。もし2本できるなら、(R-1で優勝した)井戸のネタと最新のネタをやれたらいいなと思うんですけど、寄席ということは、10分ネタになる可能性もあるので。けど、観に来てくださる人に楽しんでもらえるようななにかができたらいいなと思ってます。

出典: FANY マガジン

――あらためて、佐久間さんにとってルミネはどういう場所なんでしょうか?

オレにとって、自分の一部みたいなもの。これからもずっと軸となる場所ですね。本当に思い出が詰まりまくってますから。

風呂なし(アパート)に住んでいたころは、ルミネのシャワーを何回使わせてもらったか。前日、風呂に入らず、ルミネに来て出番前にシャワー。出番が終わってからも、夜の風呂代を浮かすためにもう1回入って帰ったこともありました。

急に熱いお湯が出たかと思えば、お湯がほとんど出ない時期もあって……。柄を伝ってしかお湯が出ないから、シャワーヘッドに体を押し付けて洗ったこともありました(笑)。

2011年から年末の恒例ライブもルミネでやってますし、全国ツアーの初日がルミネで、最終日もルミネ 、DVD収録もルミネ……本当に数えきれないくらい出演させてもらってます。

――では、今後のルミネはどんな劇場であってほしいですか?

ルミネができた当初に感じた“敷居が高い”っていう感覚は、これからもずっと持っていたいですね。簡単に単独ライブができないとか、芸のハードルが高い劇場であってほしい。

ルミネの敷居がどんどん高くなって、「いまのままだと佐久間さんは出られません」って言われたとき、「もう1回出られるようにがんばる!」って思えるような劇場であってくれたらうれしいなと思います。

YouTubeチャンネル「佐久間一行チャンネル」はこちらから。

公演概要

『ルミネtheよしもと20周年記念公演 ピン芸チャンピオン寄席』

日時:6月29日(火) 開場18:00 開演19:00 終演20:00
出演:なだぎ武、あべこうじ、佐久間一行、三浦マイルド、中山功太、マヂカルラブリー ・野田クリスタル、ゆりやんレトリィバァ
チケット:前売2,500円 当日3,000円

FANYチケットはこちらから。

日谷ヒロノリ新曲概要

『ひとりで戦う者たち』『Uu!Uu!Uu!~打たれ強くそして弾き返せ~』

配信開始:6月9日(水)
配信元:iTunes Store、Apple Music、Spotify、LINE MUSIC、レコチョクなど

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