お笑いコンビ・例えば炎(田上、タキノルイ)の田上によるピンでの単独ライブ『高島渉』が、6月9日(火)に大阪・よしもと道頓堀シアターで開催されました。田上がピンネタを披露するのはNSC(吉本総合芸能学院)のとき以来とのこと。田上は、このライブで何をしたくて、何を伝えたくて、そしてタイトルにある「高島渉」とはいったい誰なのか……。気になるところが盛りだくさんのライブの模様を、芸人ライターとしても活動している茜250cc・善家カズマサがお伝えします! 本番直後の田上にインタビューも行いましたので、”本音”の部分まで深くお楽しみください!

映像と舞台がリンクする爆笑コント
例えば炎といえば、今年の『第55回NHK上方漫才コンテスト』で優勝した、いま乗りに乗っているコンビ。そのボケ担当である田上は、過日放送された『マルコポロリ!』(関西テレビ)で「ボケているところも、ツッコんでいるところも見たことがない」と言われるほど”謎”に包まれた芸人です。
そして「高島渉」とは、例えば炎のコントで田上が演じた“64歳の高齢男性”のキャラクター。ファンにはお馴染みの人気キャラで、3月に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されたコンビの単独ライブで登場した際には「アベンジャーズのスパイダーマンが登場したときくらい盛り上がった」という逸話もあります。

情報量が多いのと、芸人は話を“盛る”クセがあるので、ライターとしてはこちらの真偽をしっかり確認しておかないといけません。足を使い、吉本興業の各部署の社員、作家、舞台スタッフに直接聞き込みしたのですが、どうやらこちらの話……事実のようです(笑)。
この日の会場となった道頓堀シアターのロビーでは、投影された高島渉の姿の写真を撮るために長蛇の列ができ、コラボメニューは完売しており、まさにスーパースター級の人気を博していました。
チケットは完売で満席の会場内に、田上がピアニスト“zeRo~ピザ釜~”として演奏する楽曲が流れ、スクリーンに「高島渉」の文字が縦書きで映し出されると、まるでいまから映画が始まるような世界観を感じました。……zeRo~ピザ釜~????

まずはオープニング映像からスタート。ここでは高島渉の半生を振り返っており、例えば炎の単独ライブに来たことがある方からは笑いが起こり、知らない方でも学びながら楽しめる導入になっていました。
本編は、まず映像コントから幕開け。今回のライブは、映像コントと高島渉によるコントが交互に展開される構成で、その内容がリンクします。映像では田上とプライベートでも仲のいい“東京の先輩芸人”や、マンゲキ(よしもと漫才劇場)屈指の“キャラ強芸人”らが登場し、客席から歓声にも似た笑いが起こりました。
ちなみにこの“キャラ強芸人”の方は最近ダイエットに励んでおり、わたしは楽屋でよく「痩せたと思わん~? どう~?」と聞かれるのですが、映像で見るとたしかにアゴまわりがシュッとしたかも……?
ライブのテーマは、「高島渉が“生き甲斐”を大事にしながら、これからの人生をリスタートさせていく」というもの。映像ゲストの2人からの導きを受けながら、さまざまなことに挑戦、奮闘する高島渉の姿を見ることができます。

6本のコントで堂々たるパフォーマンス
この日、高島渉はコントを合計6本披露。……いや6本!? いままで、ピンネタの経験がNSC時代の1本だけだったのに、この日だけでまさかの6本! 自分事に置き換えると不安に押しつぶされそうになるのですが、堂々たるパフォーマンスでドカドカ笑いをとっていきます。
またその6本の内容も、音声を使ったコントや映像を使ったコント、小道具から展開させていくコントなど、1本1本のテイストが違い、バリエーション豊かで、さながら“本物のピン芸人”の単独ライブのようでした。田上、凄いよ本当に!
田上といえば、先日、わたしが執筆したあるライブで、“とても文字起こしできない”ような発言をしていたのですが、この日の公演でも何度も際どい、ギリギリな発言をネタの中に組み込んでおり、そのワードの数々も大きな笑いを起こしていました。
ちなみにですが、文字起こしはできません(笑)。

わたし自身、「高島渉」というキャラは初見だったので、最初は“田上が演じるキャラクター”として見ていました。しかし、ネタと映像を追うごとに1人の「高島渉」という人間として認識するようになり、ぐんぐんとその世界観と人間性に引き込まれていきました。
なかでも特筆すべきは最後に披露したコントで、いままでのお笑いライブで見たことのない構成に、お客さんも「まさか自分がこんなことになるなんて」「これはもはや他人事ではない」といったリアクションで、会場には独特の緊張感が生まれていました。
まさに笑いの教科書にある“緊張と緩和”を体現するような流れで、会場は大爆笑に包まれました。詳しい内容は、ぜひ配信でご覧ください。わたしも、自分に降りかかることはないとわかっていながらも、緊張して頭が熱くなるくらい回転していました(笑)。

こうして、映像も含めると、なんと11本ものコントを披露し、大爆笑のなかライブは閉幕しました。最後には、エンドロールで携わったスタッフの名前が続々と映像に移し出され、まさに1本の映画を見たような満足感。エンドロールで使用された音楽も、もちろん“zeRo~ピザ釜~”によるピアノです。……zeRo~ピザ釜~?
「最後のネタでお客さんに復讐できた」とは…
終演後、ライブをやり切ったばかりでホカホカの状態の田上にインタビューを行いました!
――まずはお疲れさまでした! 単独ライブが終わった瞬間、まずどんなことを思いましたか?
田上 ほんまに、せいせいしました。
――せいせいしました!? 安心したとか、やり切ったとかじゃなくて?
田上 まあそうですね、最後のネタでお客さんに復讐もできたんでね。
――あれ復讐のつもりやったん!? なんでお客さんは復讐されなあんねん!
田上 だって、チケットが売れなかったらそのまま中止にできたのに。
――どんな理由やねん(笑)。満席やったし、すごい盛り上がりやったよ。そもそもなんでそんな後ろ向きやのに、ピンで単独ライブすることになったん?
田上 正月に道頓堀シアターであったイベントで、占い芸人のますかた一真さんに「今年はピンの動きがあったほうがいい」って言われたんですよ。そこで相方のタキノが「ピン単独とかですかね?」っていらんこと言ったら、その場でもうピン単独やることが決定してしまった感じです。イベント終わって袖にハケたら、もう日付も決まっていて、マネージャーもノリノリで……。

――自分の口からやりたいとかは一言も言ってないんや(笑)。でも、1月に決まったんやったら、けっこう準備期間あったんじゃない?
田上 5月15日くらいまではほんまに何も考えずに過ごしていました。ほんまに加茂さん(担当作家)さまさまです。
3週間かけて準備したネタを1日で作り直し?
この日、田上は何度も「加茂さんさまさまです」という言葉を口にしていました。たしかに単独ライブは、作家と二人三脚で作り上げていくものなのですが、この言葉にはいったいどんな真意と経緯があるのでしょうか。
――何回も「加茂さんさまさまです」って言ってるけど、何があったの?
田上 今日の午前1時に、ネタ時間の確認とかもあるしっていうので、今日やるコントを初めて加茂さんに見せたんですよ。頑なにいままで隠してたんですけど。それで3本目まで見せ終わったときに「あかん。ほんまに、まじでおもんない」って言われて(笑)。そっから「ヤバイヤバイ!」ってなって、2人で寝ずに朝までかけて全部書き直したんです」
――やば! 当日の朝に!? 6本のコント全部おもんなかったん?
田上 いや、3本目までやって、全部おもんないって言われたんで、4本目からは恥ずかしくて見せませんでした(笑)。なので、5月15日から1人で3週間かけておもんないもの作って、加茂さんのおかげで1日でおもしろいものになりましたね。

――それはほんまに加茂さんさまさまやな(笑)。でも無事に全ネタ大成功やったし、相方のタキノに「単独どうやった?」って聞かれたらなんって答えるの?
田上 無視します。
――なんでやねん!(笑)
田上 あいつ、ムカつくんですよ。あいつ、今日オフですからね? タキノが言い出したことやのに。本当に僕、この2週間散々だったんですよ! 毎日深夜までネタ考えて、帰ってるときに、なんてことない段差で転んだし。AirPods両耳と家の鍵なくすし。
今日なんか、電気代の決済方法を変えたせいで上手いこと引き落としができてなくて、家の電気止まったんですよ! こんな追い詰められてるなか、僕、電気ない状態で準備して来ましたからね。
――それは散々すぎるな……。でも、それと引き換えにじゃないけど、ほんまに良い単独ライブやった! 凄かった! では最後に、見てくれたお客さんにメッセージをお願いします!
田上 ざまぁみろ!
――ありがとうございました!!

以上、例えば炎・田上によるソロ単独ライブ『高島渉』のライブレポでした。果たして『高島渉』は再びどこかで登場するのか、はたまた2回目のソロ単独ライブは開催されるのか……? 乞うご期待ください! 本人は「二度とやらない」と言っていましたが(笑)。
『例えば炎・田上単独ライブ「高島渉」』と『高島渉アフタートーク配信「言い訳」』の模様が6月16日(火)23:59までオンラインで見逃し視聴ができます(チケット販売は同日正午まで)。その期間の好きなタイミングでFANYIDメンバーは24時間/プレミアムメンバーは72時間、見逃し視聴をお楽しみいただけます。
FANYオンラインチケット:https://online-ticket.yoshimoto.co.jp/
