『関西演劇祭』実行委員長は吉岡里帆! 「まだ演劇の面白さを知らない人に魅力を伝えたい」

演劇を通じて関西の街を元気にしようと2019年に始まった『関西演劇祭』が、今年も11月に開催されます。それに先立つ10月23日(土)、東京・よしもと有楽町シアターで実行委員長発表会見が行われました。2021年の実行委員長に就任したのは女優・吉岡里帆で、会見にはフェスティバル・ディレクターを務めるお笑い芸人の板尾創路、スペシャルサポーター(審査員)を務める映画監督の行定勲氏、劇作家で演出家の西田シャトナー氏、さらに今回が初参加となるNHKエンタープライズの一色隆司氏らが登壇し、演劇祭への意気込みを語りました。

出典: FANY マガジン

『関西演劇祭』は“つなぐ”をテーマに、クリエーター・劇団・観客・審査員やスタッフなど、参加するすべての人に「出会いの場を提供する演劇祭」をモットーとして、関西から演劇シーンを盛り上げようとスタートしました。第3回となる今年は、全国から厳選されたバラエティ豊かな10劇団が参加。COOL JAPAN PARK SSホールで11月20日(土)~28日(日)まで開催されます。

「大人の文化祭みたいな演劇祭になりそう」

会見では、まず実行委員長に就任した吉岡がにこやかに挨拶しました。

「“実行委員長”という肩書きは少し荷が重いなとも思ったんですが、大人の文化祭みたいな楽しそうな演劇祭になりそうですし、新しい魅力を発信していければいいなと考えました。まずは演劇を心から楽しむことを大事にしたいなと思っています」

出典: FANY マガジン

次いで、初回からフェスティバル・ディレクターを務める板尾が、「今年で3年目ということで、節目かなと思います。今回で演劇祭としての完成形になるような気もしているので、たくさんの方に見ていただけるようがんばって運営していきたいと思っておいます」と意気込むと、西田氏も「コロナが収束したわけではないとはいえ、演劇祭が普通にある時代にまた近づいてきたのかなと思っております」と、なにより“開催”できたことへの喜びを口にしました。

出典: FANY マガジン

一方、こちらも3年連続の参加となる行定監督が、演劇祭の魅力を語ります。

「過去2回の関西演劇祭では、毎回、東京では出会えなかった才能を目の当たりにすることができ、非常にワクワクさせてもらいました。3年目となる今年は、さらに関西のすごい才能が結集している気がするので、僕自身も楽しんで参加したいと思っています」

こうした声に、初参加となる一色氏は「みなさんのお話を聞いていると、明日にでも『観たい!』という気持ちになりました」と、期待感に胸を弾ませていました。

出典: FANY マガジン

関西の劇団は「秘密基地みたいだった」

実行委員長の吉岡は、大学時代に初めて観た舞台が素晴らしくて、“人生が変わるような瞬間”を体験したと話します。吉岡にとっての演劇の魅力は、「どんなに小さな劇場でも、幕が上がると世界がブワッと広がるところ」だそうで、「その場でしか見られないナマモノの貴重さだったり、そこにいた人だけが共有できる何かが演劇の価値だと思っているので、実行委員長として、まだ演劇の面白さを知らない方にその魅力を伝えていきたい」と意気込みます。

実際、自身も大学時代、関西の劇団に客演していた経験があり、関西の劇団の空気感を“秘密基地みたいだった”と振り返ります。

「当時、私が出演していたのは小劇場がほとんどでした。お客さんとの距離の近さも含め、どこか『秘密基地』っぽい感じがあって。観客として観に行くときも、人に教えたいような、でもこっそりひとりで行きたいような気もするんですよね」

出典: FANY マガジン

また、『関西演劇祭』の特色ともいえるティーチイン(上演後に劇団員、観客、審査員が意見交換する仕組み)について、「その場でお客さんや審査員と一緒に話せるなんてそうないと思う」としたうえで、「みなさんと一緒に芸術や文化を楽しむには“正直になること”が大事だと思う。私は思ったことを素直に話したいと思います」と、現場では忌憚ない意見を述べることを宣言するなど、実行委員長としての頼もしさも見せていました。

出典: FANY マガジン

バランスが悪い劇団のほうが印象深い!?

これまでに印象に残っている劇団を聞かれた板尾は、「ちょっと卑劣な手段で演劇を行う連中が結構、印象に残ってますね。名前は伏せますけど(笑)」と話し、会場の笑いを誘います。

「なんとか目立とうとして姑息なことするから、見てるとイラッとするんですけど、そんな劇団があってもいいと思う。演劇にも“正義(正統)”と“悪(邪道)”があると思うんですが、当然、悪もあっていい。別に法律に違反しているわけではなくて、(演劇の)やり口なので。まぁ、評価してるわけではないんですけど(笑)」

そんな板尾に対して西田氏も、「やっぱり、デコボコしてたりバランスが悪かったりするほうが印象に残ってますね。人間ってデコボコしたり、バランスが悪かったりしていると思うし、だからやっぱり劇団もバランスの悪いほうが印象に残るというか。(劇団の)名前はあえて伏せますけどね(笑)」と語りました。

出典: FANY マガジン

一方、行定監督は実感を込めてこう話します。

「演劇祭は映画祭と違って、一生に1回しかない瞬間なんです。映画は何回見ても同じものだけど、演劇は毎回違う。この演劇祭では、ひとつの劇団が同じ作品を3回ずつ上演するんですけど、1回目がすごくよかったからといって、2回目も同じような熱量を出せるかといったらそうとも限らない。毎回、観るたびにまったく違うものになってたりするんです。だから、“この1回”に賭けてやり切っている劇団は印象に残りますね」

出典: FANY マガジン

実行委員長の吉岡も、「私もいびつなものだったり、その人にしか出せないエネルギーに出会ったときにとても感動するので、そこがいちばん楽しみです」と“真剣勝負”の瞬間を楽しみにしていることを明かしました。

3年目を迎えた演劇祭の新しい試みとして、クラウドファンディングを立ち上げることも発表されました。エンタメに関わる新しい才能を発掘し、その活躍を実現させることが目的です。演劇ファンだけでなく、すべてのエンタメファンに贈る『関西演劇祭2021』に、あなたも参加してみませんか?


公式サイトはこちらから。
FANYクラウドファンディングはこちらから。

開催概要

『関西演劇祭2021』
日程:11月20日(土)~28日(日)
場所:COOL JAPAN PARK OSAKA SSホール
参加劇団:劇想からまわりえっちゃん、劇団不労社、劇団5454、劇団レトルト内閣、試験管ベビー、創造Street、project真夏の太陽ガールズ、メガネニカナウ、猟奇的ピンク、笑の内閣
フェスティバル・ディレクター:板尾創路
スペシャルサポーター:西田シャトナー(劇作家・演出家・俳優・折紙作家)、行定勲(映画監督)、一色隆司(NHKエンタープライズ制作本部ドラマ番組エグゼクティブ・ディレクター)
実行委員長:吉岡里帆