川島・山内おすすめ「一気読みできる、ちょうどいい長さのマンガ」|川島・山内のマンガ沼web

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、次回放送の「第2回・一気読みできるマンガ」を、放送に先駆けて紹介していきます(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。


「お願いだからやってくれ!」を全部やる『復讐の毒鼓』

川島 今回のテーマは、「第2回・一気読みできるマンガ」! 完結済みで、一気に読めちゃうマンガを紹介します。

山内 最近のマンガはけっこう長いのが多いので、「そんなに続いてるんだったら、もう追いつけない」と思う人もいるかもしれませんけど、今回紹介するのは、5〜6巻で完結してて一気に読めるマンガです。

川島 正直、2時間あれば全巻読めます。1本の映画を観るくらいの感じと思ってください。

山内 新幹線で読むのにちょうどいい。

川島 そう、行き帰りで読むのにちょうどいい! 確かに俺が今日紹介するの、新幹線で読んだ作品やわ。じゃあ山内くんからお願いします。

山内 まず紹介するのは『復讐の毒鼓』。全6巻で完結してます。このマンガ、ネットのおすすめで出てきて、全然バックボーンを知らずに読んだんですよ。実はこれ、韓国でアニメ化もされた、韓国マンガの日本語訳版なんです。

川島 韓国のマンガなんだ。

©Meen X Baekdoo / Toyou’s Dream 2020

山内 原作がMeenさん、作画がBaekdooさんです。僕は韓国のマンガだと全然気づかなかったです。あらすじなんですが、ある街に「毒鼓」(どっこ)と呼ばれる伝説の不良がいます。表紙になっているのがその毒鼓なんですけど、名前は神山勇というんです。勇には外見が瓜二つの双子の兄・秀がいましたが、学校でのいじめによって死亡してしまいます。その知らせを聞いた父親も、その道中に交通事故で死亡。母親はうつ病になり、行方不明に。一つの家庭が学校でのいじめによって崩壊してしまうんですね。全てを失った主人公の神山勇は、死んだ双子の兄・秀の敵を討つため、兄になりすまして学校に復学するんです。

川島 なるほどね。

山内 お兄さんは死んじゃったんですけど、学校では休学扱いになってたんです。で、兄になりすまして復学して、兄を殺した不良グループ「ナンバーズ」を壊滅させるために、勇の壮絶な復讐劇が始まる……というお話です。聞いた感じ、いじめられてたお兄さんの代わりに、弟が学校のいじめっ子たちを倒してゆくベタなマンガかと思うじゃないですか。

川島 そう思っちゃいました。

山内 そういうマンガですね。

川島 えっ(笑)?

山内 そういうスーパー王道のマンガです。

川島 「思うじゃないですか?」と来たら、その後「実は……」ってなるじゃないですか。

山内 実は、そういうマンガです。ドストレートマンガです。学校に行ってみたら、不良の序列ができてて、「ナンバーズ」という奴らがその上位にいると。だからそのトップを倒さなければ復讐にならないんですけど、復学した時点ではトップが誰かなのか、わからないんですよ。

川島 ああ、そうか。

©池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 だから、いじめられっ子だったお兄さんのふりをして、いじめを受けながら、情報を引き出して行くんです。で、情報を引き出したら、「もうお前からは情報もらったから隠す必要ねえな」という感じで、誰も見てない場所で、伝説の不良「毒鼓」に戻る。いじめっ子たちは「なに髪型変えただけでイキってんだよ」みたいな態度なんですけど、毒鼓はとんでもなく強いから、さっきまでいじめてた奴にボコボコにされるわけです。で、毒鼓は逆にいじめっ子を自分の手下に従えていって、ナンバーズの上の奴らを倒していくんです。

川島 それがすべて?

山内 それがすべてです。痛快ですね。いじめに来た奴をボコボコにして返り討ちにして、最後はナンバーズのトップを、言うたらあれですけど……倒します!!!

川島 言っちゃった(笑)。

山内 それがわかってても楽しいんです。こっちが「お願いだからやってくれ!」と思ってるときに、やってくれるから。思った通りのこと全部やってくれます。逆に言うと、「そんなんいらんねん」という展開が一切ないんですよ。韓国ではアニメ化されて、大人気みたいです。全6巻なのですぐ読めます。

混ぜるな危険! SFと不倫が混ざった『あげくの果てのカノン』

川島 私が紹介するのはこちら、『あげくの果てのカノン』。奇跡の全5巻。作者は米代恭さん、現在『往生際の意味を知れ!』を連載中の先生です。この方のマンガはもう、ハズレがありません。で、僕はこの『あげくの果てのカノン』にかなりの衝撃を受けました。これは山内さん、知らない?

山内 知らないです。ただ、『往生際の意味を知れ!』は、川島さんのおすすめということで読んでみたら、めちゃくちゃ面白かったです。

©米代恭/小学館

川島 『往生際の意味を知れ!』はけっこうドロドロした内容なんですけど、『あげくの果てのカノン』はその原液みたいな、かなりのドロドロ感です。設定的にはSFなんですよ。ゼリーと呼ばれる、でっかいくらげみたいな地球外生命体に侵略を受けた近未来の東京が舞台です。主人公はパティスリーで働く可愛らしい女性、高月かのんちゃん。彼女には高校時代から想いを寄せている相手がおりまして、それが今は世界の英雄となっている既婚者の境先輩です。地球外生命体と戦う近未来SFなんですけど、これに不倫というジャンルが掛け合わさってます。

山内 それは他になさそう。

川島 SFと不倫、「混ぜるな危険」の中でも最も危険なやつでしょ。恋愛と思いきや、なかなかのサスペンスなんですけど、主人公のかのんちゃんは、地球外生命体と第一線で戦うスーパーエリートの境先輩にずっと憧れているんです。先輩とは学校が一緒だったので、かのんちゃんは昔、告白をしたことがある。まあそこではフラれるわけですけど、そこからずいぶん時間が経っているのに、今も先輩が好きで好きで仕方がない。どれくらい好きかというと、彼女が働く店に境先輩がたまにスイーツを買いに来るんです。で、かのんちゃんは普通に店員として、「これください」「わかりました」みたいに接客するんですけど、その会話を全部録音してるという。

山内 こわっ!

川島 全部録音して、深夜に自分で聞き直して、ニヤニヤしてる。他にも、友達に先輩のことを聞かれたら、すさまじい文字量で説明して、ドン引きされたりもしてるわけです。ちょっと怖いくらいの、異常な愛情なんです。でも先輩には美人の奥さんがおられる。だからあくまでも先輩は憧れの存在、自分には高嶺の花……やったはずなんですけど、この境先輩がかのんちゃんにアプローチしてくるんですよ。記念日にデートに誘ってきたりして、どんどん好意を見せてくるから、「この恋、上手くいくんじゃないか」みたいな雰囲気になってくる。で、1巻の後半で特別な場所に連れていかれて、かのんちゃんはずっと我慢してた感情が爆発して、「ずっと好きでした」と告白しちゃうんです。そしたら……(告白後の見開きのシーンを見せる)。

山内 ええええええええ!? 急!!!!

©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 ずっと恋愛マンガとして読んでたら、「そういえばゼリーとかいた!」ということになるんですよ。そこからスタートするんです。

山内 なんなんですか、その話。

川島 女性の先生が描いてるので、タッチは柔らかいんですけど、心の描写はすごくリアルで、赤裸々にぶつけておられます。これをご覧の男性に言いたいんですけど、ちょっとでも「不倫しようかな」「奥さんいるけど、あの子と火遊びしようかな」と思ってる人にこそ、読んでほしい。不倫でどれだけの人を不幸にするかというのが、全てわかります。

山内 そんなことまでわかるんだ?

川島 「生半可な気持ちで不倫とかすんなよ、ちょっとの不倫で世界終わんねんぞ!」と。

山内 それ不倫のせいなの?

川島 不倫のせいです。だからまあ、不倫した人とされた人がいますよね。された方がとんでもない権力を持ってたり、とんでもない重要機関にいたとすると、裏切られたことによって暴走したらどうなるかわからないという。世界のピンチをなんとか水際でガードしてる人がいて、その旦那が不倫してたらどうなります? 終わるんですよ世界! 「不倫しようかな」とかちょっとでも考えてる人は読んだほうがいい。あるいはそれを見ている奥様は旦那に絶対読ませたほうがいい。めちゃくちゃ怖いですから。

山内 僕、そうでなくても「不倫したらどうなるかわかってんだろうな」って言われてますから。一応、嫁は「チンコ切って女刺す」と言ってます。

川島 「雨降って地固まる」みたいな言い方やな(笑)。「チンコ切って女刺す」。とにかくこれは本当に読んでほしい。よくこの内容を5巻で終わらせたなと思います。そして最後の最後で『あげくの果てのカノン』の意味がわかります。

山内 このタイトル、めっちゃセンスありますよね。

川島 この先生、天才やと思いますね。5巻で読むには、ちょっと心の体力奪われますけども、絶対読んでほしい。

山内 新幹線行き決定!

スピード感が半端ない、入れ替わりもの『チェンジザワールド』

山内 次の僕のおすすめはこちら、『チェンジザワールド―今日から殺人鬼―』! これは文字通り世界が変わる、つまり俗に言う「入れ替わりもの」なんですけど、どんでん返しの感じとかも含めて、スピード感が半端ないです。5巻で終わります。作者は神崎裕也先生、『ウロボロス』の先生ですね。

川島 『ウロボロス』、名作ですよ。

©神崎裕也/新潮社

山内 この先生の作品、ちょっと毒っ気のある感じなんですよね。あらすじなんですが、主人公は自称社会不適合者のダメ男・斉藤唯一。唯一と書いて「ゆいち」と読むんですが、そんな唯一が自殺しようと廃墟を訪れたところ、先に死んでいる人がいたんです。そこに拳銃が落ちてて、「どういう状況?」と思って拳銃を手に取った瞬間、エリート警察官の光宗朔太郎が「手を上げろ」と言って入ってくる。唯一は「違うんです」と言いたいんだけど、光宗が銃を撃って、唯一も反射的に銃を撃っちゃうんです。で、気が付いたら、なぜかそのエリート警察官の光宗と唯一が入れ替わってるんですよね。

川島 はいはい、お互い同時に撃ったから。

山内 唯一が朝、顔洗おうとしたら、男前の光宗の姿になってるんです。光宗はエリート警察官だから、職場に行ったら、上司からは褒められるし、きれいな女性からはデートに誘われるし、みんなからチヤホヤされるんです。ずっとダメ人間だった唯一は新しい人生を手に入れて、そこから世界が変わってハッピーな生活を送るのかなと思いきや、光宗の住む大豪邸に戻って冷蔵庫を開けたら、なぜかそこに生首があるんです。

川島 こわっ!

山内 冷蔵庫に生首が、しかもいくつもあった。実はエリートでイケメンの光宗は、猟奇的な連続殺人鬼だったんですね。

川島 イケメンエリートの裏側が見えちゃった。

©池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 で、唯一が光宗になったということは、光宗は唯一になってるんです。で、ある日電話がかかってきて「おいお前、俺の身体を持っているよな?」みたいなことを言われて、今度は自分に追われる立場になるという。で、ここからさらにもう一伸びするんです。光宗がただの悪い連続殺人鬼なのかと思ったら、そうでもないんですよ、とだけ言っておきます。

川島 これはちょっと複雑ですね。

山内 展開が早いんです。こうなってこうなった、じゃあこのまま行くのかな……と思ったらもう一ひねり、二ひねりというふうに展開がゴロゴロ転がっていく。そこがこのマンガのおすすめポイントですね。で、駆け抜けて、きっちり5巻で、納得の終わり方をしてくれます。丁度いいです。これはもう絶対、新幹線です。下手したら名古屋までかもしれないですけど(笑)。

川島 1時間半で終わっちゃう(笑)。

山内 読めすぎて。『ウロボロス』好きな人には、絶対合うと思います。

家を買う人・借りる人は必読『プリンセスメゾン』

川島 次に紹介するのは、一風変わった作品です。『プリンセスメゾン』、全6巻でございます。

山内 おしゃれさ優先してません(笑)?

©池辺葵/小学館

川島 なんでマンガ沼で、モテようとしてんねん(笑)。『プリンセスメゾン』、作者は池辺葵先生。「このマンガがすごい!2016オンナ編」10位に入っております。さらに2016年には森川葵さん主演でテレビドラマ化されました。どんな話なのか簡単に言いますと、居酒屋で働きながらアパートで一人暮らしをしている沼越幸(ぬまごえ・さち)ちゃんが主人公です。彼女は月収20万くらいなんですけど、その彼女が都内で家を買えるのか?という話なんです。

山内 ほおーー。

川島 すっごいリアルなんですよ。幸ちゃんは理想の家を求めて、いっぱいマンションの見学に行くんです。不動産屋も顔を覚えてるくらい。新人の不動産屋が負けちゃうくらいの知識を持っている。で、収入の多くない独身女性が家を持つことは果たして無謀なことなのか?ということが描かれていくんですけど、「女性が住宅ローンで家を買うのはこんなに難しいことなのか」って、ちょっと身につまされました。

山内 この話、めっちゃ好きかも。僕、不動産めっちゃ好きなんですよ。「小枝不動産」(読売テレビ「土曜はダメよ!」の1コーナー)も見てますから。

川島 まずこの幸ちゃんがいつも行く不動産屋に、イケメンで知識も深い伊達さんという社員がいるんですけど、この伊達さんとのやり取りが、めちゃくちゃ専門的で面白い。山内さんはもう家買いましたよね。

山内 買いました。

川島 でもこれから先の人生で、また家を買うかもしれない。これをご覧の皆さんで、家を借りたい、買いたい人は絶対読んでほしい。めちゃくちゃ不動産の知識が書いてあるんですよ。「現地確認を怠るべからず」とか。たとえば現地を下見に行くとき、昼間空いてる時間を見つけて行く人が多いでしょうけど、いやあなた、夜は見たんですかと。街灯がないかもしれませんよ。昼はなんともないけど、夜になったら治安が悪くなるかもしれませんよ……みたいなことが書いてあるんです。

山内 ほんまの不動産ですね。

©池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 そう、だから不動産屋に行く前に読まないといけない。衝撃だったのが、住宅ローン審査の話で。住宅ローンの審査って厳しいじゃないですか。今までの人生を全部洗われるから。で、多額の借金をしてるのはもちろんダメなんですけど、なんと携帯代を1回滞納しただけで、審査の印象がかなり悪くなるんですよ。

山内 そうなんですよね。これは僕も言われたことがあります。

川島 「たかだか月1万円も払えんかったんや、この人は」ということで、めちゃくちゃ印象悪いんですって。あと、モデルルームに行って「めっちゃいいから、ここにしよう」と決めるのは、まず1回深呼吸してくださいと。モデルルームというのは、オプションを全部つけた状態で提供してるから、何もない状態に戻ったときにイメージが違いすぎて、ゲンナリするかもしれませんよと。そういうことがめっちゃ書いてある。

山内 勉強になるー!

川島 6冊全部、そういうことが書いてあります。

山内 最高じゃないですか。

川島 ストーリーも面白いんだけど、不動産としての知識もめちゃくちゃ手に入るんで、これは読まないともったいないですよ。将来的に家を買いたい人は絶対おすすめです。

©池ノ谷侑花(ゆかい)

*「第2回・一気読みできるマンガ」の模様は、次回放送の「川島・山内のマンガ沼」にて!

(構成:前田隆弘

マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:10月30日(土)深1:37~2:07 、日本テレビ:11月4日(木)深 2:29~2:59 の放送(※一部地域を除く)です。

おたのしみに!

番組概要

川島・山内のマンガ沼
次回放送
読売テレビ:10月30日(土)深1:37~2:07
日本テレビ:11月4日(木)深2:29~2:59
「川島・山内のおすすめマンガ」を放送。
(TVerでも配信中!)

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