五輪が120%面白くなるレスリング芸人座談会! ジャンポケ太田「吉田沙保里さんの家にロケに行ったら…」

東京オリンピックでメダルラッシュが期待されるレスリング競技が、8月1日(日)から始まります。というわけで、今回は吉本が誇るレスリング芸人を緊急招集! メンバーは、競技経験があるジャングルポケット・太田博久とネルソンズ(青山フォール勝ち、和田まんじゅう)の計3人。レスリングあるあるや注目選手のマニアックエピソード、あるいは選手を芸人にたとえたり……読むだけで、五輪レスリングが120%面白くなること間違いなし!

出典: FANY マガジン

【ジャングルポケット・太田博久】
柔道歴15年。番組の企画で2016年ごろにレスリングを開始。これまで、全日本マスターズレスリング選手権大会フレッシュマンズの部で2回優勝、世界ベテランズ選手権大会62キロ級で5位と好成績を納めている。

【ネルソンズ・青山フォール勝ち】
4歳のころからレスリングをスタート。高校時代にはJOCジュニアオリンピックカップで日本1位、大学選手権で3位など輝かしい成績を収め、2008年北京オリンピック代表を目指していた実力派。

【ネルソンズ・和田まんじゅう】
小学1年から中学3年までレスリング中心の生活を送る。小学6年のときに出場した桃太郎大会での優勝が最高成績で、「女子2人と僕の3人しか出ていなかった」とのこと。将来を期待されつつ、高校でレスリングを断念。その理由を本人は「高校から推薦がいっぱいきていたけれど、頭が悪すぎて、中学の校長先生が『こいつは行かせられない』と言われた」と説明。

出典:和田提供

まずはレスリングの基本の基から

【スタイル】
レスリングのスタイルは大きく3つに分けられます。全身への攻撃が可能な「男子フリースタイル」「女子フリースタイル」、上半身への攻撃のみで戦う「男子グレコローマン」です。

【主なルール】
3分2ピリオド制。直径9メートルの円形状マットで対戦。相手の両肩をマット上に1秒以上完全に押さえつける「フォール」、またはポイントの差が、フリースタイルは10点、グレコローマンは8点で「テクニカルフォール」となり勝敗がつく。警告を3つ受けた場合も、その時点で勝敗確定。警告は、消極的な姿勢や反則などに対して与えられる。

【主なポイントの内訳】
1ポイント:対戦相手の足を場外へ出すなど
2ポイント:相手が伏せたグランドの状態で、相手の背後から技を仕掛け、頭、両手、両足のうち3点がマットにつくなど
4ポイント:立っている状態からの投げ技など
5ポイント:寝技の状態からの投げ技など

注目すべきは大技の前の攻防!

――東京五輪が盛り上がるなか、レスリングも注目を集めていますね。

太田 レスリングは、もちろん男子も強い選手がいっぱいいますけど、とくに女子は“レスリング大国”なんて言われていますからね。メダルを量産してくれると思いますので、非常に楽しみです。

青山 これまで吉田沙保里さんや伊調馨選手がレスリング界を引っ張っていらっしゃいましたけど、今回、前回リオ五輪の金メダリスト(川井梨紗子選手、土性沙羅選手)はいるものの、世代がガラッと変わってどうなるのか。楽しみです。
また、男子メンバーのなかには、(五輪前に開催された)世界選手権で金メダルを獲った人がたくさんいらっしゃるんですけど、これほどの好成績を残してオリンピックを迎えたことはなかったと思います。メダルをたくさん獲ってくれるんじゃないかと期待しています。

和田 僕は……女子の軽量級がアツいなって思います。

太田 お前、じつは知らねーだろ(笑)!

出典: FANY マガジン

和田 知ってます!(笑)。50キロ級の須崎優衣選手が、代表候補だった登坂絵莉選手(リオ五輪の金メダリスト)、入江ゆき選手を倒して内定に決まりましたよね。

青山 正解。

和田 さっき、Wikipediaで調べました。早稲田大学出身でお父さんがレスリングのコーチで……。

青山 確かにWikipedia情報だな(笑)。

――レスリングの面白さや魅力ってどんなところにあるのでしょう?

和田 フリーはタックルが花形の技。軽量級になると、タックルのスピードが速くて、見応えがありますね。グレコローマンは投げ技が迫力あるので、注目してほしいです。

出典: 和田提供

――太田さんは大人になってからレスリングを始めたんですよね。

太田 いざやってみると、信じられないくらいテクニカルでロジカルなスポーツだと思いました。タックルひとつ入るにしても、その何段階も前から崩しがあって、その崩しにもフェイントがあって……。頭で覚えようとしても無理なので、やっぱり子どものころからやっていて、染みついている人のほうが強い。五輪代表の方々の試合を見ていると、首の動きひとつがフェイントになっていたりしますから。

――タックル前の動きに注目して見るのも面白そうですね。青山さんはどうですか?

青山 どのスポーツもそうですけど、世界選手権で優勝するレベルの選手って、相手国からすごく分析されているんですよ。たとえばタックルが得意な選手だと、ぜんぜんタックルをさせてくれないとか、カウンター得意な選手だと、相手がぜんぜん攻めてこないとか。そこをどう崩すかは見どころですよね。
あと、フリースタイルであれば、ポイントを取るのはタックル。柔道でいう一本になるので、攻める側がどういったタックルをして、相手がどう防いでどうカウンターを出すかに注目すると楽しめると思います。

出典: FANY マガジン

外国人選手のラフプレーあるある

――日本人選手と外国人選手に違いはあるのでしょうか。外国人選手の戦い方に、特有のクセや傾向はあったりしますか?

太田 持って生まれた筋肉の大きさや骨の形がぜんぜん違うので、めちゃくちゃパワーがあるんですけど、僕がベテランズに出たとき、監督・コーチが「試合を長い目で見たとき、日本人のほうが持久力があるから、最初の勢いに押されずに最後までいけば、有利な展開になることが多い」っておっしゃっていましたね。
前回のリオ五輪のとき、登坂選手や伊調選手がラスト数秒で勝利していましたけど、あれって持久力を活かしたもので、奇跡というよりは日本人が勝つための定石だったみたいですね。

青山 外国人選手の全員が全員ではないんですけど、日本人にないような態度を取る、というのもあります(笑)。前回の五輪のときも、勝っていたのに残り数秒でガッツポーズして反則負けになった選手がいました。
あと、男子最年長の高谷惣亮選手は、よくラフプレーを喰らっていて、試合に勝ったあとに熱湯をかけられたり、噛みつかれたり……。僕が高校生で初めて海外遠征に行ったときも、外国人選手がルール内ギリギリのところをついてくるのが衝撃的でした。常に世界を意識していないと、五輪や世界選手権で勝てないなって思いました。

出典: 青山提供

和田 つねったり、噛んだり、頭突きしたり……。一瞬なので審判も分からず、反則は取られないんですけど、リプレイで見ると、思いっきり噛んでいるシーンが映ってたりするので、そういうのを見ていると面白いです。

太田 あと、信じられない話ですけど、お尻の穴に親指入れたりするよな。

和田 そうですね。女子の選手で多いんですよね。

――では、知っているとレスリングの試合が楽しくなるような“あるある”を教えてください。

和田 選手は、試合の前に体のどこかを触るなどのルーティンがあるんですけど、強い選手ほど、マット入る前に同じ動きをしていると思います。俺もルーティンはありました。

出典: FANY マガジン

――どんなルーティンだったんですか?

和田 俺は、パンって顔を叩きます。

太田 短いルーティンだな(笑)。

青山 ほぼ、(元大相撲力士の)高見盛と一緒じゃねーか。

――(笑)。

太田 コーチとか監督とか、セコンドにつく人ってイカつい人が多いんですけど、インターバルになると、信じられないくらい選手の手を揉むんですよ。あんなイカつい方々がマッサージしている姿見ていると、微笑ましいですよ。

和田 あれ、気持ちいいんですよね~。

青山 あと、特に女子なんですけど、“金メダル獲った瞬間、監督・コーチに何をするのか大喜利”は考えていると思います。吉田さんがオリンピックで金メダルを獲ったとき、監督やお父さんを肩車とか首投げとかしていましたけど、セコンドに対してどういうパフォーマンスをするかは見どころだと思います。

太田 もう、いろいろやられちゃってるもんな~。

和田 ロンドン五輪で金メダル(男子フリースタイル66キロ級)を獲った米満達弘選手の“昇竜拳”とかな。

青山 あれは急に出たんだよ。ふだん米満選手ってあまり感情を表に出すタイプじゃなくて、パフォーマンスしたことなかったんですけど、五輪のときに初めてガッツポーズしたら、ぎこちなすぎて昇竜拳みたいになったってヤツな。

太田 (笑)。リオ五輪で、試合に負けた選手のコーチが抗議して裸になったことがあったじゃん。男子選手で誰か1人くらい、あのモノマネしてほしいな。

出典: 太田提供

全員メダル獲れるんじゃないか

――注目している選手を教えてください。

太田 体が柔らかくて豪快な技を繰り出す、グレコローマン60キロ級の文田健一郎選手。対戦相手と正面で向き合ってバックドロップ(そり投げ)するとか、すごい技があるんですけど、金メダルが獲れるんじゃないかって期待されています。ぜひ、日本人が豪快な投げを決めているところを見たいなって思いますね。あと、猫カフェが好きらしいです。

――(笑)。

青山 文田選手って、前回のリオ五輪には、銀メダリストの太田忍さんの練習パートナーとして行っているんですよ。そのときに「この人に勝てば金メダルが獲れるんだ」っていうマインドになって、そこから世界チャンピオンになり、五輪に出られたそうです。こんな感じで、先に選手の歴史を調べておくと、面白く見られると思います。

フリースタイルでいうと、今回は男女ともに、乙黒兄弟(兄・圭祐=フリースタイル74キロ級、弟・拓斗=フリースタイル65キロ級)、川井姉妹(姉・梨紗子=フリースタイル57キロ級、妹・友香子=フリースタイル62キロ級)がいるんですよ。兄弟・姉妹での活躍も楽しみですね。ちなみに、2018年のレスリング世界選手権では、当時19歳だった弟・拓斗選手が優勝されているので、お兄さん(圭祐選手)はもちろん、弟さんも金メダルが近いんじゃないかなって思いますね。

出典: FANY マガジン

和田 僕も、注目は文田選手だったんですけど……。太田さんがぜんぶ説明したんで。

太田 (笑)。

和田 でも今回、全員メダルが獲れるんじゃないかっていう布陣だと思うんですよね。特に女子がとんでもないです。

青山 梨紗子選手は(63キロ級に)階級を上げてリオ五輪で金メダル獲っているんですけど、今回はベスト体重。金メダルは近いなって思います。

太田 だいぶ近いだろうね。

――ほかにも、選手たちに関するエピソードがあれば教えてください。

太田 僕が出たマスターズ大会には、スタッフとして早稲田大学の学生が手伝いに来ていたのですが、そのときに須崎さん(早大在学中)もいらっしゃって。当時、すでに世界チャンピオンだったんですけど、めちゃくちゃ走り回っていろんな手伝いをされていました。

世界チャンピオンがおじさんたちの大会を支える姿を見て、好きになっちゃいましたね。レスリングに携わる人へのリスペクトもあって、人間ができているなって思いました。スポーツは“心技体”。須崎さんは素晴らしいアスリートですよ。

和田 いい話っすね。

出典:和田提供

青山 僕、ちびっこレスリングの先生をやっているんですけど、乙黒兄弟がちびっこレスリングの選手だったって聞いて、どんな練習をしていたのか調べたんですよ。そしたら、子どものころから自宅のひと部屋をレスリング場に変えていたらしいです。

太田 吉田沙保里さんシステムね。

青山 乙黒選手のお父さんがだいぶスパルタだったらしくて、家でもずっとレスリングの練習していたみたいですね。弟の拓斗さんのほうはレスリングが好きだったらしいんですけど、お兄ちゃんの圭祐さんはサッカーをやりたかったらしくて。お父さんに「レスリングやっていたら体幹が強くなって、サッカーも上手くなるよ」って言われて、無理やりレスリングやらされていたらしいです(笑)。自宅のひと部屋をレスリング場にするって、強い選手あるあるですよね。

太田 以前、吉田さん一家のところにロケに行かせてもらったんですけど、吉田さんの姪っ子や甥っ子も当然のようにレスリングをされているんですよ。「ほかのスポーツをやりたいと思わなかったの?」って聞いたら、「物心が付いたときからマットに立っているから、レスリングを始める・始めないの選択肢がなくて、どういうスタイルのレスリングをするかっていう選択肢しかなかった」って(笑)。そりゃ、強くなるよなって思いました。

出典: FANY マガジン

レスリング界の麒麟・川島は!?

――レスリング選手を、芸人にたとえてみてください。

和田 文田選手は体が柔らかすぎて、ほかの選手だと点を取られそうなところを、とんでもない体勢でぜんぶ返すんですよ。芸人でいうと、どんなときでもスベらないという意味で、麒麟の川島(明)さんですかね。

太田 川島さんは大喜利番組『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)で優勝するような豪快な技もあるし、オールラウンダーだし、ぴったりだね。あと、川井梨紗子選手はリオ五輪で金メダルを獲っていて、昨年の世界選手権チャンピオンでもありますから、M-1やR-1で優勝した霜降り明星じゃないかなって思います。

青山 川井さんは、ゆりやんレトリィバァっていうのもアリですよね。

太田 なるほど。R-1と『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝しているからな。

和田 土性選手(女子フリースタイル68キロ級)は、外国の方にも負けないパワーがあるので、ハリウッドザコシショウさんかなと思いました。

出典: 和田提供

青山 土性さん、タックルメインの丁寧なレスリングするよね。パワーもあって強く思われがちですけど、めちゃくちゃキレイな方ですからね。

太田 そうなんだよなー。

青山 土性さんは吉田沙保里さんの吉田道場でレスリングを始めて、吉田さんが通った至学館大学出身。だからタックル強いんですよね。

和田 そう考えると、いまの若いレスリング選手は、みんな吉田さん見てレスリング始めていますよね。

出典: FANY マガジン

――最後に選手へ応援メッセージをお願いします!

太田 コロナ禍で特殊な大会だと思うんですけど、みなさん本番に向けていいモチベーション、いいコンディションで大会に臨むと思うので、当日は楽しみながら見させていただきたいなと思います。ぜひ、1個でも多くのメダルを勝ち取れるようにがんばってほしいですね。

青山 現役時代、自分が属する階級以外はあまり注目していなかったんですが、引退して、子どもたちにレスリングを教えていくなかで、改めてレスリング界(全体)を見させていただくようになったので、出場される選手全員に思い入れがあるんですよね。
今回、女子も男子もいままででいちばんメダルを獲れる過去最強メンバーだと思っています。予定より1年あきましたし、練習環境もままならず、難しいことも多かったかもしれないですが、ぜひ、がんばっていただきたいです。

和田 僕がレスリングをやっていたころは、レスリング人口が少なくて、県内(地元の島根)でも数人程度だったんですけど、オリンピックで選手が活躍するたびにどんどん増えていったイメージがあります。出場される選手には、子どもたちに夢を与えてもらいたいですね。

太田 最後、めっちゃいいこと言うじゃん(笑)。

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