新喜劇総選挙“疑惑の15位”の真相をライブで判定! 奥重敦史×高井俊彦「全員が敵になっても信じてあげたい」

吉本新喜劇の奥重敦史は昨年の座員総選挙で、前年の圏外からいきなり15位にランクインするという大躍進を果たしました。しかし結果発表イベントでは意外さゆえに客席がどよめき、座員たちの怒号が飛び交う事態に……。あれから半年近く経った今でもくすぶる“奥重不正選挙疑惑”にいよいよメスが入ります! ということで今回は、そんな気になる設定のライブについて、出演する奥重本人と、先輩である高井俊彦の2人に思いっきり語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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2月25日(日)、大阪・吉本新喜劇セカンドシアター(YES THEATER)で『2.25 奥重裁判新喜劇〜それでも僕はやってない〜』が開催されます。奥重が高井とタッグを組み、観客に「シロかクロか」判定してもらうべく舞台の上で奮闘するスペシャル新喜劇です。今回は、奥重の“潔白”を証明するために気合十分の2人を直撃しました!

16位の高井は喜び半減「割に合ってない」

──昨年8月の「吉本新喜劇座員総選挙2023」結果発表イベントは、奥重さんが15位と発表された途端、会場が騒然となりましたね。

高井 あれは異様な空気でした。座員が全員でツッコんで……。

奥重 会場がひとつになったでしょう? みんな(座員)が「ウソつけ!」って立ち上がってて、めっちゃ気持ちよかったです。

──15位で名前が呼ばれた瞬間、奥重さんはどんな心境でしたか?

奥重 中間発表ですでに15位に入っていて、その時点で「えっ!?」ってなってたから、「これ、あるんちゃうか?」とはうっすら思ってました。でも、いざ名前を呼ばれたら、やっぱりびっくりしましたね。

──高井さんは16位でした。

高井 「やった!」って思ったんですけど、「15位奥重」ってなった瞬間、うれしくなくなってきて……「なんでなん?」って。

奥重 うれしくなくなるのはおかしいでしょ(笑)。

高井 玄関の前にうんこある、なんでここにうんこあんの? みたいな気持ちでした。

出典: FANY マガジン
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奥重 前年(2022年)は太田(芳伸)が“疑惑枠”(中間発表圏外から19位)だったんですが、中間発表で「今年は僕かな」っていう自覚があったんです。だから、何てコメントしようかすごく考えてたのに、舞台に立ったら何にも出ず「これ、(不正を)やってますね」と言ってしまいました。

──一昨年の太田さんと比較して、奥重さんの疑惑レベルは……?

奥重 めちゃめちゃ超えてますよ。

高井 太田はヤクザ役とかで、けっこうNGK(なんばグランド花月)の舞台にも立ってるけど、こいつはそんなに立ってないですからね。

──どういった選挙活動をしたんですか?

奥重 X(旧Twitter)で昼メシの写真を上げてただけです。とりあえず、ファンの方に「それぐらいやりなさい」と言われたのでやりました。

──ファンの方に言われて(笑)。

奥重 僕はSHOWROOM(ライブ配信)をやってて、“過保護隊”という過保護なファンの方が10人ぐらいいるんですよ。

高井 もう、お母さんやんな。

奥重 お母さんが10人。その方々が「頑張りなさい」と。

高井 ほかの座員はみんな、SNSでアピールするとしたら自分発信じゃないですか。ファンの方にやれと言われてやるって、なかなかですよ? しかも、昼ごはんなんて何も関係ない。

奥重 普通のことはしたくなかったんですよ。だから「昼ごはんでいっか」と。

高井 ちょっと待って、そこ結びつかへんわ(笑)。

出典: FANY マガジン
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奥重 僕は家庭もないですし、昼ごはんは質素なんです。正直、アルバイトもしてるので、そこで食べてるパンとか、あとはラーメンとおにぎりみたいな。

高井 まさに「同情するなら票をくれ」やな。

奥重 そうです! うまい! 出た! “敦史祐実”です。

高井 えっ?

奥重 安達祐実にかけてます(笑)。コメントは何にも書かず、写真だけ上げてたんで、そこも(ファンに)怒られました。「そういうのがないからダメなんだよ」って。

──選挙活動は、それだけですか。

奥重 あとは、毎日やってるSHOWROOMですね。

高井 僕はSHOWROOMをやって、Xでも「清き1票お願いします」って毎日コメントを変えてポストして、リプライをいただいた全員に返して……ってやってたんですよ。SNS上でできることはすべてやって16位。「うれしい!」と思ったのに、こいつの15位を見ると、割に合ってないぞと思いました。

後輩から慕われる“イジられ兄貴”

──高井さんから見て、“奥重敦史”とはどんな人物ですか?

高井 自由奔放、他力本願。それを絵に描いたような後輩というか。でも、まわりのみんな、後輩とかが慕ってるんですよね。僕も人間的には好きなので、全員が敵になっても信じてあげたいという思いから、このイベントを立ち上げました。

──そうだったんですね!

高井 吊るし上げようというイベントじゃないんですよ。ポスターでは疑ってるような顔して写ってますけど、あれはみんなの手前といいますか。僕だけは、こいつの味方になろうと思ってます。そんな悪いやつじゃないねんでっていう。

奥重 (笑)

高井 こいつはこいつで一生懸命やってるとこもあるんですよ。そのおもしろさ、人間性を見てもらって、そのうえでお客さんに「(不正選挙を)やった、やってへん」を判定してもらう。裁判の陪審員になってもらうイベントをやりたかったんです。

出典: FANY マガジン
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──自由奔放、他力本願とは、たとえばどういう言動を?

高井 今回のイベントにあたっても、打ち合わせで「兄さん(高井)が頑張ったらええねん」っていつも言われてます。

奥重 何が間違ってますか?

高井 「僕はできない」って、もう白旗を上げてるわけじゃないすか。ふつうやったら取り繕ってええカッコするけど、こいつは潔い。そういうところを魅力として出せたらいいなと思うんですけどね。『奥重裁判』なので、僕はフォローという立場。奥重がやりたいことを言って、それを僕とか作家さんが形にするよと。そもそも、奥重がめちゃめちゃ汗かいて新喜劇をやるなんて、過去1回もなかったですからね。

奥重 はい、ないです!(胸を張る)

──そういえば、結果発表イベントでも、千葉公平さんはじめ座員の方から「頑張っているところを見たことがない」という声が上がっていました。

奥重 いやいや、見せてないだけですよ。猫は死ぬときの姿を見せないって言うじゃないですか。それと一緒です。

高井 合ってないでしょ、このたとえ。

奥重 頑張ってるときは、どっか行ってるでんすよ。

高井 そういうことじゃないやん……。

奥重 違いましたか。

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──しかし、周囲からは慕われていると。

高井 イジれる兄貴分って感じです。名前が敦史なんで「あっちゃん、あっちゃん」って言われて。お酒飲んでエラそうなことも言うんですけど、みんな、「お前、できてへんやんけ」って思いながら話を聞いてる。

奥重 最近は逆に、後輩から説教されます。「もっと自分を出しなさい」と。高井さんとは仲がいいんで、こんな感じでしゃべってますけど、ほかの先輩とかの前やと“自粛”しちゃうんですよねえ。

高井 “萎縮”な。

奥重 あ……萎縮、萎縮。

高井 こういうことですよ(笑)。

奥重 「兄さん、ふだんはおもしろいのに、何でそれが出ないんですか」ってよく怒られる。だから最近は、それを意識しながら生きてます。でも意識してても、変なこと言ってるんじゃないかとか考えてしまって怖いんですよね。

芸歴23年で初めて頑張るイベント!?

──お話を聞けば聞くほど、フタを開けてみないとわからないイベントになりそうです。

高井 その感じを楽しんでいただけたら。といっても、基本的には思いっきり新喜劇ですよ。

奥重 「何するかわからん」っておっしゃる方が多いんですけど、ちゃんと1時間、新喜劇します。

高井 いろんな方に出ていただいて、奥重とはどういう人間なのかわかってもらえるような新喜劇をやろうと思ってます。人情新喜劇じゃないけど……。

奥重 そんな感じですよね。楽しいと思いますよ。僕は振り回されるほうやから、大変やとは思いますけど。

出典: FANY マガジン
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高井 (不正を)やったか、やってへんかは実はどっちでもよくて、奥重という人間をわかってもらいたいのが第一。そもそも証拠がないから、不正については突き詰められへんし。

奥重 はい。

高井 「やっぱ15位やわ」って言ってシロに入れる方もおられれば、「これはあかん、やりよったな」みたいな方はクロに入れていただいて。

──すべてはお客さんにゆだねるんですね。

奥重 QRコードか何かを使って、投票するみたいです。それで、やったか、やってないかを最終的に決めます。

高井 判決によって、最後の奥重のひと言、リアクションは変わってくるでしょうね。大喜利が好きやと言ってますから、そこでおもしろいひと言を……。

奥重 考えすぎたらスベるから、考えません。ぶっつけ本番でいきたいと思います。

高井 イベントがある2月25日って、大阪マラソンなんですよね。走り終わったランナーとかも来てくれはったらいいのにな。

奥重 フルマラソン走ってから「行こうか」とはならないでしょ。疲れてまっすぐ歩けませんよ。

高井 椅子あるから座れるやん。

奥重 ええっ!?

高井 大阪マラソンのランナーだけ割引しようか。

奥重 あ、いいなぁ……いや、いいなぁやないねん!

高井 判定してくれる人が少ないのはちょっと寒いから(笑)、みなさん、ぜひ足を運んでください。さっきも言いましたけど「初めて奥重敦史が頑張るイベント」なんで。いま芸歴何年やったっけ?

奥重 23年です。

高井 その23年間で初めて頑張るイベント、これで決まりです。

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──来場者はなるべくフラットな気持ちで見たほうがいいですか? 最初から疑ってかかるのもありなんでしょうか。

奥重 それはもう、何でも。

高井 疑いを覆すのも奥重の頑張りですもんね。

奥重 「ほんまにおもろいんか?」で来ても全然いいですよ。

高井 たぶん、みんな疑って来ると思ってます。事前にXでアンケートを取ったんですが……。

奥重 ほぼ全員「やってる」の回答でした(笑)。そらそうでしょと思うけど、やってないって言わんとね。だって、やってないねんから! 見ていただいて、「ほんまにおもろかった」って言ってもらえたら、それがいちばんうれしいです。

公演概要

「2.25奥重裁判新喜劇~それでも僕はやってない~」

公演日:2月25日(日)
会場:YES THEATER (吉本新喜劇セカンドシアター)
出演:高井俊彦、奥重敦史、島田一の介、未知やすえ、中條健一、伊賀健二、五十嵐サキ、今別府直之、清水啓之、森田まりこ、けんたくん、筒井亜由貴、小林ゆう、アキ
チケット:前売・当日とも 大人 3,000円/小学生以下 2,500円

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