たかたけし『住みにごり』の奇抜なエピソードは実際の体験だった!?|川島・山内のマンガ沼web

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、先日放送された「マンガ家ガチアンケート・たかたけし編」の模様をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。

地元のコンビニから東京のコンビニへ!?

川島 川島・山内のマンガ沼、今回のテーマはマンガ家ガチアンケート! 今回は私がリクエストした先生でございますけれども、今、次が一番気になっているマンガです。テレビ初登場、『住みにごり』の作者・たかたけし先生です。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

たか ありがとうございます。

川島 先生は「サングラスをかけた状態なら出演していい」とおっしゃったらしいんですけど……サングラス、薄ない?

山内 薄っ!

たか 友達で持ってる人が一人しかいなくて。それで借りて。

川島 先生、1,000円もしないやつ、ありますよ、濃いやつ。

たか そうですね。あとで気づきました(笑)。

山内 先生、この番組はご存じでしたか?

たか 見てました。楽屋ランキングみたいな企画で……。

川島 「このマンガがすごい! 芸人楽屋編」ですね。

たか そうです。それで名前を出してくれてたので見てたら、1位を争ってたのに、急に4位になって(笑)。理由もよくわからなくて。1位を争ってて、1位じゃないんなら2位になると思ってたんですけど、4位になってた(笑)。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 気持ちは1位なんです。心のMVP。

山内 なんで順位を変えたのか、もう記憶がない(笑)。

たか でも名前を出してくれたので、全然ありがたいです。

川島 ではさっそく先生のプロフィールから紹介したいと思います。

たかたけし先生プロフィール
・徳島県出身、45歳。
・子供の頃からお笑いが大好きで、将来の夢はお笑い芸人。
・その後ギャグマンガ家になりたいと思いはじめ、20歳(大学生時代)からマンガ家を描き始める。
・コンビニのアルバイトで100万円をためて、26歳のときに上京。
・その後ネット大喜利にはまり、そこで知り合った友人と、有名な文芸同人誌『なし水』を主宰。

川島 ネット大喜利?

たか お笑い芸人になりたかったんですけど、人前に出る勇気がないんで、そのはけ口としてやってました。

山内 ネット大喜利ってどういうものなんですか? SNSでやる系?

たか 今はけっこうみんなやってますけど、僕がやってた時代……20年ぐらい前は、自分のホームページで大喜利サイトを作ってる人がいて、「人前では何もできないけど、実は自分は面白い」と思っている人たちが集まってやってました(笑)。

川島 そこで評判よかったんですか? たか先生。

たか そこでもそこそこでした。

川島 『なし水』という同人誌を主宰して、38歳のときにマンガ家を目指して一念発起。30代のマンガ家を発掘する「R30漫画賞」に応募し、佳作。

たか 何年もやってたんですけど、それで初めて賞を取りましたね。38歳で。

山内 何してたんですか? 38まで。

たか ずっと、なんかダラダラしてました。

川島 じゃあ主な収入はコンビニですか?

たか そうですね、ずっと。上京したんですけど、ずっとコンビニで。

川島 東京まで来て、東京のコンビニで働いていた(笑)。

たか 地元のコンビニでお金貯めて、東京のコンビニで。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 いよいよ、コンビニの本場へ(笑)。

たか だからすごい苦労したというより、ただただ怠惰な生活をしてたんで、こんな歳になってた感じです。

川島 ずっとめっちゃ寝ずにマンガ描いて応募して……というわけでもなかったんですね。

たか 最初は頑張ってたんですけどね。もう何にも引っかからないんで、だんだん嫌になってきて。それで何もしなくなってましたね。

川島 徳島に帰るという選択はなかったんですか?

たか 「今さら帰っても何にもなんない」とは思ってたので。

川島 なるほど、一旗揚げないと。

たか それでダラダラ東京に残ってた感じですね。

なぜビートたけしが帯を書いたのか?

川島 R30漫画賞で佳作を取ったマンガは、何をテーマに描いたんですか?

たか コンビニしかしてなかったんで、コンビニのマンガを(笑)。

川島 しょうがないですね。その景色しか知らんから。その後もマンガ投稿サイトや出版社への持ち込みを続けていたところ、ようやく編集者の目に留まり、2019年40歳のときに、ヤングマガジンにて、ギャグマンガ『契れないひと』でついにマンガ家デビューとなりました。40でデビューというのは、だいぶ遅いですかね。

たか そうですね。まさかデビューできるとは思ってなかったんで、うれしかったですね。

川島 これ、僕も読ませていただきましたが、けっこうギャグの要素がありますね。

たか ギャグをやりたかったんですけど、「お仕事マンガやりませんか?」と言われていたので、それでセールスのマンガに無理やりギャグをねじ込んでたんです。

川島 なるほどね。それで「英会話のセールスをやるんだけども、全く契約が取れない」という内容で、ギャグに傾いたマンガを描いたと。そして2021年。42歳のとき、ビッグコミックスペリオールにて、『住みにごり』を連載開始します。現在も大人気連載中、いま注目のマンガ家ということになるわけです。これの第1巻で、帯の話をいただいたんですよね。

山内 伝説の帯です。

川島 これから全くどうなるかわからないという、まだ1巻が出る前にオファーが来たわけですよ。失礼な話ですが、まだそのときは存在を知らなかったんです。それで6話分くらいの原稿を送ってくれはって、「これを読んで帯を書くかどうか判断してください」みたいな感じでオファーがあったんですよ。読んだら、あまりにもつかまれたんで、「おもろいですよ」みたいなことを帯に書いたんです。それで出版されてみたら、まさかの僕の上に、ビートたけしさんがいるんです。「ビートたけし、麒麟川島おすすめ」いやもう、川島はもう要らんやろという(笑)。

山内 予備で川島(笑)。

川島 俺、絶対すべり止めですよね。

たか いや同時です。「誰か頼みたい人いますか?」と言われたんで、名前を何人か挙げて。

川島 たけしさんと接点はないでしょう?

たか さっきの『契れないひと』、自分で昔作った同人誌より売れなかったんですよ。記念に、献本をいっぱいもらえたんですけど、誰にもあげたことなかったんです。友達もいないし。

川島 ため込んでたの?

たか そうですね。それで「じゃあ送ってみよう」と思って。たけしさんの事務所をネットで調べて、封筒で送ったんです。ヤバいやつですけど(笑)。

川島 たけしさんに。

たか 手紙も入れました。「名前一緒ですね」とか書いて。

川島 怪文書や(笑)。自分から送りつけといて、「名前一緒ですね」って。

たか だから「どうにでもなれ」と思ってて。

川島 怖いもん知らずですよね。「届くわけない」くらいの気持ちで。

たか ただただ、好きな人に読まれたいと。まあそういうのはいっぱい来るでしょうから、読まないだろうと思ってて。そしたらしばらくして、講談社にたけしグッズと一緒にお手紙が届いて。北野●●さんという名前で。あとで知ったんですけど、たけしさんの奥さんだったんです。すごいウケたらしくて、「こんなに笑ったことはない」と。その手紙に、「主人に『好きそうだから読んでみたら』と言われたので読んだ」と書いてあったんです。だから、たけしさんの感想はわからないですけど……。

川島 たけしさんを経由してはいた。

たか とりあえず視界には入ったんだなとわかったんで、うれしかったですね。

山内 すご!

川島 そのご縁で、たけしさんに「じゃあ帯もどうですか?」と聞いてみたら……。

たか それも受けてくれるとは思ってなかったんですけど、本当に受けてくれたので、ありがたかったですね。

山内 たけしさんが帯書いているのって、あんまり記憶ない。

川島 特にマンガでは見たことないです。だから奇跡ですよ。たけしさんが帯を書いてくれただけでも、この『契れないひと』を描いてよかったですよね。

山内 聞けば聞くほど、帯に川島さんは要らないです(笑)。たけしさん一人のほうがインパクトあった。

川島 いや、そうやねん。だから自分でもそう思てんのや。

たか 川島さんに書いてもえらてうれしかったですよ。

川島 2021年、『住みにごり』連載開始ということになります。では作品を簡単に紹介させていただきますね。

たかたけし『住みにごり』(小学館)
●2021年からビッグコミックスペリオールにて連載中。
●単行本は第5巻まで発売中。
●主人公は、東京で働いていた29歳の末吉(すえきち)。
●会社から長めの休みをもらった末吉は、久しぶりに実家に帰省した。
●末吉の家族は、機嫌が悪くなると突然暴れ出す酒乱の父、車いす生活の母、無口で無職の兄・フミヤ、家を出たものの、ちょくちょく実家に顔を出す姉の長月(なつき)。
●この家族は”怪物”なのか……? いつも不穏な空気が立ちこめ、大事件が起こりそうな先が読めない新ホームドラマ。

川島 この家族はいったい誰が正しいんだと。最初読んだとき、1巻の段階ではやっぱり無口のお兄ちゃん・フミヤ、これが激ヤバの存在じゃないかと思ったんですよ。

山内 フォルムはそうでしたよね。

川島 お兄ちゃんがいつか、人を殺めてしまうんじゃないか……みたいな。この兄貴さえいなければ……みたいな感じだったんですけど。今、家族の写真を見ると全然感想が違うという。親父も、生気の溢れるいい男かと思ってたんですけども。

両親の性の部分にとまどう

川島 ここからは先生に書いていただいたアンケートをもとに、『住みにごり』の魅力に迫っていきたいと思います。最初の質問こちら。

『住みにごり』の中で先生のお気に入りシーンと、その理由を教えてください。

川島 先生の回答こちら。

気に入っているシーンは、2巻の147ページの父と母の入浴シーンです。実際に自分も末吉のように、風呂場の前で父が母を介助しながらイチャイチャしている声を聞き(実際の会話はもっと下品でしたが)、気持ち悪いなと感じたと同時に、自分の親である前にパートナーである当たり前のことを思い出しました。

川島 お母さんが麻痺している部分がありますので、お父さんがお風呂に入れてあげてるという美しいシーンなんですけども。お母さんが「赤ちゃんになった気分や」と言ってて、会話だけで見ると夫婦仲のいい素敵なシーンだと思うんです。これは先生の実体験でもあると。

たか 末吉は風呂場の前でたまたま会話を聞いちゃうんですけど、自分も同じように風呂場の前でたまたま会話聞いて。もともとうちの家って、性的なものに拒否反応を示すような家だったんですよ。テレビのキスシーンや、ちょっとハグするシーンが出ただけでチャンネル替えるような。「不純異性交遊してないだろうな?」みたいなこと言ってくる親だったんです。だから風呂場で会話を聞いて、「年を取るとなんでも良くなるんだなあ」と思って、びっくりしました。

川島 ちょっとイチャイチャされてる会話を聞いたんですね。

たか そうですね。女性器の名前をすごい言ってたりして。

川島 親のそれ、ちょっとなあ……(笑)。まだキスしてくれているほうがなあ。

たか そういう場面なかったですか? 親のイチャイチャしてるところ。

川島 僕ね、親のキスすら見たことないですね。親父がめっちゃ硬い職人だったから。お笑いは認めてくれるけど、下ネタは一切言わない。だから先生の家と同じですよね。テレビでやらしいシーンが流れても、なんのリアクションもしない。微動だにしない。
ただ1回だけ、僕が小学生の頃に親父の社員旅行についていって、宿で夜中に社員さんたちがマージャンをやってたことがあったんです。親父もマージャンをやってたんですけど、横の同僚の方が、「そういえば川島さん、今日は全然下ネタ言わないですね」と言ってて。親父の耳、めっちゃ真っ赤になって、「ん?」みたいに言ってて(笑)。
同僚が萬子(マンズ)を捨てたんです。そのときに、「川島さん、萬子! 萬子出てます!」って(笑)。オヤジは顔を真っ赤にして、聞こえてへんふりしてて。「こいつ、普段めっちゃ下ネタ言うてんねんやろな」と思って。だから職場の顔と、家の顔は違うんやろな。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 うちも実家にいるときは、エッチ系のが流れたら、みんな無視するんですよ。

川島 硬直ね。

山内 当時、コンドームという言葉になじみがなくて、スキンって言ってたんですよ。その名前で自販機に売ってて。で、お母さんが家で洗濯物をたたみながら、「明日要るもん何?」って聞いてきて。僕は家庭科の授業でフキンを持ってくるように言われてたんです。僕はなんでかわかんないですけど、「スキン」って答えたんですよ。「明日スキン要るって」と言ったら、すぐ近くなのに何も聞こえてないんですよ。「なんでこんな無視されてんのやろ」と思って、「あ、スキンじゃない、フキンだ」とわかって、「おかん、フキン」と言ったら、「はい、フキン」って(笑)。時が動き出したんです。

川島 なんで親って、そういうときゼロにするん(笑)?

山内 ゼロにする。何もなかったかのように。

川島 「え?」とか言うてくれへんな。完全に排除するよね。動いたらダメみたいな。キョンシーが前通ったみたいな。息もしてない。だからイチャイチャは見たことないかな。

兄・フミヤの奇抜なファッションは現実にあった

川島 続いての質問はこちらです。

『住みにごり』で一番好きなキャラクターは誰ですか?

川島 先生の回答こちら。

全員好きであり嫌いでもあるので、一番は難しいですが、4巻164ページのフミヤの尻がだんだん近づいてくるシーンが好きです。

川島 お兄ちゃんが、とある作業をしているんですけど、こちら側に尻を向けているという。全裸ですよね。このシーンのモデルにした写真を、先生からいただいているそうです。それがこちら

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

山内  これは誰? そのまんまじゃないですか(笑)。トレースしたんですか?

川島 使徒みたいですね、なんか。

たか 自分で自撮りしてます。

川島 自撮りなんや。

たか あんまり絵がうまくないんで、写真にけっこう頼ってますね。

川島 これ、先生の尻?

たか そうですね。体形がちょうどフミヤと似てるので、だいぶやりやすいというか。

川島 じゃあ、フミヤの体のモデル?

たか でも全員、自分でモデルやってますよ。女性キャラも。

川島 フミヤ、アマレスみたいな格好するじゃないですか。ああいうのも家で着るんですか?

たか 自分じゃないですね。あれは自分の兄貴です。フミヤって、兄貴と自分が混ざっているんですよ。

川島・山内 えええええええ!

たか 兄貴が本当にああいう格好をするんです。「焼肉食べに行くぞ」みたいなとき、急にあれで出てきたりする。

川島 まじすか(笑)!? あれ実話? ヤバッ! ぶっ飛んだボケやなと思てたんです。あの格好で来るのは。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

たか マンガでは胸のマークがラブレターなんですけど、実際はバットマンでした。

川島 いやいや、そこそんな問題じゃない(笑)。「バットマンかー」とはならない。

たか (フミヤがやっている)カレー食べて首傾げるのも、兄貴の癖で。

山内 これ読んでお兄さん、「これ俺やんけ!」とかは……。

たか 聞いたことがない。自分がマンガ描いてるのも、あんまり知らないと思いますよ。

川島 えええ、そうですか。お兄ちゃんと自分の要素がちょっと入っているのが、フミヤくんだと。

たか でも最近、だいぶ自分が強くなってきてますけど。

川島 続いての質問です。

『住みにごり』を描いたきっかけは?

川島 これは一番お聞きしたかったところです。回答こちら。

自分も他人も含めた実家の話が好きだったので、それを使ってマンガが作れないかなと思って描いてみました。

川島 テーマは実家。

たか それぞれの実家に独特なエピソードがあるのがわかって、それを聞くのが好きだったので、それを使ってできないかなと思って始めました。

川島 マンガの中にも「どこも変だよ。実家なんて」というセリフがあるじゃないですか。先生もそうですか?

たか そうですね。自分の実家の要素を使っているのもありますね。

川島 まわりと比べて、「ここが変わってたな」という部分はあるんですか?

たか マンガの中に出てくるんですけど、母親が父親の悪口を書いたメモを、部屋の中にいっぱい貼ってるみたいな。あれは本当にやってましたよね。この中に出てくる父親は、本当の父親に一番近いんですよ。酒飲んで暴れて、みたいな。だから「酒飲むのやめろ」みたいのを、酒飲みそうなところにいっぱい貼ってたり。

川島 先回りして。

たか あとは、さっき言ってたみたいに、うちの家が性的なものをすごく排除していたので、自分はおかしいと思ってたんですけど、兄貴はそれをストレートに受けちゃって。マンガの単行本に載ってるエッチなシーンとか、自主的に切り取って捨ててたんですよね。

山内 ええ?

川島 そっか。教育通りに。

たか だから兄貴の本棚を見ると、マンガが薄かったり厚かったりして。薄いときは、「これはエッチなシーンが多かったんだな」とわかるという感じでした。

川島 有名なマンガも家にあったわけでしょ?

たか 青年誌に載ってた『F(エフ)』とか。F1のマンガ。あれもエッチなシーン多かったんで、途中がすっぽりなくて、意味がわかんない(笑)。ずっとレース、ずっと走っているシーンしかない(笑)。

川島 R18にされているんですね。

たか そうですね。自主的に。だから実家は変わってましたね。お二人の実家にはないですかね? そういうエピソード。

川島 うちは……うちのおでんは、ほとんどシュウマイでしたね。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 シュウマイ?

川島 だからコンビニでおでんが出始めてから、「あれ? シュウマイない」と思って(笑)。

山内 おでんでシュウマイ、見たことないです。

川島 ほぼシュウマイでしたよ、うち。

たか 喜んで食べてた?

川島 喜んで食べてたというか、おでんってシュウマイを食べるもんやと思ってた(笑)。シュウマイを食べる建前やと思ってるから。お弁当にも入ってましたし。びっしょびしょのシュウマイが(笑)。

たか それでいうと、すき焼き。うち貧乏だったんで、すき焼きだと思ってたのは、後でわかったんですけど、肉じゃがでした(笑)。

押見修造をリスペクト…!?

川島 続いてはマンガ沼恒例、この質問。

マンガを描くときの7つ道具は何ですか?

川島 先生の答えはこちらです。

・携帯段ボール(携帯の形に切った段ボール)
・自撮り棒(自分を人物のモデルに使う)
・宅配食(糖尿になったので)
・ベランダ(ベランダに出てボーッと)
・ラジオ(いろんなの流しっぱなし)
・ケイタイメール(メールに文章で話の流れを書いておき、見ながらネームを作る)
・猫(道具ではないですが、リラックスさせてくれます)

川島 これが携帯段ボール。激ヤバですね。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

山内 どういうことなん?

たか 7つなくて無理やり入れました。携帯持ってる手を描きたいんで、持ってるところを携帯で撮って。絵がうまい人はそんなことしないと思うんですけど。自分は見ながらやりたいんですよね。

川島 続いて自撮り棒。自撮り棒も、いわば作品のためですね。そして宅配食。先生、糖尿になったんですか?

たか なんか、急に足がつるようになって。病院行って血液検査したら、普通の人だったら100くらいの数値の項目が、自分は1,000だったんです。それで「すぐ入院しろ」って言われて、10日間くらい入院してました。連載中に。

川島 『住みにごり』?

たか そうですね。だから入院中は暇だったんで、ネーム描いてました。

川島 糖尿病は、なんか原因があったんですか? 運動不足とか、食べるもんとか。

たか 食べるものが好きで。一応、運動はしてたんですけど、散歩とかして。でも折り返し地点にマクドナルド……。

川島 ダメですよ(笑)。

たか それでお土産持って帰ってたんで。「今日はすき家にしよう」とか。それでどんどん太って115キロくらいになって。だから本当に危なかったですね。調べてくれたお医者さんがおじいさんだったんですけど、その人が「初めて見た」と言ってたんです。

川島 1,000という数字が?

たか 1,000。今はもう宅配食とか、極力健康的なものを食べるようにしています。

川島 あとは携帯メールに文章でネームを書く。

たか ネームの前に、「誰が何言って、どういう流れか」みたいなのを文章でまず書いて。それを見ながらネーム書いたりしてますね。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 なるほど。じゃあ先生のスマホには、文章版の『住みにごり』があるような感じですね。編集さんにも聞きたいですけど、締め切りは大丈夫ですか?

編集 締め切りが嫌いなんですね、たかさん。締め切りに追われていることがすごいストレスだというので、それで早く上げてくれるので、こっちはありがたいです。

川島 「あと●日」になると描けない。

たか その追い詰められている感じが嫌なんで、描いちゃいますね。

川島 作品について、「ちょっとこれ過激ですね」みたいなことは言うんですか?

編集 言うこともあります。でも「これさすがにウソくさ過ぎませんか?」みたいなことを言うと、「いや、これ本当の話なんで」と言われて(笑)。

川島 あの格好で焼肉来られたりすることが事実やったら、もう言うことないですよね(笑)。

編集 それがあるからか、すごい自信を持って描かれているんで。「ちょっとウソくさいかな」と思ってたら描けないようなものが描けている感じはありますね。

たか まあ、自分で考えたやつもありますけどね(笑)。

川島 先生の追加情報があるそうです。こちら。

●絵柄で影響を受けたマンガ家は押見修造先生。
●昔から女の子をうまく描けなかったので、『住みにごり』の連載初期は、押見先生のマンガを見ながら女の子を描いていた。

たか 『住みにごり』が始まる前に、もともとギャグの絵だったので、「実写寄りの絵に変えませんか?」って編集の人に言われて。誰を参考にしようかなと思って、押見さんを参考にしましたね。『惡の華』とか見ながら女の子(『住みにごり』森田など)を描いてたんで、すごい似ちゃって。ヤバいと思いましたね、最初の頃。

川島 寄せすぎたんではないですか? 特に目。目が『契れないひと』と全然違うんですけど。

たか 本当になんのプライドもなく、真似してたんですけど(笑)。

川島 プライドというか、モラルの問題ですよ(笑)。

たか 左手に『惡の華』持って描いてました。

川島 そりゃこうなりますよ!

たか 最近はたぶん、違うと思うんですけど。まずいなとは思っていて、押見さんに会う機会があったんで、「すみません」と言ったんです。そしたら喜んでくれてたので、「助かった」と思いましたね。

川島 一発退場レベルですけどね、本当は。

山内 「訴えます」って言われて。

たか 画力が全然違うので、そこまで似せられないですけど。

川島 だから森田はめっちゃ可愛くなってますもんね。参考にさせていただいたと。

たか リスペクトして。

川島 リスペクト。ものまねの人がよく言うやつです(笑)。現段階では描きたかったことになっているんですか?

たか 最初は3話分描いたんですね。それはギャグマンガとして描いてたんです。で、担当の人に見せたら「不穏でいいね」と言われて。別にそんなつもりなかったけど、「そうなんだ」と思って。

山内 じゃあ最後まで構想があって、描き上げ始めたという感じじゃない?

たか 最初の3話描いたときは考えてなかったですけど、連載が決まったときは、一応最後まで考えましたね。

山内 今、どれくらいですか?

たか 今は半分くらいですかね。

川島 いけます? 俺、次の巻くらいで終わるんじゃないかと、正直思ってたんです。とんでもない爆弾で終わったじゃないですか。5巻の最後。最悪の最後だけど、これ折り返し?

たか 結婚されてますか?

山内 はい、してます。

たか 嫌ですか? やっぱこんなこと。

山内 地獄です。

川島 これ読んだ人は、絶対不倫はしないと思います。この時代に、めちゃくちゃ大事な本やと思います。だから兄貴がまだかわいいみたいなレベルになっちゃうという。最高ですよ、今は。

出典: FANY マガジン
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

最後に、先生からイラストをプレゼントしていただきました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

*次回放送は「川島・山内のおすすめマンガ」をお届けします。

(構成:前田隆弘

マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:3月23日(土)深1:37~2:07、日本テレビ:3月28日(木)深2:59〜3:29の放送(※一部地域を除く)です。

おたのしみに!

番組概要

川島・山内のマンガ沼
次回放送
読売テレビ:3月23日(土) 深1:37~2:07
日本テレビ:3月28日(木) 深2:59〜3:29
「川島・山内のおすすめマンガ」を放送。
(TVerでも配信中!)

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