1959年3月1日にスタートした吉本新喜劇が65周年を迎え、3月1日(金)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で記念公演が開催されました。『吉本新喜劇記念日2024~4座長中心としたスペシャル新喜劇にネタバトル最終決戦!今年の王者は!?そして65周年もスタート!ナ、ナ、ナント新喜劇の顔発表!!~』と題されたステージには、間寛平ゼネラルマネージャー(GM)を筆頭にオールスターが集結! 「寛平GM杯争奪ネタバトル」の年間王者決定戦と、すっちー・酒井藍・アキ・吉田裕の4座長が揃い踏みする特別新喜劇の豪華2本立てで大爆笑をさらい、エンディングでは“重大発表”も飛び出しました。
年間王者・五十嵐サキはVシネ出演熱望!?
オープニングアクトを務めたのは、1月に演歌デビューしたばかりの住吉大和と、その住吉も所属する20代座員によるアイドルユニット・秘蔵っ子(松浦景子、筒井亜由貴、入澤弘喜、新井崇史、生瀬行人、重谷ほたる、小林ゆう、よこっちピーマン、住吉大和、湯澤花梨、野崎塁、咲方響)。住吉は『笑いに変えるから』、秘蔵っ子は『俺たちゃ秘蔵っ子』をそれぞれ熱唱しました。
この日の公演の前半は、昨年4月から今年2月にかけて月1回のペースで行われてきた『寛平GM杯争奪ネタバトル』の年間王者を決める最終決戦です。寛平GMとスマイル・瀬戸洋祐がMCを担当。審査員は中川家・剛、チュートリアル・徳井義実、吉本興業の藤原寛副社長が務め、優勝者には賞金30万円が贈られます。
事前に抽選で決定していた順番に、月間チャンピオンの10組が渾身の2分ネタを披露。王道漫才からひねりを効かせたコント、個性が炸裂するピンネタまで、いずれ劣らぬクオリティーの高さで、次々と笑いを巻き起こします。
1.清ちゃん・音ちゃん(清水啓之、音羽一憲)
2.ヒロニーナ(吉田ヒロ、新名徹郎)
3.べたーず(佐藤武志、森田展義)
4.人間ごっこSらぼ(佐藤太一郎、小西武蔵、五十嵐サキ)
5.はっぴーあんどらっきー(もじゃ吉田、いがわゆり蚊)
6.松浦景子
7.ニイナとヤマト(新名徹郎、住吉大和)
8.新喜劇プロレス+HIBIKI(奥重敦史、大黒笑けいけい、もじゃ吉田、けんたくん、咲方響)
9.なんでもいいよ!!(小林ゆう、筒井亜由貴)
10.K2SMラジオビューティー(桜井雅斗、小西武蔵、咲方響)
そんな熾烈な戦いを制したのは、「人間ごっこSらぼ」の3人! 小西との浮気中に、夫・佐藤に踏み込まれた妻・五十嵐のインパクトに審査員も脱帽でした。優勝を勝ち取り、ハイタッチし合って喜ぶ3人。見事な演技で圧倒した五十嵐は、「これを機にVシネに進出したい」とぶち上げました。
4座長揃い踏みの新喜劇が大盛り上がり!
後半は、お待ちかねの新喜劇。とある街の老舗「花月うどん」を舞台に、アルバイトのすっちー(すち子)、酒井、千葉公平、長男のアキ、次男の吉田などなど、4座長&人気座員が顔を揃え、コテコテのドタバタ劇を繰り広げました。
新喜劇と同じ65年の歴史を誇る花月うどんは、大将が急な事故で亡くなり、存続の危機に。すっちー、酒井ら従業員や、清水けんじらが扮する商店街の仲間が途方に暮れるなか、隣町でお好み焼き屋を営む長男と、イタリアでピザ修業をしていた次男が戻ってきます。しかし、過去のいざこざで仲がこじれた2人は、どちらが後継者になるかで大モメ! 怪しい不動産業者や借金取りも入り乱れ、事態は思わぬ方向へ……。
すっちー、酒井、アキ、吉田は、各自の持ち味を存分に発揮して舞台を牽引。すっちーと酒井が、千葉を加えたトリオで息の合ったのボケを繰り出せば、アキは「……なに?」に始まり次々とギャグを連発して、さらにアクションシーンも熱演します。吉田はおなじみの“マキバオーネタ”などでイジられまくり、すっちーとの元祖・乳首ドリルでも観客を大喜びさせました。
脇を固めるキャストもパワー全開! 悪徳不動産屋に扮した辻本茂雄は、部下役・多和田上人の声がかれるというハプニングを逆手に取ってアドリブを連発して笑いをさらいます。
アキと吉田の兄弟仲にヒビを入れた“運命の女”には島田珠代。短い出番ながら、パンティーテックスなどギャグをぎゅっと凝縮して存在感を見せつけました。ほかにも、山田花子や西川忠志、松浦真也など濃いキャラクターが入れ替わり立ち代わり登場し、舞台をかき回します。
終盤には、65周年にちなんで桑原和男、チャーリー浜、島木譲二といったレジェンドたちのギャグを取り入れるひと幕も。紆余曲折を経て兄弟が和解、従業員や商店街の人々も巻き込んで花月うどん=新喜劇を盛り上げる……。そんな思いも込められたクライマックスでは、アキの「たくさんのお客さんを笑顔に」、吉田の「70年、80年、100年続くようにがんばろう」というセリフが感動を呼びました。
エンディングでは、65周年の“吉本新喜劇の顔”に、珠代がサプライズで選出されました! スペシャルゲストのやなぎ浩二&島田一の介から花束を渡された珠代は、「うわー!」と驚きながら「がんばります!」と力強く宣言しました。
日本のみならず世界に新喜劇をお届け!!
終演後に、寛平GMによる月例会見が行われました。寛平GMはこの日のステージを振り返って、「ようがんばったね」と座員たちの奮闘をたたえます。終演予定時刻をかなりオーバーしましたが、「お客さんが喜んでるから、延びるわなあ」と笑顔。65周年イヤーの幕開けにあたって「動く」というテーマを掲げ、「社員も動く、芸人も動く。汗をかく芝居をどんどんやっていきたい」と宣言しました。
すっちーによると、すでに数多くのプロジェクトが「動き」始めているとのこと。まずは7月7日(日)の東京・有楽町よみうりホールを皮切りに「吉本新喜劇65周年記念ツアー」が全国、そして世界を巡回します。千秋楽は1年後、来年3月1日(土)の大阪・なんばグランド花月。寛平GM、すっちー、酒井、アキ、吉田の5座長が5班に分かれ、ライブ感を全面に押し出した新喜劇の笑いを各地へ届けます。
ゴールデンウィーク中の5月3日(金・祝)、4日(土)には、大阪府吹田市の万博記念公園で「よしもとしんきげきフェス」を開催。初日は酒井、2日目は吉田が出演し、新喜劇を中心としたミニステージや、鉄道、ダンスなどをテーマにした子ども向けワークショップを行います。一緒にステージに立ちたい子どもたちを募集する予定なので、「我こそは!」という人は吉本新喜劇オフィシャルサイトをチェックしてください。
ほかにも、この日から第1弾が販売開始となった65周年記念グッズなど、注目企画が目白押しです。
65周年という記念すべき1年に向けて4座長が意気込みを語りました。
「新喜劇全員で、しっかり体調管理していきたい。手洗いうがい、除菌をこまめにして、元気にお客さんの前に立てるように」(酒井)
「演出や台本で65周年記念というお祭り感を伝えたい、というのが自分の中のテーマ」(アキ)
「ふだん行けないようなところにも行けるので、いままで新喜劇を知らなかった方にも知っていただけるように」(吉田)
「新喜劇の良さはドタバタ。みんなが動いて汗をかいて魅せていきたい」(すっちー)
珠代号泣「新喜劇のためにがんばるとき」
ネタバトルの年間王者、2代目グランドチャンピオンとなった人間ごっこSらぼが優勝の喜びを語ります。佐藤は「去年(の最終決戦で)、勝てなかったのが悔しかったので、2年越しです」とコメント。ネタづくりを担当した小西は、「新喜劇の裏でやっていそうな昼ドラ感を出した」と狙いを明かします。
そんな昼ドラの“ヒロイン”として観客のハートをがっちりつかんだ五十嵐は、「生きててよかった!」とひと言。寛平GMから「『キングオブコント』とかいけるかもわからんよ」と水を向けられると、小西は「いろいろ挑戦していこうという話はしている」と応えていました。
“新喜劇の顔”に抜擢された珠代も会見に出席しましたが、こちらは喜びで涙が止まりません。「こういうの、あんまり選ばれたことなくて……がんばってハングリー精神だけでやってきたけど……」と大号泣しながら、喜びを爆発させました。
「人から選ばれたことで、張りつめていたものがいい意味で切れた。自分のためにがんばってきましたが、新喜劇のためにがんばるときなんだと感じました。がんばります! ありがとうございます!」
珠代を選出した理由について、寛平GMはこう説明します。
「珠ちゃんは本当にようがんばっていて、これからますます全国区になっていくのではないか。その勢いで、新喜劇の顔としてもどんどんいってもらおうと。子ども、おっちゃん、おばちゃん、みんなに愛されてるから、いちばん合ってると思った」
これを聞いて珠代はまたまた感激し、「とにかくがむしゃらにがんばります。どうか吉本新喜劇よろしくお願いいたします!」とアピール。珠代はこれから1年を通し、ツアーやイベントの宣伝などを担っていく予定です。