新体制となったGAG(福井俊太郎、SJ、安田ファニー)の単独ライブ『GAG CONTE LIVE「ピザカッターでチヂミを3等分」』が、6月22日(土)に東京・RED THEATHERで開催されました。新メンバーに加わったファニーは、この場で「安田ファニー」に改名することを発表。新たなメンバーを加えて初めて臨んだライブの様子と、直撃インタビューをお届けします!
5本の新作コントを披露!
2006年の結成当初からのメンバーだったひろゆき(現:ヒロユキMc-Ⅱ)が今年3月に脱退して以降、コンビとしての活動を模索していたGAG。5月に、元コマンダンテのファニーがメンバーとして加わることが発表されました。
この日はライブ2公演、さらに終演後アフタートークを開催。ライブでは新作コントを5本披露しました。高校野球、ファッション、不動産屋、結婚式、ヒーローなどを題材に、劇画タッチな展開や激情型の掛け合い、耳に残る独特な言い回しやフレーズなど随所にGAGらしさを見せます。ファニーが加わったことによって、大人っぽいやりとりにリアルさが増した印象です。
幕間では、GAGとして今後の目標を10個掲げることに。トリオ共通の目標として『キングオブコント』優勝を挙げます。そのほか福井は、以前から目標としてきた本多劇場(東京・下北沢)での単独ライブ、“お笑いの聖地”である大阪・なんばグランド花月(NGK)での単独ライブ、さらに地上波連ドラレギュラーという大きな目標をぶち上げました。
SJはメンバーそれぞれの出身地である大阪・門真、兵庫・高砂、広島・福山での単独ライブのほか、マネージャーから「夏休みを取りますか?」と聞かれるほどの活躍、東京・ルミネtheよしもとでの出番復活を目指します。
コント師として駆け出したばかりのファニーは、ドラマ出演、SNSでバズる、子ども番組に出るという目標を発表しました。
そして、エンディングでファニーは「今日をもって“安田ファニー”に改名します」と報告。福井が「今後は3人でコントしていきますので」と客席に呼びかけると、ファニーは「今日からよろしくお願いします」と深々とお辞儀。SJも「よろしくお願いします!」と笑顔で挨拶し、会場から大きな拍手が起こりました。
「1公演目でぜんぶ使い果たした」
ライブが終わったばかりのGAGの3人を直撃しました。
――ライブ、お疲れさまでした。新体制での初ライブが終了して、率直な感想を聞かせてください。
福井 僕はようやく芸人生活をまた始められるなと思ったと言いますか……。今年1月に1カ月、休養したんですけど、そこでいったんストップした感覚があって。2人になってからも全力を尽くしていたんですけど、何かが欠けているような感じがあったので、今日1日がどうこうというより、「あぁ、ようやく明日からまた始められる」というの気持ちがいちばん強いですね。
SJ (僕も)福井と近くて、今日からまたスタートじゃん! って感じです。
福井 スタート(Start)じゃん(Jan)? ……SJ?
SJ そうです!
ファニー 僕は初めてのことだらけで、2公演で力を使い果たしました。やってるときは夢中だったんですけど、終わったいまはもっと笑いが増えるように、僕がもっとおふたりに近づけるように演技を勉強していきたいなと思いました。
福井 ほんまに疲れたんでしょうね。1公演目と2公演目の合間、僕は楽屋をうろうろしたり、SJさんは外出たりしてたんですけど、彼(ファニー)は中学校のとき、不良が授業で寝てるみたいな格好で……。
SJ 起きたら首痛いやつね?
福井 その寝方で楽屋の机に突っ伏してたので、「めちゃくちゃ疲れてるやん」って。
ファニー いやぁ、そうですね。1公演目でぜんぶ使い果たして、(2公演開始までに)回復しないとっていうのでそうしてました。
福井 いままで楽屋で寝てるのとか見たことがなかったけど。
ファニー 初めて寝ました。このライブに至るまでの準備のすごさとかを経験させてもらって。とにかく付いていくのに必死だったっていうのもあっての疲れだと思うんですけど、なんとか2公演やり切ることができました。
「コンビよりトリオのほうが精神的に上がる」
――SJさんが「3人という手もあるよ」という提案を福井さんにして、ファニーさんを誘ったそうですね。
福井 SJさん曰く、僕が3人でコントをしたそうだったらしくて。知らず知らずにそういう空気感を出してたんだと思うんですけど……。
SJ 2人になってこれからどうするってなったとき、すでにここ(単独開催の劇場)を借りていたし、単独のタイトルをマネージャーさんに伝えなきゃいけなかったんですよ。で、コンビで単独をやるためのネタ合わせを2回したんですけど、そのとき、「こいつトリオやりたいんやな」っていうのを感じて。
福井 確かによくよく思い出すと、コンビでネタ合わせをしてるより、トリオのほうが精神的に上がってる感じは身に覚えがあります。
SJ めっちゃくちゃわかりやすいんですよ。たとえば、「あのネタ、どうかな」みたいな話をしたときに、福井は「あぁ、これなぁ。3人やったらもっと面白くなるんやけどなぁ」って言ったりして。(トリオ結成について)福井は“俺が感じ取った”って言ってますけど、聞き取っただけかもしれないです(笑)。
福井 あぁ、言ってたんですね。それ、無意識やわ。
――SJさんとしては、聞いた時点で誰かを入れてトリオになることにためらいはなかったんですか。
SJ いい意味で、僕はなんでもいいので。
――面白くなるならば。
SJ そうですね。で、ファニーさんが入ってくれることが決まって、彼もめちゃくちゃいい奴ですし、俺らからすれば助けてもらったかたちなので感謝しかないです。最高のメンバーが入ってくれましたね。
ファニー 僕はまさか自分がトリオのコント師になるとは夢にも思ってなかったんで、誘っていただいたときは、ただただびっくりしたというのが正直なところです。けど、全力でやる、向き合うと決めて入らせていただきました。
「家族に見せられないコントを…」!?
――新体制初とは思えない掛け合いで、見学に来ていた相席スタートの山添寛さんは「違和感がなかった」と言っていました。
福井 嬉しいですね。最初の読み合わせでは正直、大丈夫か?ってみんな思ったはずです。たぶん安田本人もそうだったと思うんですけど。
ファニー ……(静かにうなずく)。
SJ 確かに(笑)。何に近いんやろうな、あの感覚。
福井 今回3人に演出をお願いしていて、ネタによって(担当の演出家が)変わるんですけど、3人全員、稽古最終日に「最初はヤバいなと。これ、どうしたらいいんだろうと思ってました」と言ったくらい噛み合ってなかったんです。もちろん皆さん、そして個々の努力で、違和感がまったくなくなったことには驚きました。
ファニー それに関しては僕がどうというよりは、演出家の皆さんとおふたりから「このほうがいい」とアドバイスいただいた知識が、ちょっとずつ積み重なって形になったことが大きいんだと思います。けど、まだ足りないので、もっと頑張りたいですね。漫才にもコントにもそれぞれ面白さはありますけど、コントはコントで難しいところもあることをやってみてすごく感じたので。
福井 特に僕らってお笑い、そしてトリオコントの中でもやり口というかが違うんですよ。だから安田は最初、戸惑っただろうなとは思います。
ファニー 微妙な感情の変化とか、この一言で表すんだとかは、まったく知らなかった世界なので、最初はできるんかなぁって不安だったんです。けど、みなさんのお力を借りてなんとかここまで来られました。
――これから新たにコントを作っていくなかで、ファニーさんの良さや魅力も盛り込まれていくんでしょうね。
福井 逆に言うと、以前やっていたようなことはもちろんできなくなるんでしょうけど、広がりはめちゃくちゃあると思います。今回のネタで、彼はセクシーな男性を演じられるということに気づきましたし。
SJ あれデカいよな。それでめちゃくちゃスベったとしても、スベったことも似合うし。
福井 そう。イヤな感じにならないんですよ。
――大人だからこそのネタもありましたけど、女性客が多いなかでも大いにウケてましたね。視点の面白さが生きていました。
ファニー 1公演目、僕の姉が観に来ていて。「どのコントがよかった?」って聞いたんですけど、あのネタは入ってなかったです(笑)。
福井 彼には、ご家族には見せられないコントをやってもらうことになるでしょうね。そこは申し訳ないですけど、変なイヤらしさがないところはいいなと思います。
「決勝行きたいっすねぇ」
――GAGさんの新たな武器になりそうですね。幕間のVTRでは3人共通の目標として『キングオブコント』優勝を掲げていました。
福井 今回は手探りで初めて5本のコントを作りましたけど、今後、もっと面白さの濃ゆいところを探して探して、新しいGAGの形ができたときに優勝が見えてくるんだろうなと。だから、今回のコントでどうこうとか思ってないですけど、今年も挑戦しますし、可能性はすごく感じます。
SJ 私もそうです。ファニーさんが入って、演出家の皆さんに演出をつけてもらった2回目くらいに見えたというか。もちろん、そんなに甘いもんじゃないっていうはないとはわかってるんですけど、この先に可能性はあるなとは感じました。だから獲るまで頑張ります。
ファニー そうですね。おふたりはとっくに決勝を経験されてますし、優勝っていうところを狙えるポジションにいると思うので、(優勝するためには)僕がおふたり以上に頑張ってるやるだけだと思います。
福井 こう言ってますけど、意外とビックマウスで……。謙虚さはもちろん持ち合わせているんですけど、熱くなったら自制できないっぽくて。稽古終わりに吉本本社から駅へ向かっている途中で、僕が「とりあえず今年は出て、行けるとこまで行こうよ」っていう話をしたんです。で、「準決勝は行きたいよな」って言ったら、彼が「決勝行きたいっすねぇ」って。「熱い気持ちはあるんや」ってびっくりしました。
SJ デカい口!(笑) けど、賞レース好きやもんね。
ファニー 好きですねぇ。
福井 お酒飲んでないのに(熱さを)自制できない……危ない男だなと思いましたね。
ファニー 僕次第なんだろうなっていうところでの発言でした。
――今日初めて観客の前でコントをしてみて、改めて優勝への気持ちも強くなりましたか。
ファニー そうですね。終わったあと、どういう気持ちになるのか正直わからなかったんですけど、コントも楽しかったですし、3人も楽しかったですし、より演技を頑張りたいなと思いました。
福井 安田は団体に入って力を発揮するタイプだと思うので。だから、3人は得意なのかなと思います。
――新体制の成熟に期待ですね。今後もライブは継続的にやる予定ですか?
福井 新ネタライブは毎月やってるんですけど。
SJ 弾もないからね?
福井 はい。単独っていう言い方があっているのかわからないですけど、できたら今回みたいなコントライブはなるべく短いスパンでやっていきたいですね。