上方漫才大賞を受賞するなど、長年にわたって第一戦で活躍したコメディNo.1(坂田利夫、前田五郎)と、「どつき漫才」で人気を博した正司敏江・玲児の2組が、大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)の「第27回上方演芸の殿堂入り」を果たしました。8月6日(火)には、シティプラザ大阪で表彰式が開催されました。
テレビ時代の新しいスタイルを確立
ワッハ上方では、上方演芸の発展と振興に尽力し、府民から愛され、後進の目標になる演芸人を「殿堂入り名人」として表彰しています。
まず主催者挨拶として、松阪博文府民文化部部長が登壇しました。
「(コメディNo.1は)ギャグをくりだす坂田さん、冷静なツッコミの前田さんの活躍する姿が長く愛されてきました。上方演芸は大阪のアイデンティティ、大阪が誇る素晴らしい文化です」
今回の選考理由は、コメディNo.1については、吉本新喜劇出身でコンビを組んで漫才界に入ったこと、動きの多いテレビ時代にふさわしい新しいスタイルを誕生させたこと、そして漫才コンビとして関西で初めてチーム名をつけたことなどを紹介。さらに登場しただけで笑いが起こる、坂田の得難いキャラクターと、そのボケを際立たせる前田のツッコミで記憶に深く残るコンビだったということが評価されました。
「いまも空の上の人をたくさん笑わせていると思う」
今回の受賞者は両組とも故人のため、それぞれの代理受賞者が出席しました。コメディNo.1の代理受賞者は、前田五郎の娘で吉本新喜劇の前田真希、まみ姉妹と、坂田利夫と親交が深かった間寛平夫妻が出席し、表彰状と花束の贈呈、記念撮影が行われました。
挨拶に立った前田真希は、喜びをこう語りました。
「父も喜んで、心から感謝していると思います。この賞をいただけるということで改めてコメディNo.1の写真を見ました。そしてツッコむときの嬉しそうな顔、ひょうきんでお茶目な姿を見て、心から漫才、コメディNo.1が好きだということが伝わって、胸が熱くなりました。これからもコメディNo.1の漫才が語り継がれることを願っています」
続いてまみも、前田が亡くなった年に夢を見たことを明かしながら、「天国にも舞台があって、そこには敏江・玲児師匠もいて、父も忙しそうに走り回っていました。いまも坂田師匠と一緒に空の上の人をたくさん笑わせていると思います」と話しました。
続いて、毎年恒例となっているイラストレーターの成瀬國晴氏による受賞者似顔絵が発表。成瀬氏は「同じ時代を生きていました。坂田さんは楽しい人、前田さんは静かな人。イラストは『ありがとさん』のところで、舌を出したことで動きが出てきました」と語りました。
寛平、遅刻して舞台袖に立たされたことも!?
囲み取材で寛平は「天国ではよかったなあって2人がものすごく喜んでると思います」とコメント。まみは「楽屋ではよくケンカをしていたんですが、いまは2人で笑顔になってると思います」と話します。
コメディNo.1の魅力を聞かれた寛平は、「新喜劇やって漫才やから、漫才漫才じゃないところ」と答えると、坂田の“ボケ”をこう称賛しました。
「あのボケは誰にもできない。僕もボケで、アホやアホやと言われてるけど、坂田さんまではなかなか。あれができるのはいてないんじゃないですか、それくらいすごい」
さらに、「入ったときからずっとかわいがってもらい、借金だらけのときも、何から何まで助けていただきましたから」と坂田を偲ぶと、コメディNo.1との思い出を披露。前田が時間に厳しく、寛平、坂田、そして室谷信雄の3人で遅刻して舞台袖に立たされたと振り返りながら、「いろんな思い出がありますよね」と笑顔を見せていました。