落語家の四代 桂小文枝による芸歴55周年を記念したプロジェクトの概要が、12月19日(木)に発表されました。吉本興業大阪本社で開かれた会見で小文枝は、オファーを受けた全国55カ所を回る『きん枝改メ 四代桂小文枝 芸歴55周年記念大作戦 YOUNG GO!GO!~落語家人生山あり谷あり谷あり~』について説明。能登半島地震の被災地支援を目的とし、今回のプロジェクトにかける思いを語りました。
「できるだけお客さんと近い場所で」
今回のツアーでは、小文枝と筆頭弟子の桂きん太郎が出演し、諸経費を差し引いた売り上げの全額が被災地に寄付されます。会場は、チャリティーに賛同し、小文枝に来てほしいと思っている自治体、企業、個人などからの応募によって決まります。座席数は30〜100席を想定していて、イベント会場や商店街など全国各地のどんな場所でも開催可能。「よしもと落語」公式ホームページからリンクされた特設フォームから応募できます。
会見では、小文枝ときん太郎が登壇。小文枝は開口一番、「55周年として全国の55カ所をお遍路さんのように落語会で回れれば」と今回の企画趣旨を説明します。アイデアを出したのはきん太郎で、YouTubeなどで募集をかけたところ、「いけるのでは」と手応えを得たそうです。
チャリティーについて小文枝は「なんぼくらい集まるかわかりませんけど、やっていきたいなと」と意気込みます。また会場について、「お寺や公民館、商店など、座布団を用意しているので場所さえあれば」と話し、「いままでたいがい皆さまに迷惑をおかけしましたので、お返ししたい一念です」と心境を語りました。
「(会場は)近畿地方でたくさんしたほうがよりお金を渡せるんじゃないかということで、近畿で30ヶ所くらい、あとの25ヶ所を全国で回れれば」
そう話す小文枝は、やってみたい場所について「別にない」と答えつつ、「マイクがいらんくらいのところで、できるだけお客さんと近い距離でやりたいなという感覚」と話ました。
「上方落語に接してもらいたい」
このツアーは、すでに11月に開催された東京公演からスタートしています。小文枝によると、来年中には55カ所を回りたいとのこと。
料金については、一律3000円を予定。「演芸は料金が安いので、地方で3000円というのは高い。でも、そのなかにチャリティが含まれているということで、料金を統一した」と説明する小文枝は、襲名したときに作ったというタオルを取り出しながら、「これを2000円で販売して、赤字の足しにしたい」とも話しました。
さらに、落語に対するこんな思いも明かしました。
「繁昌亭ができて15年、200万人ちょっとの方に来ていただいている。でも、全国には上方落語を聞いたことない人がまだまだいる。今回、上方落語に直に接していただくことが、ひとつ落語の生き残りになるんじゃないかという気がする」
きん太郎も「最後がどこになるかわかりませんが、最終公演で経費も発表して、しっかり透明化しようと思っている」と力を込めました。
小文枝は最後に、「よく55年間やれたなというのが実感としてある」としみじみ。「たぶん、先代のウチの師匠(五代目桂文枝)やからできたんやなというのがある」と振り返ります。そして、「一門、会社、弟子も含めて助けられた55年。あと何年かしかできないなら、それにお返ししたい」とツアーに向けて意気込みました。
会場の応募は「よしもと落語」公式サイトから。