年末年始に年をまたいで放送された『ぐるナイ年越しおもしろ荘!今年も誰か売れて頂戴スペシャル』(日本テレビ系)。若手芸人の登竜門であるこの番組で今回、準優勝に輝いたのがスクラップス(ヨシオちゃん、サン北川、安藤陸)。「人形劇に出てくるおじさんが……」というネタで衝撃を与え、「記憶を消してもう1回見たい」と絶賛されました。今回は、そんな彼らの素顔に迫るため、「20問20答」形式でたっぷり話を聞きました!
ネタの反応は「誰も何もわかってなかった」
——20問20答の前に『おもしろ荘』での準優勝、おめでとうございます!
ヨシオ 2位になったときは、ふつうに嬉しかったですね。「オレらみたいなもんが2位に選ばれるんだな」と思いました。
――実際にネタを披露したときのお客さんの反応はどうでしたか?
安藤 実は僕とヨシオちゃんは、お客さんのほうを向けないネタなので、手応えは北川しかわからないんです。
北川 でも、僕も大きい声を出しているので、ずっと自分の声が「キーン」となっていて、お客さんの反応はわかってなかったです。
安藤 誰も何もわかってなかったのか(笑)。
――出演者の皆さんとのトークで印象に残ったことはありますか?
安藤 あのちゃんさんの言葉が、いちばん嬉しかったです。「記憶を消してもう1回見たい」みたいに言ってくれたのは、いちばんいい映画を見たときに言うやつじゃないですか。
北川 確かにそんなこと言ってたか……。
安藤 確かに?
北川 いや、だからオレはそこも聞き取れてないから。
安藤 そこもまだ聞き取れてなかったの?
ヨシオ お腹がつってたんだもんね。
北川 そう。大きい声を出しすぎて腹筋がつっちゃって。2人は(ネタ中に)動いていたけど、声は僕が全部1人で担当していたようなものなんで、それによってしわ寄せが来てた……。
一同 (笑)
誕生日問題でトリオ解散危機!?
Q1:それでは、20問20答をはじめます! まずはお互いに相方を紹介し合ってください。まず、サン北川さんはどんな人ですか。
ヨシオ 北川は、マジで何もできない社会不適合者ですね。
安藤 ふだんから、北川はよくいっぱいいっぱいになるんです。たとえば北川に余裕がないときに、ヨシオちゃんがネタに関してダメ出しをすると、「いま、ちょっとやめて」「グググ……」となっちゃう。それでもヨシオちゃんがやめずに言い続けたら、いちど階段の踊り場で話していたんですけど、10数段ある階段を一歩で飛び降りたんです。「危ない、やめてー!」ってなって。
北川 別に問題はないじゃん!
安藤 大問題だから(笑)。「終わった」と思ったんですけど、そのまま次の階段を降りていって、「生きてる。よかった」とホッとしました。本当にふつうの会社では絶対に生きていけないですよ。
北川 ストレスを、衝撃で地面に逃がしたんだよ。
安藤 逃げるかあ!(笑)
──では、ヨシオちゃんはどんな人ですか?
安藤 ヨシオちゃんは本当に見た目通りの部分と、見た目と真逆の部分が共存しています。1回、全力で怒ったことがあって、デカいし怖かったんですけど、理由が「誕生日を祝ってもらえなかったから」なんですよ。きっかけだけ乙女みたいなんで、こっちもワケがわからない(笑)。「なぜ怒られているのかわからないけど、迫力だけはすごくある」みたいな感じです。
北川 誕生日のときは、本当に怒っちゃって、解散寸前までいきましたから。ヨシオは会社に「もうやってられない」って言いにいったんですよ。それで社員さんから解散理由を聞かれて、「誕生日を祝われないから」って。社員さんにも「さすがに意味がわかんないよ」って言われていました。
ヨシオ いまでも許してないです(笑)。
──最後に、安藤陸さんの紹介をお願いします。
北川 陸は、まともぶってはいるんですけど、実はいちばん芸人らしいというか、だらしがなくて。借金も一時いくらになったんだっけ?
安藤 奨学金とか全部含めてですけど、300万くらい。
北川 1回、後輩の弁護士芸人が、その借金の債務整理をしてくれることになったんです。でも、「この書類を書いてください」と言われたのを書かずにほったらかして。後輩も「もうええわ」って愛想をつかして。
安藤 大変だったんですよ。その書類が。
ヨシオ 北川も「変」ってよく言われるけど、いちばん「変」なのはこいつですからね。
――ちなみに芸人さんの借金というと、たいていギャンブルみたいなことが思い浮かびますが……。
安藤 いや、それが本当に日々の収入をちょっと上回る生活を続けて……。
北川 しょうもないな。せめてギャンブルしろよ!
ヨシオ (笑)
トリオ名の名付け親はヨシオちゃんの母!?
Q2:みなさん仲がいいですが、年齢はそれぞれおいくつなんですか。
安藤 僕が35歳です。
北川 36歳です。
ヨシオ 43歳です。
Q3:世代の違いを感じる瞬間はありますか?
安藤 ヨシオちゃんとは年が9個離れていて僕は平成元年生まれなんですけど、この時代の9年間の差は意外と大きいと感じます。ちょいちょい知らないバラエティ番組の話をしてきます。
北川 ジェネレーションギャップはすごいですよ。加トちゃんケンちゃんの番組の話とかね。
ヨシオ 『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(1986年1月~1992年3月放送)ね。すごく面白い番組で。
北川 面白いんだろうけど、見たことないのよ。
Q4:それぞれお笑い芸人になったきっかけは?
安藤 僕は千原ジュニアさんに憧れました。芸人さんってカッコいいなと思っていました。
北川 僕とヨシオは同じタイミングでして、僕が大学生のときに福岡でバイトをしていたもつ鍋屋の店長がヨシオだったんですよ。その後、僕は就職したんですけど、いろいろあって辞めることになって、ヨシオが1人で住んでいた一軒家に転がりこんだんです。そんなときに、福岡の吉本の劇場で素人オーディションが開催されていたので、ヨシオに「1回だけでいいから一緒に出てくれない?」と頼んだら、合格して2人で芸人になりました。
Q5:トリオになった経緯は?
北川 最初はそのまま僕とヨシオの2人でやっていたんですけど、当時の社員の方に、「お前ら全然おもんない」と言われて。その社員から「ヨシオは動きがうまいから、2人で柔道着を着て、プロレスのマスクをかぶってプロレスのネタをやれ」と言われたんです。
ヨシオ むちゃくちゃなんですよ。
北川 1年ぐらいやったんですけど、まったくウケませんでした。ネタ中にパワーボムとかマジで危ない技もやらされていたので、とにかくそれをやめるために、同期の陸を入れてトリオになりました。
安藤 あらためて聞くと、最悪な理由ですね(笑)。
北川 いや、本当に助かったよ(笑)。
Q6:トリオ名の由来も教えてください。
安藤 みんなで話し合って、最初は北川が提案した「ハムポテト」でいこうとしたんです。でもそれを吉本の社員さんに言いに行ったら、「まともに喋れる理由がなきゃ認められへん」と言われて。どうしようか困って、「もう3人でジャンケンをして、負けた人が母親に電話して決めてもらおう」と。そしたら、見事にヨシオちゃんが負けまして。
ヨシオ スピーカーにしてお母さんに電話して、「トリオ名を悩んでいるから何かひとこと言って」と頼んだら、「スクラップ(ごみ)」って言われて。「オレらごみなんだ」って。
安藤 本当にクイックだったよね。すぐに「じゃあ、スクラップ」って出た。
北川 まあ正直、僕らが出したやつよりセンスがあるなとは思いました(笑)。
ネタをいかにも書いていそうだけど…
Q7:それぞれの芸名の由来も教えてください。
安藤 僕はそのまんま、本名です。
ヨシオ 僕は本名が野村考央(やすひろ)なんですよ。ギタリストの野村義男さんからとって、あだ名がヨシオだったので、そっちをそのまま芸名にしました。
北川 僕は実家が「サン北川」というパン屋でして、実家を継がなかったので、名前だけでも継ごうと芸名にしました。でも、そのパン屋の従業員さんだった人が経営者になって店の名前が変わっちゃったので、いまは「サン北川」は僕だけになってしまいました。
Q8:自分の性格を一言で言うと?
安藤 僕は「めんどくさがり」ですかね。
北川 「一生懸命」ですね。
ヨシオ 「優しい」。
Q9:お互いに直してほしいところは?
北川 陸に対してなんですけど、服装とかが、いかにもネタを書いてそうなんです。ふだんの平場も、いかにもネタを書いている人のムーブをしていて、初めて見た人はぜったい勘違いするので辞めてほしい。
安藤 これに関して言うと、お前がネタを書いてなさそうすぎるんだよ!
ヨシオ (笑)
北川 「オレはブレーンですよ」みたいな、ケビンスの仁木(恭平)さんみたいな顔をしてるから辞めてほしい。
安藤 お前がコンボイ(ケビンス・山口コンボイ)すぎるんだよ! ネタ書いている人がそんな髪型してるの見たことないから(笑)。
Q10:ネタづくりはどのようにしていますか?
北川 基本、僕が書いて、2人に見せています。散歩をしながらネタを作るんですけど、歩きすぎて足首のじん帯をやっちゃったこともあります。ネタが浮かばないときは、「出るまで歩こう」となって、体に負荷がかかっちゃうんです。後半なんか、もう疲れていて、頭も働いていないんですよ。ほんとに。
安藤 (歩くの)やめろよ、じゃあ(笑)。
Q11:ネタ合わせはどのようにしていますか?
安藤 北川が考えたネタを、僕とヨシオちゃんでどういうふうに見せるか考えます。
ヨシオ 北川は実現不可能なことをいっぱい言ってくるんですよ。「陸がヨシオにタックルして、ヨシオの腹から陸の顔が出てケンタウロスみたいになる」とか。どうやってやんだよって。実現できなくてボツになったネタもいっぱいあります。
ファンになってくれたら「リターンは分厚い」
Q17:ほかのトリオとの違いやアピールポイントは?
安藤 イレギュラーなところですかね。北川はそれこそお腹がつったりもしますし。この前のライブでも、ヨシオちゃんが北川の髪をつかむネタで、北川が「もう無理です。ハゲます」って言いながら、完全にネタを降りてしまったり。
北川 持つフリでいいのに、力加減がバカになってギューってやるから。
安藤 そういうイレギュラーなことがすごく起こるのは、ほかのコンビやトリオにはないことなのかなと思います。
ヨシオ だから、北川にドッキリをかけてほしいよね。
Q18:2024年を振り返ってどんな年でしたか?
北川 2024年はもう、めっちゃよかったです。『キングオブコント』も初めて準決勝に行って、『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ系)にも出させていただいて。急にグッて来たんで、まだ体がビックリしてます。
Q19:2025年の抱負や目標を教えてください。
北川 『キングオブコント』で決勝に行くのは第1目標ですし、「ちゃんと面白くなりたい」っていうのはありますね。成長したい。あと、芸人と仲良くしたいです。まだそんなに東京に馴染めていないし、3人とも「福岡から東京に来させてもらいました、すいません」みたいな感覚があるんですよ。
安藤 福岡の劇場にゲストで来られる方たちが、∞ホール(東京・よしもと∞ホール)にいつもいるんで、その感覚は抜けていないかもしれないですね。「ゲストで来ていた人たちだ」っていう。
北川 陸なんか、(よしもと∞ホール所属の)同期のレインボー(ジャンボたかお、池田直人)とかにも敬語を使うじゃん。それ、やめようよ。
安藤 そこまでガチガチの敬語じゃないよ。うすら敬語。
北川 いやいや、なんかもう違うじゃん。自信を持って話せるように気合い入れていこうよ。
ヨシオ うーん、オレはまだ無理かな。まわりが面白すぎる。オレみたいなもんが話しかけていいわけがない。
安藤 だから来年の目標は「芸人に慣れる」ってことですね。売れている人がいても、ビビらない。場慣れする。
北川 うんうん、そうですね。
安藤 12年目の目標が、場慣れするて。
一同 (笑)
Q20:最後に、ファンに伝えたいメッセージはありますか?
安藤 本当にスクラップスは、まだファンが少ないトリオですので、ちょっとでも興味のある方がいたら、ライブに足を運んでいただけたら嬉しく思います。
ヨシオ スクラップスを推してください!
北川 ほかの芸人のファンに対する思いよりも、たぶん僕らのほうがちょっと強いです!
安藤 ファンになってくれたときの返りがね。感謝が大きい。
北川 リターンが分厚い。リターンをちゃんと返す気持ちはすごく強いです。
安藤 バイト中に「北川さん」って声をかけられたんでしょ?
北川 そうそう。バイトで原付に乗っているときに声をかけられて、「北川さん、いつも見てます」みたいなことを言われたから、「ちょっと停めるから話そうか」って言ったら「そこまでは大丈夫です」って。
安藤 返そうとしたのにね、リターンを(笑)。
ヨシオ オレも出待ちとかで話をしていても「ヨシオちゃん、長い」って言われるから。
安藤 リターンを返しすぎて……。かわいそすぎるやろ(笑)。