吉本新喜劇で座長を務める酒井藍による初めてのアート展覧会『酒井藍・個展・ドキッ！』がLAUGH & PEACE ART GALLERY（大阪市中央区）で12月2日（木）〜5日（日）の期間、開催されています。初日には酒井が会場を訪れ、作品制作のウラ話やこだわりを語りました。
今回展示されているもので目を引くのは、なんといっても新喜劇座員111人の似顔絵。また、個展開催に合わせて挑戦したアクリル絵の具作品や、タブレットパソコンで描いた海原やすよともこの似顔絵、島木譲二さんや中山美保さんなど「新喜劇レジェンド」たちの似顔絵なども展示されています。さらに、酒井がリスペクトする新喜劇の大道具さんのイラストや、自身が演じる「藍五郎」のフィギュアなど、見ている人が笑顔になるラインナップです。
「誰やねん！」みたいな似顔絵も！？
会場を訪れた酒井は、座員の似顔絵を描き始めたのが、コロナ禍で初めての緊急事態宣言が出た昨年春ごろだと振り返ります。
「新喜劇の休演が続いて、『皆さん、何してるんやろ……』と思いながら“あ行”から順に新喜劇座員全員の顔を描きました」
子どものころから似顔絵を描くのが好きだったという酒井。1人の似顔絵を仕上げるまで着色を含めて1時間弱、座員全員を描き上げるまでにかかったのは、たったの5日というから驚きです。個展開催にいたった経緯についても語りました。
「リモートで座員たちとしゃべっているときに、描き上げた絵をモニター越しに見せながら、『これ、誰でしょう？』とクイズで楽しんでいたら、『個展ができるんちゃう？』と勧められて、『してみたいな』と思うようになりました」
かわいくてポップなのに、ちょっと“毒”がある独特のタッチで描かれた座員たちの似顔絵は、下書きなしの一発勝負で描かれたものばかり。「なかには『誰やねん！』みたいなのもあるかも知れません（笑）。それも含めて楽しんでもらえたら」と笑います。
似顔絵がすべて“白目”になっていることについては、「なぜか、黒目を入れたら似なくなるんです」と告白。一方、タブレットで描いた似顔絵は「黒目を入れたほうが似ている」と、不思議そうに話しました。
今回、LAUGH & PEACE ART GALLERYのスタッフに勧められて、初めてアクリル絵の具を使った描き下ろしにも挑戦。末成映薫や池乃めだかのイラストや、昔の新喜劇ポスター風のイラスト、さらに新喜劇の新旧座長4人が描かれた浮世絵風イラストなどもあります。
「下書きしたり、重ね塗りしたり、初めての経験でした。（歴代）座長の浮世絵の絵は6時間くらい、昔の新喜劇ポスター風の絵は2日間くらいかかりました」
売れ残った芸人を傷つけたくない…
今回の個展では、新喜劇座員似顔絵が税込みで1点6600円、アクリル絵の具作品は1万1000円からで購入可能なものも。酒井が、この価格設定のウラ話を明かします。
「はじめは『500円くらいで……』と話したら、『アホか！』みたいな空気が流れて（笑）。プロの皆さんにアドバイスをいただいて、額装にして、この値段に決まりました」
また、「売れ残り」を心配する酒井は「誰も傷つけたくないので……」と「売約済み」などの紙は貼らない予定。「全員売れてほしい」と酒井らしい心づかいを覗かせました。
作品の展示方法にもこだわりがあって、「ちびっ子たちにも見に来てもらって楽しんでもらいたいので、低い位置にも展示しています。皆さん笑顔になってもらえたら」とのこと。会場には、酒井の全身白タイツ姿の写真がデザインされた顔出し看板もあります。
最後に、早くも“次”に向けた目標を語る酒井。
「今回は写真を見て描いたんですが、次やるなら写真じゃなくて、みんなの“顔”を（直接）見ながら描くのをやってみたい」
ただ、作風が作風だけに「ブチ切れる人もいるかもしれませんが……」と心配顔も見せていました。
会場では、酒井藍監修のオリジナルグッズも販売されています。真っ白の全身タイツの撮り下ろし写真に一言コメントが入った「日めくりカレンダー」や、個展のポスタービジュアルのアクリルキーホルダー、ステッカー、ポストカードセットなど、個性的なグッズの数々が並んでいます。
新喜劇座長・酒井藍のめくるめくような独特のアートワールドを体感できる「酒井藍・個展・ドキッ！」は12月5日（日）まで開催中です。
個展概要
『酒井藍・個展・ドキッ!』
日程：12月2日（木）～12月5日（日）
時間：13:00～18:00
会場：LAUGH&PEACE ART GALLERY（大阪市中央区）
入場料：無料
