人間国宝・京山幸枝若の“豪華”記念公演は大盛況! 大物ゲストに半生描いた新喜劇…「全国に浪曲を広めたい」

浪曲師として初めて重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定された京山幸枝若が、2月28日(金)に大阪・なんばグランド花月でその記念公演を開催しました。付き合いの深い大御所芸人たちによる口上に続き、幸枝若が浪曲を披露。さらに幸枝若の半生を描いた今回だけの吉本新喜劇も特別上演されるなど、“記念”にふさわしい豪華な内容に会場は大いに盛り上がりました。

出典: FANY マガジン
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口上で感極まるぼんちおさむ

『浪曲師 京山幸枝若「人間国宝認定」記念公演』と題された今回の公演は、まずは京山幸枝若、そして西川きよし、月亭八方、桂小文枝、ザ・ぼんちによる口上から始まりました。みんな、幸枝若とは若手のころから付き合いがある面々です。

「待ってました!」のかけ声が会場のあちこちから上がり、劇場は祝福ムードに包まれます。司会を務めるのは、幸枝若の浪曲教室の生徒でもある月亭八方です。

口火を切ったのは、ザ・ぼんち。里見まさとは「若いときから夢のある話をしていました」と昔を振り返り、「神田川」の一節を披露。ぼんちおさむはいつもの調子ながらも感極まる一幕も。

桂小文枝は「今日のような日が訪れるとは……」と感慨深そうな表情を浮かべ、「皆さま方のお力で、二代目幸枝若がますます大きくなるよう、よろしくお願いします」と呼びかけました。

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西川きよしは「お互いに切磋琢磨した仲」と紹介しながら、「日々の頑張りをこの目で見させてもらいました。芸能界は厳しいところですが、幸枝若さんは小さなことからコツコツと頑張って来られました。ますます頑張っていただきたいと思います!」とエールを送りました。

自由に口上を述べる芸人たちを、終始ニコニコと見ている幸枝若。最後は客席と一緒に大阪締めで締めました。

最初の演目は浪曲とパラパラの融合!?

そしていよいよ演目披露へ。まずは幸枝若の弟子の京山幸太が浪曲「ギャルサー!」を口演。こちらは幸太の完全オリジナル浪曲で、パラパラ日本一を決める「P-1グランプリ」で優勝を目指すギャルたちの姿を活写しています。

パラパラを踊る場面では、テーブルの前に飛び出してダンスミュージックにのって踊り始める幸太。最後はセーラー服姿の女性たちも登場して決めポーズとなりました。

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続いて賑やかな漫才で盛り上げたのは、西川のりお・上方よしおです。社会問題、時事ネタ、旬の芸能ネタをふんだんに散りばめた漫才で会場を爆笑の渦に巻き込みます。立て板に水の話芸で独走するのりおに、絶妙なツッコミを入れるよしお。会場はさらに熱気を帯びていきました。

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お家芸の「左甚五郎」で魅せる幸枝若

幕間をはさみ、いよいよ京山幸枝若の浪曲です。再び「待ってました!」のかけ声があちこちから上がります。「今日はたくさんの方がご来場くださり、ホッとしています」と話しつつ、「なんば花月や京都花月で頑張っていた先輩方の口上は嬉しかったです」と笑みを浮かべました。

演目は京山幸枝若のお家芸である名匠・左甚五郎シリーズの一席「左甚五郎 掛川の宿」です。じわりと染み入るような滋味深い声や関西弁のイントネーションが心地よく、じっくりと聞かせます。

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ときおり河内弁でまくしたてる場面もありますが、どこか愛嬌があり、幸枝若の人柄がにじみ出ているよう。節では高めの声色で朗々と歌い上げ、その美声を響かせました。

人間国宝の務めをまっとうする決意

中入り後は、幸枝若の半生を描いた吉本新喜劇「うなれ!幸枝若!~京山幸枝若物語~」の特別公演です。幸枝若の若手時代である福本一光、のちの京山福太郎を吉田裕がつとめたほか、池乃めだか、やなぎ浩二、島田一の介、末成映薫、浅香あき恵ら吉本新喜劇の座員と、幸枝若の弟子、幸太と幸乃も登場しました。

幸枝若の師匠であり実父でもある先代への思いや葛藤、浪曲師としての苦悩などを描いた物語が、新喜劇のギャグを交えつつ展開していきます。

幸枝若は、先代幸枝若役で登場。吉田と息の合ったコントを披露したほか、乳首ドリルや今別府直之の乳首ギャグにも挑みました。また、先代の元妻役の浅香と取っ組み合いのケンカをするなど、大活躍!

出典: FANY マガジン
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さらに幸乃も乳首ドリルに挑戦です。テンポよく“マキザッパ”を操る幸乃に、吉田は「完璧やないかい!」と声を上げていました。また、吉田、幸太、末成の3人が先代のヒット曲「瞼の母」の一節を歌いあげる場面もあり、三者三様の節を楽しめました。

最後に、「この物語は事実とはすこ~し異なりますが、こんな感じで二代目京山幸枝若を襲名しました。全国に浪曲を広めたいと思っておりますので、これからも浪曲をよろしくお願い申し上げます」と、人間国宝としての務めをまっとうする決意を新たにした幸枝若。万雷の拍手のなか、閉幕となりました。

出典: FANY マガジン
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幸枝若「J-POPのアーティストとコラボしたい!」

幸枝若、幸太、幸乃、そして八方や吉本新喜劇座員が勢ぞろいしてのエンディングで、「もう一言、お願いします」という八方に促されて語り始めた幸枝若。

「30代のころは吉本のポケットミュージカルスでようお芝居に出させてもらって。吉本はすごいですよ! 2日前に台本をくれるんです。やっぱりね、年とったら(セリフを)覚えられへん(笑)」と言いながら、満面の笑顔を見せました。

また、吉田が「なにか新喜劇以外とのコラボもされていくんですか?」と水を向けると、「J-POPのアーティストとコラボしたいですね!」と意気込みました。

出典: FANY マガジン
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