介護をテーマにしたちょっと変わった“謎解きイベント” 「ただいまタイムループin よしもと幕張イオンモール劇場」が、3月9日(日)に開催されます。千葉・よしもと幕張イオンモール劇場を舞台に、芸人たちが扮する家族と実際にコミュニケーションをとりながら、介護で直面する問題を疑似体験できるイベントです。3月6日(木)にはメディア向けのお披露目が行われ、バイク川崎バイク(BKB)とネルソンズ(和田まんじゅう、青山フォール勝ち、岸健之助)が、実際に謎解き体験をしました。

未来人が明かす「キングオブコント2026」優勝者!?
今回のイベントは、昨年11月に開催された 「ただいまタイムループ」のリバイバル公演です。経済産業省が「介護を 『 個⼈の課題 』 から 『 みんなの話題 』 へ」をテーマに発足した「 OPEN CARE PROJECT」の一環として東京・渋谷の一軒家で開催したものが、舞台をよしもと幕張イオンモール劇場に移します。
ストーリーは、シマッシュレコード(嶋田修平、島居俊介)の“島居の家族”を中心に展開。結成20周年記念イベントに、島居の妻(ボルサリーノ・関好江)、娘(光永)が参加します。そして来場者は、島居の“親族”として参加。

そこに突然、“未来人”を名乗るナゾの人物(ヒロユキMc-Ⅱ)が出現し、島居の家族に将来訪れる“ある出来事”に備えるため、参加者に大切なミッションを委ねます。そこから客席や舞台、ロビーやバックヤードまで、劇場全体を巡って、島居の相方の嶋田や先輩芸人・レギュラー(松本康太、西川晃啓)からヒントを得ながら、その世界に“没入”してミッションに挑んでいく――というのが、大まかな流れです。
ロビーに集まったBKBとネルソンズは、くじ引きで役柄を決定。まずは、シマッシュレコード20周年記念ライブが開かれる劇場の客席へ入り、シマッシュレコードの2人とボルサリーノ・関演じる母、光永演じる娘と対面します。BKBとネルソンズは「20周年おめでとう」と声をかけ、自分の役柄に沿いながら“家族の会話”をしました。

その後、BKBとネルソンズだけになったところでヒロユキ扮する“未来人”が登場。「大きな声を出さないで! 落ち着いて!」と1人でパニック状態のヒロユキにつられて、ネルソンズ・和田まんじゅうも我を失い、「大きな声出してない!」と大声で叫んで笑いを誘いました。
一方、BKBが「未来人という証拠はあるんですか」と詰め寄ると、ヒロユキは「あまり未来の情報は言えないんです……」と前置きしつつ、意を決して「キングオブコント2026」の優勝者を暴露。「大自然(しんちゃん、ロジャー)」という絶妙な名前に、BKBとネルソンズは「何とも言えない」「2025だと難しいけど、2026なら……」「苦労していたもん」と、ヒロユキが未来人であることをなんとか信じた様子……。

家族の未来を変えるミッションとは?
その後、BKBとネルソンズが楽屋で再び“島居一家”と話していると、島居が家族からの大切な頼まれごとを忘れていたことが発覚します。そしてステージに戻った4人に、ヒロユキから「島居は数年後に認知症を発症し、介護が発生します」と未来が明かされるのでした。
ヒロユキから課されたミッションは、“島居の通帳と印鑑の隠し場所と、口座の暗証番号を聞き出す”というもの。認知症を発症すると、家族であっても預貯金を動かすのは難しく、介護方針の違いやおカネにまつわることで、家族にいさかいが起きるケースが少なくありません。そのため、家族が元気なうちに“大切な情報”を共有しておくことが重要なのです。
ただ、近しい間柄でもおカネに関する情報を聞き出すのは難しいもの。そこを上手に聞き出してほしいと、4人はヒロユキから“ミッションカード”と“エンディングノート”を託されました。


まずは島居に向かって、BKBが「エンディングノートっていうのが流行っているらしくて」と切り出します。ネルソンズ・岸が「いつ、何があるかわからないから」と説得するなか、島居が「オレはまだまだ元気だ」と渋ると、青山がイラ立ち、「早く書けよ!」と威圧的に詰め寄る一幕も。
多少のいざこざがありながら島居は、とあるヒントをエンディングノートに記します。

さらなるヒントを得るため、4人は島居がお世話になっている先輩芸人・レギュラーのところへ。しかし、西川は、島居との会話を一生懸命思い出そうとするうちに気絶! そのままレギュラーは、シマッシュレコードの“あるある探検隊”を披露し、BKBとネルソンズを爆笑させました。
最終的にレギュラーの2人は、ヒントとなる島居のエピソードを4人に伝授。このヒントと、ヒロユキのタイムリープ能力によって、家族とのコミュニケ―ション方法を学びながら、4人は通帳の隠し場所と暗証番号へと近づき、最後はシマッシュレコードの20周年ライブでゴールとなりました。


「やっぱり1回は実家に帰ろうかな」
体験終了後に、BKBとネルソンズ、出演者であるシマッシュレコード、ボルサリーノ・関、ヒロユキMc-Ⅱ、光永、レギュラーに話を聞きました。
――実際に家族と介護について話した経験はありますか?
シマッシュレコード・嶋田 僕はあります。いま44歳なんですけど、上に兄が3人いて、母は高齢で体調もすぐれないので、数年前から家族で話すようになりました。だから、今回は誰よりも感情移入していました。
ネルソンズ・和田 飛び出しのタイミングとか完璧でしたもんね。
ボルサリーノ・関 私はいちばん年上で、周囲では親の介護が始まっている人もいますけど、(自分の)両親がまだ元気なので、まさにこの家族みたいに、そういう話題を避けているところはありますね。いまのうちに話しておかないと、いざというときにあせっちゃうというのが、今回よくわかりました。
BKB 僕は父親にそういう(エンディングノートみたいな)ものを書いてるって言われました。母が足をケガして入院したり、父も不整脈になったりして、実家に帰ったときに「ここの引出しに全部あるから」って明かされたこともあります。でも、そういうのって、親が死ぬときに話すイメージがあったので、そのときは僕が「そんなこと言われても……」っていう反応をしちゃいました。ちなみに、その引出しがどこだったかは、もう忘れました。

ヒロユキ “それでか”と思ったんですけど、僕が出て行ったときに最初は4人ともニヤニヤしていたんですけど、「このあと、こういうことが起こります」と伝えた瞬間、バイクさんがけっこう早く顔がキュッってシリアスモードになったんです。
ネルソンズ・青山 僕ら(ネルソンズ)は、まだ少し若くて、両親もそこまでの年齢ではないので……。
ネルソンズ・岸 僕のおやじは91歳です。
和田 オレのおばあちゃんの1コ上だよ。
岸 オレはお父さんの話してるんだよ。デリカシーないな! 今日、使ったノートをもらって帰りたいくらいです。
レギュラー・西川 僕の父も認知症が始まっていて、僕らがケアしているんですが、家族であってもかなり煩雑な手順を踏まないと口座から預金を引き出せないんですよね。
レギュラー・松本 だから、本当にちゃんと話せるうちに話しておいたほうがいいよ。

シマッシュレコード・島居 僕は実家が長崎の対馬っていう離島なんですけど、16年間、帰っていなくて。
一同 エーッ!
BKB 何してんの!?
島居 LINEではやりとりしたり、姉の家族が近くに住んでいるから安心していたんですけど、今回のイベントに参加したり、こうして皆さんの話を聞いていると、やっぱり1回は帰ろうかなって思いました。
重いテーマを楽しく学べるイベント
――体験してみた率直な感想を聞かせてください。
青山 テーマはちょっと重いですけど、芸人がやっていることもあって、すごく楽しかったです。謎解き系のイベントは好きでよく行ったりするんですけど、アドリブ感とか、やっぱり芸人はレベルが違うなって思いました。
(一同拍手)
松本 面白かったよな?
青山 やっぱり、芸人ならではの……。
松本 いや、「面白い」っていう言葉が全然出てこない!
青山 面白いのはもちろん大前提として(笑)、介護というテーマでも、芸人たちがやることで楽しくできるし、アドリブにも面白く返してもらえたので、これから参加する人たちはすごく楽しめると思います。ちょっとレベルが違います!
一同 (ハードルが上がるから)あまり言いすぎないで!

――青山さんは途中で、「オレのふるまいがよくなかったかな」などと反省する姿も見られました。
青山 気づかされました。
和田 僕らも思っていたんでね。
ヒロユキ でも、青山くんみたいな反応もリアルで、僕らはありがたいです。
BKB 僕は客席からみんなを見るだけでも、なんかグッときました。
和田 客席からネタを見るってこんな感じなんだなって。
岸 最後の20周年ライブでシマッシュさんが出てきたときとか、グッときました。
BKB 出囃子が鳴って舞台に出てくる感じが、“芸人カッケー!”って思いました。
関 劇場中を回れるのも楽しいと思う。
青山 お客さんが舞台に上がる機会もなかなかないしね。

ボルサリーノ・関の“お母さん感”がすごい!?
――演者側からは、参加する皆さんにどんなふうに参加してほしいと思いますか?
島居 自分を押し殺さず、おとなしく縮こまらず、自然に、そして積極的に参加してほしいなと思います。どんどんしゃべってほしいです。
青山 何を言っても返してくれるメンバーですから。
和田 人見知りで普段しゃべらない人も、芸人さんがしゃべりやすくしてくれますしね。
ヒロユキ 関さんのお母さん感がすごくて、誰でも間違いなく息子、娘になれます!
一同 (笑)
ヒロユキ 第一声の「あら~」で、すべての人を世界に引き込みます。
関 全国民の親戚なので(笑)。

――レギュラーの2人は、介護職員初任者研修やレクリエーション介護士の資格も取得し、介護に関する理解がとくに深いと思いますが、今回のようなイベントをどう思いますか?
松本 勉強するというより、楽しむことに切り替えたほうが、“楽しんだ結果、実はいろいろ学べている”ということが多いのでいいと思います。堅苦しく考えず、ただ謎解きゲームに参加する感覚で。
西川 僕は以前、渋谷の一軒家で開催したときに体験させてもらって、本当に感動したんですよ。家族の大切さみたいなものがよくわかるんです。だから、演者たちには参加者の皆さんを感動させる名演技を期待しています。

まだ介護問題にリアリティを感じられない世代の人も、芸人たちとたくさん触れ合えて、劇場の裏側まで回る体験ができるだけでも貴重で楽しい機会。ぜひ、ゲーム感覚で気軽に参加してみては?
イベント概要
「ただいまタイムループ in よしもと幕張イオンモール劇場」
日時:2025年3月9日(日)11時・13時・15時・17時 全4回公演
場所:よしもと幕張イオンモール劇場
出演:ヒロユキMcーⅡ/シマッシュレコード/光永/レギュラー/関 好江(ボルサリーノ)
料金:前売2,000円 当日2,500円
FANYチケットはこちらから。