現代アーティスト・KAORUKO の個展「KAORUKO exhibition 『縁起と ANIMISM』」が、4月30日(水)から5月13日(火)の日程で、名古屋の松坂屋名古屋店本館「ART HUB NAGOYA open gallery」で開催されています。KAORUKOの生まれ故郷、名古屋で初の開催となる個展で、初日には長年、KAORUKOと交流のあるファッションデザイナー・ドン小西氏も来廊してトーク&ファッションチェックを行いました。

神社の水を使って描いたメイン作品
KAORUKOは、小泉今日子や松本伊代ら多くのタレントを生んだ“花の82年組”の1人。「新井薫子」としてアイドルデビューしたあと、アーティストとしてニューヨークを拠点に活動し、コロナ禍で帰国後も精力的に創作を続けています。
今回の個展のテーマは「縁起とANIMISM」。昨年6月に東京で行われた個展でも描かれていた龍をモチーフにした「Dragon(龍:ドラゴン)」がメイン作品で、これは名古屋市内にある高牟神社の「ご縁を結ぶ古井戸の霊水」を使って描かれています。さらに近年、KAORUKOが「ANIMISM」とともにテーマにしている「coexistence(共存)」のシリーズのひとつとして、フクロウを描いた作品「Coexistence “Owl“」も展示されています。

KAORUKOは「Dragon」について、「現代アートで“縁起”を表現したいと思いました。柄については、着物でいう青海波という波の柄で、穏やかな幸せが長く続きますようにという意味があります」と明かします。
「それが続くことで龍の形になり、龍は水の神様で、水は途切れることがないことから、幸せも途切れないようにという意味があります。私の思いが、コレクションしてくださる方にも伝わるように、と願いを込めました」
これを聞いたドン氏は「アートとしても、縁起ものとしても楽しめるということで作ったんだよね。でも、話が長いんだよ」とツッコミを入れていました。

また、KAORUKOがデザインした浴衣を、ドン氏がファッションチェック!
「ドット(水玉)にお花、求められているポイントを押さえている。どなたでも着られる色彩で、よくやってると思います」
こう評価するドン氏ですが、「KAORUKOの作品には素晴らしいものがいっぱいあるけど、着物とか洋服は違う。60点!」という厳しめの採点。しかし、すぐに「生まれて初めてビジネスを考えたと思う。そう彼女なりに考えたとすると80点! やりすぎかな? 」と笑顔で付け加えていました。

初めての出会いは「夫婦で怒鳴り合っている現場」
続いて、2人によるトークコーナーへ。初めて出会ったときのことについて、KAORUKOが「コラボしてもらいたいと思ってドンさんの会社を訪れたのが最初です。そのときは御夫婦で怒鳴り合っていて、怖い人だなと思いました」と語って笑わせます。
一方のドン氏はKAORUKOのことを「おもしろい絵を描く子だな」と思っていたとのこと。「おもしろい描写で表現していて、オリジナル性をすごく感じたね」と振り返ります。
今回の高牟神社とのコラボについては、「湧き水が出ている神社はないかなと探したら、すごく近いところにあって。それで宮司さんとお話させていただいて決まったんです」とKAORUKO。「神社は地方に密着している場所。アートの力で活性化して、若い方たちが多くなるというようなコラボができればいいなと思います」と力を込めました。

一方、浴衣のデザインについて、KAORUKOは「自分のアートが江戸時代の浴衣の型紙をシルクスクリーンにして刷っているものなので、以前から浴衣をつくりたいという憧れがありました」と話します。
ドットの大きさにもこだわっているそうで、「古典的な模様を使いながらも自分のアートを入れて、現代的なものと昔ながらのものを融合させたいという思いでつくりました」とアピールしました。
最後に今回の個展に訪れる人たちに向けて、「来る方が幸せな気持ちに、縁起がいい物を見られたなという気分になれる作品だと思うので、ぜひ来ていただきたいです」と語ったKAORUKO。ドン氏から改めて激励されると、「がんばります!」と応えていました。
個展概要
KAORUKO exhibition 『縁起と ANIMISM』
開催期間:4月30日(水)~5月13日(火)
時間:10:00~19:00
場所:松坂屋名古屋店本館8F「ART HUB NAGOYA open gallery」
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