セカンド王者ツートライブインタビュー!漫才ブーム10年間ツアーでの変化、さや香新山からのメッセージ、決勝中の心境…すべて語る

結成16年以上のベテラン芸人たちがトーナメント方式で激突するお笑い賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~2025』は、結成18年目のツートライブ(周平魂、たかのり)が王者となりました。

出典: FANY マガジン
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フジテレビの生放送出演で大忙しの5月19日(月)朝。激闘を終えたばかりのふたりに話を聞くことができました。

後輩芸人からの祝福の声に感動

――優勝して2日が経ちました。王者となった実感は湧いてきましたか?

周平魂 正直まだボヤボヤしている状態です。すごい番組に出させてもらっているのは分かっているんですけど、いつも通り喋ってるからヤバいです。(失言して)いつかどこかで怒られると思います。

たかのり 徐々に実感してる感じですね。フジテレビには、何回か来たことあるんですけど、ほんまに無名やから、前はこそこそしてたんですよ。でも、今日来たら、テレビで見るような方からお祝いの言葉をいただいて……意味分からん状態です。あと、大阪でもそんなに顔さされないのに、東京のタクシーに乗ったら「おめでとうございます」って声をかけていただいて。

周平魂 でも、その運転手さん大阪の人やったんですけどね。

――(笑)。大会から一夜明けて日曜日には帰阪されました。多くの方から祝福されたのでは?

たかのり 後輩がバーッと来てくれて「おめでとうございます!」とお祝いしてくれました。ビスケットブラザーズの原田は泣いてくれましたね。

周平魂 NGK(なんばグランド花月)で出番があった霜降り明星のせいやが、よしもと漫才劇場の楽屋までわざわざ会いに来てくれたのも嬉しかったです。

出典: FANY マガジン
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――大会を振り返っていただきたいです。1回戦はトップバッターで、大阪の先輩・モンスターエンジンさんとの対戦でした。いかがでしたか?

たかのり 僕らからしたら、ノックアウトステージ(予選)で、ジャルジャルさん、ななまがりさんとやらせていただいたというドラマがあるんですよ。そこからトップを引いた時点で、これはもうやるだけやなと。

ただ、個人的には、大林さんに3、4年目のころから可愛がってもらっていて、週5、6で飲みに行くこともあって。今回、僕は大林さんとほとんど絡んでないんですけど、それは、先輩は先輩やし、勝ち負けとかじゃないし、ずっとメシ食わせてもらって、飲ませてもらって、食えてないときに助けてくれた方やし、なんか複雑な気持ちがあったからですね。

周平魂 大林さんとは住んでるところが近所なんですけど、保育園で息子を送るときに、よく会うんですよ。それが東京のフジテレビで対決ですよ。球体の中で戦えるなんて……。

たかのり 球体の中ではないよ。

――(笑)。

周平魂 あと、西森さんは、心の支えになっている人なんです。「今もそうや!」って言われるかもしれないですけど、僕、1、2年目のとき、むっちゃイタくて……。当時、「(大阪にある居酒屋)『たこしげ』に行ったら、芸人の兄さんに会える」って聞いたからベロベロで行ったんです。そしたらケンドーコバヤシさん、千鳥の大悟さん、西森さん、ダイアンの津田さん、スマイルのウーイェイよしたかさん、天竺鼠の川原さんがいて。

たかのり 当時からバケモンの人らやな。

周平魂 僕イタいから、皆さんの前でボケまくったんです。兄さん方は苛立っていたと思うんですけど、そのなかで西森さんがボソッと「お前、オモロいぞ」と言ってくれて。それがずっと支えになってましたね。

決勝ネタは「楽しくできるネタ」をチョイス

――そんなモンエンさんとの戦いでは、大会最高となる295点を獲得しました。

周平魂 前人未踏、天下無双、森羅万象……。

たかのり 森羅万象は違うやろ。

――(笑)。

周平魂 棚から牡丹餅。

たかのり それは正解や。

――(笑)。

周平魂 ノックアウトステージのときは1時間前ぐらいに極限の緊張がきてたのに、決勝では、それがこなかったんです。本番前に「大丈夫かな」と思っていたら、さや香の新山が「僕の経験なんですけど」と連絡くれて。「100点を出そうと思ったとき、僕はかかりすぎてぐちゃぐちゃになりました。でも、80点を目指したら、うまくいってる感じはありました」と教えてくれたんで、それを相方にも伝えました。

新山のおかげで、めっちゃ気がラクになったなと思ってたら、(漫才を終えた前回王者)ガクテンソクの奥田さんが「むっちゃ噛んでもうた。俺が噛んだから周平も噛みまくってええよ!」と言ってくれたんです。調子に乗って「分かりました。一発噛んできますわ!」って言うたら、ほんまに噛んでしまいました(笑)。

たかのり コンビって、どちらかが緊張したらどちらかが落ち着くものなんですけど、今回は周平が緊張して噛んで、僕が一気に落ち着きました。

周平魂 最初ウケずに後半になってどんどんウケるネタではあるんですけど、今回、最初からボーンッてウケすぎて、マジで緊張しました。

出典: FANY マガジン
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――準決勝は、はりけ~んずさんとの対戦でした。いかがでしたか?

たかのり 予選のとき、対戦相手のヘンダーソンさんが爆笑をとっていたのに、むっちゃ落ち着いて漫才をされていたんです。はりけ~んずさんって、場数や芸歴がまるまるネタに出てる方々なんで、どうなるか分からへん状態でしたね。

周平魂 「とりあえず1本目の緊張感を取り払えたらオッケー」っていう感じでいったら、2本目からようやく楽しくなってきた印象があって。ツカミで「最高得点」って言うたんですけど、きてくれる(笑いがある)というテンションでいってるから、舞いあがらず「(ウケて)ラッキー!」と思いながら漫才ができました。

――決勝は囲碁将棋さんです。

周平魂 ここで初めてお祭りのテンションになれたというか。決勝前に(敗戦した)モンスターエンジンさん、吉田たちさん、金属バットさんと、大阪で一緒にやっている方々が来てくれて、泣きそうになったんですよ。嬉しいし、楽しいし、囲碁将棋さんもウケまくっているんで「もっとウケろ! 2組ともウケて、どっちが優勝や!? みたいなテンションになったらええねん!」と思いました。あのときが一番楽しかったです。

たかのり 決勝のネタは「一番好きなネタをしよう」という話になっていたんですよ。(ゴシップのネタは)賞レースに向いてないのは分かっているんですけど、あえて寄席で楽しくできる「遊びネタ」を選んだんで、むっちゃリラックスできました。囲碁将棋さんの繊細で素晴らしいネタに、繊細なネタをぶつけて勝つなんて無理ですからね。

周平魂 (ゴシップのネタは)どっちかというと、ダブルアート・真べぇの結婚式でやったような芸人を笑かすネタなんです。

――お客さんのお笑い感度が高かったため、よりウケたということですね。

たかのり そうなんですよ。

ツートライブがこの1年で取り組んだこと

――昨年、初参加となったセカンドは選考会で敗退。なぜ、今回決勝に行けたと思いますか?

たかのり ギャロップさんが、YouTubeで、セカンドの振り返りをされていたんですけど、「あいつらは欲がなかった」とおっしゃっていたんですよ。ほんまにそうかもしれんな、と思いました。「ノックアウトステージで勝てたらラッキー」、「決勝行けてラッキー」の状態で進んでいたんで、確かに欲がなかったんですよね。

周平魂 昨年の予選会に落ちてガラッと変えたのが、(普段の寄席で)ネタを決めずに出るようになったことなんです。僕らって、たかのりが「何する?」って聞いてきてネタを決めるんですけど、これがめっちゃ鬱陶しい日があって。3公演あったのに全部逃げて、舞台上で決めたことがあったんですよ。そしたら、めっちゃ楽しくて! それから「ネタを決めずにやってみよう」と思って1年間やり通しました。これをやることによって、生感が出てきたと思いますね。

たかのり よく、「ツートライブって、ラジオとか普通のときは面白いのに、ネタになったらカチッとする」と言われていたんで、生感は大きいですね。

出典: FANY マガジン
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周平魂 たかのりは広島出身なんで、もともとツッコミの文化なんかない。漫才で「ツッコまなアカン」というテンションになるよりは、僕の話をヘラヘラ笑いながらツッコむ方がいいんですよ。今回、たかのりが落ち着いてツッコミができるようになったのは大きいです。

あと、精神的な面で言ったら、漫才ブーム(ミルクボーイ、金属バット、デルマパンゲ、ツートライブがレギュラーメンバーのイベント)の「10年間ツアー」(2033年まで、10年かけて全国47都道府県をまわるツアー)が始まったんですけど、やっぱり(他のメンバーが)エグい。僕らが一番後輩なんですけど、皆さんが引っ張ってくれているなかで、「ここで一番ウケたい」って思うようになったんです。それって、10年間かけてイベントを成功させる要素としても大事やし、初めて自分たち以外のために漫才を頑張ってることにもつながってるんかな、って。10年間ツアーは、だいぶ僕らの軸になっていると思います。

たかのり お客さんを盛り上げないと10年続かないし、僕らのなかでも「お客さんを喜ばせたい」という体制になっているのは大きいと思いますね。

周平魂 昨日、大阪に帰ったときに、デルマパンゲさんにはお会いできたんですけど、ミルクボーイさんにはお会いできず、タクシーの中でたかのりと「ミルクさんに会いたい」って言いあってたんですよ。

たかのり ミルクボーイのおふたりがLINEで「いい刺激もらったわ」と言ってくれたんですけど、“俺らがミルクボーイさんに刺激与えてんのか!”と思ったら、ちょっとウワッてなりました。

舞台のおかげでスタイルを確立

――ネタの方向で言うと、ファンタジー要素の強いネタです。ファンタジーが強すぎると、お客さんがついてこられないこともあると思いますが、そのあたりのハンドリングはどうされていたんですか?

たかのり 僕で言うと、マジになって聞いてないです。「なんでやねん!」って言うたら、「いや、『なんでやねん』じゃない(ネタ)やん?」って感じじゃないですか。

――確かにそうですね(笑)。そもそもどうやって、あのかたちにたどりついたのでしょうか?

周平魂 架空漫才は、M-1のころからあったかたちで10年くらいやっているんですよ。毎月、ネタづくりをサボらないために、単独ライブをやっているんですけど、ライブの最後はそのかたちの漫才をやるんです。ある程度合わすときもあるし、まったく合わせないこともあるし、15〜20分やるんで、M-1に持っていくような漫才ではなかったんですよね。

たかのり (周平魂が)「こういう店に行って」って言うたら、「なんなんその店」、「店員さんはどんな感じなん?」とかアドリブで聞いていく感じですね。

周平魂 そうやってできたのが、1本目の脱法ジビエとか2本目の包丁一(つつみちょういち)とかですね。あのかたちは、たかのりと僕の熱量が一番出るネタなんちゃうかなと思います。トークみたいな感じやし、鬼スベりするときもあるし、鬼ウケするときもあるし、一番楽しい漫才ではありますね。

出典: FANY マガジン
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――今後、東京のテレビにも多くご出演されます。周平さんのイキりキャラや面白さはもちろん、ファンの皆さんのあいだでは、「たかのりさんのヤバさもバレるのではないか」という噂になっています。

たかのり ボケの方でテレビ一周したら、次はツッコミが……みたいなことがよくありますけど、一周するあいだに我慢してたら僕ではないので、周平が出てるときも、自然に自分の感じが出てまうと思うんですよね。

周平魂 正直、僕らって、どっちがしっかりしてるとかもないんです。どっちかがのたうち回ってたら、そこに乗っかればええかな、っていう感じですね。

たかのり これ(このスタイルができたの)は、ほんまに舞台のおかげなんですよ。

――すべてがつながっているんですね……。

たかのり マジで大阪の舞台のおかげです。大阪で平場に出まくったことが大きいと思います。

取材・文:浜瀬将樹


今回の決勝メンバーを含めたライブツアー『THE SECOND ライブツアー2025~今、全盛期の漫才師達~』が、 6月7日(土)の大阪公演を皮切りに東京・福岡・北海道・石川の計5カ所で開催されます。お楽しみに!

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