がん克服のペナルティ・ワッキーが気づいた生きる使命! 「戦争のない世界へ『Mother』を届けたい」

ペナルティのワッキーが、8月10日(日)放送のBSよしもと『戦後80年特番』に出演します。

出典: FANY マガジン
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番組は二部構成で、第一部では、ワッキーが当時を知る98歳の元特攻隊員にインタビューを行います。また、第二部では、ワッキーがプロデューサーを務める舞台『Mother 特攻の母 鳥濱トメ物語』が放送されます。この舞台は、実在した特攻隊員たちの遺書をもとに作られた作品です。

ワッキーは、2020年6月に中咽頭ガンを発症。「死」を身近に感じたことで、この舞台や平和に対する思いにも変化があったといいます。
今回は、そんなワッキーに舞台『Mother』について話を聞きました。

『Mother 特攻の母 鳥濱トメ物語』あらすじ

鹿児島・知覧に実在した軍指定食堂「富屋食堂」を舞台に、特攻隊員たちから“母”と慕われ、戦後には「特攻の母」と呼ばれた鳥濱トメの半生を描いた作品。
死を覚悟した若者たちが出撃前に過ごしたかけがえのない時間や、戦後にやってきたアメリカ兵との交流を、鳥濱トメの視点から忠実に描く。
命の尊さと愛のかたちを問いかける、実話に基づいた物語。

明石家さんまも絶賛の舞台

――『戦後80年特番』で放送される『Mother』ですが、ワッキーさんが出演するようになった経緯を教えてください。

この舞台は16年前から上演されていて、僕に出演の話が来たのは12年前のことです。お芝居なんてやったことはなかったけれど、ちょうど40歳を過ぎて「社会貢献をしなきゃな」と考えていた時期で。そのタイミングと重なり、お受けすることにしました。

出典: FANY マガジン
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――戦争や特攻隊への関心は、当時からあったのですか?

正直に言えば、最初から強い興味があったわけではありません。でも、特攻隊の存在はもちろん知っていたし、戦争を忘れてはいけないという思いは持っていました。

当時は芸人として楽しい思いをたくさんさせてもらっていて、「次は育ててくれた日本に恩返しをしなきゃ」と考えていた時期。そんなときに『Mother』と出会って、「これこそが社会貢献だ」と強く感じたんです。

――実際に拝見して、1人1人の特攻隊員のエピソードに胸を打たれました。あらためて、物語の内容について教えていただけますか?

この作品は、特攻隊員の遺書をもとに描かれた物語です。
たとえば、幼い妹にあてた遺書や、特攻隊員であることを妻に告げぬまま出撃した若者のエピソードなど、いくつかの実話をもとにしたオムニバス形式で構成されています。

実話に基づいているからこそ、誇張も美化もありません。偏った思想があるわけでもなく、恐怖をあおるような描写もない。とても清らかで、大義のある作品だと思います。

そして最後まで観ると、全世界の人が仲良く手を取り合わなくてはいけないことが伝わってくるし、「戦争は絶対にしてはいけない」と心から思える。だからこそ、僕はこの作品を通して「社会に貢献できる」と強く感じたんです。

出典: FANY マガジン
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――観劇した方のコメントで、「生き方を見つめ直すことができた」という声もありました。

『Mother』を観た女性から、「最近挨拶をしなくなった息子が、いっしょに舞台を観た翌朝に『お母さん、おはよう』と言ってくれました」というメッセージをいただいたんです。それは本当に嬉しかったですね。

観てくれた方が良い方向に変わってくれたことが、とてもありがたくて、「もっと続けなきゃいけない」と改めて思いました。そうした小さな積み重ねが、もしかしたら戦争のない世の中をつくる一歩につながるんじゃないかと思うんです。

――芸人仲間も舞台を観に来ているそうですね。

同期の(田村)淳は、自分のコミュニティの人たちをたくさん連れて観に来てくれましたし、(明石家)さんまさんは2回も足を運んでくれました。

さんまさんは「感動した 実話やから心に突き刺さった これは本物や!」とコメントをくれたんですが、さんまさんの口から「感動した」なんて言葉を聞いたのは初めてで(笑)。本当に嬉しかったですね。

プロデューサーとして、戦争の記憶を未来へつなぐ

――今年からワッキーさんは、この舞台のプロデューサーも務めているそうですね。

そうなんです。吉本興業がサポートしてくれていて、学校を回ったり、企業を訪ねたり、いろいろな方に頭を下げに行かせていただいています。

出典: FANY マガジン
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――プロデューサーに就任したきっかけは、何だったのでしょうか?

2020年にガンになったことですね。めちゃめちゃ健康体だった自分が、とつぜんガンになった。「ああ、本当に人間っていつ死ぬかわからないんだな」と実感しました。

それをきっかけに、「『Mother』という舞台を、誰もが観に来る作品にまで育てたい」という気持ちが、一気に強くなったんです。

――死を意識したことによって、自分の生きる使命を見直した?

そうです。僕が今、使命に感じていることは3つあります。

1つ目は、やっぱり「お笑いをすること」。これは何より楽しいし、コメディアンは僕の天職だと思っています。

2つ目は、「日本のサッカーを応援すること」。僕の人格をつくってくれたサッカーに、少しでも恩返しがしたい。

そして3つ目が、「『Mother』を、みんなが観に来る舞台に育てること」。劇団四季の『ライオンキング』のように、当たり前のようにお客さんが集まる存在にするまでが、僕の使命だと思っています。自分が元気なうちにそれを成し遂げたい。だからこそ、ガンを経験してからは、正直なところ焦りも感じています。

――来年以降もプロデューサーとして、この舞台に関わり続けるのですか?

そうですね。『Mother』が「もう大丈夫」と言えるくらい大きな存在になるまでは関わり続けたいですし、たとえ大きくなった後でも、遠くから見守りながら、必要なときにアドバイスできる存在でありたいと思っています。

大きなことを言う訳じゃないけれど、本当に、世界から戦争がなくなるまで、この舞台は続けなくてはいけないと思っていますから。

出典: FANY マガジン
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――ワッキーさんにとって『Mother』は、もはや仕事以上の存在なんですね。

そうなんです。こんなこと、別に書かなくてもいいんだけど、プロデューサー料はもらっていないんですよ。いただいているのは、あくまで演者としてのギャラだけ。でも、それで十分なんです。

僕はこの作品で金儲けをしたいわけじゃない。ただ、次の世代へ思いをつないでいきたいだけです。

たとえば、この作品が映画化されてお金が集まったとしても、そのお金は『Mother』を続けていくための資金や寄付金として使ってほしい。そうでないと、先人たちに「俺たちのことを金儲けに使ってるのか」と思われてしまいますから。

――先ほど、『Mother』を大きくすることへの焦りも感じているとおっしゃっていました。だからこそ8月10日の『戦後80年特番』は、多くの方に観ていただきたいですね。

本当にその通りです。いろんな方に観ていただいて、小さくでもいいので、心のどこかにこの作品の記憶を残してほしいんですよね。

今の私たちの暮らしは、「未来のために命を捧げた人たち」の上に成り立っている。その事実を、少しでも多くの人に感じてもらえたら嬉しいです。

――それでは最後に、『戦後80年特番』について、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

第一部の、元特攻隊員の方へのインタビューでは、僕自身、何度も涙があふれるほど重みのあるお話をうかがいました。その貴重なお話から、戦争の理不尽さを感じ取っていただけたらと思います。

そして第二部では、舞台『Mother』が放送されます。小さなお子さんには少し難しいかもしれないけれど、小学校高学年くらいから上の世代の方々には、ぜひ観てほしい。できれば、日本人だけでなく、世界中の方にも届けたいと思っています。

最後まで観ていただければ、「戦争は絶対にあってはならない」と感じるはずですし、「自分の悩みなんてちっぽけだな」「明日からまた頑張ろう」と思える勇気も湧いてくるはずです。

取材・文:前多勇太

番組概要

戦後80年特番
第一部 あの日の空へ 特攻隊の声を聞く
第二部 舞台「Mother 特攻の母 鳥濱トメ物語」

出典: FANY マガジン

放送チャンネル:BSよしもと(BS265ch)
放送日時:2025年8月10日 (日)
第一部:17:00~17:30
第二部:17:30~20:30
出演者:ワッキー(ペナルティ)、鳥谷邦武、浅香唯、太田博久(ジャングルポケット)、安藤美姫ほか
視聴方法:
【TV】 BS265ch(無料放送)
【スマホ・PC】BSよしもとホームページ(無料配信)
BSよしもとホームページ:https://video.bsy.co.jp/
番組ホームページ(第一部):https://bsy.co.jp/programs/by0000022232
番組ホームページ(第二部)https://bsy.co.jp/programs/by0000022771


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