大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)に所属する芸歴7年目以下の「翔(かける)メンバー」全組によるお笑いバトル『Kakeru翔グランプリWEST』が、10月4日(土)に開催されました。「いまイチバンおもしろいヤツ」を決める2カ月に1回の戦いは今回も白熱! 総勢48組の芸人たちが、マンゲキの舞台で約6時間にわたり渾身のネタを披露しました。当日、ネタ披露直後の芸人たちの生の声をお届けします!

2カ月に1回の頂上決戦!
『Kakeru翔グランプリWEST』は、第一部と第二部に分けて実施され、それぞれA、B、Cの3ブロックに分かれて4分間のネタを披露。観客と審査員の投票によって、順位が決定します。前回8月のチャンピオンに輝いたのは、ぐろう(家村涼太、高松巧)でした。
今回は48組の芸人たちが出場し、第二部のラストに「総合ベスト10」を発表。通しで観覧するお客さんも多数いて、真剣な審査が行われます。
この日のMCは、もも(せめる、まもる)が務めました。出場者は次のとおりです。
【第一部】
アレックス/cacao/ごぞうろっぷ/空前メテオ/ジョックロック/白くま/マーメイド/ライムギ/九ノ段/例えば炎/天ロクの丘/電気ジュース/マーティー/ムジンゾウ/釈迦虎/文句/あんよの日/ウーロンパンダ/生姜猫/バタークッキークラブ/バリアシオン/はるかぜに告ぐ/清川雄司/おもしろジャンケン
【第二部】
うめすぴか/コブラマン/三遊間/シャガール/タイムキーパー/ときヲりぴーと/どんちっち/ファンファーレと熱狂/オニイチャン/カノッサ/ぐろう/シスター/檸檬/キョンビ/シカノシンプ/ほたる火/宛先プレーン/浪速モダンカダン/彼岸花/満丸/ミステリーハンター/銀鬼/東雲/西野
第一部・第二部ともに、全組のネタが終わると出演メンバーがステージに集合し、「なんでも自己PRバトル」を実施。それぞれが自信のあるネタをフリップに書き込み、謎の特技、モノマネ、ショートコントなどを披露します。ここでもネタバトルさながらの対戦形式で、各コンビ、トリオの個性が爆発し、集計までの待ち時間を大いに盛り上げました。

生姜猫「大阪の天才やらしてもうてます」
ネタ終了直後の舞台袖で、前回優勝のぐろうをはじめ、ピンで所属してから初の挑戦となる西野(元ハイツ友の会)など、注目芸人7組に直撃インタビュー! 今回のバトルにかける思いや手応え、今後の目標に至るまで、ここでしか聞けないリアルな声をお届けします。
【アレックス(メラちゃん、前田克野)】
メラちゃん 音程をミスったかな。あとビブラートがちょっときいてなかった。のどが開けてなかったですね。
前田 もう歌手やん。芸人の感想ちゃうやん。確かに今日は(メラちゃんの)のど、閉まってましたね。いつもはもっとのびやかなオペラ歌手のような声なんです。こんなもんじゃないんです。
メラちゃん 歌手と同じで、緊張してたらのどが開かないんです。もっとのどのストレッチをすればよかった。
前田 漫才劇場のお客さんは、ちゃんと面白いところで笑ってくれるいいお客さんだと思います。なんでもかんでも笑うっていうよりは、ちゃんと面白いとこで笑ってくれる。

メラちゃん 僕はなんでもかんでも笑うお客さんがよかったな。今日、トップバッターだと思ってなくて、トップバッターには向いてないネタをしてしまいました……。下ネタは(会場が)あったまってからじゃないと危険。でも、後悔はないです。
前田 ネタを選ぶ基準はトップバッターだろうが、下ネタだろうが、僕らが「これをやったら面白い!」と思えること。今後の目標はM-1(グランプリ)優勝です。
メラちゃん 僕の目標は、見取り図・リリーさんとゴハンに行くことです。
【天ロクの丘(奥野賢一、馬田バジリスク)】
奥野 直前で変えたくだりがあったんですけど、なんとか耐えました。前回変えたところは1分まるまるスベってしまったんで……。最前列にオレらのこと好きなのかな?という女性が1人いて、めちゃくちゃ笑ってくれてました。
馬田 身内みたいな笑い方してくれる人がいて。
奥野 その人にはとても刺さったみたいです(笑)。まあ、全体としてもある程度ウケは良かったです。毎回、試練ですね。
馬田 まだ出場するのが2回目なんで。今日は緊張しましたね。ふだん、まったく緊張しないんですけど。
奥野 馬田は、前回の『Kakeru翔グランプリ』の前に乗馬教室に行ってたんですよ。
馬田 前回は第二部の出場だったので朝、時間があって人生初の乗馬教室に行きました。そのときは乗馬教室がアウェイでグランプリがホームに感じたので、リラックスしてできましたね。

奥野 次回は乗馬教室行ってから出たほうが緊張しないんちゃう? 次は上位を狙いたいです。もっとマンゲキに馴染みたいです。
馬田 マンゲキのTikTokにまだ呼ばれてないんで、いつか呼ばれたいです。僕がバズらせてみせます!
奥野 相方は、TikTokに1分ショート動画を毎日上げてて、登録者数が25万人いるんです。「まだ呼ばれてない」って、文面にしたらガチで文句言ってるみたいになるで! 大丈夫!?
【生姜猫(川﨑、ケージュ、カンサイ)】
川﨑 『Kakeru翔グランプリ』は、やっぱり、緊張度合いが違います。
ケージュ ゆっくり普通のこと言うな! 8回ぐらい噛んだんで、たぶん無理だと思います……。
川﨑 前回、ぐろうさんにギリギリで負けて2位だったんですよ。今回は勝ちたいですね。漫才で勝ったらもう本物。
カンサイ 前回はコントで入賞したので、今回は漫才で挑みました。
ケージュ 連続入賞したいですね! M-1が近いので漫才を選びました。
川﨑 トリオの中で僕らが、いちばん面白いんでね! これは、けっこうガチで言ってます。ごめんなさい、ボケなしで。“大阪の天才”やらしてもうてます。これでっかい見出しにしてください!

ケージュ 今後の目標は、だいぶ夢見てM-1準決勝進出ですね。
川﨑 僕はカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩きたいです。これ目標でやらしてもうてます。
ケージュ どこが芸人やねん。
カンサイ 僕もそれにしときます。
ときヲりぴーと「今年中に1位を取りたい」
【西野】
西野 コンビ時代(ハイツ友の会)以来、久しぶりに『Kakeru翔グランプリ』出させていただいたので、かなり緊張しました。ピン芸人になって1年半、これまでに作ってきたネタの中で「これいいな」と思えるネタをやりました。
ピンになってからは、先輩の真輝志さんや同期のキャツミにネタ作りのアドバイスやピン芸人の心持ちを聞いて。舞台に1人しかいないので、どうやって架空の人を表現するか、お客さんからどう見えるかを考えないといけないところが難しいなって。そこがコンビのネタと違うところだと思います。

ピンになってやれるネタの幅が広がったと思います。本当に自由で何でもできちゃう。だからこその難しさもあるんですけど、刺激的な部分もあります。これからも、わたしのピンネタを楽しんでいただけたら。今後もR-1グランプリ、THE W、キングオブコントなどいろいろな賞レースに挑戦していきたいです!
【ときヲりぴーと(ときヲ、りぴーと)】
りぴーと 今回、また入賞できたら劇場内の地位が確立するので、ちょっと力んだかも……。今日はベストパフォーマンスではなかったかもしれません。
ときヲ 僕らの前の彼岸花がめちゃくちゃウケてたので、そこから(空気を)つくるのが難しかった。
りぴーと 確かに。いつもよりちょっと緊張したかも。トリのプレッシャー、前回上位のプレッシャーに負けた感じはします。
ときヲ けっこう厳しいと思う。『Kakeru翔グランプリ』に出る人は全員、面白いんで……。

りぴーと 前からやってたネタを『Kakeru翔グランプリ』に向けて温存していたんですけど。
ときヲ 今日はもっと違うネタを求められていたのかもしれないです。次は1位を狙います。1年目のころからずっと取りたいと思ってるので。
りぴーと コンビの目標として、なんとか今年中に1位を取りたい。12月でラストチャンスなんで、あと2カ月頑張ります! 悔しいな! まだ結果出てないですけど(笑)。
【三遊間(稲継諒、さくらい)】
稲継 今日は(ネタを)試している部分もあって。まだまだ改善したいです。
さくらい 想定以上にウケたわけでもなければ、想定を下回ったわけでもない。細かいところは“ここは思ってる感じじゃないな”という部分はありました。
稲継 バトルライブでお客さんも集中して見てるので、僕らのことをよく知ってるお客さんの前とはウケる部分が違いますね。いい経験をさせてもらいました。前回1位だったぐろうには勝ちたいですね。今年中に優勝したいです。

さくらい 僕のライバルはマンゲキに出てる人じゃなくて、浜村淳さんです。最近1人でトークライブやラジオをする機会が増えたので。ぐろうのいいネタよりも、浜村淳さんのいいお喋りのほうが気になります。
稲継 浜村淳さんのこと、めちゃくちゃイジってるやん!
さくらい 僕は関西のラジオ局で、1人でラジオのレギュラーを取ることが目標。『翔グランプリ』は足がかりです。ここで力を蓄えてM-1で優勝するのではなく、帯のラジオレギュラーを取りに行きたいですね。
【ぐろう(家村涼太、高松巧)】
高松 前回1位だったので、連覇したいという思いだったんですけど……。
家村 大相撲秋場所で5回目の優勝を飾った大の里のあとを追うように、横綱の覚悟で挑みました。立ち合いはしっかりぶつかっていけたんですけど、ちょっと土俵際の笑いが少なった。なんとか“はたき込み”で、勝ちはしました。でも内容の悪い相撲……すいません、漫才でしたね。
高松 思ったより、ウケんかったなっていう。何回か1位になってますけど、第二部のトリのときは、お客さんの反応が微妙なことが多いので、そこは課題だと思っています。

家村 今日は、ふだんの稽古をコツコツ重ねた中で、いちばんいいネタを選びました。この1カ月、しっかりシコを踏んだ足腰の強いネタだったからこそ、土俵際で耐えられたんですけど、ちょっと弱かったかな。シコ踏みが足りなかったんだと思います。
高松 相撲はわからないんですけど……同じ感想です。次に向けて、1日1日を大事に生きていきます。
家村 1日1日、コツコツとやることをやるだけ。横綱の気持ちで取りこぼさないように。勝ち越しは当たり前なんです。勝ち越しという名の「入賞」を目標に頑張っていきたいです。
三遊間がグランプリを奪還
第一部、第二部の審査員表&客表の集計結果が出そろい、発表された順位は以下の通り。4月のグランプリで1位だった三遊間が、2回目の総合1位に輝きました。
1位 三遊間
2位 オニイチャン
3位 cacao
4位 シカノシンプ
5位 空前メテオ
6位 彼岸花
7位 シスター
8位 マーメイド
9位 バタークッキークラブ
10位 銀鬼、ジョックロック

ブレイク寸前の若手から、これから人気芸人への階段を駆け上がっていくニューフェイスまで、さまざまな才能がぶつかり合う2カ月に1回のバトル。今年最後となる12月に向けてネタを磨き続ける若手たちに、乞うご期待!