多くのタレントやアーティストたちの作品を展示・発表している大阪・なんばにある吉本のアートギャラリー「LAUGH & PEACE ART GALLERY」で、アートコンペ「Laugh & Peace Art Competition 2026」が開催されました。今年で第2回となるこのコンペには、吉本芸人も含めた全国の総勢70人のアーティストが応募。入選者12人の作品が3月19日(木)~3月29日(日)の期間中、ギャラリーに展示され、最終日に各賞の受賞者が発表されました。入選者たちに作品へ込めた思いやコンペに参加した感想を聞きました。

さまざまなジャンルの作品が集まるコンペ
「Laugh & Peace Art Competition」は昨年からスタートしたアートコンペで、一般的なコンペに比べて立体や平面、書道など、集まる作品のジャンルも作風もさまざま。
今回、応募総数70人のなかから審査を通過した12人(まるむし商店・磯部公彦、山﨑おしるこ、素敵じゃないか・柏木成彦、中野加菜、細川高文、中西千裕、takuyakumekawa、eiko、SEiKO APRiL、珂茜穗、園田源二郎、中井ヒトミ)の作品は、最終審査に向けてギャラリーに展示され、来場者投票も実施されました。
「いつかここで展示をしてみたかった」
【中野加菜】
以前からこのギャラリーのことを知っていて、いつかここで展示してみたいと思って応募しました。作品は美と死生観がテーマで、ずっと金魚を描いています。もともとフナだったものが人の手で美しく改良されていく、その儚さに惹かれて。日本画に使う岩絵の具を何度も塗り重ねて、キラキラ感やザラザラした質感を出しています。実物を見て「動き出しそう」「写真より質感がわかって楽しい」と言ってもらえたのが印象に残っています。

【細川高文】
ネットのサイトで見つけて応募しました。吉本のコンペということで、ネームバリューもあるし、一度挑戦してみたいなと思って。透明感のある抽象表現をやりたくて、カラフルなゼリーみたいな作品にしています。シリコンコーキングと絵の具を混ぜて立体的に作っていて、色はそのときの感情で決めています。明るい色が多いですね。今回は抽象シリーズのひとつ。短い在廊時間でもじっくり見てくださる方がいて、すごくうれしかったです。

【中西千裕】
Instagramで見て、いろんなジャンルのアーティストが集まる場というのが面白そうだと思って応募しました。これまで書道の世界しか知らなかったので、他ジャンルとの出会いに期待して。テーマは“ブーケ”で、日常の中でふと感じる違和感や記憶のスイッチを表現しています。花の漢字をモチーフにして、内面がほどけていくイメージです。墨も自分で調合していて、濃淡を計算しながら制作しています。過去の自分との距離感も作品に込めています。

「もっと多くの人に作品を見てもらいたくて応募」
【takuyakumekawa】
公募展の情報を見つけて、ぜひ出してみたいと思いました。ギャラリーの「LAUGH & PEACE」というコンセプトも、自分の表現と近いものを感じて。作品は下書きをせず、描きながら次の線が生まれていくオートマティシズムの手法です。テーマも構成も決めずに始めるので、完成したときに自分の内面がそのまま出ていることに気づきます。近所を散歩した翌日に描いた「ツルノ雑貨店」は、自分の内側が色濃く反映されています。今後も旅の思い出や日常の風景をもとに、写真ではない“記憶の媒体”のように絵をためていけたら最高です。

【eiko】
これまでは個展中心でしたが、もっと多くの人に見てもらう機会を作りたくてコンペに応募しました。わたしはお喋りが苦手なので、家にこもりがち。いろんな人と出会って交流し、勉強したいと思いました。小さなころからピンクの服をよく着ていて、ピンクの絵の具がなくなると悲しくなるくらいピンクが大好き。「水中遊戯」はネガティブとポジティブな自分の両面を描いていて、闇から光へ上がっていくイメージ。鯉や生き物たちに記憶や感情を重ねていて、最後に明るい人生を思い出す、そんな流れを表現しています。

【SEiKO APRiL】
ケガでギプス生活になったのをきっかけに、絵とちゃんと向き合う時間ができて応募しました。仕事や家事から離れて、ある意味、“神様のプレゼント”みたいな時間でしたね。ギャラリーのコンセプトも自分に合っている気がして、思い切って参加しました。クマのキャラクターを中心に、自分の内面や感情を表現しています。タイトルは一言にして、見る人に想像してもらいたくて。今回はモノクロ作品にも挑戦しています。今後は、物語をつけた絵を並べて、個展を開催したいです。

吉本興業の創業者に関心が!?
【珂茜穗】
去年、このコンペに落ちたので、今回は通りたいと思って、自分の持っている技術を全部出し切りました。もともとはこのスタイルではなかったんですが、やりたいことと、まわりの反応の良さが重なってできたシリーズです。アーティストとしての方向性を探るなかで生まれました。コピックの発色を活かして、ぱっと目を引く色合いにしています。近くで見ると食材がよく見えて、「原画に見えない」とか「見れば見るほど面白い」と言ってもらえたのが、すごくうれしかったです。

【園田源二郎】
難波といういろんな人や文化が混ざり合う場所で展示してみたくて応募しました。このエリアで展示するのは初めてなので、新しい出会いがあればいいなと。あと、吉本の創業者・吉本せいさんにも興味があって、ゆかりのある場所でやってみたい思いもありました。今回は普段の空間作品を凝縮したかたちで、中心にある作品は、ナマズをモチーフにしています。混乱の時代だからこそ、人の存在そのものを肯定したいという気持ちで制作しました。クレヨンで描いています。

【中井ヒトミ】
前回の募集を見て気になっていたんですが、そのときはタイミングが合わず見送ってしまって。今回はぜひ参加したいと思って応募しました。作品は、日々の生活の中で積み重なっていく感情や時間をテーマにしています。人って、それぞれいろんなことを考えながら生きていて、それが泡みたいに浮かんでは消えていくように感じていて、そのイメージを作品の中に取り入れました。真ん中の人物は特定の誰かではなく、「今」を生きている人の象徴です。いろんな存在が偶然同じ時間を共有している、その一瞬の尊さや巡りを感じてもらえたらうれしいです。

ダンゴムシ好き・山崎おしるこのテーマは「おだんごふぇす」
【まるむし商店・磯部公彦】
SDGsの17の目標をテーマにしたクレイアニメを4年半かけて完成させて、大きな達成感を味わったんですが、そのぶん、また新しいことに挑戦したい気持ちが強くなって。このコンペの存在を知ったタイミングが、ちょうどよくて応募しました。今回の作品「カエルのおはなし」は、カエルを通して人間や自然の流れを表現しています。自然に逆らうとどうなるかという戒めも込めていて、最後は食べられてしまう展開に。映像だけでなく立体も展示していて、池のフェンスを五線譜に見立てたり、オタマジャクシを音符にしたりと細かい仕掛けも入れています。誰も気づかないような細かいギミックも含めて、楽しんでもらえたらうれしいです。

【素敵じゃないか・柏木成彦】
去年の4月から絵の仕事を始めたばかりで、自分の絵がどんな立ち位置なのかもわからないまま、1人で描いていたので、今回、いろんなアーティストと一緒に展示できるのがすごくうれしくて応募しました。普段は白と黒だけで表現するのが得意で、独学なんですけど、自分なりに心を込めて描いています。お笑いとはまた違う表現ですが、純粋に楽しいですね。動物園巡りが好きなので、将来は白黒の動物作品だけを集めた個展もやってみたいです。

【山﨑おしるこ】
ダンゴムシを“神様”として崇拝する世界観をもとに作品を作っていて、今回はその延長で「おだんごふぇす」というテーマで、コンペに参加しました。フェスやお祭りのように、ダンゴムシを祀り上げるイメージです。どんなに小さな存在でも、信仰することで力を持つという考えから、“御団子様”という存在として表現しました。ダンゴムシを愛する人たちに少しでも幸せを届けたいという思いを込めて、イラスト作品を中心に制作しています。

グランプリ受賞で「泣こうと思ったけど、ビックリしすぎて…」
最終日の13時からは、ギャラリー内でレセプションパーティーがスタート。審査員のおかけんたやギャラリースタッフ、入選アーティストたちがアート談義に花を咲かせ、交流しました。
一般の来場者も自由に参加できるとあって、なかには最後の投票をしに訪れる人も。和気あいあいとした雰囲気のなか、おかけんたも「初日はみなさん、よそよそしい感じでしたが、打ち解けていい雰囲気になりましたね」と笑顔をみせます。
パーティ終了後の授賞式では、おかけんた、ギャラリー責任者の安達千花子が受賞者を発表。見事、グランプリを獲得したのは、“仮面をかぶった女の子”に自身の心情を表現するeikoさん! 50号のキャンバスを中心に広がっていくドリーミーな世界観が観る人を魅了しました。

おかけんたに名前を呼ばれたeikoさんは、「泣こうと思ったんですけど、ビックリしすぎて涙がでません!」と驚きの表情で、受賞の喜びとともにアーティスト仲間へ感謝を語りました。
「みなさん、とても優しい方で、ここに来ることが毎日楽しかったです。みなさんとお話しできることがとても楽しくて。ステキな賞をいただけて、本当にうれしいです。みなさんのおかげです。ありがとうございます」
続いて「LAUGH & PEACE ART GALLERY賞」に輝いたのは園田源二郎さんとSEiKO APRiLさんの2人。そして来場者投票1位の「オーディエンス賞」に選ばれたのは中野加菜さんでした。

第3回も開催したい!
立体や平面、書道やクレイアニメなど、多岐にわたるジャンルの作品が集まったアートコンペ。最後に、おかけんたからの総評がありました。
「今回も去年と同じで、審査はとても難航しました。70人の応募があって。一つひとつジャンルが違うなかでベストを選んだので、いろんな作風が並ぶ展示会になりました。有名アーティストも何人か見に来てくださいましたが、“非常にレベル高い”とおっしゃっていただいて。誰が1位になってもおかしくないデッドヒートでした」

さらに「Laugh & Peace Art Competition」について、「第3回も開催したいと思います。今回、応募した人も、もう一度応募していただいてもかまいません。さらに応募数が増えて、激戦になる可能性はあるかもしれません。これからも、皆さんと一緒にアートを盛り上げていきたい。そして1人でも多くのお客さんに素敵な作品を見ていただいきたいです」と、今後の展開に意欲を見せました。
