はんにゃ金田“太った役”でなぜか激やせ!? 名作舞台『SLAPSTICKS』で「最終日までやせずに…」

日本を代表する劇作家・演出家のひとり、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。彼が書いた戯曲の中でも名作の呼び名が高い『SLAPSTICKS』の舞台に、はんにゃ・金田哲が出演しています。東京・日比谷のシアタークリエでの公演が始まった2月3日(木)、直前の公開ゲネプロで出演者の囲み取材に登場した金田は、笑いをとりながら、しっかりと意気込みを語りました。

出典: FANY マガジン
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『SLAPSTICKS』は、1993年にケラリーノ・サンドロヴィッチが主宰する劇団・ナイロン100℃で初演、2003年にもオダギリジョー主演で再演された名作。サイレント映画からトーキーへの転換期を迎えるハリウッドを舞台に、映画への愛と希望にあふれた青年・ビリーを通して、映画づくりに情熱を注ぐ人々を描いたロマンチック・コメディです。

今回の再演は、ケラリーノ・サンドロヴィッチの戯曲をさまざまな演出家たちが新たに創りあげる連続上演シリーズ「KERA CROSS」の第4弾として上演。今回は、注目の若手クリエイター・三浦直之(劇団「ロロ」主宰)が演出を務め、金田が演じるのは、実在した“伝説のコメディアン”という重要な役どころです。

昨年12月25日の東京・シアター1010での初日以降、大阪、福岡、愛知など全国で公演を重ね、2月3日(木)から東京・日比谷のシアタークリエでの公演を迎えました。

出典: FANY マガジン
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舞台はサイレント映画全盛期のハリウッド

物語は1939年、ビリー・ハーロック(小西遼生)が伝説のコメディアンであるロスコー・アーバックル(はんにゃ・金田)のサイレント映画をリバイバル上映してもらおうと奔走するシーンで幕を開けます。配給会社に勤めるデニーをなんとか説得しようと、1920年の若き日の思い出を語り出すビリー。当時、若きビリー(木村達成)が助監督として入社した“喜劇の神様”マック・セネット(マギー)の撮影所での出来事を語るのですがーー。

映画づくりに愛と情熱を注ぐ人々の生きざまを通して、観客に“生きるとは何か”を問いかけるこの作品は、コメディとはいえ、ほろ苦さや痛さなど、きれいごとではすまされない人生のさまざまな側面が描かれています。

“伝説のコメディアン”アーバックル役を務めた金田は、太った身体の役どころからは想像もつかない軽やかな身のこなしで人を驚かせ、笑わせたかと思えば、哀愁を漂わせたりと、コメディアンのさまざまな面を演じてみせることで、物語に深みを持たせていました。

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最初はどうなることかと

公演直前の囲み取材には、木村達成、桜井玲香、小西遼生、壮一帆、金田哲、マギーら出演者が登場。アーバックルを演じる金田は、見た目こそ実在のアーバックルに似せて肥満体型で貫禄たっぷりの姿ですが、最初の挨拶はいつもの軽快な「チッス!」。

“伝説のコメディアン”という大役への意気込みを問われると「最初はどうなることかと。喜劇と悲劇の間をさまようような役だったので、稽古では苦労しました。あと、公演中に徐々にやせていっているので、最終日までやせないようにがんばりたいと思っています」とボケながら、最後は「シアタークリエでは、気合を入れてより一層いいものができるよう、精進してまいります」と神妙な面持ちで語りました。

出典: FANY マガジン
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自分たちの生きた証を感じてほしい

“喜劇の神様”マック・セネットを演じるマギーは、コロナ禍の現状について「毎日、舞台に立てること、舞台に出て行くと客席にお客さんがいること。そんなあたりまえのことに日々感謝しています」としんみりと話しながら、続けて「なんでもないようなことが幸せだったと思う。では聞いてください……『ロード』」と、あの“名曲”で笑いを取ります。

最後に、主人公のビリー役の木村が「僕が最初にシアタークリエに立ったのは、(今回の演出も手がけている)三浦さんが演出した『CALL』(2020年)という作品だったんですけど、無観客で上演したんです。そのとき、何かが足りないと思って。やっぱりお客さんが拍手をしている姿がどれだけ恋しかったか。その後、有観客の公演でお客さんの拍手を浴びたときには震えました。涙がちょちょぎれました」と、自身の経験を振り返ってコメント。

出典: FANY マガジン
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さらに、「僕たち役者というのは、舞台の上やカメラの前でしか生きられないようなものなので、役にも通じるようなサイレントコメディの時代を生きた人々の、そしていまコロナ禍で役者をやっている僕たちの“生きた証”を感じとっていただきたいなと思います」と、力強く呼びかけました。