あなたは誰に憧れ芸人に? ②ZAZY 憧れのダウンタウンから「芸風ぜんぜん違うやん」

あなたは誰に憧れ芸人に?

芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語り尽くしてもらうインタビュー
(イラスト:ネゴシックス)

芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語り尽くしてもらうインタビュー
(イラスト:ネゴシックス)

いまをときめく芸人たち……周囲から一目置かれる存在になった彼らにも、かつて「こんなふうになりたい!」という憧れの存在があったはず。そんな売れっ子芸人たちに、芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語り尽くしてもらうインタビューシリーズ『あなたは誰に憧れ芸人に?』。第2回となる今回は、『R-1グランプリ2021』で準優勝し、劇場・テレビで活躍する孤高のピン芸人・ZAZYに話を聞きました。

出典: FANY マガジン
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就職がイヤで芸人の道へ

――ZAZYさんは、芸人になろうと思ったときに憧れの人はいましたか?

好きだったのはダウンタウンの松本(人志)さんですね。憧れもありますけど、とにかく面白いなぁと思っていました。

――松本さんが出演するテレビ番組は何を見ていましたか?

小学生のときに『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)はよく見ていました。特に「ゴレンジャイ」とか好きでしたね。

――子どものころは好きな芸人のマネをしたりしますよね。

人数は多くなかったんですが、お笑いが好きなグループがあって、「昨日のあれ見た?」「面白かったよな」という話の流れのなかでマネをしていたような気がします。中学、高校あたりで『M-1グランプリ』が始まって、ネタの話はよくしていましたけど、「(芸人に)なりたい」というよりは、ひとつのエンターテインメントとして楽しんでいた感じです。

出典: FANY マガジン
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――積極的に「芸人になりたい!」ということではなかったんですね。お笑いの世界に飛び込んだのは、なぜですか?

……就職がイヤやったからですね(笑)。高校まで猛勉強して東京の大学に入学して、これでやっと遊べると思っていたんですよ。でも、いざ大学生活が始まったら“弱(よわ)受験”くらいの勉強量が必要で、「ぜんぜん遊ばれへんやんけ!」って(笑)。しかも、ゼミ入ったら入ったで「〇〇教授の推薦で、A企業を受けてみて」みたいなこともあるわけじゃないですか。そうやっていくと、「めちゃくちゃ勉強したあと、このくらいの企業さんに入って、30歳になったらこれくらいの年収で……」って、だいたい将来が見えてしまったんですよ。おもしろくな!って思いました。

――そこで、お笑いの世界に目を向けたわけですね。

そういうことがあって、2年生くらいのときに大学に籍を置いたまま、下宿先で半年間くらい引きこもったんです。カーテンも閉め切って、電気も消して、本当に何もせず、1日1回だけ目の前にあったコンビニとレンタルビデオ店へ行って、そこでお笑いのDVDを借りて……みたいな生活をしていました。だから『M-1』とか『ごっつ』は何周もしていましたね(笑)。

そんな引きこもり生活をしていたんですが、「20歳にもなるのに、こんなことやってたらアカン。何かしよう!」と思って、ダメもとでNSC(吉本総合芸能学院)に入りました。

出典: FANY マガジン
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――お笑い芸人に憧れて、というよりは、ひとつの進路としてお笑いがあったんですね。

「ダメやったらフリーターになればいいわ」という感覚でした。ただ僕、もともと表舞台に立ちたいと思うような人間ではないんですよ。お笑いに携われたらええな、くらいの気持ちでNSCの願書を出しに行ったら、YCC(現・よしもとクリエイティブアカデミー=スタッフや構成作家を育成する養成学校)ができるって知ったんです。そこで「あれ? NSCよりもYCCのほうが性に合っているんじゃない?」って……。だからそのときは、NSCの願書を出さずに、YCCの資料をもらって帰りました。

――芸人ではなく、作家になっていた可能性もあったんですね。

そのころ、世界のナベアツ(現・桂三度)さんがテレビに出てはったときで、芸人さんやのに作家さんもしてはるって聞いて、「じゃあ1回、面白そうなNSCに行って、ダメならすぐに作家になればいいか」って(笑)。M-1の影響で漫才をやりたかったし、松本さんもそうだったんで(NSC大阪1期)、わざわざ大阪に帰って大阪NSC33期に入りました。

出典: FANY マガジン
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「あの人たちにはかなわないなって」

――その後、紆余曲折があってピン芸人・ZAZYとして活動することになりますが、近くで見ていて、この人たちすごいなと思ったり、影響を受けたりした先輩芸人はいますか?

大阪の劇場メンバーに入ったとき、トップが銀シャリ(鰻和弘、橋本直)さん、かまいたち(濱家隆一、山内健司)さん、藤崎マーケット(田崎佑一、トキ)さん、天竺鼠(川原克己、瀬下豊)さんとかNSCの25、26期だったんですけど、あの人たちにはかなわないなって思いました。なにを頑張ったら追いつけるのか、何の能力が足りないのか。それすらもわからない状態で(笑)。これがプロや、と思ったのを覚えています。いざコーナーや平場をやるってなったとき、「ヤバイ、ヤバイ。勝てへん」と。

――なかでも特に憧れた先輩は?

かまいたちの山内さんと天竺鼠の川原さんですね。絶対に決めなアカンところで毎回、決めてはるイメージです。

出典: FANY マガジン
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――ZAZYさんも2017年に東京に進出しました。東京に来て、心境の変化などはありましたか?

東京に来てからは、誰かに憧れるというよりも、同期を意識することが多かったです。そのころ、すでにコロコロチキチキペッパーズ(西野創人、ナダル)が『キングオブコント2015』でチャンピオンになっていて……。自分たちの世代が賞レースで活躍するのは、もう少し先のことやと思っていたんで、「一緒にワチャワチャやっていたコロチキが、もうテレビに出てるやん」みたいな。

そんなことをしている間に、霜降り明星(粗品、せいや)が『M-1グランプリ2018』で優勝するわけですよ。だからいま、霜降りが売れすぎて引いてます(笑)。吉本の若手のホープみたいになって、マネージャーも2、3人ついて、CMも出まくっているじゃないですか。いまタクシーに乗ったら目の前のモニターにも出るし……引いてますよ。

憧れの松本に聞いてみたいこと

――芸人になって、子どものころから憧れだったダウンタウンと会う機会はありましたか? 

昨年、R-1で準優勝したときに『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に呼んでいただきました。バリバリ緊張しましたね。(収録後は)もっとあそこああいけたらな、とか後悔ばかりでした。もっと、松本さんにウケたいです。

出典: FANY マガジン
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――本番では、どんな話をしたんですか?

「ずっと憧れてこの世界に入ったんで、(共演が)めちゃくちゃ嬉しいです」っておふたりに言うたんですけど、「憧れの人の前でする格好ちゃうやろ」「芸風ぜんぜん違うやん」って言われました(笑)。

――その後も共演はしているんですか?

ちょくちょくはありますけど、コロナ禍で楽屋挨拶できないし、打ち上げもないじゃないですか。だから、ガッツリお話をしたことがないんですよ。

――仕事ではなく、プライベートで松本さんと食事などに行ってみたいと思うことはありますか?

いま食事に行かせてもらったとしても、リラックスできないと思うんですよ。「このタイミングで飲み物口につけていいんかな」とか思っちゃいそうで……。面白いと思われたいよりも、面白くないヤツと思われたくないという気持ちが勝っちゃうので、楽しめないでしょうね。そういう気持ちがなくなったころ、行かせていただきたいです。

出典: FANY マガジン
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――もし松本さんと飲みに行ったら、どんなことを聞いてみたいですか?

山ほどありますね。言い出したらキリがないですけど、ひとつ挙げるとしたら、いまのZAZYくらいのポジションのとき、どういうことを考えて、どれくらい見えないところでやっていたのか、どういうことを意識してテレビに出ていたのか、聞いてみたいです。

取材・文 浜瀬将樹

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