吉本新喜劇のメンバーらが本格的な殺陣とコテコテの笑いを展開するライブ『チャンバラJAPAN』が、6月19日(日)に大阪・YES THEATERで上演されました。チャンバラトリオ最後の弟子である平山昌雄を座長に、森川隆士、くるくるコミック(よね皮ホホ骨、荻野晋吾)といったアクションや殺陣を得意とするメンバーを揃えたこの舞台。間寛平ゼネラルマネージャー(GM)の5月の月例会見で、島木譲二の後継者としてギャグを受け継ぐことが発表されたタックルながい。も出演し、ど迫力のパフォーマンスを披露しました。
ライブは、寛平GMが、次世代を担う新たな才能を発見・育成すべくスタートさせた「吉本新喜劇セカンドシアター」の一環。YES THEATERで、隔週金・土・日曜に若手中心の新喜劇や企画ライブを開催し、話題を呼んでいます。この日の舞台では、吉田裕、もじゃ吉田らイキのいい若手座員も加わり、大暴れしました。
豪快なパチパチパンチにどよめき!
冒頭、幕前で1人の侍が2人の辻斬りに襲われる不穏なシーンに息を呑みます。しかし、幕が上がると一転して町医者を舞台に、のどかなやりとりがスタート。平山が町医者、吉田が弟子を演じます。ここに受診に訪れたのが、もじゃ吉田、筒井亜由貴、いがわゆり蚊。吉田の出っ歯イジりや筒井のブレイクダンスなど、ひとネタごとに拍手と笑いを起こす一方、平山はやさしい名医と見せかけて、「じゃあ、心臓を取り出して」などボケを連発。そこへやって来たのが、ながい。と荻野による瓦版屋の兄弟です。
「歌舞伎の演目に出てくる島木譲二そっくり」と振られたながい。は、待ってましたとばかり上半身裸に! 豪快な“パチパチパンチ”を肌が赤くなるまで繰り返すと、客席からは「おおーっ!」とどよめきが起こります。さらに、灰皿を使った“ポコポコヘッド”も飛び出し、一斗缶や鍋を使った“カンカンヘッド”では客席から手拍子も。去り際の「しまったしまった島倉千代子」まで、レジェンド・島木譲二のギャグをフルスロットルで繰り出しました。
瓦版屋によると、近ごろ辻斬りが出没しており、狙われるのは悪人ばかりだとか。そう語る瓦版屋の2人は、父が浪人に斬られて死んだことから、その敵を取るため平山に剣の稽古をつけてもらっているとのこと。
続く稽古の場面では、平山が見事な竹刀さばきを披露。アドリブにめっぽう弱いことを若手にイジられると、「おしおきや!」と叫んでチャンバラトリオ仕込みのハリセンを持ち出し、吉田に強烈な一撃をお見舞いしました。
華麗な立ち回りの合間もボケは忘れず
ここで、平山がかつて“疾風斬りの昌”と恐れられていた浪人だったが、瓦版屋兄弟の父を殺めた後悔から剣を捨てたことが明らかに。何かと嫌がらせをしてくる旗本・森川は、かつて御前試合で平山に敗れことを根に持ち、顔を見るたび「勝負しろ」と詰め寄ります。しかも、その息子・よね皮が、平山の娘・おりん(湯澤花梨)にひとめぼれしてしまい、事態は思わぬ方向へ……。森川は嫌味な旗本を熱演し、重厚な存在感で舞台を引き締めます。
この後も、妻の死をきっかけにこじれた平山とおりんとの仲を修復すべく、もじゃたちがひと芝居打ったり、おりんの婚約者(大島和久)が挨拶に来て平山とギャグ合戦を繰り広げたりと、舞台上はてんやわんや。キツ〜いツッコミやイジりも大らかに受け止める平山の天然ぶりが、イキのいい若手たちと良い化学反応を起こしていました。
クライマックスでは、人質にされたおりんを助けようと、平山と吉田が旗本の邸宅で大立ち回りを演じます。ビシッと決めたシーンでも、鞘から刀でなくマイクを取り出し歌うなど、ボケも忘れません。
手に汗握る“ラスボス”対決!
その後、ストーリーのカギを握る秘密が次々と明らかになると、ステージはさらに白熱! 平山が迫真の演技で剣を捨てた理由を語る場面から、森川との“ラスボス対決“まで、息もつかせぬ殺陣で魅了します。
ラストは親子がついに和解する感動のシーンで幕……と思いきや、まさかの大オチで客席は大爆笑となりました。
カーテンコールでは、オールキャストが再登場。進行役のながい。はキャスト紹介の途中で感極まって涙が止まらなくなり、「吉田さん、あとお願いします……」とまさかの丸投げ。この日は島木譲二夫人も観劇していたそうで、正式にギャグを受け継いだながい。にとっては特別な思いがあったようです。その姿に客席のあちこちから「がんばれ!」と声援が飛び、割れんばかりの拍手が送られました。