桂文枝“79歳の誕生日”に西川きよしと25分超の長尺漫才披露! 暴走するきよしに「堪忍してください」

4月の佐賀公演を皮切りに全国ツアー中の桂文枝が、10年前に六代桂文枝を襲名した記念日で、自身の79歳の誕生日でもある7月16日(土)に、ホームグラウンドの大阪へ“帰還”! なんばグランド花月で『笑って元気に!いらっしゃーい!!ツアー 桂文枝の落語家55周年記念独演会』が開催されました。林家木久扇、西川きよし、ジャルジャルら豪華ゲストを迎え、スペシャル企画も目白押しとなった舞台の模様をレポートします。

出典: FANY マガジン
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「起きたら79歳に…」

ルイ・アームストロングの名曲『この素晴らしき世界』が流れるなか、舞台の黒幕に文枝の歩みが映し出されるオープニング。続いて『Happy birthday to you』のお囃子とともに文枝が登場すると、客席から「待ってました!」とばかりに大きな拍手が起こります。

文枝は開口一番、「今朝、起きたら79歳になってました。あれにはびっくりしました。来年のことを考えたらゾッとします」とさっそくボケながら、「80歳でもこういう会をやりたい。90歳でも……」と、この先の意気込みもチラリ。今回は三味線を弾きながら都々逸を披露しようと、稽古を続けていたそうですが、なかなか覚えられず断念したとのことで、「90のときにやりたいなと思う」と自らへの“宿題”にしていました。

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その後も文枝の話術は冴えわたります。「いちばんイヤなのが『段がありますよ。気をつけてくださいね』と言われること。わかってるっちゅうねん」など、高齢者世代のあるあるネタをちりばめたマクラから、話題はいつしか子ども時代のエピソード、そして「大好きだった」というラジオ番組の思い出へ。当時のラジオ番組は効果音もすべて手づくりだったそうで、文枝も実際に赤貝の殻を使ってカエルの鳴き声を模したり、竹筒で柱時計の“チクタク”を再現したり――。

そこから自身の創作落語「効果音の効果は効果的だったかどうか」(桂三枝作)へ。放送局で制作技術部に所属する社員が「最近は何でも機械に取って代わられ、やりがいが感じられない」という悩みを先輩に相談するなかで、かつてはすべて“生”だった効果音の世界がひもとかれていき……。濡れたぞうきんを熱いアイロンにくっつけて「肉を焼く音」を作る場面では、またまた文枝がアイロン片手に実演するなど、工夫たっぷり笑いどころ満載で楽しませました。

出典: FANY マガジン
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関西大学の後輩でもあるジャルジャルも、音をフィーチャーしたコントを。2人の男が居酒屋で飲んでいるというよくある設定から、ナゾの音と動きが乱れ飛ぶカオスな展開で“らしさ”を見せつけました。

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昨年、左大腿骨を骨折したためリハビリ中の林家木久扇は、正座ではなく腰掛けるスタイルで「明るい選挙」を口演。「スーパースターの林家木久扇です」と茶目っ気たっぷりに自己紹介したあとは、骨折事件の顛末や長年出演している『笑点』(日本テレビ系)にまつわるエピソードを交えつつ、 “選挙話”に突入。

立川談志が演説で披露したという小噺をモノマネで再現したかと思えば、田中角栄、大平正芳といった政界の大物たちのモノマネもデフォルメ全開で織り交ぜ、爆笑をさらいました。最後は文枝へお祝いのメッセージとともに「長生きをして、たくさん後輩を育てていただきたい」とエールを送ります。

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熱唱から思わず涙のエンディング!

中入り後は最大の目玉とも言える、西川きよし&桂文枝の漫才「人生は小さなことからコツコツといらっしゃーい!」。今年の「沖縄国際映画祭」での2人のしゃべりが好評だったため、文枝が誘って実現したという今回のコラボレーション。センターマイクの前に立って、きよしの「いらっしゃーい!」から「2人合わせて、コツコツブラザーズ!」と声を合わせて挨拶、25分超の長尺漫才を披露しました。

出典: FANY マガジン
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冒頭からアドリブで暴走するきよしに、文枝は振り回され気味!? 間違えるたびに「台本持ってこようか?」と詰め寄られ、ときにはドツキも見舞われるなど、ふだんは見られない文枝の姿に観客は大喜びです。きよしの引っ越しを手伝った話や選挙の応援に行った話、さらには横山やすしの思い出話など、つきあいの長い2人ならではのエピソードももちろんたっぷりと。「ええかげんにしなさい!」と締めても「まだ終われへんよ!」と言って続けようとするきよしに、最後は「堪忍してください!」とSOSを出す文枝でした。

続く桂三度は「隣の空き地」と題し、長い話を短くまとめ、短い話を長く引っ張るという実験的なネタを。上方落語の『時うどん』や映画『タイタニック』を見事に短縮する一方で、「隣の空き地に囲いができたってね」「へえ〜」という小噺は長編映画並みの壮大な物語へと大変身を遂げました。

出典: FANY マガジン
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トリで再び高座に上がった文枝は、きよしとの漫才で大奮闘した疲労をのぞかせつつも「体を大事にして、79から80の壁を乗り越えたい」と宣言。80を過ぎてなお元気いっぱいな父親が、なんと演歌歌手としてデビューするという奇想天外な落語「親父の演歌」(桂三枝作)を口演し、客席は爆笑の渦となりました。

エンディングでは、着物姿の文枝が、落語に登場した嵐龍太郎のデビュー曲『浪花恋サブレ』を熱唱。司会者役・桂三風の名調子にいざなわれ、こぶしをきかせて歌い上げる文枝に、観客もノリノリで手拍子。「わしは死ぬまで生きるからな!」という決めゼリフにも大きな拍手が送られました。

出典: FANY マガジン
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歌い終えた文枝は、「79歳の誕生日、誰も祝いませんで、こんな……」と思わず涙。「79歳の誕生日に、こうしてあたたかく声援をいただき……これからもがんばります」と決意を新たにしていました。

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