最近も公式YouTubeチャンネルで公開した歌ネタ「しりとり」が160万回再生と、広島を拠点にいまや世界からも注目を集めるお笑いコンビ・メンバー（山口提樹、潮圭太）。ディープなファンが多い“歌ネタ職人”の彼らが、4月30日（日）に広島・JMBアステールプラザ中ホールで、前代未聞の生オーケストラをバックにした歌ネタライブを開催します。いったいなぜこんな壮大なプロジェクトを……今回は、準備に奔走する2人からその思いを聞きました！
『歌ネタ王決定戦2018』でチャンピオンに輝き、その後もひねりのきいた歌ネタ、リズムネタを次々と生み出してきたメンバーの2人。『Member’s Concert〜メンバーがオーケストラの生演奏で歌ネタをやるライブ〜』と題された今回のライブは、昨年、クラウドファンディングで支援を募ったことで実現しました。目標金額350万円を大きく上回る493万7000円が集まったという注目のライブの中身とは――。
「自分らにファンがいると思ってなかった」
──今回、なぜオーケストラとのライブを企画したんですか？
山口 『歌ネタ王決定戦』で優勝したときに、「夢はなんですか？」って聞かれたので半分冗談で「オーケストラで歌ネタやってみたいです」って言ったんですが、おカネもないし、オーケストラを集める方法もわからないということで、「これはないかな」と思ってたんですよ。
ところが、僕らがやってるネットラジオ『メンバーの部屋ラジオ』に、あるリスナーさんから「私はオーケストラのファゴット奏者で、もしかしたらメンバーさんの言ってたことが実現できるかもしれません」みたいなメールが来て……。ちょうどそのとき、たまたま（吉本興業の）社員さんに「クラファンでおカネを集めてライブをやったらどうか」って言われてたんで、その2つが合わさればいけるかも、ということで始動しました。
──当初から、ライブの具体的なビジョンはあったんですか？
山口 いや、最初はけっこうフワッとしてましたね。これまで『エヴァンゲリオン』や『ドラゴンクエスト』のオーケストラコンサートとか、B’zのギターの松本（孝弘）さんとオーケストラがやるとか、そういうのを何回か見たことがあって。オーケストラの中に異物が混じってるのっておもしろいなというのがあったんで、「そこで漫才やったら、おもしろいんかな」っていうぐらいのイメージでした。
──ロックバンドなどではなくオーケストラにした理由は？
山口 規模の大きさと厳格な感じですかね。
潮 厳かなところに、お笑い芸人が2人いるってヘンだな、面白いかな、みたいな。
山口 バカバカしさがあるというか、ミスマッチな感じですね。
──クラファンがスタートしたとき、達成できると思っていましたか？
潮 始まる前はまったくわからなかったです。だから2人で「3万円しか集まらんかったで終わるとか、ヤバいよねえ」みたいな話はしてたんですけど。
山口 ムリじゃないかと思ってましたね。
潮 額が額なんで。
山口 最初の１週間ぐらいで100万円ぐらいいって、「あ、これいけるかもな」ってなったんですけど、そこからピタッと止まって……。で、終盤、締め切り１週間前ぐらいにドドドーッと支援していただいて達成したんで、途中は「もしかしたら、このまま100万ぐらいで終わるのかなあ」みたいな雰囲気でした。
潮 最初と最後の伸びがすごかったですね。クラウドファンディング担当の方が、支援してくれた方にメールを送ってくれたのが大きかったと思います。皆さんも、どうせなら達成してほしいみたいな感じで、追加で支援してくれたりもして、結局、のべ1100人以上の方が協力してくれました。ビックリしてます。
──ここまでの反響は、予想外だったわけですね。
潮 「いままでどこにいたんですか？」っていうぐらい（笑）。自分らにファンがいると思ってなかったんで……どこに隠れてたんでしょうっていう。
山口 ほんとにありがたいです。
潮 そもそも支援者の方がいなかったらできなかったことなので、本当に感謝してます。
当日は漫才以外の“なにか”も…！？
──目標を上回る金額が集まりましたが、これによって内容はグレードアップするんでしょうか。
山口 当初予定していたオーケストラの人数を増やしました。
潮 だから、（目標金額は）オーバーはしたんですけど、いまけっこうカツカツです。ちょっとマイナスかも、ぐらいの。
山口 やっぱ音響・照明・配信とか入れていくと……。
潮 あれもいる、これもいるって、予想してなかったところにおカネが必要だってのもあったりしたので。
山口 プロジェクターを使おうと思ってたんですけど、会場にあるものだとちょっと不備があるってことで、最近、12万円のプロジェクターを自腹で買いましたし（笑）。
──支援者の皆さんからは、リターンが豪華すぎるという心配の声も多かったようです。
山口 やっぱ、始める前はムリだと思ってたので、僕らの写真プレゼントぐらいじゃ支援してもらえないんじゃないかと。そっちの不安のほうが大きかったんで、どれだけ身を削れるかみたいなところでリターン内容を決めました。
──特におふたりが支援者の方の似顔絵を描く、というのは、かなり大変そうだなと思いました。
山口 大変でしょうねえ……。まだ手をつけられてないんですけど。
潮 僕より山口のほうが、絵がうまいっていうのを知られてるんで、ハードル上がって大変かなと思うんです。ヘタこけないじゃないですか。でもね、自分らができるギリギリのところを攻めたいと思ったら、ああいうリターンになってしまった。本人的には、そんなに豪華すぎるとは思ってもないんです。
山口 それぐらいしないと集まらないんじゃないかっていう感覚でした。
──ズバリ、どんなライブになりそうですか？ 言える範囲で教えてください。
山口 う〜ん、どこまで言うべきか……。ただ演奏してもらうだけじゃなく、ちょっと考えてることはありますけど。映像も込みで楽しんでいただけるようなものだったり、いろんな仕掛けを考えてます。漫才以外の“なにか”もあるかもしれません。
──オーケストラともなると、リハーサルが大変なんじゃないですか？
山口 今回のオーケストラは、広島の楽団じゃなくて、全国各地のプロの演奏者が集まるんです。世界でも活動してるような人たちが30人、バッと広島に集まるという形になっていて、「それだと練習できないな」と思ってたんですけど、リスナーのファゴット奏者の方に聞いたら、前日のリハでいけるって言ってくれたんです。スーパープロなんで、楽譜があれば何のミスもなく弾くことが可能だと。
潮 だから、いちばん不安なのは僕らです（笑）。とにかく初めてのことなんで、舞台に立ったら「なんじゃこれ！」ってなる可能性もある。想像以上の何かが起こるかもしれないんで、僕たちのビックリ顔も見られるかもしれないですね（笑）。
特別企画【メンバーおすすめ！ 広島“必食”グルメ情報】
汁なし担々麺専門店「楽 小網町店」の汁なし担々麵。広島よしもとの先輩芸人・あらきあきゆきさんがやっているお店です。めちゃくちゃ美味しいです。アステールプラザからも近いのでぜひお立ち寄りください。（山口）
「むすびむさし」の若鳥むすび弁当。広島に来た芸人さんに大好評のシンプルで美味いお弁当です。市内に何店舗かあるので、ぜひ食べていただきたいです。（潮）
クラシックの曲づくりはぜんぜんわからない…
──当日までの準備で、いちばん大変なことはなんですか？
山口 やっぱり編曲の部分がいちばん大事だと思ってます。オーケストラの編曲家さんに渡すものをつくるのがいちばん時間かかるし、その日の感動のすべてにかかわってくるんで。
潮 準備の段階で確定させとかないといけないってことですね。
──それは、かなり時間がかかるものなんでしょうか。
山口 かかってますねえ。今回は、ふだんやってるネタもけっこうやるんですけど、それに関しては音源を渡して「こうしてください」みたいなニュアンスを伝えていくんです。でも、新ネタ的なものとか新しい試みをやる場合の音は、イチから（オーケストラを）イメージしてつくるんで……めちゃくちゃムズいですね。
──おふたりは、クラシックの経験はあるんですか？
山口 クラシック好きではあるんで、曲はいっぱい聴いてるんですけど、つくり方とかはまったくわからない。いま調べながらやってます。
潮 僕はゼロです。なので音楽に関しては、もうおまかせ。オーケストラの方と山口がいろいろやりとりしてるのを見てるときはヒマです。もう何もすることがない。
山口 （笑）
潮 一応、いないといけないなと思ってるんで、いることはいるんです（笑）。
山口 潮は曲ができたときに、「その音はボケに対してフリとして弱いんじゃないか」みたいに、お笑いの観点から音楽にツッコむことができるんで、潮を責めないであげてほしいです。
潮 誰も責めてないよ（笑）。
山口 音楽は2人でつくってますってことで。
潮 相方はずっと貧乏ゆすりしながら作曲してるんで、僕はそれを止める役です。落ち着こうって。
──では、ライブの見どころをアピールするとしたら？
山口 お笑いファンの方もクラシックファンの方も、ぜひ見に来てほしいですね。編曲の方が、僕らの歌ネタにあるテーマに合致した、クラシックのオシャレな味付けをしてくれてたりするんで、音楽の面でも感動してもらえると思います。
潮 お笑いでもない、音楽でもないライブなんで、お客さんにいままでにない感情が生まれるはずなんですよ。”面白い“もあって、生のオーケストラの演奏もガツンと体にくると思うんで、体で笑いを感じに来てほしいっていう。
山口 ハードル高いな（笑）。感じたことのない感情を感じに来てほしい、くらいにしといたほうがいいんじゃないですか。
潮 じゃあ、それでお願いします（笑）。
いまが芸人人生でマックス楽しい！
──当日までの予習として、メンバーさんの魅力も改めて紹介したいのですが……。
山口 広島のよしもとで十何年もやってきたんで、東京や大阪の人たちと違うというか、いびつな進化をとげてるんですよ、僕らは。いろんな地方芸人が東京や大阪の人みたいになろうと思って頑張るんですけど、僕らはそうならないで光りたいと思ってやってきた。なので、その“いびつさ”を見てほしいですね。
潮 音楽を使っておもしろいことをしたい芸人っていう感じなんで、歌ネタはもちろんですけど、YouTubeでは『遺伝子組み換え○○』（有名曲を少しずつ変えてYouTubeでオリジナル曲だと判定されるギリギリのラインを探る人気動画）みたいな著作権ギリギリセーフの曲をつくったりもしてます。
山口 もしかしたら、そういうのもオーケストラの中に入ってくるかもしれません。
潮 とにかく、音楽とともにやってる芸人なので、そのへんをわかって見ていただけたら。
山口 あとは、今回のライブのもとになったネットラジオもぜひ聴いてください。僕らYouTubeなんかでは、あんまり素を出さない感じでやってるんですけど、ラジオだけはけっこう素でしゃべってるんで。素朴な田舎もんってことがわかってもらえると思います。
潮 そもそも小学校からの同級生で、友だちの延長みたいなことをやってる。島根の田舎から出て来た2人が、こういうことできるようになったよっていうのが伝わるとうれしいですね。
──ちなみに、数々の動画をバズらせてきた2人が、いまいちばん見てもらいたい作品は？
潮 ひとつの歌ネタを24時間やり続ける『24時間耐久歌ネタ』というのを上げてるんですけど、もう終盤あたりでは人間の汚らしさとかが見えてるんで（笑）。3分弱の歌ネタを繰り返し500回以上やってるんですけど。
山口 芸人の狂気をね。
潮 そう、狂気を見てほしいですね。
山口 ただ、あれを聴きすぎるとライブに来たときに何も面白くなくなるかもしれないので、ほどほどにしといてください（笑）。
──YouTubeがまだなかった高校生のころから、ずっと動画を撮っていたんですよね。
潮 ビデオカメラで動画を撮るみたいなのは、学生時代からやってました。
山口 自分らだけで見てキャッキャ言うっていう。その延長が、今回のオーケストラまでつながってると思うと感慨深いですね。
潮 やってることはほとんど一緒なので、まわりが評価してくれるようになったのがうれしい。求めてくれる人が増えたのがありがたいですね。
──今回の“歴史的”なライブを観る人たちにメッセージをお願いします。
潮 初めての経験だし、初めての挑戦なんで不安はあるんですけど、何年も前から思ってた夢が実現するので、ワクワクのほうが大きい。ぜひそのワクワクを一緒に体験しに来てください。
山口 いまはまだ準備段階なのに、芸人人生でマックス楽しい状態です。なので、本番はとんでもないことになるんじゃないかと。
潮 アバウトだなあ（笑）。
山口 （笑）。とにかく、出来上がるものを楽しみにしててください！
メンバーの公式YouTubeチャンネルはこちらから。
ネットラジオ「メンバーの部屋ラジオ」はこちらから。
公演概要
『Member’s Concert～メンバーがオーケストラの生演奏で歌ネタをやるライブ～』
日時：4月30日（日） 開場15:30 開演16:00
場所：JMSアステールプラザ 中ホール（広島県）
チケット：前売2500円
※一般発売は2月28日（火）から
FANYチケットはこちらから。
