1月13日(月・祝)、大阪・なんばグランド花月にて、大阪のお笑い文化の継承と発展のため、舞台に立つ若手芸人たちをサポートする上方漫才協会主催の『第五回上方漫才協会大賞』が開催されました。
これまでアインシュタイン(稲田、河井)、吉田たち(こうへい、ゆうへい)、トット(多田、桑原)、見取り図(盛山、リリー)といった人気コンビが“大賞”を受賞し、大きく飛躍しています。
各分野のプロデューサーが、2019年に目覚ましい活躍を見せた芸人を推薦し、選ばれた東西64組の中から大賞1組が決定します。ほかにも芸歴6年目以下の芸人を対象とした“新人賞”、漫才の発展に貢献した芸人に送られる“話題賞”、ネタの表現力や構成などで選ばれる“文芸部門賞”も発表。さらに、昨年まで開催されていた『男前&ブサイク芸人ランキング』を一新し、『オシャレ&ダサい芸人ランキング』として、こちらの発表もあわせて行なわれました。
話題賞には「M-1」優勝のあのコンビも!
まずはアインシュタイン・稲田による『みにくい白鳥の湖の子』が披露されました。稲田をセンターにニッポンの社長・ケツ、守谷日和らが登場し、芝居がスタート。全員がプリマドンナの衣装を着て熱演し、真顔でダンスを披露すると、会場は大爆笑に包まれました。
そしていよいよ各賞の発表がスタート。『第一回上方漫才協会大賞』の大賞受賞者であり、昨年はコンビで『よしもと男前ブサイク芸人ランキング2019』にランクインしたアインシュタインと中田カウスが登場。
カウスは「毎年の受賞者が活躍してくれていることで本大賞も5年目を迎えることができた。それはファンの皆さんの応援があったからこそ」と会場に詰めかけた観客にも感謝のコメントを述べます。続けて、東京にも才能のある若手がたくさんいると話し、それを協会としてもサポートしていきたいと力を込めました。
まずは“話題賞”の発表から。今年の受賞者はミルクボーイ(駒場、内海)とラニーノーズ(山田、洲崎)の2組に決まりました。
「ミルクボーイは『M-1』、ラニーノーズは『歌ネタ王』、どちらも話題賞にぴったりのコンビ」とカウスも太鼓判です。
まずはラニーノーズからネタを披露。ギターを構えた2人が誰もが知っている歌に大胆なアレンジを加え、会場は爆笑に包まれます。
続いてはミルクボーイ。ステージに2人が登場すると、ひときわ大きな拍手が起こります。駒場の疑問に、内海が次々とツッコんでいく『M-1グランプリ2019』でも見せた彼ららしいスタイルで観客を惹きつけました。
トロフィー贈呈のあと、カウスは久々に楽器を持った漫才師が登場して、自身のなかでは新鮮に映ると、ラニーノーズについてコメント。「時代が作ったコンビという感じがする」と話しました。
ミルクボーイについては、非常にレトロな匂いがしながらも新鮮と評します。カウスと並んだ内海の姿に「見ようによっては同期みたいにも見える」と河井がツッコむと会場は爆笑。ミルクボーイの2人は「M-1のおかげで人気も少しずつ出てきたので、これからは角刈りの“カクチー”、筋肉の“きんたろー。”で、西のEXITとしてがんばっていきたい」 とアピールしていました。
各賞ノミネートコンビのネタ披露も
続いて“新人賞”にノミネートされた6組がネタを披露します。EXIT(りんたろー。、兼近)にはじまり、ダブルヒガシ(大東、東)、3時のヒロイン(ゆめっち、福田、かなで)、そのこ、ドーナツ・ピーナツ(ドーナツ、ピーナツ)、チェリー大作戦(鎌田、宗安)が舞台に登場。
EXITが「ここで勢いつけて盛り上がったらいいと思います」とアピールすると、ドーナツ・ピーナツは「失うものは何もない!」と話すなど、どの組も気合十分の様子。それぞれが持ち味を活かしたネタで会場を盛り上げました。6組のネタを見たカウスは「“新人賞”と思われへんね」と絶賛します。
続いて“文芸部門賞”の受賞者が発表され、今年はカベポスター(永見、浜田)、バッテリィズ(角、寺家)、ビスケットブラザーズ(原田、きん)、ラフ次元(空、梅村)、オズワルド(畠中、伊藤)の5組に決まりました。受賞コンビについて「今までにない新しいものを意識しながらネタを作っている感じがする」とカウス。こちらも全組が入魂のネタを披露しました。
オシャレ&ダサい芸人に選ばれたのは!?
次は今年から一新された『オシャレ&ダサい芸人ランキング』です。コーナーMCとしてスーパーマラドーナ(田中、武智)が登場し、観客投票による集計のトップ50が発表されました。
“オシャレ芸人”1位はアインシュタイン・河井、そして“ダサい芸人”1位はエンペラー・安井という結果に! 安井の「そんなワケないやん!」の絶叫に会場は大爆笑。舞台上に降りてくるように言われても「行かないです!」と拒絶するなど、最後まで納得いかない様子を見せ、会場を盛り上げました。
ここで先にノミネートが発表されていた“新人賞”の受賞者を発表。見事受賞したのは、チェリー大作戦でした。審査員の評価として、非常に僅差であったことが明かされ、「実演力、展開も見どころがふんだんにあった。これからの活躍に期待している」とエールが送られました。
ミキが大賞受賞!「ようやく獲れてうれしい」
そしていよいよ“大賞”ノミネートと“特別賞”の受賞者が発表されます。
まずは昨年の大賞受賞者、見取り図がステージへ。盛山は「いろんな劇場でいっぱい漫才をさせていただいた。“大賞”の名に恥じないように漫才に取り組んだいい1年でした」と振り返りました。2階席には以前の受賞者であるトット、吉田たちの姿も。トットは受賞後はより気を引き締め、毎月単独公演したことを話し、吉田たちは、47都道府県をまわるツアーもさせてもらったと笑顔。「日々、賞の名に恥じない漫才をしています」と力を込めました。
ここで大賞受賞者は、歴代の“大賞”受賞コンビとともに『上方漫才協会大賞 大賞受賞者5組集結 全国ツアー』として、2月11日(火・祝)の大阪公演を皮切りに、東京、名古屋、福岡、仙台を巡ることが伝えられます。
いよいよ大賞の発表です。最終ノミネートに選ばれた衹園(木﨑、櫻井)、令和喜多みな実(野村、河野)、ネイビーズアフロ(皆川、はじり)、さや香(石井、新山)、からし蓮根(伊織、杉本)、相席スタート(山添、山﨑)、ミキ(亜生、昴生)、EXIT、ラニーノーズ、ゆりやんレトリィバァ、という第一線で活躍する人気芸人たちがステージに登場します。
そして、カウスの口から大賞受賞者として告げられた名前はミキ。 「しっかりとした1年間の審査結果に納得ですね、みなさん?」とカウスが問いかけると、会場から拍手が起こります。昴生は「毎年ノミネートされていて、ようやく獲れてうれしい」とコメント。改めてカウスは「相当忙しいのに漫才を忘れてなかった。漫才の情熱みたいなものをいつも感じて見ておりました」と受賞の理由を話しました。
続いて“特別賞”受賞者としてかまいたち(濱家、山内)がステージに姿を現すと、会場は歓声と拍手に包まれます。カウスはかまいたちについて、「感心するのは若い子を引っ張っていく力を持っていること。そしてネタには漫才で大事な裏切りがある。これからますます期待している」と2人を絶賛しました。
ここでかまいたち、ミキがネタを披露し、2組ともさすがの安定感で会場を爆笑の渦に。
最後にカウスは、「マイク1本でしゃべくりだけで楽しんでいただく漫才は素晴らしいと思う」と話し、「漫才に関わって50年以上、若い力をいつも感じている。それはお客様のおかげやと思う。また来年この舞台で会いたいと思います。漫才をこれからもよろしくお願いします!」と挨拶し、盛況のうちにイベントは幕を下ろしました。
東京での漫才劇場設立も発表!
イベント終了後には囲み会見が行なわれました。ラニーノーズは、「“話題賞”をいただけてありがたい。これからも精進します」と感謝を伝えました。また、ミルクボーイは「上方漫才協会の賞をいただいたことがなかったのでうれしい」とニッコリ。そして「昨年は1月から11月までスベってたので、来年の“大賞”を狙って今年1年間がんばっていきたい」と力を込めました。
かまいたち・山内は『M-1グランプリ2019』が終わったあと、カウスから“世界一の漫才師”と言ってもらったと話しますが、カウスから「会うてへん!」とツッコミが入ります。
“大賞”のミキは「うれしいです。ずっと(よしもと)漫才劇場でがんばってきてよかった」とホッとした表情。昴生は「賞金500万円の使い道ですが……」と話し始めますが、すかさず亜生から「ないんです」とツッコまれます。
改めてカウスは5回目が無事終了できたと話したあと、若手たちの活躍に言及。「若い力が吉本興業、NGK(なんばグランド花月)、(よしもと)漫才劇場を支える。それに関しては非常に安心しています。まだまだビックリするような若手がいるので期待してください」と、さらなる発展を約束しました。
そして1月29日(水)、東京に新劇場『神保町よしもと漫才劇場』をオープンすることを発表。「東京にも才能を持っている若手がいっぱいいる。ここを踏み台に“大賞”を目指してがんばっていただきたい」とエールを送りました。また、「47都道府県でその街に見合った漫才劇場ができれば」と今後の展望について語ったあと、『上方漫才協会大賞』“大賞”受賞者5組が集結した全国ツアーについても改めてアピールしました。
質疑応答では、“新人賞”受賞のチェリー大作戦に、「今日のライバルは?」という質問が。2人は「そのこさんがめちゃくちゃおもしろかった」と話し、続けて「漫才が多かったので、コントで一番いいネタを持っていって賞を獲れたのがよかった」と振り返りました。
“オシャレ芸人”1位、“ダサい芸人”7位にそれぞれ選ばれたアインシュタイン・河井、稲田もコメント。河井は後輩が漫才の賞を獲ったあとに“オシャレ”についてコメントすることをためらいつつも、「中途半端な順位じゃなくてよかった」と笑顔。対する稲田は「悔しいっすね!」と声を荒げたあと、ノミネート写真をちょっとだけ小顔に加工していたと告白。「もっとお仕事がんばって、いい服買って、コーディネートもがんばりたい。ダサいほうに入らないようしたい」と汚名返上を誓っていました。