アポロアマチュアナイトジャパン審査員特別賞のシンガー・Wakasa、NYの舞台で「これは革命」

11月27日(水)19:30(日本時間28日(木)9:30)より、アメリカ・ニューヨークのハーレム地区にあるAPOLLO THEATER(アポロシアター)にて、今年開催された『APOLLO AMATEUR NIGHT(アポロアマチュアナイト)』の予選を勝ち上がったキッズ部門2組、大人部門10組による年間優勝者を決める決勝大会「SUPER TOP DOG(スーパートップドック)」が開催されました。

アポロシアターで毎週水曜に開催されているアマチュアナイトは、様々なエンターテインメントが楽しめるニューヨークの中でも、観客のリアクションで勝敗が決まるまさに実力勝負のオーディションライブ。プロへの登竜門と言われ、ジェームス・ブラウン、ジャクソン5、スティーヴィー・ワンダーなど数多くのスターを輩出してきました。

出典: FANY マガジン

この大会に、今年11月に日本で開催された「APOLLO AMATEUR NIGHT JAPAN 2019」優勝者のダンスクルー「544 6th Ave」と、AMATEUR NIGHTプロデューサーのマリオン・カフェィ氏が決める審査員特別賞のシンガー「Wakasa」がAPOLLO THEATERの歴史上初のアジアゲストで、日本代表として出演を果たしました。

「APOLLO AMATEUR NIGHT JAPAN 2019」とは?

今年85周年を迎える伝統的なパフォーマンスシアター「APOLLO THEATER」が認める公式ライセンスとしては世界初となる、「APOLLO AMATEUR NIGHT」の権利を吉本興業が取得し実施したスター発掘オーディションライブ。
「審査は観客の歓声とブーイング」「ブーイングを集めてしまったパフォーマーは途中で強制退場させられる」本場のシステムを完全導入し、世界で最も厳しく、公平な審査で未来のスターを発掘に取り組みました。
優勝者は優勝賞金100万円、審査員特別賞は賞金20万円と、それぞれに本場アメリカ・ニューヨークのアポロシアターで開催される年間優勝者大会「SUPER TOP DOG」にゲストパフォーマーとして出場できる権利を獲得できます。
応募総数1,197組の中から東京・大阪にて各2回、計4回の予選を行い各回の上位3組が決勝ラウンド『TOP DOG』に進出、予選から勝ち上がった12組による決勝ラウンドを開催し、観客の歓声によって優勝者が決まります。初となる日本大会の優勝者は544 6th Aveとなりました。また、アポロシアター「アマチュアナイト」プロデューサー・マリオンさんが選んだ審査員特別賞としてWakasaが選ばれました。

出典: FANY マガジン

11月27日、ニューヨークにある「アポロシアター」に、赤い着物をベースとしたドレスで登場。
映画「THE GREATEST SHOW MAN」の「never enough」を、時に切なく、時に激しく、感情豊かに歌い上げた東京都出身の女性シンガー・Wakasaに思いを聞きました。

日本のオーディションの歴史が変わる

出典: FANY マガジン

――――――最初、吉本興業がアポロアマチュアナイトジャパンを開催すると聞いた時はどう思いましたか?
友達に勧められたんですが、「え?これ吉本興業がやってるけど大丈夫なのかな?」と思いました(笑)。でも、アポロシアターだしNYに行きたいし、イベント自体には希望が持てたので信じてみようと。実は、私は今までオーディションに偏見を持っていて、今回も結果が決まっている出来レースなんじゃないかとも疑っていました。でもこうやって出演することが出来て、このような機会に巡り合えて本当に私は救われました。開催してくれてありがとう、って本当に思います。これは革命だし、日本のオーディションの歴史が変わる気がしています。

――――――日本での「アポロアマチュアナイトジャパン」からNYC本場アポロシアター出演まで、どんな思いで待っていましたか?
予選は、決勝進出すら出来ると思っていなかったので全く緊張しなかったです。それがいざ決勝進となって、ニューヨークが見えてきたら、もう少し若かった頃に思い描いていた海外で歌いたいという気持ちが蘇ってきて。「あ、私、またあの時の気持ちを取り戻してもいいのかなぁ」と感じましたね。

――――――今後、その気持ちはどう変わっていきそうですか?

出典: FANY マガジン

もともと海外に通用するシンガーになりたいと思ってボイストレーニングにも通っていて、「本場の人たちと同じくらいの歌唱力になりたいんだったら、現地に行って同じもの食べて同じ空気吸ってこい」って言われたことがあるんです。だから、怖いですけど、海外で暮らしてみたいなという気持ちはあります。ただ、どうしたらそれが実現出来るかを考えなくてはいけないですが。

――――――今回のことをきっかけに、海外進出も?
私自身が日本人だし日本が好きなので、日本の文化を海外にパフォーマンスで見せられたら良いなという気持ちが大きくて。だから今回和装のドレスで出演できたのもすごく嬉しかったんです。20代前半の頃は、海外に行ってグラミー賞を獲りたいという夢もありました。でも今回の出演で、自分1人よりも、ダンサーやミュージシャン、ボイスパーカッションなど、色んなジャンルの方とコラボしてパフォーマンスできたらもっと楽しいんだろうなって思いました。様々なジャンルが合わさることにより目で見せられたり耳で聞かせられたり……そんな表現がしたいですし、尚且つ和の要素を取り入れられたらもっと楽しいと思います。例えば、和太鼓を使って音をドンドンと響かせつつも洋楽のような曲調にアレンジしたら日本だけではなく海外の魅力も取り入れることができますし。日本人ということは私の誇りですし、今回も日本代表として歌えたことが本当に嬉しかったです。

海外と日本を結ぶ架け橋のような存在に

出典: FANY マガジン

――――――NYで歌ったことを一番伝えたいのは?
家族です。あとは、自分を応援してくれていた人たちに「ありがとう」と言いたい。私には、ジェンダーレスの友達がたくさんいるのですが、皆コンプレックスを抱えながら乗り越えていて、そんな人たちに私は助けられたし、彼らの存在に自信を持たせてもらったので。今回のことは大きな自信になったので、歌ってきたよと伝えたいですね。

――――――現在の夢を教えてください。
私は母親がフィリピン人で父親が日本人の、世間でいうハーフなのですが、長い間自分がどっちの国なのかわからなかった。日本人なのか、日本人じゃないのか、すごく悩んだ時期もありました。
このイベントの前に知り合った同じくハーフのロビンさんという方に「ハーフって言うのよそう。俺は雑種と言うようにしてる。世界的に観たら色んな血が混じっている方が普通なんだ」と言われた時に、私は今まで勝手に自分を卑屈に見てたんだと理解できたんです。そして、もっともっと自分を肯定して自信を持っていいんだと気付くことができました。
今回のイベントで、もし自分が海外に進出できる道が拓けるなら、海外と日本を結ぶ架け橋のような存在になりたいと思います。私がかつて持っていた自分は何者なんだろうという悩みを抱えている子はたくさんいると思うので、私が表舞台に立つことで救われる人もいるのかなと。そんな人たちの力になりたいし、助けたい。子供たちの悩めるヒーローになれたらすごく嬉しいです。そんな人たちが一歩を踏み出すきっかけのような存在になりたいですね。

インタビューの最中には、共演した544 6th avのメンバーと盛り上がる場面も。

今後は、2組でコラボしていきたいとも話していました。アマチュアナイトジャパンから飛び出した日本勢は、アポロシアターの本場ニューヨークで、ワンチームになっていました。

今後の2組の活躍にご期待ください!