お笑いコンビ・空気階段(水川かたまり、鈴木もぐら)とオズワルド(畠中悠、伊藤俊介)の同期2組が毎月、東京・よしもと有楽町シアターで開催しているユニットライブ『蟹』。その『蟹』が、いよいよ地方へ出荷(開催)されることが決まりました。そこで今回は、『有楽町蟹』(10月4日開催)公演直前の2組を楽屋で直撃! しかも、公演前々日の『キングオブコント2021』では空気階段が優勝! ということで、ユニットにどんな変化があったのか、そして『蟹』の野望についてなどじっくり聞きました。
同期に空気階段がいたらコントはやらない
――今回はユニットライブ『蟹』について聞く予定でしたが、その前に、せっかくなので空気階段のおふたりが『キングオブコント2021』(10月2日)で優勝したことについても少し触れさせてください。
畠中 いや、キングオブコントの話は一切なしで。『蟹』のみで行きましょう。
もぐら “強気蟹”ってことですね。
伊藤 めちゃくちゃスカしてると思われるぞ。
かたまり 『蟹』 ファンも離れていきそう(笑)。
伊藤 でも実際、2人が優勝したおかげで『蟹』も安泰ですよ!
――オズワルドのおふたりは『キングオブコント』を東京・ヨシモト∞ホールで観ていたそうですね。
伊藤 はい、観てました。
畠中 ヨシモト∞ホールで毎日やってる「ワラムゲ!」というライブがあったので。
伊藤 「ワラムゲ!」の前半コーナーに出てたから、蛙亭だけリアルタイムで観られなかったんだよね。
かたまり あ、でもわりと観られたんだね。
伊藤 でも、ダンビラムーチョさんとかアイロンヘッドさんは、ヨシモト∞ドームで20時まで出ずっぱりの「キングオブムゲカラ!」というカラオケのライブがあったから……。
かたまり 当然、「キングオブムゲカラ!」を観に来る人もいるわけだもんね(笑)。
畠中 僕ら、 ∞ホール の劇場メンバーで上位3組予想をやったんですよ。僕らは空気階段を信じてたんで、2人とも空気階段優勝を予想しました。
かたまり いくらかけてたの?(笑)
伊藤 やめろお前、かけてねえよ! 空気階段と男性ブランコさんは当てられたんだけど、ザ・マミィがどんなネタをやるかの情報がなくて……。もし知ってたら、3位まで完璧に当てられたかもなー!
もぐら あとからなら、なんとでも言えるから(笑)。
――空気階段の優勝について、オズワルドのおふたりは率直にどう思っていますか?
伊藤 羨ましいっすね、やっぱ。
――悔しさは?
伊藤 悔しいっていうのはないですよ。僕ら『キングオブコント』に出てないんで。ていうか、同期に空気階段いたらコントはやらないですよ。
――それほど空気階段はスゴいということですか?
伊藤 だって、同期の僕が言うのもなんですけど、ちょっとスゴすぎませんでした?
――たしかに、スゴかったです。
伊藤 オレ、『M-1グランプリ2019』のミルクボーイさんのトラウマがちょっと蘇ったもん。
畠中 もう完璧。文句なしの優勝だったよね。
伊藤 うん。あと、ミルクボーイさんの決勝1本目って、会場がウケすぎて音が割れちゃうから、音量をちょっと絞ったんですって。だから、テレビで観てるよりも、現場の笑いの量は遥かにエグかったんですよ。きっと今年の『キングオブコント』もそうだったんだろうなって思いながら観てましたね。
――空気階段のおふたりは、本番のときどう感じていましたか?
かたまり どうですかね。ウケてるなとは思いましたけど、ほかの人たちがどうだったのかがわからなくて。直前までスタジオに入れなかったので。
もぐら モニターで観てるだけだったので。
伊藤 みんなウケてましたよね。でも、全員が一斉に笑う瞬間がいちばん多かった気がするな。とにかく文句なしですよ!
コントと漫才の垣根を超えたライブ
――トークライブ『蟹』は、ずいぶん回数を重ねてきていますよね。
かたまり もう2年くらい。
伊藤 最初のオールナイトライブを入れたら、もうそんなになるか。
かたまり 僕らとオズワルドについてくれてる作家のひらしまさんが声かけてくれたのが最初で。
もぐら 「この日、2組でなんかやる?」と持ってきてくれたんですよね。
――『蟹』とは、どんなライブですか?
伊藤 こういう企画ライブって、コント師はコント師同士、漫才師は漫才師同士でやることが多いんですよ。だから、こうやってコントと漫才の垣根を超えて一緒にライブをすることが意外とないんですよね。
で、この2組でそれぞれネタをやってトークという構成だと、見方がぜんぜん違うからあまり盛り上がらない気もして。いまみたいにトークに振り切っちゃったことで、観やすくなっているとは思うんですよね。
もぐら だから、「いま漫才側のライブではどんなことが行われてるんだ?」という、コント側と漫才側の貴重な情報交換の場です。
かたまり 要は”浜辺”ですね。
畠中 (すかさず)蟹でいうところの。
伊藤 ……蟹でいうところの浜辺?
かたまり 漫才海に行ってる蟹と、コント海に行ってる蟹が、蟹でいうところの浜辺に集って情報交換をしてる。
畠中 まあ、だから蟹でいうところの……。
伊藤 いや、浜辺だろ? いま、かたまりが言ったじゃん(笑)。
もぐら 畠中的には、浜辺じゃ納得できないってこと?
畠中 えっとね、岩の裏っかわ。
伊藤 浜辺みたいなもんじゃねえか(笑)。
畠中 『蟹』って、めちゃくちゃリラックスして、緊張感なくできるんですよ。
伊藤 だから……。
畠中 いや、まだ蟹の岩の裏の話してるから! 岩の下って蟹にとってのプライベート空間じゃないですか。ふだん僕らが見てる蟹って、水から上がって、市場に出荷されてる蟹ですよね。だから人間は岩の下で蟹がなにしてるかを知らない。だって、ひっくり返した瞬間にもうそこで、蟹はバーッといなくなってしまうんだから。だから言ったら、岩の下を覗かせてるみたいな……以上です。
かたまり (笑)。
伊藤 たしかに畠中の言うとおり、リラックスしてやってて。ただ、芸人“あるある”だと思うんですけど、仲良すぎるメンバー同士でやると、変な空気になることが多いんです。初めのころなんてリラックスしすぎて、全員ドラマの記者会見の俳優みたいな喋り方になって。
かたまり 1回、反省会したよね。「今度から、もうちょっと大きな声を出そう」って。
畠中 バカみたいな反省会(笑)。
もぐら やっぱり声が大きいほうがウケるよね。
伊藤 百歩譲ってちっちゃくてもいいんだけど、誰も面白いこと言わなかったからね。反省会をやってからはうまいことやってますけど。
伊藤の妹はもぐらが好き…!?
――これまでの『蟹』で特に印象に残っている回やエピソードは?
かたまり えーっと……なに話したか忘れてるなあ……。
伊藤 本当に大した話してないからね。
――それだけリラックスしているライブなのですね。
畠中 いや、本当にそうですね。
もぐら 伊藤の妹がオレのことを好きと言ってた話は覚えてますね。
伊藤 え、沙莉が?
かたまり ううん、有名じゃないほうの妹。
伊藤 しおりね。それ、別に変な意味じゃなくて、テレビで観てる人として好きってことだよ?
畠中 みんなが家族に電話した回だね。あれは盛り上がったね。
伊藤 そういえば、しおりが「空気階段おめでとうって言っといて」って言ってた。
かたまり 有名じゃないほうの妹ね(笑)。
畠中 そうだ、今日、もぐらのお母さんに電話しよう。
もぐら イヤだよ~!
畠中 優勝後に電話した?
もぐら 電話はしてない。LINEで「おめでとう」みたいに言ってたけど。
伊藤 電話しろよ、お前! じゃあもう今日しよう。かたまりは電話した?
かたまり してない。
伊藤 なんでしないのお前ら! 優勝してんだから!
畠中 じゃあ今日しよう。
(※このあとの『有楽町蟹』のライブで実際に、かたまりは妹に、もぐらは母に電話をかけました)
日本全国・世界に出荷・水揚げされる『蟹』!
――『蟹』の今後の展望は?
伊藤 地方でどんどん開催して、経費で移動させてもらって、地方で遊びたいという野望がもともとあって。
畠中 みんなでうまいもの食べたいね、という。こないだも京都にあるよしもと祇園花月で『祇園蟹』をやったんですが、泊まれなかったし……。(コロナ禍が)もう少し落ち着いたら、実現できるかもしれないですね。『福岡蟹』とか『広島蟹』を。
伊藤 海外に行きたいな。
畠中 『上海蟹』?
伊藤 『アメリカンクラブ』(crab=蟹)とかな。
かたまり 『タイ蟹』は行けそうだって聞いたよ?
畠中 マジ!? 誰が観に来るの(笑)。
もぐら グアムとか、日本人の方がたくさんいるような場所ならできるかもしれないけど……。でも、その人たちが俺らのことを知ってるかっていうと微妙か。
伊藤 ツアーにしちゃえばいいんじゃない? お客さんごと連れてって、現地で『蟹』をやる。
かたまり ツアーで『東南アジア蟹』をやるの?
畠中 ついでに、お互いYouTubeとかも収録して流したら儲けられそう。
かたまり そんなストレートに「儲けられそう」って言う人、初めて見たな(笑)。
「蟹テレビ」「蟹ブック」「蟹CD」で荒稼ぎ!?
――空気階段の優勝で『蟹』にも何か変化がありそうですか?
畠中 せっかくなんで、僕らも『M-1グランプリ』で優勝して、ダブルチャンピオンを狙います。
伊藤 いや、今回の空気階段優勝で僕ら、とんでもないプレッシャーかけられてますよ。
――(笑)。もしそうなっても『蟹』は続くのでしょうか。
もぐら 『蟹』のスケジュールは真っ先に押えていただきたいですね。
伊藤 どっちも優勝したら、お前らはコント、俺らは漫才師の芸歴1年目の若手をハンティングしてきて、どっちが先に優勝するかを競い合わせる企画やろう。
畠中 金持ちの道楽じゃん(笑)。まあ、この2組は作家さんが一緒なので、どんなに忙しくなっても『蟹』はできるんじゃないですか。
かたまり 「蟹テレビ」とか、できたらうれしいな。
もぐら ♪か・に・テレ!
畠中 Eテレっぽいな(笑)。
もぐら 本にもしたい。爆笑問題さんの本みたいな感じで、第1回からの書き起こしを本にするやつ。
畠中 「蟹ブック」だ。
もぐら そしたら俺らは苦労せずに儲けられる。
伊藤 言葉にすんなよ、「儲けられる」って。でも「蟹ブック」は本当に俺らが年末に優勝したら叶えられそうじゃない?
畠中 じゃあ誰か、優勝した瞬間、出してください。ライブが続く限り、永遠に出し続けられる。
もぐら そうそう、『蟹3』とか『蟹4』とか続けていける。
伊藤 そしたら“蟹御殿”建てますよ。
かたまり 音声を録っておいて「蟹CD」も出したら、また儲けられるよ。
――いろいろ展開できそうですね(笑)。
伊藤 とにかくおカネを産んでいきたいですね。
もぐら ”カニ”ってやっぱり……”カネ”に似てますからね!
伊藤 なんかいいこと言ってまとめてくれるかと思ったら、薄っ!
公演概要
『有楽町蟹』(よしもと有楽町シアター)
11月17日(水) 開演13:00
12月13日(月) 開演19:00
※有楽町では毎月絶賛公演中!!
FANY Online Ticketはこちら
【『蟹』ツアースケジュール】
12月:『福岡蟹』(よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場)
1月:『福山蟹』(広島)
2月:『祇園蟹』(よしもと祇園花月)