実力派お笑いコンビ・囲碁将棋(文田大介、根建太一)恒例の単独ライブ『WITH AMAZING VIEWS 2021』が11月12日(金)に東京・ルミネtheよしもとで開催されます。芸歴18年目のいま、“漫才師が憧れる漫才師””東京漫才の最高峰”としてますます注目度が高まっている2人。単独ライブにかける思いや、漫才に向き合う姿勢について、独占インタビューしました!
自ら“文科系”と評する味わい深い笑いで根強いファンがいる囲碁将棋。大宮ラクーンよしもと劇場を主な活動拠点にする人気お笑い芸人ユニット「大宮セブン」のメンバーでもあり、冠ラジオ番組『イゴナマ!!』(ラジオ日本)や冠テレビ番組『囲碁将棋の山はなんでも知っている』(テレビ朝日系)など、テレビやラジオでも着実に活躍の場を広げています。
2年間のネタを詰める
――おふたりは1時間ノンストップで漫才をする『60分漫才』を頻繁に開催していますが、今回の単独ライブとは別モノなんでしょうか?
文田 あ、ぜんぜん別です。『60分漫才』も、なんだかんだ単独ライブを作るくらいの雰囲気でやってはいるんですけど。
根建 たしかに、そう言ってしまえば単独ライブになるのかもしれないですけど。そう考えると、単独ライブってよくわかんないですよね。別にどんな内容でも2人でやってたら単独ライブとも言えるし。
文田 そうだよな(笑)。
――今回の単独はコロナ禍の影響もあって2年ぶりの開催となりますが、どんなネタを披露する予定ですか?
文田 これまで定期的によしもと有楽町シアターでやってきたもののなかから、2年間でよかったネタを詰めて出すのと、あとは新ネタを3、4本作ろうかなと思ってます。映像とかそういうところで、いつものライブとは違う部分を見せられたらと。
――今回のタイトルは『WITH AMAZING VIEWS』。公式YouTubeチャンネルで公開している、きれいな景色のなかで漫才をする『絶景漫才』シリーズとのつながりを感じます。
文田 まさにそんな感じにしたいなと思って。ルミネtheよしもとでは、いつもサイドのモニターしか使ってないんですけど、今回はプロジェクターで正面のスクリーンを使いながらなんかやれたらな、と。
根建 それできたらいいよな。
文田 まだ案ですけど、最後の漫才が終わってバンと暗転して、次の瞬間、明転したらもう僕らがいなくなってて、バックの映像のなかに僕らが入ってる……みたいなことができたらって(笑)。
根建 ああ、いいね。
――そうした演出のアイデアは、ここで表に出してしまってもいいんですか?
文田 あ、ぜんぜん。本当にやるかどうかもまだわかんないし。
根建 ぜひ出してください。で、やったらやったで「あ、やったな」と思ってもらえたら。
文田 もし本当にやるとしたら、一瞬で暗闇のなかを走って袖に飛び込むくらいの勢いじゃないと。
根建 めちゃくちゃ走らなきゃじゃん。
文田 ミュージシャンのライブとかなら昔からあるよ、みたいな演出でも、あまりお笑いでやる人っていないじゃないですか。あとルミネって、ミラーボールあるんですよ。あれは動かしてあげたいなと。
根建 せっかくだしな。
――話を聞いていると、たしかに『60分漫才』とは趣向が異なるライブになりそうですね。
文田 そうですね。やってることはシンプルだけど、見せ方とかにスペシャリティがあったらいいなって。器が大事な日本料理みたいに、余白を楽しんでもらえたら。
根建 そうだな。
文田 単独ライブはやっぱりいちばん大事なので。
根建 毎年やらせてもらってるので、1年の区切りみたいな気持ちもありますね。昨年はできませんでしたけど……。
――単独ライブはここ数年、8月に開催されてきましたが、今回は11月です。
文田 時期は、おもろいからここにしたんですよ。賞レースに出てる人たちは、この時期に単独やらないじゃないですか。
根建 いちばん佳境の時期だからね。
文田 このタイミングでやる人いないから、あえてこの時期にやろうって。本当は、まったく違う公演内容で2日間やったらお客さん喜ぶかなと思ったんですけど、それは実現しなくて。そのぶん、1日にすべてを注ぎます。
後輩12組に背中を見せる!
――後輩たちとネタバトルを繰り広げた『囲碁将棋のオマエらには負けねえから!』(10月開催)では、ふだんの寄席の舞台でやっている長尺のネタが、そのまま賞レースでいけそうな4分ネタに仕上がっていて驚きました。
文田 あのライブのはじまりは、ヨシモト∞ホールや神保町よしもと漫才劇場に所属する後輩たちが、ルミネに立つ経験がないまま『M-1』に出場してる、と。それで「囲碁将棋と漫才ライブをやることで、みんなにルミネに立つ機会を与えられないかな?」と、作家の山田ナビスコさんに持ちかけられたんですよ。
そこで僕らは「どうせやるなら、こっちもガチで賞レースにかけるようなネタをやるんで、みんなと勝負するということなら」と答えて、タイトルもそういう感じのものになったんですよね。
根建 ヒリヒリしましたね、久しぶりに。
文田 新ネタをやったほうがいいのかなとも思ったんですけど、自分たちがもし今年賞レースに出てたらどのネタをやるだろう、という視点でチョイスして、4分にしました。そしたら、やっぱ勝っちゃったんで……(ダイタクやダイヤモンド、ナイチンゲールダンスら若手12組と戦って観客投票で優勝)。
根建 勝つんかい、っていうね(笑)。
――でも、納得の優勝でした。
文田 ウケてましたもんね、やっぱり。
根建 いねえって、自分で言うヤツ! まあ、最初にかなりあおったので、そりゃみんな(投票を)入れざるを得なかったんじゃないですか。
文田 いやあ、ウケてたから。
根建 いねえって! 自分でウケてたって言うヤツ。
文田 U2がでかい賞を取ったときに、スピーチで「俺らが賞取ってるようじゃダメなんだ」って若手のバンドに言ってたような感覚ですよね。
根建 それ、オアシスだろ?
文田 U2だって。それと同じことを後輩に言いたいです。「俺らに1位取らせるようじゃダメなんだよ」って(笑)。
――賞レースを卒業した先輩として、大きな背中を見せた形ですね。
文田 一応、後輩たちを鼓舞するつもりで。べつに東京と大阪を区別してるわけじゃないけど、せっかくなら東京の後輩にM-1優勝してもらいたいなって思うから。
実際、M-1で決勝に行ってない俺らが、こういう水準でやってるよというのは見せたかったんですよね。俺らよりもウケれば準決勝までは行けるんだというのは、「こういうネタをやったほうがいいよ」ってアドバイスするよりもわかりやすいじゃないですか。
「見え方」に自己プロデュース
――囲碁将棋さんは『イゴナマ!!』(ラジオ日本)、『湘南ワンダーチャンス』(レディオ湘南)、『囲碁将棋の情熱スリーポイント』(GERA)などラジオ番組にもたくさん出演していますが、その活動がネタに影響することはありますか?
文田 むかしからやっている『湘南ワンダーチャンス』は、本当にただ適当にしゃべってるだけなんで、そこでの会話をそのままネタにすることもありますね。あと単独ライブの前なんかは、フリートークのような顔して、ライブでかけるネタを1時間ただ練習してる回とかもありますし。
根建 やってた、やってた。
文田 でも、『情熱スリーポイント』は逆で、いままでネタでやってたことを、トークにおろしてる。だからほかのラジオよりは、ちゃんとやってるというか(笑)。いまのところ、僕らの18年の引き出しから見せてるだけの番組ですけど、引き出しが空になったら、ゆくゆくはまた新たなものが生まれることもあるかもしれないですね。
根建 たしかに、ちゃんとやってるよな。
――最近、根建さんが『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)や『水曜日のダウンタウン』(TBS系)などに呼ばれる機会が増えています。
根建 コンビでマヂカルラブリーに呼んでもらったり、僕ひとりのときはパンサーの尾形(貴弘)さんに呼んでもらったりで出ることが多いので、本当に感謝しかないですね。呼んでもらったからにはその人に恥かかさないように、という気持ちだけです。
文田 僕は根建が1人でテレビに出てるのは、ぜんぜんいいですね。言っても、週3でどこかに1人で出てるとかじゃないから。2、3カ月に1回、1人でテレビ行って帰ってくる感じだから。
根建 やったことのない仕事が少しだけ増えて、楽しいっす。
文田 いまくらいの感じがいいですね。これくらいのテレビの出方じゃ、お客さんが増えたり減ったりとか大きな影響もそんなにないだろうし、それでいい。
――今年に入ってからYouTubeやInstagramなどでの情報発信も始めていますが、いま以上にどんどん売れよう! と思っているわけではないんですね。
文田 そうですね。情報発信は増やしましたけど、別にネタとか活動自体にはそんなに触れてなくて、外の部分の自己プロデュースだから。ありのままの41歳を見せても、お客さんたちは応援しづらいだろうなと思って。
根建 ちょっと言いにくいですもんね、40歳の漫才コンビを応援してるって。
文田 たとえば、居酒屋でお酒飲みながら焼き鳥食ってる俺らを、スマホでパッと撮ったような写真がポスターになってるよりも、きれいな景色のなかに立ってる姿のほうが人に説明しやすいじゃないですか。「だれ応援してるの?」「この芸人さん」と伝えるときに恥ずかしくない。みんなに隠れてこそこそ応援しなくていいんだよ、という。そこらへんは、お客さんファーストでいたいんですよ。
――そのやって見せ方に気を配ったり、いろんな形のライブを開催したり、観客を楽しませようという意識がとても強いですよね。
文田 そうっすね。僕ら一見、やらなそうでしょ? それは正直、ネタを練習しきれてないという申し訳なさの表れでもあるんですよ。せめて見せ方で楽しませようっていう。だって本当にネタに自信があったら、なんもしなくていいじゃないですか。本当にうまいラーメン屋は無愛想、みたいなことで。
根建 たしかにな。
文田 素舞台で、出囃子もなく、ただ出てきてしゃべって帰る。そんなリハーサルのような状態でやって盛り上がるのが、本当は最高じゃないですか。
根建 そうそう。それできたらな。
文田 僕らがやってるのは、ラーメンに自信ないから過剰にお水入れましょうかとか、ありがとうございましたって店の外まで出てきちゃってる、みたいなことなんですよ(笑)。
根建 接客で取り戻すっていう。先に謝っときます、みたいな感じっすね。
――いやいや(笑)。
文田 でも単独では、この2年分のいちばんいいところを見せたいとは思ってるので、観ていただけたらうれしいですね。
囲碁将棋の公式YouTubeチャンネルはこちらから。
公演概要
『WITH AMAZING VIEWS 2021』
日時:11月12日(金) 開場18:00 開演18:30 終演20:00
会場:ルミネtheよしもと
料金:前売3,500円 当日4,000円 配信2,500円(GoTo対象価格2,000円)
FANYチケットはこちらから。
FANYオンラインチケットはこちらから。