「桂梅枝」「桂慶枝」のW襲名公演が9月にNGKからスタート! 「自分のなかでどう変わっていくのか楽しみ」

今年9月に四代目桂梅枝（ばいし）を襲名する桂枝光（しこう）と、五代目桂慶枝（けいし）を襲名する桂三風（さんぷう）が、5月29日（水）に大阪・生国魂神社で成功祈願奉告祭を行いました。その後、W襲名公演の記者会見が行われ、9月27日（金）のなんばグランド花月（NGK）を皮切りに、北海道、東京、名古屋、神戸、福岡などを巡る“襲名ツアー”を実施することを発表。枝光と三風は、襲名に向けた意気込みやツアーに向けた準備について語りました。

枝光「いよいよスタートだな」

境内の空気を震わせる低い太鼓の音で成功祈願奉告祭が始まります。神前で枝光と三風が神妙な表情を見せるなか、祝詞奏上、御神楽奉奏、玉串拝礼などが執り行われました。その後、上方落語の祖、米沢彦八の石碑の前で会見に移ります。

「W襲名披露公演」は、9月27日（金）のNGK公演から来年4月まで続きます。皮切りとなるNGK公演には枝光と三風のほかに、柳亭市馬、桂米團治、桂文枝、月亭八方、桂小文枝、桂文珍という豪華メンバーが出演予定。このNGK公演で2人が正式に四代目桂梅枝、五代目桂慶枝を襲名することが発表されました。

「いよいよスタートだなという気持ち」と胸を張る枝光は、「とにかく健康に気をつけて、一生懸命に務めてまいります」とコメント。また、名古屋の御園座での公演について、「お芝居の聖地で襲名披露させてもらえることがまことにうれしい」と笑顔を見せます。

襲名を控えた現在の心境を聞かれた枝光は、「自分のなかでどう変わっていくのか、それがいちばん楽しみ」と回答。小つぶから枝光への襲名で「紙屑屋」をネタおろししたことに触れ、「これを3月の東京公演に向け、新たに作りたい」と言います。枝光襲名と梅枝襲名の「紙屑屋」の違いで、成長を見てもらいたいそうです。

一方、三風は空模様について、「昨日の雨がうそのよう。われわれの出発の日にはふさわしい」と笑顔を見せます。そして襲名公演に向けて、「お兄さん（枝光）が古典を極めているので」と断ったうえで、「私はできたら創作をいろんなところで聞いていただきたい。今回は長めのいい話ができれば」と抱負を語りました。

三風は「40年間、三風でやってきて、風を吹かせることができなかった」とおどけつつ、「第2章は慶枝で売れてやろう。そのためには面白い噺をたくさん作る」とやる気をみなぎらせます。そして今後、繁昌亭などでのトリが回ってきたときに向けて、「長編の心温まる噺を創作したり、古典落語に磨きをかける」と意気込みました。

ここで枝光が、「紙屑屋」を舞台すべて使って演じるのは、五代目桂文枝の十八番だったことに言及。そして、同じ方法でこのネタをやるのは自分一人しかいないと語ります。すると三風も、舞台をすべて使うような創作落語を披露したいと張り合い、笑いを誘いました。

三風の新作は「ただいま創作中」

三風は襲名公演のための新作について「ただいま創作中」とコメント。この会見の前日に、師匠である文枝の「ゴルフ夜明け前」を見たという三風は、「まだ40代前半でこんな作品を作っていたのかと思うと、がんばらなアカンなと思う。『ゴルフ夜明け前』『大阪レジスタンス』に並ぶような大作を作りたい」と意気込みました。

そんな三風に「思い入れのある古典は？」という質問が出ます。三風は「好きなのは『愛宕山』」と話し、来年春の大阪の千秋楽でやらせてもらいたいと胸の内を明かしました。さらに、NGKでは「菊江仏壇」、京都・祇園花月では「三十石夢乃通路」と披露したい古典ネタを明言しました。

「梅枝として十八番にしたい古典は？」という質問に枝光は「『芝浜』は柳家権太楼師匠からいただいている。『梅枝といえば芝浜』というところを作ってみたい」と話します。枝光は「古典と言えども時代、世情を入れたギャグなど、わかりやすい古典をやっていきたい」と語り、襲名公演初日のNGKについて、「落語を聞いたことがないというお客さんも爆笑してくれるような噺を」と力を込めました。

最後に襲名までの健康維持について尋ねられた2人。枝光が「お酒は控え……」と言い淀むと、すかさず「（控え）ませんでしょ！」と三風からツッコミが入ります。改めて枝光が「気をつけて、少しでも歩くように」と話すと、三風も「9時から10時まではウォーキングタイム」と同意。三風はジムに通う回数について「少し増やしてがんばりたい」と語り、襲名に向けて着々と準備を進めているようでした。