現在、将棋の8大タイトルの1つ「竜王戦」の第37期七番勝負が行われています。現竜王の藤井聡太七冠に挑むのは佐々木勇気八段。11月15日(金)、16日(土)には大阪府茨木市の複合施設「おにクル」で第4局が行われ、16日の大盤解説には茨木市特別観光大使であるザ・プラン9のヤナギブソンが登場しました。よしもと芸人の中でも屈指の将棋好きとして知られるヤナギブソンは大役を前に気合十分。今回は解説に挑んだ様子をレポートするとともに、将棋についても語ってもらいました。
ヤナギブソンの棋力は「永遠の四級」
竜王戦は七番勝負で行われ、第3局までを終えた時点で藤井七冠の2勝1敗。11月16日は第4局の2日目となります。対戦が行われるのは複合施設「おにクル」内の和室で、大盤解説会はゴウダホール(大ホール)で行われました。ホールには大勢の観客が来場し、超満員。解説は山崎隆之八段、聞き手を佐々木海法(みのり)女流初段が務めます。
ステージに登場した茨木市出身の海法女流初段は、「今日は地元ということでお友だちに来てもらっています」と、ヤナギブソンを呼び込みます。ヤナギブソンは「中穂積からやってきました!」と地元の地名を挙げて挨拶。「茨木市の特別観光大使をやっていて、ちょこっとだけお邪魔させてもらいにきました」と話します。
そして、MCを務める「吉本芸人将棋最強トーナメント」の収録が数日後に控えていることを明かし、後日BSよしもとで放送される番組を見ていただければとアピール。自身の棋力については「永遠の四級」と話して笑わせました。
現役棋士が「将棋界おもしろ話」を連発!
ここからは局面の解説がスタート。大盤を前に、3人が対局についての解説をおこなっていきます。山崎八段は七番勝負のこれまでの経緯について説明。藤井七冠が勝てば王手、佐々木八段は負けるとあとは3連勝するしかないと話します。
ヤナギブソンが過去に藤井七冠を29連勝で止めたのが佐々木八段だと会場に伝えると、山崎八段も2人についてのエピソードを披露。「佐々木さんは藤井竜王が現れる前と後では全然違う、前はフットサルばっかりやっていた」と笑わせつつ、「でも、いまは本気を出して、こもって研究している」と、その変貌ぶりを明かしました。
山崎八段はほかにも、棋士の間で最近、取り入れられている「心拍数を上げた状態で将棋の問題を解く」というトレーニング方法や、プロ棋士同士による盤上には見えない水面下での技の掛け合い、さらに自身が過去に炎上したエピソードまで、レアなトークで会場を盛り上げます。さらに、対局している棋士の昼食や、おやつの話題も飛び出しました。
お昼の休憩前には、地元中学生2人ともに「次の一手クイズ」を実施。午後からは立会人の久保利明九段がステージに登場し、午前中で出番が終わる予定だったヤナギブソンも引き続き大盤の前に立ちます。
今回の対局は異例のスピードで進んでいるとのことで、山崎八段は「午後6時、7時のイメージが、もう1時半の時点で終盤」と驚きの表情です。途中からは、茨木市在住の村田智弘七段らがステージへ。“地元あるある”で盛り上がると、山崎八段も「地元トークがすごい!」と思わず脱帽でした。
将棋にハマったきっかけは…!?
結局、この日の勝負は佐々木八段が勝ち、2勝2敗のタイに。初の大盤解説を終えたヤナギブソンに話を聞きました。
――出番を終えて、いまの気持ちを聞かせてください。
やっぱり緊張しました。お笑いファンの方の前ではなく、将棋ファン、あるいは藤井さんファンの方が多かったと思うので、僕みたいなもんが出ていっても、どうしようかな、と。
――このオファーを聞いたときはどう思いましたか?
茨木に竜王戦が来るのは前から知っていたんです。仕事として絡めたらうれしいなと思って、いろんな地元の方にお願いしたりしていて。いちばんうれしい仕事だったんで最高ですね。
――将棋にハマったきっかけは?
将棋盤が家にあってオトンが指してたんで、将棋に触れたのは小学生のころとかですね。でも、凧揚げくらいの感じで指すのは年1回くらいの感じでした。
本当にハマったのは大人になってから。将棋のネット中継が始まり出して、たまたま何かでプロ棋士対コンピューターの大会が始まるという記事を見たんです。最初はそこに興味を持ったんですよ。人間がコンピューターを打ち負かすところを見たいな、という感じで。
――興味本位で見始めた感じですね。
人間が勝つんかな〜くらいの感じでしか見てなかったんですけど、人間が負けるんですよ。5対5でやるんですけど、人間が1勝2敗になるんです。それで次の4局目、副将なんですけど、ベテランの方なんです。この方が負けるともう負けが決まる。もうひとつ選択肢があって、引き分けるということもあるんです。
それでこの先生が、明らかに序盤で不利な状況から引き分けを目指し出すんです。僕はまだわかっていなかったんですが、ここから引き分けに持っていくというのは、プロ棋士の矜持があればやりたくないこと。いさぎよく「負けました」と言うのが将棋の文化ですから。それを見苦しくても、引き分けにするために指し続けるんです。
解説の人も、「これは無理やし、どうかな」みたいなことを言ってたんですけど、それが段々引き分けに持って行けそうってなったんです。そしたら見てる僕もなんかすごいことが起きてるって感じになって。
で、引き分けになったんですよ。でも大将戦でコンピューターが勝ってしまって、結局、勝負は人間の負け。最後の記者会見で、そのベテランの方が、大の大人が泣きながら「どうしても人間として負けるわけにはいかなかった」っておっしゃられた。それ聞いて僕もなんかわからんけど号泣して、そっから将棋にハマったんです。
――そっからですか!?
コンピューターと人間、どっちが合理的な考え方するかっていうのを見てたつもりが、なんとも人間らしい感情の部分が全面に出たものを見せられて、「あ、思てたんとちがう、将棋ってこんなにも人間味あふれるもんなんや」ということでハマった感じですね。……ちょっと待ってください、これFANYマガジンですよね? 誰がしゃべってんねん(笑)。
ギブソンイチオシのイケメン棋士は…?
――ふだんはどれくらいの頻度で指しているんですか?
ネットで指せるんで、毎日指してます。無茶苦茶弱いです。
――芸人同士で指したりするんですか?
たまに。よく指すのは新喜劇の松浦真也ですね。
――松浦さんとの対戦成績はどうですか?
僕がほとんど負けます。実力はあるんです、強いですよ。
――女性に将棋のおもしろさを伝える方法ってありますか?
僕ガチで思ってるんですよ。将棋のルールとか別にわからなくても、ハマることはできるんです。ラグビーがブームになった瞬間あったでしょ。でもあのとき、ルールはほとんどの人がよくわかってなかったと思うんです。
それと同じように、プロ棋士ってスマートなんです。頭がよくて、なかにとてつもない男前がいるんです。賢くて男前で将棋強くて。そういった“かしこ”(頭がよい人)が番組とかで、ふだんの姿をチラッと見せたりする瞬間があるんです。そういうのを見たら女子はハマると思うんです。
――“推し”を見つけるんですね。
いまは藤井くんとかしかわからないと思うんです。でも、ちょっと踏み込んで、中継見たりしていって、「この人どういう人なんやろ」って思ったら、いまはなんぼでも動画もありますし、カラオケ歌わされてる動画とかも出てくるし(笑)。
今日の解説の山崎さんもめちゃくちゃ強い人ですからね、今年も藤井さんとタイトル戦やってますから。僕は山崎さん、かなり女性人気があると思ってますけど、ほかにもいっぱいいるんで。
――ギブソンさんのイチオシは?
男子からの見ためと違うからな〜。とりあえず男前でスマートで強いで言ったら、斎藤慎太郎さん(八段)が筆頭。間違いない。めちゃくちゃ強くて、背も高くて色白で。はにかんだ顔がかわいくて、将棋指してるときは男前で。非の打ち所がない。
茨木市の魅力は子育てのしやすさ!
――今回の会場である茨木市の特別観光大使に任命されていますが、地元茨木市で対戦が行われることについてはいかがですか?
本当にすごいなと思います。だいたいタイトル戦というのは、全国各地、あるいは海外にまで対局場が行くこともあるんです。何回も開かれている土地、旅館とか、そういう対局場があるなか、そこに新規で入ってくるというのはかなり障壁があると思うんです。
でも長年、茨木市が子どもたちの将棋大会とかを積極的にイベントとしてやってきていて、そこから女流の棋士、今日も聞き手をやってくれた佐々木海法さんとかが出てきて、そういう活動が認められた。その努力の賜物ですね。
――茨木市の魅力はどういうところにありますか?
市として掲げているスローガンというか目標というのが、教育の街、子育ての街を作っていくということで、いろんな政策が打たれています。この対局場がある「おにクル」もそういうコンセプトで作られたので、本当に子育てしやすい街だなというのが、いちばんの魅力ですね。住む場所を探してる若い夫婦の方、ぜひ住んでください!
公演概要
久馬歩責任編集 月刊コント新春祇園号
日時:1月13日(月)18:40開場/19:00開演
会場:よしもと祇園花月
出演:ザ・プラン9、村上ショージ、チャンス大城、モンスターエンジン、しずる、ライス、ななまがり、ニッポンの社長、NMB48 平山真衣、NMB48 眞鍋杏樹
チケット:前売 2,500円/当日 3,000円/配信 1,800円
FANYチケット(会場)はこちらから
FANYオンラインチケット(配信)はこちらから