ガレッジセールのゴリこと照屋年之監督の長編最新作『かなさんどー』が、来年2025 年1月31日(金)に沖縄先行、そして2月21日(金)に全国順次公開されます。12月2日(月)に映画の舞台である沖縄で日本初上映となる『かなさんどー』のプレミア試写会が実施され、主演の松田るか、堀内敬子、浅野忠信、 K ジャージ、松田しょう(初恋クロマニヨン)、新本奨(初恋クロマニヨン)、比嘉憲吾(初恋クロマニヨン)、照屋年之監督が登壇し、出演者でもある真栄平仁がMCを務めました。
照屋監督の新たなマスターピースが誕生
照屋年之監督独自の死生観と笑いを交えて描く、愛おしくて切ない心揺さぶるヒューマンドラマ
※[かなさんどー] 沖縄の方言で“愛おしい”という言葉
本作はモスクワ国際映画祭など各国の映画祭に出品され、日本映画監督協会新人賞を受賞した『洗骨』(19)の照屋年之監督が自身のオリジナルストーリーを長編映画化した作品。
主人公・美花を演じるのは、沖縄出身で「連続テレビ小説「ちむどんどん」(22、NHK)、大河ドラマ「光る君へ」(24、NHK)ほか若手女優として幅広く飛躍し続ける松田るか。母・町子を劇団四季出身でドラマ、映画、舞台など多方面で活躍する堀内敬子、さらに『SHOGUN 将軍』(24/Disney+他)などハリウッドでも活躍する浅野忠信ら実力派俳優陣が集結。
沖縄県・伊江島を舞台に、実力派アンサンブルで情緒豊かに紡がれる家族の愛の物語。照屋監督の新境地にして新たなマスターピースが誕生します。
開始早々笑いが止まらない挨拶に!
出演者が登壇すると照屋監督が立ち位置を間違え開始早々に会場が笑いに包まれ、プレミア試写は開始。出演者のそれぞれが一言挨拶していく中で浅野忠信演じる悟の会社の従業員・東江剛役の初恋クロマニヨンの松田しょうは「今日は、Kジャージさんと同じ舞台に立てて緊張しています」という一言に思わず「誰が知っているの」という地元ならではのツッコミを入れるKジャージ。
同じく初恋クロマニヨンの新本は同じ回答をし、続くように初恋クロマニヨンの比嘉も同じ回答かと思いきや「作品中のお弁当美味しかったです」と挨拶し、「言わんのかい」と盛大にツッコミを入れ、会場は笑いの渦に。
最後に照屋監督は、『洗骨』以来6年ぶりにようやく作品を届けられる嬉しさとともに「監督を務めましたKジャージです」とすかさずボケを入れ、開始早々笑いが止まらない挨拶となりました。
監督が作品への熱い想いを吐露
本作は、日本初上映となることから監督は、「僕自身がやっぱりこのお笑いの世界にも約30年ぐらい足を突っ込んでるような人間なので、 笑える作品にしたいっていうこともあるんですが、その分やっぱり最後は、ジーンとなんかあったかいものをお土産として持って帰ってもらいたいなっていうのを意識して、ずっと映画を15年以上撮り続けてきました。今回のこの『かなさんどー』っていう映画も、それぞれの仲の良い親子も、親との確執がある人もいるかもしれません。そういう中で、自分の親がもう余命がいくばくかしかないっていう時に、憎んだままあの世に送ってあげるものなのか、それともその残された少ない時間だけでも幸せに、見届けてあげるのか、そういう部分の葛藤の部分をですね、主演の松田るかちゃんが演じてくれた美花という役に、感情移入して、皆さんも笑いながら、何かちょっとほっこり、ジーンと帰っていただく90分になれたらいいなと思っております」とコメント。
続けて監督は「本作は、6年ぶりの新作ということで「『洗骨』を上映した時に、本当に沖縄県民の方に愛されて、1年沖縄で上映されていました。それだけ見てくれる人が多かった中で、いろんな方から手紙もいただいたんですが、特にお年寄りから直筆の手紙をいっぱいいただいて、“何十年ぶりに夫と映画館に来ました”とか、“私も昔は親を洗骨で送った。”、“本当にこういう映画を作ってくれてありがとう”という感謝をたくさんいただきまして。父親も観に来たのですが親父もやっぱ観終わった後にジーンと来て。帰り兄が運転する車の中で、助手席の親父が『亡くなったら洗骨してほしいな』ってぽろって言ったんです。そしたら、運転してる兄が『めんどくさいから燃やす』と答えたんです(笑)」とユーモア溢れるエピソードを披露。
撮影時のエピソードも披露!
続いて各役を演じる上で気をつけたことそして、撮影時のエピソードの話となり松田るかは、母のSOSの電話を取らなかった父を許せずにいるも、父の余命がわずかで7年ぶりに実家に帰ってくるという美花を演じるにあたって「私がこの映画の中ですごい怒って怒鳴るシーンがあるんですけど、 すごい監督が褒めてくださって。怒ってても褒められるんだなっていう初めての気づきでしたね」と自身の怒りの演技に自信を持ったと語ります。
さらに「父の悟を許せないけれど話が進んでいき、許すって 全部受け止めてオッケー、もう全部許しますだけじゃなくてもいいんだなっていうのを、すごいこの映画で感じました。“まだまだ怒っていながらも受け入れる”、これも許しだと思うし、“もう全部許したよ。”これも許しだと思うし、いろんな形の赦しを見せてくれるなっていう風に、私が映画を観た時にすごい感じました」と本作を鑑賞した感想をしみじみ語りました。
そんな松田るかを照屋監督は、「怒るシーンも上手なんですが、金持ちの年寄りを誘惑するのも上手いんですよ。実際についていくなという演技で、本当にやっていたのかと疑うんですよ」とジョークを交えると、松田るかは「作品に対する愛みたいな熱い想いがすごく、特に撮影期間は、そんなにたっぷり時間はなかったんですけど、それでも ギュッと詰めて濃厚にやろうっていうその想いが、役者としてすごい嬉しかったです」と称賛。
役に対するプレッシャーも…
続いてMCの真栄平が「理想的な奥さんだ」と語った自身が病気の中、中小企業経営しながらも毎晩飲み歩く悟を明るく献身的に支える母町子役の堀内へ演技について質問をすると「ゴリさんのお母様をイメージしたってゴリさんもおっしゃっていたので、すごくちょっとプレッシャーもありました。そしてまずは、沖縄の方言を話さなきゃいけない、そして 沖縄の歌を歌わなきゃいけないっていうところで、本当に結構ハードルが高かった」と大変だったエピソードを語ります。「でも近くに、るかちゃんがいてくれて。」と松田るかの存在に支えられたとのこと。
印象的なエピソードとして「途中で私、るかちゃんとやり取りするところで涙が出るシーンがありまして、そこがリハーサルではかなりいい感じに涙が出てたんですけど、実際本番になったら出なくなりまして……。自分の時間を結構いただいたのですが、そんな時にも監督は“大丈夫”みたいな感じで、1回気持ちを作り直すことができました」と堀内も監督を絶賛しました。
浅野忠信が監督に怒られる!?
よくプライベートでも沖縄に訪れるという浅野は「嬉しいです。本当に大好きですから。仕事とはいえ、このようにまた沖縄に来れたのが嬉しいですし、それがもたらす素晴らしい映画を皆さんに観てもらえるっていうのがとても嬉しいですね」と大好きな沖縄と本作について深く語りました。
映画では、女性にモテ、妻の死を受け入れられずに自分を責め続ける役、まさに本作の大きなテーマである“人生に後悔の念を抱く”父・悟役については、「方言は難しかったです。ただ、本当に松田さんがいつもそばにいてくれたので、あとKジャージさんや皆さんにも色々聞いたりしました」とKジャージの名前があがると「出てきました!」と嬉しそうにするKジャージに真栄平が一喝。国内外名だたる監督と一緒に作品をやってきた浅野ですが「本当に頼りになりますね。まるでお兄さんのような」と照屋監督を実施し高く評価。
そんな浅野ですが撮影中に照屋監督から怒られたことがあるとのこと。それは、沖縄での撮影中に「病人の役で、余命いくばくの患者が健康的な肌しちゃいけないのに、海に行っていて(笑)」と述懐し、さらに入院着で近くのスーパーに行っていたエピソードも合わせて紹介し、会場は大笑い。
悟の会社で働く知念家のおせっかい小橋川誠役のKジャージは、「最初監督とお会いした時も、 台本の読み合わせしたいっていう。時に監督から“この映画はKジャージさんにかかってるんで”って言われたんです。自分は芸人なんでジョークだと思い大笑いしたんですが、全然笑わないんです……。そしてこのキャスト」とプレッシャーを感じていたことを告白。しかし撮影終了時の打ち上げでは、浅野を“のぶ”と親しく呼ぶ間柄になっていたと同い年の浅野と打ち解けた撮影裏のエピソードも明かされました。
悟の会社の従業員として和気藹々と知念家と過ごす従業員役の3人のうちの1人、初恋クロマニヨン松田しょうは、「こういう映画に出演していることが、もうすごく鼻が高く役柄としてもこの温かさの一端を担えるのであればすごく嬉しいな」と出演について嬉しさを語りました。そして「印象に残っている撮影裏のシーンは………」と話すとKジャージのネタを披露し、「これ俺のネタ」とツッコミ、Kジャージのネタが好きな堀内は満面の笑み。
この映画を通して一番演技に嫉妬したのは…
そんなKジャージについて、堀内は、クランクアップした後「この映画を通して一番演技に嫉妬したのがKジャージさん」だと語ったとそう。「多分レーシックした方がいい」と照屋監督はツッコみますが「芸人さんでもあって、演技をされるって、面白いところをわざと面白くするんじゃなくて、演技の中でこう面白くできるっていう、なんかKジャージさんが出てくると、なんか、ちょっと面白くて、むかつくって」と大評価。
初恋クロマニヨン新本は、1番感動したシーンについて、撮影中みんなで、わいわいやってるシーンがあり、移動する際にシーンとなるとのこと。そんな静けさの中Kジャージは、立ち上がる瞬間に「多分皆さんも気づいてないと思うんですけど、“ぷっ”ておならをして、間髪入れず謝った時感動しました」と場を和ませる役でもあったと振り返りました。
初恋クロマニヨン比嘉は、浅野が撮影中に購入した沖縄の地元のスーパーのTシャツについて「snsの方でそれが沖縄県にめちゃくちゃバズってまして。浅野さんが着てくれていると自分のことのように喜んだ県民の皆さま拍手〜!」と放つと劇場全体が拍手に包まれました。
監督へのサプライズに感動!
そしてここで、キャスト&スタッフより照屋監督にサプライズがあるということで、本作の製作総指揮を務めた福田淳が急遽登場。登壇した福田は、「私はコロナの時に沖縄の南条に移り住みまして、その時に『洗骨』を見たんですよ。それで『わぁ』となって、照屋監督と面識なかったんですけど直情的に連絡先を聞いて連絡したんですよね。映画撮りましょうと」と本作の製作の発端を明かしますが、そんな福田に対して照屋監督は「でもビジュがああじゃないですか(笑)。素晴らしい経歴を持たれているんですけど……」と最初は簡単に信じられなかったと告白。
しかし福田は「この作品のことをインタビューで聞かれた時に、『照屋監督はどういう監督ですか?』とたくさん聞かれて、『もう間違いなく日本のフェリーニだ』と。今日おそらくここでご覧になって出られる方は大泣きですよ。毎年撮りたいなという感じ」と大絶賛。すると照屋監督は「マスコミさん、撮りましたね?(笑)」と喜びの笑顔を見せていました。
さらに本日が“日本最速のプレミア上映”ということで、改めて主演の松田から照屋監督へお祝いの言葉と、キャスト陣から本作の象徴にもなっているテッポウユリの花束をサプライズで監督へプレゼント! そして松田が「私たちから、これだけはちょっと言わしてもらわないといけないなっていうのがあって。ちょっといいですか? 照屋監督……!」と掛け声をかけると、キャスト全員から「かなさんどー!!」(沖縄方言で『愛してるよ!』の意味)の言葉が贈られました。
サプライズプレゼントに監督は、「あーなんか嬉しいです。こういうサプライズを受けると思っていなかったんで。監督ってやっぱり裏方なので……。なんかこの映画、観ていないのに今泣きそうです。(花束を見て)綺麗……」と泣きそうな表情を見せ、「作り手の苦労を話すつもりはないんですけれども、やっぱりこの0の何も生まれていない時点から脚本を書いて、それをスタッフや演者と本を通して共有し、撮影で実際に皆さんの目で見れるように映像を残して編集で繋いで、作品まで行くのがすごく時間がかかるんですね。ですので90分の映画でも、もう関わってる人間の数、汗、涙、努力とかが本当に詰まってるので、やっぱり本当に我が子のように可愛いんですよ、作品が。 で、よく年賀状で頼んでもないけど赤ちゃんの写真載せて送ってくる人いるじゃないですか。あの気持ちがやっとわかったんです。だって 作品が可愛いから見せたいんですよ。だから年賀状に赤ちゃん載せるんだっていう。だからこれからも年賀状の赤ちゃん写真は僕は大事に読みます。ですので、皆さん、これからの我々が作った大事な赤ちゃん、是非とも楽しんで可愛がってください。よろしくお願いします」
「あの両親がいたから、この映画を撮れたのかな」
そしてイベントの最後には、浅野が「本当にもう観ていただいてわかると思うんですけども、こういう楽しい現場だったんですね。ですから、本当に作品の中にもその愛がすごく溢れいてますし、もう愛だけではなくて、ほんとに苦難もみんなで乗り越えていけるような作品になってると思うので、ぜひ楽しんでください」と話し、堀内も「まずここ沖縄で皆さんにまず観ていただけるっていうのを本当に嬉しく思います。家族の愛を、そして人への愛をぜひ感じていただけたらと思います」とメッセージをおくりました。
松田も「沖縄出身として、沖縄を舞台にした作品で主演をさせていただくということがすごく 光栄なことだなと思っております。さっき堀内さんと浅野さんもルカちゃんがいてくれてと言ってくれていたんですけど、私はもしろ2人がいてくださったからすぐ親子になれましたし、それを温かく包んでくれる照屋監督がいたからよりいい作品になったと思っております。これからご覧になられる方、ぜひ楽しんでください。今日はありがとうございました」と本作への思いを溢れさせました。
監督も「やっぱり映画を作る時って何かにインスパイアされて僕も脚本を書くんですが、作品を作っていて気づいたのは、やっぱり僕の両親のこともある程度入ってるんですね。 やっぱりそういう部分で『ああ、あの親が2人いたからこの映画を撮れたのかな』って思うと、今日この会場に僕の兄弟、兄貴たちも全員観に来ているので、自分の家族に観てもらえるのも非常に光栄ですし、 皆さんもそれぞれ親があったり子がいたりとかっていうのの中で、何か自分がこの役の気持ちに当てはまる部分があると思いますので、これ見終わった時にあったかい気持ちで『また親と会いたいな。ちょっと子供と会う時間作ろうかな』っていう風に思っていただけたら嬉しいです。本日は来ていただきありがとうございます」と投げかけ、イベントは幕を閉じました。
STORY
7年ぶりの帰郷。見つけたのは、今は亡き<母の日記>。
記憶の糸をたぐり、いま、止まっていた時計が再び動きはじめる――
妻・町子 ( 堀内敬子 )を失った父・悟 ( 浅野忠信 ) は、年齢を重ねるとともに認知症を患っていた。娘の美花 ( 松田るか )は、母が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった父親を許せずにいる。そんな父・悟の命が危ないと知らせを受け、苦渋のなか故郷・沖縄県伊江島へ帰ることに。父との関係を一向に修復しようとしない美花だが、島の自然に囲まれ両親と過ごしたかけがえのない時間を思い返すなか、生前に母が記していた大切な日記を見つける。そこで知ったのは母の真の想い、そして父と母だけが知る< 愛おしい秘密 >だった……。
開催概要
映画『かなさんどー』プレミア試写会
日時:12月2日(月)19:00~19:30(30分)
会場:シネマQ スクリーン5
(沖縄県那覇市おもろまち4丁目4-9)
登壇者:松田るか、堀内敬子、浅野忠信、 K ジャージ、松田しょう(初恋クロマニヨン)、新本奨(初恋クロマニヨン)、比嘉憲吾(初恋クロマニヨン)、照屋年之監督
MC・真栄平仁
作品概要
『かなさんどー』
出演:松田るか、堀内敬子、浅野忠信
K ジャージ、上田真弓、松田しょう、新本奨、比嘉憲吾、真栄平仁、喜舎場泉、うどんちゃん、ナツコ、岩田勇人、さきはまっくす、しおやんダイバー、仲本新、A16、宮城恵子、城間盛亜、内間美紀、金城博之、前川守賢、島袋千恵美
監督・脚本:照屋年之(ガレッジセール・ゴリ)
製作総指揮:福田 淳
製作:福永真里、藤原寛
プロデューサー:石田玲奈、鳥越一枝
協力プロデューサー:金森 保
撮影:大城 学
照明:鳥越博文
録音:横澤匡広
美術:吉嶺直樹
装飾:梅原文
ヘアメイク:荒井ゆう子
衣装:むらたゆみ
助監督:石田玲奈
フードスタイリスト:中村真琴
編集:初鹿紗梨
音響効果:佐藤祐美
DIT&データ管理:小野寛明
題字:おやまゆき
音楽:新垣 雄
歌唱指導:古謝美佐子
主題歌:『かなさんどー』作詞・作曲:前川守賢
協賛:くらしの友、沖縄セルラー電話、沖縄タイムス
配給:パルコ
宣伝:FINOR
制作協力:キリシマ一九四五
制作プロダクション:鳥越事務所
制作:スピーディ
製作:「かなさんどー」製作委員会
2024 年/日本/日本語/86 分/G
©「かなさんどー」製作委員会
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